ミトコンドリア
ミトコンドリア
【英】mitochondria
【独】Mitochondrien
【仏】mitochondrie
【ラ】mitochondrion
同義語:糸粒体
細胞質内に存在する球形ないし棒状形の小体であり,旺盛に酸素を消費しながらATPを合成する役をになうために「細胞の呼吸装置」とも称される.糸粒体は自身の限界膜である外糸粒体膜,これに10~20nmの細隙をへだてて対向する内糸粒体膜(この膜内に電子伝達系と酸化的リン酸化系の諸酵素が組み込まれる),および糸粒体基質(クエン酸回路*の酵素群がここに存在)からなる.内糸粒体膜の一部分が基質に向かいヒダ状または盲端管状に伸び出したものがクリスタcristaである.基質内に直径30~50nmの顆粒が少数存在するが,これはCa2+,Mg2+などを含有し基質のイオン組成調節にあずかるとされる.糸粒体はDNA*と各種RNA*をそなえ,自己増殖能とタンパク合成能を示すことから,一つの生物体とみなすことができる.糸粒体は大きさや形の上でも細菌に似ており,細胞質内に寄生したある種の細菌がそのまま細胞内小器官として定着したものにほかならないとの見方がある.