心肺同時移植

シンハイドウジイショク

【英】heartlung transplantation

 

心疾患のため肺高血圧症*(アイゼンメンゲル症候群*Eisenmenger syndromeなど),原発性肺高血圧症,慢性閉塞性疾患の末期の治療法として考えられる.1968年,Cooleyによって最初の心肺同時移植臨床例が2ヵ月の乳児に試みられた.以来,アメリカを中心に次第に普及している.心肺同時移植では肺保存の困難さもあって心移植のごとくdonor臓器の遠隔地調達が不可能である.そのため適応症例数に制限が生じる.また移植臓器の大きさも心移植よりも厳密に一致しなくてはならない.術式ではrecipientの両側横隔神経をflapとして保存し,迷走神経,反回神経に損傷を加えないことが重要で,donor側は気管,右心房,大動脈で切断し心肺を一塊として摘出し,移植操作は同部位を縫着する方法が用いられている.移植後には肺水腫がみられるが,拒絶反応ではないとされている.拒絶(否)反応*の診断には心移植で用いる経静脈的心筋生検法が使用され,治療も心移植のそれに準じる.適応症例を選んで臨床例が増加しつつある.