アキネジー

アキネジー

【英】akinesia

=瞬目麻酔

瞬目麻酔

シュンモクマスイ

【英】akinesia

【独】Akinesie

【仏】akine´sie

【ラ】akinesia

同義語:アキネジー

 

白内障手術*

白内障手術

ハクナイショウシュジュツ

【英】cataract operation

【独】Kataraktoperation, Staroperation

【仏】ope´ration de la cataracte

 

白内障手術には嚢内摘出術,嚢外摘出術,吸引術,超音波白内障乳化吸引術,経毛様体扁平部水晶体切除術,後発白内障切裂術などがある.嚢内摘出術intracapsular lens extractionは,水晶体嚢に包まれた水晶体全体を摘出する.液体炭素ガスで先端を冷却したクライオプローブにて,水晶体を接着して摘出する.したがって,冷凍摘出術cryoextraction of the lensともいわれている.他の方法に比較し,硝子体脱出の可能性がやや高い.嚢外摘出術extracapsular lens extractionは,近年人工水晶体(眼内レンズ*)移植が行われるようになって新しい器械の開発,導入と共に盛んに行われるようになっている.水晶体吸引術lens aspirationは水晶体の前嚢を切開した後,核を娩出し,潅流,吸引装置を用いて残留皮質をきれいに取り去る.後嚢が混濁している例では後嚢を研磨して混濁をとる.後嚢が残っているので,ときに後発白内障aftercataractが起こることがある.後発白内障に対してヤグ(YAG)レーザー*を用いて切開が行われるようになっている.水晶体吸引術は先天白内障*を主とする乳幼児に対して行われる.乳幼児では堅い水晶体核が形成されていないため,核の娩出は必要でなくAIDaspirationirrigation device)を用いて皮質,核などを吸引することができる.経毛様体扁平部水晶体切除術は,軟らかい核の白内障,若年者の水晶体脱臼,外傷性白内障,散瞳が不十分な先天白内障などが適応である.嚢内,嚢外摘出術は主に老人性白内障*を対象とすることが多いため,手術には十分な全身検査と術中術後における全身管理が必要である.→超音波白内障乳化吸引法

や緑内障手術など眼内手術を局所麻酔下で安全に行うための,眼輪筋麻酔法.眼瞼の反射的瞬目運動や閉瞼運動による眼内圧上昇を防止するため,眼輪筋の支配神経である顔面神経を麻痺させる伝達麻酔である.van Lint, Villardの提唱によるもので,長針を用いて眼窩外側縁を通る垂線と,眼窩下縁を通る水平線が交わる点で刺入し,深部をまず眉毛の外縁に達してから針を引き抜きつつ約 1mLの麻酔液を注入する.さらに針先を転じて眼窩下縁に沿い鼻に近いところまで進ませてから前同様引き抜きつつ約 1mLの薬液を注入する.オブライエン法O'Brien methodは顔面神経の根幹にて麻酔する方法で,外耳道前方2cm,上方1cmの点より直角に深部に刺入して薬液を注入する.このほかアトキンソン法Atkinson methodその他の方法も行われている.使用薬剤には2%プロカイン,2%リドカインなどが多い.開瞼時の疼痛を和らげるため,前記眼内手術のほか,網膜剥離*

網膜剥離

モウマクハクリ

【英】retinal detachment

【独】Netzhautablo¨sung

【仏】de´collement de la re´tine

【ラ】amotio retinae

 

網膜*の神経上皮層が色素上皮層から分離した病態をいう.裂孔原性網膜剥離rhegmatogenous retinal detachmentと非裂孔原性網膜剥離nonrhegmatogenous r. d.に区別される.後者には硝子体の牽引による牽引性網膜剥離tractional r. d.と滲出性網膜剥離exudative r. d.とがある.裂孔原性網膜剥離は,網膜の赤道部あるいは周辺部に発生する網膜裂孔retinal tearあるいは,網膜円孔retinal hoteが原因となる.裂孔形成時に発生する飛蚊症*などが,剥離により発生する視野欠損に先行する.牽引性網膜剥離は,増殖糖尿病網膜症proliferative diabetic retinopathyをはじめ各種の増殖網膜症proliferative retinopathyに続発し,滲出性網膜剥離は脈絡膜の炎症,色素上皮の関門機能の失調が原因となる.

→画像1

 →画像2

などの手術の際にも行われることが多い.

飛蚊症

ヒブンショウ

【英】myodesopsia, muscae volitantes, floater before the eye

【独】Mu¨ckensehen, fliegende Mu¨cken

【仏】mouches volantes, myode´sposie

【ラ】muscae volitantes, myodesopsia

 

硝子体混濁*vitreous opacitiesのある眼に現れる自覚症状である.飛蚊状,数珠状,浮き輪状,紐状などに見えて,眼球運動に伴って移動するが,安定した運動ではなく浮動あるいは揺れ動くように感じられる.胎生期の遺残であるグリア組織,眼内の炎症や出血などによる細胞成分,硝子体の液化や,後部硝子体剥離による硝子体混濁などが網膜に影を映すために発生する内視現象entoptic phenomenonである.

硝子体混濁

ショウシタイコンダク

【英】vitreous opacities

【独】Glasko¨rpertru¨bung

【仏】opacite´s vitre´ennes

【ラ】opacitas corporis vitreiOCV

 

飛蚊症*を訴え,徹照法で眼内に陰影を認める.混濁が高度となれば視力障害を呈する.後部硝子体剥離*posterior vitreous detachmentを伴う場合が多く,この際の混濁物は視神経乳頭上から輪状に剥離してきたグリア膜あるいは圧縮された硝子体皮質線維である.ぶどう膜炎*など眼内炎の際には硝子体中に炎症細胞の浸潤がみられ,網膜剥離*では網膜裂孔を通って網膜色素上皮細胞の硝子体中への移入がみられる.硝子体出血も少量の場合は飛蚊症を呈するが,多量となれば高度の視力障害を呈する.治療法はその原因により異なる.サルコイドーシスの際などぶどう膜炎の結果生じたものでは,一般にステロイドの投与が有効な場合が多いが,ベーチェット病ではステロイドの全身投与は禁忌である.硝子体出血では自然寛解する場合が多いが,線溶活性剤の投与も試みられる.遷延例は硝子体切除術の適応となる.後部硝子体剥離に対する治療は不要であるが,網膜裂孔を形成しやすいので,症状が現れた場合には眼底検査*をすることが必要である.