亜急性皮膚エリテマトーデス
アキュウセイヒフエリテマトーデス
【英】subacute
cutaneous lupus erythematosus(SCLE)
同義語:自己免疫性環状紅斑autoimmune annular erythema
皮膚症状からみたエリテマトーデス*(LE)
エリテマトーデス エリテマトーデス 【英】lupus erythematosus(LE) 【独】Lupus erythematodes 同義語:紅斑性狼瘡
lupus erythematosus(紅斑性狼瘡)の慣用的名称である.lupusはラテン語でオオカミ(狼)を意味し,顔面に生じた侵食性紅斑性潰瘍をさす(→狼瘡).Cazenave(1851)のlupus e´rythe´mateauxというラテン語由来のフランス語から出発し,英米系ではlupus erythematosus,ドイツ語系ではLupus erythematodesが使用されるようになり,わが国では慣用語のみは後者に由来する名称を用いるようになった.一般的には,全身諸臓器を侵す全身性エリテマトーデス*(SLE)と,皮膚に限局する〔慢性〕円板状エリテマトーデス(円板状エリテマトーデス*;DLE)
抗核抗体*,抗DNA抗体*が出現し,低補体血症hypocomplementemiaを伴いSLEに移行するものがある.しかし大部分の症例では,皮膚病変以外の臨床症状は示さない.この点SLEとは明らかに異なっている.他方SLE患者に円板状皮膚病変がみられることがある.このようなSLEは腎障害がないか,あっても軽微で生命予後は良い. |
に大別する.また,両者の中間型として亜急性皮膚エリテマトーデス*(SCLE),および特殊型として深在性エリテマトーデス*などが分類される.いずれも自己免疫機序が発症の基盤に考えられているが,不明の点も多い.現在,上記分類は種々の立場から名づけられた診断名が同列に扱われているという大きな矛盾があるため,統一的に診断名と皮疹名を考える提案がなされている.
の一型として,Sontheimerら(1979)によって提唱された概念である.慢性固定型の〔慢性〕円板状エリテマトーデス(円板状エリテマトーデス*discoid lupus erythematosus;DLE)の皮疹と急性型の全身性エリテマトーデス*systemic lupus erythematosus(SLE)
狼瘡 ロウソウ 【英】lupus 【ラ】lupus
lupusはラテン語でオオカミ(狼)を意味し,狼に食いちぎられたあとに生じたような顔面の侵食性紅斑性潰瘍をさす.元来,狼瘡という病名は,皮膚の真正(性)結核である尋常性狼瘡瘍*lupus vulgarisに対して用いられていた.19世紀に瘢痕を残しやすいエリテマトーデス*の皮疹型である〔慢性〕円板状エリテマトーデス(DLE)に対して,当時病因として結核との関連が考えられたこともあり,いくつかの名称の変遷を経て,紅斑性狼瘡lupus erythematosusの病名が用いられるようになった.その後,紅斑性狼瘡の中に,全身性の病型(全身性エリテマトーデス*(SLE))
と,皮膚限局性の病型があることが認識されるようになった.現在では,単に狼瘡lupusといった場合,紅斑性狼瘡を意味する場合が多くなっている. |
の滲出性紅斑の中間に位置する皮疹型で,環状連圏状型と丘疹落屑型の2型がある.この皮疹型を有するLE患者は,関節痛,発熱などの軽度の全身症状を伴うが,重篤な腎症状,中枢神経症状はまれとされ,また抗SS‐A(Ro)抗体,抗SS‐B(La)抗体の出現頻度が高く,HLA‐B8,HLA‐DR3との相関が報告されていることから,単に皮疹型としてではなく,LEの中の一疾患単位として理解されている場合が多い.しかし,SCLEの半数がARA(アメリカリウマチ学会)のSLE診断基準案を満たし重症例も決してまれではないこと,また他の皮疹型の併存がかなり認められることから,単にLEの一皮疹名として理解するほうがよいとの意見もある.人種差の問題もあり,わが国で多く報告されているシェーグレン症候群*に伴う環状紅斑*annular erythemaとの異同が問題になっている.