悪液質性壊疽性膿瘡
アクエキシツセイエソセイノウソウ
【英】ecthyma(gangrenosum)cachecticorum
→壊疽性膿瘡
悪液質性壊疽性膿瘡
アクエキシツセイエソセイノウソウ
【英】ecthyma(gangrenosum)cachecticorum
壊疽性膿瘡
エソセイノウソウ
【英】ecthyma gangrenosum
【独】Ekthyma gangrenosum
【仏】ecthyma gangre´neux
【ラ】ecthyma gangrenosum
同義語:壊疽性深膿痂疹
定型的なものは緑膿菌*Pseudomonas aeruginosa
緑膿菌 リョクノウキン 【ラ】Pseudomonas aeruginosa 同義語:シュードモナス・エルジノーサ
グラム陰性好気性桿菌で芽胞を形成しない.シュードモナス属の代表菌種で,大きさ0.5~0.8×1.5~3.0μm,一端に1本まれに2~3本の鞭毛をもつ.単染色でよく染まる.わずかの有機物と水分が存在すれば増殖でき,土中,水中,ヒトの皮膚,腸管内に存在する.水溶性色素であるフルオレセインfluorescein(蛍光性黄緑色)とピオシアニンpyocyanine(青緑色)を産生する.ブドウ糖を酸化的に分解して酸を産生するが発酵は行わない.緑膿菌のビルレンスは弱く,健康人に対しては感染を起こすことは比較的少ない.しかし,消毒剤や抗生物質に抵抗性が強いため,感染防御機能の低下した患者や抗生物質長期使用中の患者に対しては緑膿菌感染症Pseudomonas aeruginosa infectionを引き起こす.その場合,敗血症,骨髄,気道,尿路,皮膚,軟部組織,耳,眼などの多彩な感染症を起こす.したがって,本菌は代表的な日和見病原体として注目され,病院〔内〕感染*(院内感染)の原因菌の一つとしても重視されている.→日和見感染 →画像 |
の菌血症
菌血症 キンケツショウ 【英】bacteremia 【独】Bakteria¨mie 【仏】bacte´rie´mie
細菌が血液中より検出された場合は菌血症と呼ぶ.細菌の増殖が活発な場合を敗血症
*sepsisと呼んでいるが,その鑑別は明確ではない.顆粒球減少を誘因として腸内,口腔内などの常在菌や肺炎などの感染巣より病原菌が血中に侵入する.細菌毒素により敗血症ショックseptic shockや播種性血管内凝固症候群*(DIC)を起こす.血液培養により診断が確定するが,検出率がやや低いため最近はより感染の高い,細菌DNA bacterial DNAを増幅検出する方法も開発されてきた. |
*の皮膚病変である.抗生物質,抗腫瘍薬,副腎皮質ステロイド,留置カテーテルなどの治療歴のあることが多い.何ら前駆症状なく突然生じて,菌血症の初発病変のこともあるし,菌血症の他の症状が出た後に出現するものもある.硬結,紅斑,出血斑,水疱性病変として始まり,やがて中央に黒色壊疽性組織を付した潰瘍となる.完成した病変は辺縁に紅斑性硬結を伴い,辺縁より鋭利に切れ込んだ打ち抜き状の深い潰瘍で,中央に黒色壊疽性組織をのせている.爪甲大から手掌大に及ぶこともある.単発ないし多発する.時間が経つと壊死組織は脱落し,潰瘍表面は膿性苔におおわれる.組織学的特徴は,フィブリン血栓,血管壁の破壊,血管周囲を取りまく菌の増殖であり,それにもかかわらず炎症性細胞浸潤がほとんどないことである.病変局所から緑膿菌が容易に培養される.血液,尿,糞便の培養も必要である.強力な抗緑膿菌療法が必須であるが予後は不良である.以上の急性型(Kreibich型)のほかに,亜急性・慢性に経過する慢性型(Korting‐Adam型)と呼ばれる壊疽性膿瘡があるが,これは緑膿菌の局所的感染病巣である.悪液質性壊疽性膿瘡ecthyma(gangrenosum)cachecticorumという語は壊疽性膿瘡と同義であるが現在はほとんど使われない.