精神遅滞

セイシンチタイ

【英】mental retardation

【独】Oligophrenie

【仏】arrie´ration mentale

【ラ】oligophrenia

同義語:精神薄弱Schwachsinn

 

一般的な知的機能が明らかに平均よりも低く,同時に適応行動の障害を伴う状態で,それが発達期に現れるものを精神遅滞という.知的機能は知能指数IQとして測定され,IQにより程度別の分類がなされている.すなわち,IQ5055~おおむね70を軽度(軽愚moron,魯鈍debility, Debilita¨t),IQ35405055が中等度(痴愚imbecility),IQ20253540を重度(白痴 idiot),IQ2025以下を最重度としている.アメリカの精神薄弱学会では精神遅滞の診断に当たっては慎重であるべきだとして,次の注意を与えている.すなわち, 1)知的機能の発達の程度にのみとらわれず,適応行動上の障害を十分に勘案すること, 2)医学的,心理学的,社会学的な臨床所見のすべてを基礎にすること, 3)テストによる指数は,あくまでも判定のための一資料として,これを絶対視しないこと,などである.精神遅滞には原因疾患が明らかな場合があったり,合併症を有する場合があり,これらの場合は,それぞれの対策が必要である.例えば原因疾患が先天異常であれば遺伝相談が必要であろうし,先天性代謝異常であればその治療法が必要になることがある.また,てんかん*を合併していれば,抗てんかん薬*による治療が必要である.→知能検査法