BL12.風門(ふうもん)

取穴部位:第2・第3胸椎棘突起間の外15

筋肉:僧帽筋菱形筋

運動神経:副神経頚神経叢筋枝、肩甲背神経

知覚神経:胸神経後枝

血管:頚横動脈の枝、肋間動脈

 BL12.風門(ふうもん)

第2・第3胸椎棘突起間の外1寸5分に取る。

解剖学的データ

筋肉

僧帽筋 (そうぼうきん)

外後頭隆起・項靱帯・上項線・第7~第12胸椎から起こり、鎖骨の外側1/3・肩甲骨の肩峰と肩甲棘に停止する筋肉。主に肩甲骨を上方・下方・内側に引っ張る働きと回転させる働きがある。

 

菱形筋 (りょうけいきん)

第6頸椎~第4胸椎棘突起から起こり、肩甲骨内側縁に停止する筋肉。主に肩甲骨を後ろに引く働きがある。

運動神経

副神経 (ふくしんけい)

第11脳神経とも呼ばれており、大後頭孔から頭蓋を出て、同側の胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する神経。

頸神経叢筋枝 (けいしんけいそうきんし)

第1~4頸神経前枝が集まったものを頸神経叢といい、そのうち頸部の筋肉を支配するために出ている神経の枝を筋枝と呼ぶ。

肩甲背神経 (けんこうはいしんけい)

腕神経叢から背中側へ出て走行する神経で、肩甲挙筋や大菱形筋・小菱形筋などを支配する。

知覚神経

胸神経 (きょうしんけい)

胸椎の高さから出る12対の脊髄神経のこと。胸神経の前枝は肋間神経ともいい、胸部や腹部の筋肉の支配や皮膚の知覚を司る。また、後枝は背部の筋肉や皮膚を分節的に支配する。

血管

頸横動脈 (けいおうどうみゃく)

甲状頸動脈から起こり、斜角筋や僧帽筋、肩甲骨内部の筋を栄養する動脈。頸横動脈からは、斜角筋の筋肉を栄養する上行枝、僧帽筋や肩甲骨内部の筋肉を栄養する下行枝などが分岐する。

肋間動脈 (ろっかんどうみゃく)

最上肋間動脈・胸大動脈から起こり、肋骨の下縁(肋間)に沿って走る動脈のこと。肋間動脈の起始部近くからは背枝が出ており、さらに背筋を栄養する筋枝、脊髄を栄養する脊髄枝、背部の皮膚を栄養する皮枝に分かれる。また肋間動脈が内肋間膜を貫通すると側副枝が出ており、下位の肋骨の上縁に沿って走る。胸郭の外側部では外側枝が出ており、さらに前枝と後枝に分かれ胸郭外側壁の皮膚に栄養するが、前枝からは乳腺枝が出て乳腺も栄養する。

主治・対象疾患

感冒(かぜ)

発熱

後頸部のこわばり

肩こり

アレルギー

咳嗽

肺結核

肺尖カタル

肩背痛

胸痛

 

 

自律神経失調症の症状を和らげる風府ツボ

後頭部の痛みを和らげるツボ~風府

頭痛や風邪の初期症状の緩和に効果的なツボ、風府(ふうふ)

自律神経失調症の症状の緩和に、直接関係ありませんが、
ここで取り上げたいツボが風府です。

風府(ふうふ)の「府」という単語には、集まるという意味があります。

つまり、風府とは、身体の中に侵入した風邪の菌が集まる場所ということになります。
その名のとおり、風府を刺激することで、風邪の菌を体外に追い出す働きがあるのです。

また、風府は、頭痛、特に後頭部の痛みを緩和して緊張をほぐす作用があり、
気管支や肺の働きの活性化にも良いとされています。


風府(ふうふ)の位

風府は、後頭部と首の境目の太い二本の筋肉に挟まれたくぼみ、つまり、髪の生え際の中央から少し上に位置する場所にあります。 (右図参照)

風池(ふうち)

天柱(てんちゅう)

風池、天柱ツボの同時押しで効果抜群!

風府(ふうふ)ツボの押し方

風府ツボの効果的な押し方は、次のとおりです。

後頭部頭全体を両手で押さえながら、左右の親指でツボに当て、
首の中心へ向かって、「押す」→「揉む」→「押す」→「揉む」・・・
を5~10回ほど繰り返します。

押す時の時間は5秒ほど、押す強さは痛くない程度でOKです。

もし、頭がぼんやりとしていた場合にこのツボを刺激して
みると、頭がスッキリしてくることがわかるかと思います。

風邪はもちろん、高血圧が原因で生じた頭痛の緩和にも有効です。

頭痛持ちで、眠れないときなどにも、風府を刺激することで頭がスッキリし、
リラックスした眠りにつくことができます。

風府ツボの近くには、自律神経失調症に効果があると言われる
「風池」や「天柱」と呼ばれるとツボが存在します。

自律神経失調症に効く他のツボと同時に刺激することで、
不快な症状をより緩和することができるでしょう。


 

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BL12. 風門(ふうもん)

  所属する経脈

足の太陽膀胱経(たいよう ぼうこうけい)

 別名・別表記

別名:熱府(ねっぷ)、風門熱府(ふうもんねっぷ)

 名前の由来

風門(ふうもん)の『風』は「風邪」、『門』は「出入りするところ」を指しています。

このツボは風邪が侵入する門戸であり、風邪を治療できることから風門と名付けられました。

 位置

上背部、第2胸椎(T2)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。

第2胸椎の棘突起下縁から外方に1.5寸(1寸=手の親指の横幅の長さ)いったところに風門はあります。

風門からさらに外方1.5寸には、附分(ふぶん)が位置しています。

 主治・効能

感冒様症状

発熱、悪寒、咳嗽(せき)、鼻水、鼻づまり、のどの腫れ・痛み、頭痛、首のこわばり

風門は風邪の出入りする門戸であり、種々の感冒様症状を治します。


 局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → 僧帽筋 → 菱形筋 → 上後鋸筋 → 頸板状筋

関係する筋肉

僧帽筋

大菱形筋

小菱形筋

上後鋸筋

頸板状筋

関係する動脈・静脈

肋間動脈

頸横動脈

関係する神経

副神経

頸神経叢筋枝

肩甲背神経

胸神経後枝

 参考文献

 

 

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)