L17.膈兪(かくゆ)

取穴部位:第7・第8胸椎棘突起間(至陽穴)の外15

要穴:血会

筋肉:僧帽筋

運動神経:副神経頚神経叢筋枝

知覚神経:胸神経後枝

血管:肋間動脈

BL17.膈兪(かくゆ)

第7・第8胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

解剖学的データ

筋肉

僧帽筋 (そうぼうきん)

外後頭隆起・項靱帯・上項線・第7~第12胸椎から起こり、鎖骨の外側1/3・肩甲骨の肩峰と肩甲棘に停止する筋肉。主に肩甲骨を上方・下方・内側に引っ張る働きと回転させる働きがある。

広背筋 (こうはいきん)

下位胸椎および腰椎の棘突起、腸骨稜、肩甲骨の下角から起こり、上腕骨の上部小結節稜に停止する筋肉。主に上腕を内側や後方に引く作用がある。

運動神経

副神経 (ふくしんけい)

第11脳神経とも呼ばれており、大後頭孔から頭蓋を出て、同側の胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する神経。

頸神経叢筋枝 (けいしんけいそうきんし)

第1~4頸神経前枝が集まったものを頸神経叢といい、そのうち頸部の筋肉を支配するために出ている神経の枝を筋枝と呼ぶ。

胸背神経 (きょうはいしんけい)

第6~8頸神経から起こり、肩甲骨の外側縁を下行して広背筋を支配する神経。

知覚神経

胸神経 (きょうしんけい)

胸椎の高さから出る12対の脊髄神経のこと。胸神経の前枝は肋間神経ともいい、胸部や腹部の筋肉の支配や皮膚の知覚を司る。また、後枝は背部の筋肉や皮膚を分節的に支配する。

血管

肋間動脈 (ろっかんどうみゃく)

最上肋間動脈・胸大動脈から起こり、肋骨の下縁(肋間)に沿って走る動脈のこと。肋間動脈の起始部近くからは背枝が出ており、さらに背筋を栄養する筋枝、脊髄を栄養する脊髄枝、背部の皮膚を栄養する皮枝に分かれる。また肋間動脈が内肋間膜を貫通すると側副枝が出ており、下位の肋骨の上縁に沿って走る。胸郭の外側部では外側枝が出ており、さらに前枝と後枝に分かれ胸郭外側壁の皮膚に栄養するが、前枝からは乳腺枝が出て乳腺も栄養する。

主治・対象疾患

つわり

嘔吐

ゲップ

しゃっくり(横隔膜けいれん)

吐血

寝汗

胸膜炎

腹膜炎

肺結核

食道狭窄

胃カタル

胃酸過多

胸痛

心胸痛

心臓弁膜症

心内膜炎

心筋炎

心不全

動悸

不整脈

狭心症

自律神経失調症

ヒステリー

背部痛

ぎっくり腰

アレルギー

 

 

 

名前の由来

膈兪(かくゆ)の『膈』は「 横隔膜 」のことを表しています。

このツボは横隔膜の近くにあり、胸部や腹部の諸症状を治すことから督兪と名付けられました。

 要穴

① 八会穴の血会(けつえ)

八会穴とは、からだにある8つの組織や機能(臓・腑・気・血・筋・脈・骨・髄)の気が集まるところです。

8つの組織や機能には、それぞれに対応する8つのツボが存在していて、それらに関係する病気を治療するときに用いられます。

これら8つのうち、膈兪血会に相当します。