BL13.肺兪(はいゆ)

兵法:早打(はやうち)

取穴部位:第3・第4胸椎棘突起間(身柱穴)の外15

要穴:経の兪穴

筋肉:僧帽筋菱形筋

運動神経:副神経頚神経叢筋枝、肩甲背神経

知覚神経:胸神経後枝

血管:頚横動脈の枝、肋間動脈

 BL13.肺兪(はいゆ)

このツボは肺の背部兪穴(”要穴” の項を参照)であり、肺疾患を治療する要穴であることから肺兪(はいゆ)と名付けられました。

 要穴

兪穴の『兪』は「輸送する」ことを意味しており、兪穴とは経気(経脈上を流れている気)を輸送するところです。

兪穴は全部で12個あり、そのすべてが背中に位置しているため背部兪穴とも呼ばれます。

12個の兪穴はそれぞれが六臓六腑と対応しており、肺兪は肺に対応しています。

 

第3・第4胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

解剖学的データ

筋肉

僧帽筋 (そうぼうきん)

外後頭隆起・項靱帯・上項線・第7~第12胸椎から起こり、鎖骨の外側1/3・肩甲骨の肩峰と肩甲棘に停止する筋肉。主に肩甲骨を上方・下方・内側に引っ張る働きと回転させる働きがある。

菱形筋 (りょうけいきん)

第6頸椎~第4胸椎棘突起から起こり、肩甲骨内側縁に停止する筋肉。主に肩甲骨を後ろに引く働きがある。

運動神経

副神経 (ふくしんけい)

第11脳神経とも呼ばれており、大後頭孔から頭蓋を出て、同側の胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する神経。

頸神経叢筋枝 (けいしんけいそうきんし)

第1~4頸神経前枝が集まったものを頸神経叢といい、そのうち頸部の筋肉を支配するために出ている神経の枝を筋枝と呼ぶ。

肩甲背神経 (けんこうはいしんけい)

腕神経叢から背中側へ出て走行する神経で、肩甲挙筋や大菱形筋・小菱形筋などを支配する。

知覚神経

胸神経 (きょうしんけい)

胸椎の高さから出る12対の脊髄神経のこと。胸神経の前枝は肋間神経ともいい、胸部や腹部の筋肉の支配や皮膚の知覚を司る。また、後枝は背部の筋肉や皮膚を分節的に支配する。

血管

頸横動脈 (けいおうどうみゃく)

甲状頸動脈から起こり、斜角筋や僧帽筋、肩甲骨内部の筋を栄養する動脈。頸横動脈からは、斜角筋の筋肉を栄養する上行枝、僧帽筋や肩甲骨内部の筋肉を栄養する下行枝などが分岐する。

肋間動脈 (ろっかんどうみゃく)

最上肋間動脈・胸大動脈から起こり、肋骨の下縁(肋間)に沿って走る動脈のこと。肋間動脈の起始部近くからは背枝が出ており、さらに背筋を栄養する筋枝、脊髄を栄養する脊髄枝、背部の皮膚を栄養する皮枝に分かれる。また肋間動脈が内肋間膜を貫通すると側副枝が出ており、下位の肋骨の上縁に沿って走る。胸郭の外側部では外側枝が出ており、さらに前枝と後枝に分かれ胸郭外側壁の皮膚に栄養するが、前枝からは乳腺枝が出て乳腺も栄養する。

 

主治・対象疾患

気管支炎

肺尖カタル

肺結核

喘息

鼻カタル

胸膜炎

胸痛

咽喉炎(のどの腫れ・痛み)

呼吸困難

嗄声(声のかれ)

咳嗽

肺炎

感冒(かぜ)

アレルギー

寝汗

肩こり

肩背痛

肋間神経痛

小児かんむし

 

 

肺兪が使われた症状

症状

割合

症例数

肩こり・首こり

18.8%

3

寝違え(首の痛み)

12.5%

2

頚痛

12.5%

2

花粉症

12.5%

2

眼精疲労

6.3%

1

自律神経の症状

6.3%

1

腕の重だるさ

6.3%

1

鼻炎

6.3%

1

自律神経失調症

6.3%

1

低音障害型感音難聴

6.3%

1

頭痛

6.3%

1

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ツボの位置

皮膚

筋肉