バージャー病

バージャービョウ

【英】Buerger's disease

【独】Bu¨rgerKrankheit

【仏】maladie de Leo Buerger

【ラ】thromboangiitis obliterans

同義語:閉塞性血栓血管炎thromboangiitis obliteransTAO

 

Bu¨rgerにより最初に報告(1908)されたもので,四肢小動脈に慢性の多発性分節性閉塞をきたし,四肢末梢部に難治性の阻血性変化を起こす.〔病態〕 原因は不明であるが,東洋人の若年男子に好発する.欧米人にもみられるが少ない.内膜炎を主病変とする動脈全層炎で,罹患動脈は血栓性閉塞を起こし周囲組織と強く癒着する.動脈に伴走する深部静脈ならびに皮下静脈にも同様の血栓性静脈炎を起こすことが多い.皮下静脈の血栓性静脈炎を遊走性静脈炎*と呼ぶ.病変の進行は,二次血栓の連続性進展による場合と,血管炎の飛び石状進展(スキップ)による場合とがある.中枢側の動脈が罹患することはほとんどないが,ときに腸骨動脈,臓器動脈,冠動脈に閉塞性病変を形成することがある.〔症状〕 初発症状としては,指趾の冷感,しびれ,蒼白がみられ間欠性跛(は)行*(腓腹筋,足底筋)を訴える.次第にチアノーゼ,阻血性発赤,光輝皮膚,筋萎縮(腓腹筋,足底・手掌筋群),脱毛がみられるようになり,さらに進行すると阻血性潰瘍を形成し壊死に陥る.阻血性潰瘍は感染を起こしやすく安静時疼痛が強い.〔治療〕 喫煙をやめ患肢を清潔に保つ.軽症では,血小板凝集阻止薬,抗凝固薬,血管拡張薬などの薬物療法を長期間続ける.重症例では,血管造影所見から適応を厳選して,血行再建術,交感神経切除術*などを試みるが長期効果は期待できない.安静時疼痛が強く治療効果が得られない場合は患肢切断術を行う(Leo Bu¨rgerはニューヨークの医師,18791943).