生薬名

オンジ

生薬英名

Polygala Root

生薬ラテン名

POLYGALAE RADIX

生薬和名

遠志

基原植物

Polygala tenuifolia Willdenow (イトヒメハギ)

部位

局方収載

食薬区分

専ら医薬品

生薬成分

サポニン:onjisaponinAG

成分(化合物)

性状

本品は屈曲した細長い円柱形又は円筒形を呈し,主根は長さ1020cm,径0.21cmで,ときには1~数個の側根が付いている.外面は淡灰褐色で,粗い縦じわがあり,また,ところどころに深い横じわがあって多少割れ込んでいる.折りやすく,折面は繊維性ではない.横切面は辺縁が不規則に起伏し,皮部は比較的厚く,ところどころに大きな裂け目があり,木部は通例,円形~楕円形,淡褐色で,しばしばくさび形に裂けている. 本品は弱いにおいがあり,味はわずかにえぐい.

用途

強壮、鎮静.去痰薬. 薬能として精神安定作用があり、健忘治療症などに用いられる.

調製法

エキス収率

文献情報

処方

加味温胆湯,加味帰脾湯,帰脾湯,人参養栄湯

モデル試料  9

遺伝子情報  

日本薬局方情報

定量法

確認試験法

確認試験法(TLC)

乾燥減量

灰分

酸不溶性灰分

エキス含量

精油含量

純度試験

その他

NMR情報  

漢方処方情報

加味帰脾湯 , 人参養栄湯

生物活性情報

Amyloid beta cell death

植物名

イトヒメハギ

ラテン名

Polygala tenuifolia Willdenow

科名

Polygalaceae

和科名

ヒメハギ科

一般名

オンジ

一般英名

Polygala Root

品種等

分類

画像

形態的特徴

生態的特徴

生育特性 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

写真ライブラリー

写真ライブラリー

文献情報 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

生薬名

オンジ

組織培養物及び効率的増殖法

Polygala_tenuifolia-Ref-1

植物体栽培及び植物の効率的生産法

さく葉標本情報

トランスクリプトーム・ゲノミクス情報

稀少植物情報

保有資源情報

導入年

保有研究部

導入番号

1983

筑波研究部

1829-83TS

物名

イトヒメハギ

ラテン名

Polygala tenuifolia Willdenow

文献コード

Polygala_tenuifolia-Ref-1

出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)

尾嵜誠・岡本誉充・奈良女昭・神田博史・藤野廣春・鈴木正一・吉崎正雄・佐竹元吉 植物組織培養12: 97-98 (1995)

要約(和訳)

イトヒメハギ(Polygala tenuifolia Willd.), 中国東北部, 華北東部地帯に自生するヒメハギ科の多年生草本で, その根は生薬「遠志」として利用されている. 薬効としては, 去疾, 強壮作用が認められている他, 神農本草経上品には, 「智恵を益し, 耳目を聡明にし, 物を忘れず, 志を強くし, 力を倍す」と記されており, 最近,その成分に関する研究が盛んに行われている.組織培養に関しては, 同類生薬である「セネガ」(ヒロバセネガ)で下胚軸由来カルスからの個体再生が報告されているが, イトヒメハギでは今までのところ, 栽培研究は行われているものの, 培養についての報告はなされていない. そこで今回, イトヒメハギの大量増殖を可能とする栄養繁殖法の確立を目的として, 実生の葉切片由来カルスの組織培養系を検討し, 個体再生に適した培養条件が明らかとなったので, 以下にそれらの結果を報告する.

目的

イトヒメハギの大量増殖を可能とする 栄養繁殖法の確立

材料(品種,系統,産地,由来)

富山医科薬科大学薬学部付属薬用植物園にて保存している株より採取した種子

外植片

種子

初期培養

富山医科薬科大学薬学部付属薬用植物園にて保存している株より前年採種した種子を, 5℃, 2ヵ月間暗所で低温処理した後, 70%エチルアルコールで1分間, ついで有効塩素5%の次亜塩素酸ナトリウムで10分間,さらに70%エチルアルコールで1分間浸漬して滅菌した.この種子を滅菌水で3回すすいだ後, 植物ホルモン無添加のMurashige and Skoog培地(pH 5.7, gerlite0.2%, 以下MS培地)に置床し, 25℃, 2500 lux(16 h light per day)下で実生を育成した.置床45日目ごろに発芽が見られた.

シュート増殖

置床約1ヵ月後, 23cmに伸長した実生の葉を採取し, メスで5mm平方に切断して葉切片を作成した.不定芽の形成: 葉切片の培養は, 0, 0.02, 0.10, 0.20および0.50mg/lNAA(α-naphthaleneacetic acid)0, 0.02, 0.20, 0.50および0.75mg/lBA(6-benzylaminopurine)とを組み合わせ添加したMS培地を用い, 温度25℃の暗黒下で行った.また合わせて, sucrose濃度を1%としたMS改変培地についても, 同様 の検討をすすめた. 多芽体の形成: 葉切片由来カルスより誘導された不定芽を, 多芽体の形成を目的として, MS培地の塩濃度の1, 1/2倍と, sucrose濃度の1, 1/2, 1/3倍とを組み合わせたMS修正培地それぞれに対し, BA, GA3(gibberellin A3), それぞれ0.02, 0.20, 2.0mg/l添加した培地に移植した.培養条件は,25℃2500 lux(16h light per day)下で行い, 5週間おきに同一組成の培地に継代することにした. 不定芽の形成: いずれの実験区でも葉切片置床1015日後にカルスが誘導され, その成長は1.52/5週間と, 差はあまり見られなかった. さらに約1ヵ月後には, NAA0.20および0.50 mg/l, BA 0.20, 0.50,および0.75mg/1を組み合わせて添加した実験区で, カルス組織より不定芽が形成された.これらの実験区では 不定芽の形成に際して, sucrose 1%添加区で57 cmの伸長が見られたのに対して, 3%添加区ではその伸長 が不十分(0.5cm)であった. また, 0.50mg/lNAA0.75mg/1BAを添加したMS改変培地(sucrose1%)では, 単一のカルス塊(直径22.5cm)から24本と, 最も多くの不定芽が得られた. 多芽体の形成: 移植後5週間目には,GA3 0.02, 0.20 mg/l添加MS修正培地(塩濃度11/2, sucrose 1%)において, 多芽体の形成が認められた. これらの 実験区では, いずれにおいても不定芽の形成数は, 一本の不定芽から15/5週間でほぼ同数であったが, 塩濃度が1/2の場合, 塩濃度が1の場合に比べて不定芽の伸長は抑えられた. その他の実験区では, BA 0.02mg/l添加区で, 不定芽の伸長が認められた以外は枯死した.

発根

不定芽からの根の形成: 形成された不定芽は, MS培地の塩濃度の1, 1/2倍と, sucrose濃度の1, 1/2, 1/3倍とを組み合わせたMS修正培地それぞれに対し, 植 物ホルモンを無添加とした培地, あるいはNAA, IAA(β-indoleacetic acid), IBA(β-indolebutyric acid)GA3, それぞれ0.02, 0.20, 2.0mg/l添加した培地に移植して, 根の形成についての検討を行った.培養条件は,25℃2500 lux (16h light per day)下で行い, 5週間おきに同一組成の培地に継代することにした. 不定芽からの根の形成: 発根検討培地に移植後4週間目に, 0.02, 0.20, 2.Omg/lNAA, IAAを添加したMS修正培地(塩濃度1/2, sucrose 1%)において, 不定根の形成が認められた. しかし, このうちNAA 0.020.202.0 mg/lおよびIAA 2.0mg/l添加区では, 根の 形成とともに不定芽は枯死した.根形成率は, IAA 0.02mg/l添加区で40.0%, 0.20mg/1添加区で 60.6%であり, このうちIAA 0.20mg/l添加区では,1本の不定芽あたりの発根数(67), 茎葉の成長とも最も良好であった. なお他の実験区では, いずれにおいても不定根の形成は認められなかった.

馴化条件

鉢上げ・定植

栽培条件

再生植物体の形質

分析した成分

成分の抽出法

分析法

備考

生薬名

オンジ

試験名称

確認試験法

分析条件

() 本品の粉末0.5gに水10mLを加え,激しく振り混ぜるとき,持続性の微細な泡を生じる.
(
) 本品の粉末0.5gに無水酢酸2mLを加えてよく振り混ぜ,2分間放置した後,ろ過し,ろ液に硫酸1mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈し,上層は淡青緑色~褐色を呈する.

備考

薬名

オンジ

試験名称

灰分

分析条件

灰分〈5.01〉 6.0%以下.

備考

生薬名

オンジ

試験名称

純度試験

分析条件

() 茎 本品は,異物〈5.01〉に従い試験を行うとき,茎10.0%以上を含まない.
(
) 重金属〈1.07〉 本品の粉末3.0gをとり,第3法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液3.0mLを加える(10ppm以下)
(
) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下)
(
) 異物〈5.01〉 本品は茎以外の異物1.0%以上を含まない.
(
) 総BHCの量及び総DDTの量〈5.01〉 各々0.2ppm以下.

備考

試験名

Amyloid beta cell death

研究領域

脳・神経系

試験レベル

Cell-based

プロトコール

ddYマウス胎生14日齢胎児脳より大脳皮質を摘出し分散培養した。培養1日後、10uM Amyloid-beta(25-35)と試験エキスを同時投与し、48時間後の生細胞数をCellTiter-Glo 試薬 (Promega #G7571)にて測定した。

結果タイプ

コントロール細胞の生存を100%Amyloid beta(25-35)処置による細胞生存を0%とし,試験薬物による変化を%で示し細胞死阻害活性とした。(正数値が大きいほど細胞死阻害活性が高い)

PubMed ID

備考

活性試験結果情報

% inhibition

 

測定データ種別

% inhibition

 

動物種

マウス

 

濃度単位

mg/ml

 

備考

 

活性試験結果

 

No.

モデル試料

生薬

濃度

試験結果

判定

活性情報ファイル

備考

1

NIB-0260

オンジ

0.01

-204.427382477529

2

NIB-0436

オンジ

0.01

-263.399718899982

3

NIB-0488

オンジ

0.01

-254.151613443167

4

NIB-0489

オンジ

0.01

-184.009704305482

5

NIB-0490

オンジ

0.01

-32.2054124226972

6

NIB-0491

オンジ

0.01

-58.3549912206666

7

NIB-0492

オンジ

0.01

-33.0810194034026

8

NIB-0493

オンジ

0.01

-54.3102518775372

9

NIB-0742

オンジ

0.01

-55.6942758147812