医師国家試験

医師国家試験(いしこっかしけん)とは、国家資格の一つである医師免許を取得するための国家試験

目次

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概要

毎年2中旬ごろに施行され、その規定は医師法916条に定められている。 所管は厚生労働省医政局

医学部入試の競争率が高い一方で、医師国家試験の合格率は殆どの大学医学部で90パーセント前後と、司法試験など他の国家資格のそれよりも高くなっている。これは医師国家試験は「医学の正規の課程を修めて卒業すること」が受験の前提条件とされているためである。つまり、医学部入試に合格した後、最終学年(第6学年)にまで進級し、さらに卒業試験に合格して医学部を卒業するまでの一連の課程が必須となっており、結果的に医師国家試験にほぼ合格できる知識を備えていると見なされた者だけが受験できる。そのため、必ずしも試験自体が容易であるということにはならない。

なお、医師国家試験合格率は大学の評価に関係することがあるため、近年ではカリキュラムの一部に医師国家試験予備校の授業や模擬試験を採用するなどの対策を講じている医学部も少なくない。

沿革

109F25 44歳の男性.航空会社の職員に付き添われて空港内の診療所を受診した。持参した英文紹介状の一部を示す。 This patient is a 44-year-old man with a complaint of right flank pain*. The pain suddenly occurred while he was on the airplane. It was colicky and radiated to the right inguinal region. Neither nausea nor diarrhea was associated. He had appendectomy when he was 8 years old. Urinalysis resultsProtein(-),Sugar(-),Occult blood2+),flank painlateral abdominal pain

この患者にみられる可能性の高い身体診察所見はどれか

a 腸雑音亢進 b 陰嚢の透光性 c 腹部血管雑音 d Blumberg徴候 e 肋骨脊柱角の叩打痛  答え e

また2001-2005年までの問題、解答は非公表であったが、20051111日に厚生労働省Web上にて公表となった。

受験資格

医師法1112条の規定に基づく。

なお、医師法に直接記載されていないが、試験実施年の3月中までに大学の医学正規課程を卒業する見込の者も、厚生労働省の告示に基づき受験資格を得る[3]

試験内容

出題基準[編集]

厚生労働省より公示される試験内容は以下の通りのみ。

試験内容は上記の通りのみで、司法試験のように出題科目が限定されているのではなく、USMLEのような段階的でもなく、基礎医学臨床医学社会医学などすべての医学関連科目が出題範囲である。また、科目ごとの試験ではなく、すべての科目を取り混ぜた総合問題形式である。

それぞれの専門分野から選出された「医師国家試験委員」によって考案され出題される。4年に1度「医師国家試験出題基準」が出され、概ねそこに列挙された項目・疾患・症候等を基本として出題される。

試験構成

各回が下記の内容で構成された計500問の選択肢問題で、AIブロックに分けて3日間の日程で実施される。

問題冊子は全ブロックで問題文と別冊に分けられており、別冊には問題文が参照する検査画像や写真、図などが含まれる。また、マークシートは記入欄が縦並びと横並びのパターンが存在する。得点は一般問題を1点、臨床実地問題を3点として計算され、不適切問題の削除等の得点調整を経て、後述の合格基準をすべて満たした場合に合格となる。なお、各回の問題及びその正答例については、合格発表後の毎年4月頃に厚生労働省ホームページに掲載される。

合格の基準と合格率

合格基準

以下をすべて満たした者を合格とする(一般問題・臨床実地問題の基準については合格発表時に掲示される)。

必修問題で採点除外などの調整がなされた場合は、採点対象の問題について8割以上の得点で合格となる(2006年からは、採点対象外となった問題が不正解だった場合のみ当該問題を採点から除外すると変更されたため、受験者により必修問題の満点は異なる)。また、禁忌肢の選択数は3問以下などに変更されることがある。

合格率

医師国家試験の合格率をみてみると、第1100回までの平均では84.2%であったが[4]、近年は80%台後半を推移している。

医師国家試験合格者推移(単年毎の合算)

当該年

受験者数

合格者数

合格率

2/3

1947(昭和22

1,897

1,515

79.9%

4/5

1948(昭和23

2,947

1,768

60.0%

6/7

1949(昭和24

6,282

4,677

74.5%

8/9

1950(昭和25

7,906

7,097

89.8%

10/11

1951(昭和26

7,809

7,425

95.1%

12/13

1952(昭和27

5,765

5,248

91.0%

14/15

1953(昭和28

3,824

3,252

85.0%

16/17

1954(昭和29

3,513

3,112

88.6%

18/19

1955(昭和30

4,167

3,481

83.5%

20/21

1956(昭和31

3,987

3,459

86.8%

22/23

1957(昭和32

3,369

2,932

87.0%

24/25

1958(昭和33

3,621

3,043

84.0%

26/27

1959(昭和34

3,543

3,260

92.0%

28/29

1960(昭和35

3,352

3,218

96.0%

30/31

1961(昭和36

3,526

3,231

91.6%

32/33

1962(昭和37

3,359

3,108

92.5%

34/35

1963(昭和38

3,268

3,102

94.9%

36/37

1964(昭和39

3,210

3,127

97.4%

38/39

1965(昭和40

3,140

3,034

96.6%

40/41

1966(昭和41

3,175

3,078

96.9%

42/43

1967(昭和42

3,109

3,048

98.0%

44/45/46

1968(昭和43

6,686

6,544

97.9%

47/48

1969(昭和44

3,568

3,347

93.8%

49/50

1970(昭和45

3,875

3,741

96.5%

51/52

1971(昭和46

3,909

3,723

95.2%

53/54

1972(昭和47

4,441

3,963

89.2%

55/56

1973(昭和48

5,002

4,146

82.9%

57/58

1974(昭和49

5,418

4,076

75.2%

59/60

1975(昭和50

5,553

4,295

77.3%

61/62

1976(昭和51

6,174

4,643

75.2%

63/64

1977(昭和52

6,756

4,937

73.1%

65/66

1978(昭和53

7,593

5,562

73.3%

67/68

1979(昭和54

8,846

6,003

67.9%

69/70

1980(昭和55

9,905

7,087

71.5%

71/72

1981(昭和56

10,648

7,253

68.1%

73/74

1982(昭和57

11,207

7,497

66.9%

75/76

1983(昭和58

10,361

7,914

76.4%

77/78

1984(昭和59

10,822

8,449

78.1%

79

1985(昭和60

8,808

7,542

85.6%

80

1986(昭和61

9,507

7,951

83.6%

81

1987(昭和62

9,940

8,573

86.2%

82

1988(昭和63

9,672

7,854

81.2%

83

1989(平成元)

10,037

8,829

88.0%

84

1990(平成2

9,448

7,862

82.9%

85

1991(平成3

9,812

8,256

84.1%

86

1992(平成4

9,515

7,988

84.0%

87

1993(平成5

9,664

8,698

90.0%

88

1994(平成6

9,255

7,982

86.2%

89

1995(平成7

9,218

7,930

86.0%

90

1996(平成8

9,057

8,088

89.3%

91

1997(平成9

8,898

7,843

88.1%

92

1998(平成10

8,716

7,806

89.6%

93

1999(平成11

8,692

7,309

84.1%

94

2000(平成12

8,934

7,065

79.1%

95

2001(平成13

9,266

8,374

90.4%

96

2002(平成14

8,719

7,881

90.4%

97

2003(平成15

8,551

7,721

90.3%

98

2004(平成16

8,439

7,457

88.4%

99

2005(平成17

8,495

7,568

89.1%

100

2006(平成18

8,602

7,742

90.0%

101

2007(平成19

8,573

7,535

87.9%

102

2008(平成20

8,535

7,733

90.6%

103

2009(平成21

8,428

7,668

91.0%

104

2010(平成22

8,447

7,538

89.2%

105

2011(平成23

8,611

7,686

89.3%

106

2012(平成24

8,521

7,688

90.2%

107

2013(平成25

8,569

7,696

89.8%

108

2014(平成26

8,632

7,820

90.6%

109

2015(平成27

9,057

8,258

91.2%

110

2016(平成28

9,434

8,630

91.5%

試験地

北海道宮城県東京都新潟県愛知県石川県大阪府広島県香川県福岡県熊本県沖縄県12都道府県で行われる。東京都には例年全受験者の3割以上の人数が集中するため、受験会場が2箇所設けられることが多い。

関連項目

脚注

1.     ^ 医師国家試験改善検討部会報告書 (PDF)

2.     ^ a b 厚生労働省公式サイト - 平成25年版医師国家試験出題基準について

3.     ^ 医師国家試験の施行について|厚生労働省厚生労働省公式サイト。20111128日参照。

4.     ^ 第100回医師国家試験の合格発表について (PDF) (独立行政法人福祉医療機構)

外部リンク

[隠す]

厚生労働省所管の資格試験

医政局

医師国家試験(予備試験) - 歯科医師国家試験(予備試験) - 保健師国家試験 - 助産師国家試験 - 看護師国家試験 - 診療放射線技師試験 - 臨床検査技師国家試験 - 理学療法士国家試験 - 作業療法士国家試験 - 視能訓練士国家試験 - 臨床工学技士国家試験 - 義肢装具士国家試験 - 歯科衛生士国家試験 - 歯科技工士国家試験 - 救急救命士国家試験 - あん摩マッサージ指圧師試験 - はり師試験 - きゅう師試験 - 柔道整復師国家試験 - 言語聴覚士国家試験

健康局

管理栄養士国家試験 - 建築物環境衛生管理技術者試験 - 理容師国家試験 - 美容師国家試験 - 給水装置工事主任技術者試験 - 清掃作業監督者 - 空気環境測定実施者 - 空調給排水管理監督者 - 貯水槽清掃作業監督者 - 排水管清掃作業監督者 - 防除作業監督者 - 統括管理者 - ダクト清掃作業監督者

医薬・生活衛生局

薬剤師国家試験 - 食品衛生管理者資格認定講習会 - 食鳥処理衛生管理者資格取得講習会

労働基準局

その他

社会保険労務士試験 - 作業環境測定士試験(第一種、第二種) - 労働安全コンサルタント試験 - 労働衛生コンサルタント試験 - 安全管理者選任時研修 - 安全衛生推進者 (衛生推進者) 養成講習

労働安全衛生法による免許(免許証

衛生管理者免許試験(衛生工学、第一種、第二種) - 高圧室内作業主任者免許試験 - ガス溶接作業主任者免許試験 - 林業架線作業主任者免許試験 - ボイラー技士免許試験(特級、一級、二級) - エックス線作業主任者免許試験 - ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許試験 - 発破技士免許試験 - 導火線発破技士免許試験 - 電気発破技士免許試験 - 揚貨装置運転士免許試験 - ボイラー溶接士免許試験(特別、普通) - ボイラー整備士免許試験 - クレーン・デリック運転士試験 - 移動式クレーン運転士免許試験 - 潜水士免許試験

労働安全衛生法による技能講習修了証明書

木材加工用機械作業主任者技能講習 - プレス機械作業主任者技能講習 - 乾燥設備作業主任者技能講習 - コンクリート破砕器作業主任者技能講習 - 地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習 - ずい道等の掘削等作業主任者技能講習 - ずい道等の覆工作業主任者技能講習 - 採石のための掘削作業主任者技能講習 - はい作業主任者技能講習 - 船内荷役作業主任者技能講習 - 型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習 - 足場の組立て等作業主任者技能講習 - 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習 - 鋼橋架設等作業主任者技能講習 - 木造建築物の組立て等作業主任者技能講習 - コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習 - コンクリート橋架設等作業主任者技能講習 - 第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習(化学設備関係、普通) - 鉛作業主任者技能講習 - 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習 - 酸素欠乏危険作業主任者技能講習(酸素欠乏、酸素欠乏・硫化水素) - 有機溶剤作業主任者技能講習 - クレーン運転技能講習(床上操作式、小型移動式) - ガス溶接技能講習 - フオークリフト運転技能講習 - シヨベルローダー等運転技能講習 - 車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込み用及び掘削用、基礎工事用、解体用) - 不整地運搬車運転技能講習 - 高所作業車運転技能講習 - 玉掛け技能講習 - ボイラー取扱技能講習 - 石綿作業主任者技能講習

労働安全衛生法による特別教育

一覧

労働安全衛生法による安全衛生教育

一覧

職業能力開発局

技能検定試験

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免許試験

キャリアコンサルタント

雇用均等・児童家庭局

保育士試験

社会・援護局

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年金局

社会保険労務士試験

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