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ヒトの大腿骨

(ほね、英:bone)は、脊椎動物において骨格を構成する、リン酸カルシウムを多分に含んだ硬い組織。特に軟骨cartilage

軟骨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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軟骨(なんこつ、: cartilage)は、軟骨細胞とそれを取り囲む基質からなる結合組織であるが、組織中には血管神経リンパ管が見られない。弾力性があり、脊椎動物に比較的発達している。

目次

·         1 系統進

·         2 組織学的構

·         3

·         4 食材としての軟

系統進化

系統進化的には、かつては初期の脊椎動物は軟骨構造の骨格を持ち(軟骨魚類)、後に硬骨構造の骨格へと発展(硬骨魚類)していったと考えられた。事実、軟骨魚類は、鰓の構造や皮膚の構造、アンモニア代謝の仕組み、骨格(軟骨でできた骨格)など多くの点で、硬骨魚類よりも原始的な特徴を持つ。

ただし、軟骨魚類よりも古い脊椎動物である板皮類では、すでに体表に甲皮(皮骨)を発達させており、骨の起原は軟骨魚が現れるよりも前にあることになる。このことは骨の発生様式を二つに分けることで整理でき、膜性骨(直接骨化)の起原は軟骨よりも前または同時期であり、軟骨性骨(間接骨化)はその後と考えることで解決する。すなわち、現在の軟骨魚綱として繁栄しているサメやエイなどの前に、板皮類などがいて、その表面を覆っていた皮骨を退化させ、内部の軟骨のみを進化させた生物が軟骨魚綱であり、その分岐付近の祖先動物から、体幹骨の軟骨を骨化(軟骨性骨化)することができる硬骨魚類が進化してきたという考えが現在の主流となっている。

組織学的構造

軟骨は、結合組織に分類され、豊富な細胞外基質と、その中に点在する軟骨細胞が特徴的である。

軟骨における細胞外基質を、軟骨基質という。軟骨基質の主成分は、コンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンである。コンドロイチン硫酸は大量の陰電荷を持っており、ナトリウムイオンを引きつける。この時、ナトリウムの水和水が一緒に寄ってくる。このような仕組みで、軟骨は豊富な水分を含んでいる。

軟骨細胞は、軟骨基質の中の軟骨小腔と呼ばれる穴の中に入っている。軟骨細胞は、線維芽細胞系の軟骨芽細胞から分化する。分裂直後の軟骨細胞は密集しているが、周囲に軟骨基質を分泌するにつれて隙間が開いていく。そのため、完成した軟骨では、一つの軟骨小腔には多くとも 23個の細胞しか入っていない。

軟骨全体は、軟骨膜によって包まれるのが普通である(例外:関節軟骨)。血管は軟骨の中には侵入せず、軟骨細胞は、組織液を介した拡散によって酸素や養分を受け取り不要物を排出する。

種類

軟骨は、軟骨基質の成分によっていくつかの種類に分けられ、それぞれ力学的特性が異なる。

硝子軟骨は、最も一般的に見られる軟骨で、関節面を覆う関節軟骨、気管を潰れないように囲っている気管軟骨と甲状軟骨、胸郭の可動部分となる肋軟骨などがある。均質無構造であり、半透明であり、生涯見られる軟骨であるため永久軟骨という。一方、哺乳類の胎児期においては、全身の骨格が硝子軟骨として現れ、これが骨に置換されていく事が知られており、出生後も成長期においては、全身の長骨に骨端軟骨(成長軟骨)とよばれる一時軟骨の層があり、これが成長に合わせて骨に置換され続ける。このように軟骨が大まかな形をつくり、それが硬骨に置換される様式を軟骨性骨化という。

線維軟骨は、椎間円板恥骨結合、関節半月などに見られる。また、通常関節でも、関節包と関節軟骨の移行部に見られる。いずれも永久軟骨である。軟骨基質にコラーゲンを多く含むのが特徴で、このため、軟骨としては固く、強い圧力に耐えることができる。なお、顎関節に見られる関節円板は線維軟骨組織とされることがあるが、正しくは規則性密性結合組織であって、靱帯や腱などの構造に近く、その中に軟骨成分は見られない。

弾性軟骨には、耳介軟骨や、嚥下時に食物が気管に入らないように蓋をする喉頭蓋の軟骨などが該当する。いずれも永久軟骨である。軟骨基質は、弾性線維を多く含むため、硝子軟骨や線維軟骨と比べ、柔軟でかつ弾力がある。

食材としての軟骨

ニワトリの胸(やげん)やひざの軟骨、ブタの耳(ミミガー)やあばらの軟骨(パイカ)、ウシの喉の軟骨(ウルテ、ウタゴエ)、イカの軟骨などは食用に供される。いずれもコリコリとした食感が特徴で、酒のつまみに好まれる。

·         北海道青森県および岩手県の沿岸部、新潟県の郷土料理「氷頭なます - サケの鼻先の軟骨(氷頭)を使用したなます

·         エイ(カスベ)の煮付け、エイヒレ

·         クジラの上あご(鼻筋)にある軟骨(蕪骨)を粕漬にしたものは、長崎県佐賀県で『松浦漬』『玄海漬』などの商品として販売されている。

·         梅水晶 - サメの軟骨を用いた和え物

などと明確に区別する場合には硬骨とも呼ばれる。

動物体内での骨の機能は多岐にわたり、体の保護や姿勢の維持、筋肉を用いた運動のほかに、栄養の貯蔵や、血球を産生する場としての役割も持っている。ヒトの大人の体には、大小約206の骨があり(で約270個)、それぞれに固有の名称が与えられている。ヒトの体で最も大きな骨は大腿骨である。

またこの意味の他にも、口語的には骨格そのものを指し示す場合もあり、生物に留まらず広く用いられる(例:の骨、鉄骨など)。本項目では、特に断りのない限り、最初に示した通り脊椎動物の骨を説明する。

目次

 

 

機能

力学的機能

頭蓋骨

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カバの頭蓋骨

頭蓋骨(ずがいこつ、とうがいこつ)は、頭の全体的な枠組みとしてはたらく、有頭動物の骨様構造である。頭蓋骨は、顔の構造を支持し、を外傷から保護する。一般的な読みとしては「ずがいこつ」「とうがいこつ」双方を用いるが、解剖学では「とうがいこつ」とのみ呼称、形質人類学では頭骨と表記して「とうこつ」と称し、「ずがいこつ」という読み方は学問的には用いられない。なお、医療の場では他に橈骨が存在するため、「とうこつ」と呼ぶ事は稀である。英語ではskullまたはcranium、複数形craniaである。

白骨化した頭蓋骨は髑髏(どくろ、されこうべ、しゃれこうべ)と呼ばれる。頭蓋骨に関する文化的な側面はそちらを参照のこと。

目次

ヒトの頭蓋骨

: 頭蓋骨

SkullFromTheFront.JPG

ヒトの頭蓋骨

名称

日本語

頭蓋骨

英語

skull

ラテン語

cranium

画像

アナトモグラフィー

三次元CG

関連情報

MeSH

Skull

グレイの解剖学

書籍中の説明(英語)

ヒトの場合では、成人の頭蓋骨は通常28個の骨から構成される。下顎を除いて、頭蓋の骨格はすべて縫合(移動をほとんど許さない厳密な接合)によって互いに連結されている。

8個の骨格が神経頭蓋すなわち脳と延髄を囲む骨の保護円蓋を形成する。14個の骨格が内臓頭蓋(顔を支持する骨格)を形成する。中耳6個の耳小骨は側頭骨の内側に包まれる。喉頭を支持する舌骨は頭蓋骨の一部と通常見なさない。舌骨は他の骨と連結していないからである。

頭蓋骨の発生

頭蓋は複雑な構造である。その骨格は膜性骨発生と軟骨性骨発生の両方によって形成される。内臓頭蓋の骨格、および神経頭蓋の側面および屋根は、膜性骨発生(あるいは真皮の骨化)によって形成される一方、脳を支持する骨格(後頭骨、蝶形骨、側頭骨、及び篩骨)は、おおむね梁軟骨旁索軟骨などに起因する軟骨性骨発生によって形成されている。

誕生の時、ヒトの頭蓋骨は45個に分かれている骨的要素から構成される。成長とともに、これらの骨的要素の多くは、徐々に癒合して硬骨(例えば前頭骨)になる。頭蓋の天井をなす頭蓋冠は、前頭縫合、矢状(しじょう)縫合、ラムダ縫合、冠状縫合、鱗状縫合と呼ばれる5つの縫合という緻密性結合組織によって分けられる。新生児は産道を通過するときや成長のため、これらの部位は繊維状で移動可能になっている。

縫合の交点にある比較的広い結合組織の部分は泉門とよばれる。成長および骨化が進行するにつれ、泉門の結合組織に骨が入り込み、置き換わる。後部の泉門(小泉門)は、通常8週までに閉じる。しかし、前部の泉門(大泉門)は18か月まで残っていることがある。前部の泉門は、前頭骨と頭頂骨の交点に位置し、赤ん坊の額にある「ひよめき」と呼ばれるものである。注意深く観察すれば、前部の泉門を通して赤ん坊が柔らかに脈打つのを観察することにより、赤ん坊の心拍数を数えることができることがわかるだろう。

病理

脳が外力をうけたり損傷した場合、重症になることがある。通常は、頭蓋骨はその硬い性質により損傷から脳を保護するが[1]、髄膜血管の出血や、脳自体の損傷によって、頭蓋内圧が高くなることがありえる。脳が膨張するための空間がないので、過大な頭蓋内圧が進行すると、大孔(大後頭孔)から延髄~脳幹部が脱出し、最終的にはヘルニアとなる(大後頭孔ヘルニア)。この段階に達すれば死は不可避であり、緊急手術により予防的な内圧低下措置が必要である。このため、脳に損傷を受けた患者は注意深く観察しなければならない。受傷直後は症状、頭蓋内圧上昇が軽微であっても、脳浮腫が時間とともに進行し、急激な転帰を見せることは珍しくない。

古来より、穿頭と呼ばれる頭蓋骨の手術が、単に人命救助の技術としての試みというだけではなく、しばしば神秘的な理由で実行されている。

頭蓋骨はさらに鼻腔穴を含んでいる。髄膜は頭蓋骨と脳を分ける薄膜である。

目や髪、肌の色といった骨に残らない特徴とともに頭蓋も系統関係を示すことは考古学者や法医学者に知られている。

ヒトの頭蓋骨を構成する骨

1:前頭骨、2:鼻骨、3:頭頂骨、4:側頭骨、5:蝶形骨、6:涙骨,7:頬骨、8:篩骨、9:上顎骨、10:下顎骨

1:前頭骨、2:頭頂骨、3:鼻骨、4:篩骨、5:涙骨、6:蝶形骨、7:後頭骨、8:側頭骨、9:頬骨、10:上顎骨、11:下顎骨

1:前頭骨、2:鼻骨、3:頭頂骨、4:側頭骨、5:蝶形骨、6:涙骨,7:頬骨、8:篩骨、9:上顎骨、10:下顎骨

1:前頭骨、2:頭頂骨、3:鼻骨、4:篩骨、5:涙骨、6:蝶形骨、7:後頭骨、8:側頭骨、9:頬骨、10:上顎骨、11:下顎骨

脳頭蓋

前頭骨

顔面頭蓋

耳小骨

ウォーム骨 (インカ骨を含む)[

通常の骨化の中心のほかに、他のものが生じることがあり、そうした過程では、縫合骨あるいはウォーム骨英語: Wormian bonesと名づけられた不規則な孤立した骨が生じる。それらは、ラムダ縫合に最も頻繁に生じる。泉門、特に後部泉門で時々見られが、ここに生じた大きなサイズの骨をインカ骨と呼ぶこともある。別の部位に生じるこの種の骨、プテリオン小骨は、頭頂骨の蝶形の隅と蝶形骨の大翼の間にできることがあって、多かれ少なかれ頭蓋骨の両横に左右対称に位置するがサイズが異なる傾向を持っている。それらの数は、一般に2または3個までに限られるが、成人の水頭症患者の頭蓋骨で100個以上が見つかったことがある。

頭蓋骨のその他の特徴

頭蓋骨の孔[

以下は頭蓋骨に開いている孔と、その孔を通っているものの一覧である。 腹側から背側の順で並んでいる。

顕著な縫合線[編集]

ほとんどの縫合線は、そこで接合する骨によって呼称する。 しかし、いくつかのものは特別の名前を持っている。

  • 矢状縫合(しじょうほうごう Sagittal suture) - 正中線に沿った頭頂骨の間。
  • 冠状縫合(Coronal suture) - 前頭骨と頭頂骨の間。
  • ラムダ形縫合(Lambdoidal suture) - 頭頂骨と後頭骨の間。その形が漢字の「人」に似ているので、「人字(じんじ)縫合」とも言った。
  • 鱗状縫合(Squamosal suture) - 頭頂骨と側頭骨の間。
  • 前頭縫合(Metopic suture) - 前頭骨の左右中間部にある縫合(注:通常は6歳頃に消失。残存する場合にこう呼ぶ)。

脊椎動物の頭蓋骨

代謝的機能

分類

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形状による骨の分類

骨は骨膜、骨質、および骨髄からなる。骨の大きさや形状は多種多様であり、縦に長い形状の「長骨」、立方体の形状の「短骨」、平たい形状の「扁平骨」、上記以外の特殊な形状を持つ「不整骨」に大別できる。

骨の生理

正常な骨は常に新陳代謝を行い、破骨細胞骨芽細胞の働きによって活発に吸収と再構築が行われ、一定の量が保たれている。骨折が治癒するのも骨の再生によるものである。骨の再生産、カルシウムの保持または放出は、副甲状腺ホルモン (PTH) 等によって制御される。

骨には神経がないため、骨が折れても痛くない。なぜ痛いかというと、骨折を起こすと骨の表面にある神経が集中している骨膜が破壊され、ほとんどの場合で強い自発痛や圧痛を生じるためである。骨折で手術をした際に、金属のプレートやワイヤー、ピン、ボルト等の固定具を骨に食い込ませて骨を固定し接合するが、もし骨に神経があったら激痛である。

組織学

骨格形成と糖鎖の代謝

骨格形成には糖鎖の代謝が重要な役割を担っていることを理化学研究所が解明し、2007年に新遺伝子 SLC35D1 を特定した。これにより、ヒトの致死性の骨系統疾患、蝸牛様骨盤異形成症の解明に繋がることが期待されている[1]

骨の発生と成長

脚注^ 骨格形成、軟骨代謝に必須の新規遺伝子SLC35D1を発見. 独立行政法人 理化学研究所. 2008213日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2008220日閲覧。