主治・対象疾患
(BL67)至陰(zhi4yin1)(しいん)
【取穴】
足の第5指、末節骨外側、爪甲角の近位外方一分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
・知覚神経:外側足背皮神経
・血管:外側足底動脈の枝
【名の由来】
「至=尽きる」。本穴にて足太陽経気が尽き、脈気が足少陰経に完全に移行する事から。
【要穴】
『足太陽経井金穴(水経金穴/自経母穴/金生水)』
『根結:足太陽之根』
【交会】
・経絡(2):足太陽経-足少陰経
・経筋(2):足太陽経筋の結す処(足小指上)・足少陰の起する処
【作用】
〔補〕補益太陽(少陰)
〔瀉〕疏通経絡・調整陰陽・清頭明目・矯正胎位
【弁証主治】
◆温病
悪寒戦慄をともなう3日以上の高熱、意識障害〔瀉血〕など
◆足太陽経(筋)病
発熱による疼痛・項頚部痛・鎖骨窩痛・脇痛・身体を揺すれないなど
◆足少陰経(筋)病
てんかん発作・貧血、血液疾患、萎縮性舌炎〔金針で瀉血〕、萎縮性胃炎、※積聚・喘息・腰痛 ・こむら返り・踵痛・足第5指のマヒなど
◆腎虚(気滞)証「心下満を治す/虚すれば其の母を補う」
加齢性の視力低下、耳鳴、難聴・痴呆、失語症・てんかん・半身不随・更年期障害・泌尿器、婦人科疾患、逆子〔特に右〕、難産・分娩促進・痔・部位がはっきりしない疼痛・脈沈遅など
【配穴】
+会陰…痛痒
+合谷〔補〕…不妊〔至陰は瀉〕
【症例/個人的見解】
・井穴はその位置的に、いずれも瀉熱作用〔瀉血〕が強い。
・本穴は足少陰経の始穴でもあるので、膀胱病よりは腎病への効果が高いように思う。
・難産(逆子や分娩困難、胎盤がうまく出ないなど)の治療には古来(-類経図翼-などに記載あり)よりよく使う。逆子に対し、至陰に火鍼をしたが、効果は良かった。特に右側が良いとある。
※積聚…お腹の中にしこりがあり、張れや痛みを伴う病証。一般に、しこりが明らかで、痛みや張りが強く、位置が一定なものを積。しこりが不明瞭で、一時的に張りがきて痛みが移動するものを聚という。
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