3.足の陽明胃経 45穴動側Wd (ぶr)   MERIDIEN DE LESTOMAC

 

 流 注 大腸経の終点である迎香穴のところより起り、鼻茎を上って鼻茎の上端、山根(鼻根部)と呼ばれるところで左右が交る。別れて膀胱経の晴明大、目の内眼角を通り、目の直下7分の承泣穴にくる。これより鼻の外側を下り上歯の中に入る。上歯より出て唇のまわりを循って下唇の下、へ承簸宍で左右の経が交る。それより下ってオトガイの下線を循り、上行して耳前に至り、頬骨弓をくぐって髪際に行き、胆経の客主人、さらに上って側頭部米囁(こめかみ)のところに至り、髪際を中心に向って曲がり、額の上方本神と神庭に止まる。

その支脈は、オトガイから別れて喉頭を循り、欠盆に至り、正中線と乳頭線との間を下行し、胃に属会し、脾を絡うのである。その直行するものは欠盆から真直ぐに乳頭に向って下り、さらに腹部に下り気衝天にきたる。胃の下口から支脈が出て、これが腹の内部を下ってきたものと、本経の気衝にきたものとがここで合する。本轟は気衝から大腿の前外側を通り膝蓋骨の下に入り、出てから下腿の前外側を通って足射(足関節部)に下り、足の第2指爪甲板部の外側に終るのである。

 さらに支脈が2本あって、その一つは三里から出て末端にくるものと、他の一つは足背の衝陽穴から別れて第1指と第2指の間の行間穴に至り、第1指の基節から牌経の発端である隠白犬に行くものとがある。


1、承  泣(別名、面膠、硲穴)(ST1

部 位 眼裔下縁の中央で瞳孔の直下にある。

取り方 眼萬下縁を指で横にさすって見ると縦に線状のものが感じられる。強く押えると痛む。ここに穴を取る。瞳孔の直下に当る。

【筋肉】眼輪筋

【血管】眼裔下動脈。顔面静脈

【神経】三叉神経の分枝である眼寓下神経、顔面神経の頬骨枝

【主汚症】主として眼疾に取穴される。特に充血、炎症性の場合によい。

顔面神経麻痺のため下眼瞼が下垂している場合、鍼または灸を行う。灸は

糸状灸で痕がつかないくらいでも充分効果がある。まれには頭痛に対し取

穴されることもある。 


2.四   白(ST2

部 位 眼窓下縁の下1寸のところにある。

取り方 眼宮下縁の下を外衣部から触れると、内眼角の方から頬骨の下方に向って肉のようなものを指先に感ずる。この肉の上線で、瞳孔の直下、骨が少しくぽんでいるところに取る。

【筋肉】眼輪筋、上唇方形筋

【血管】眼窓下動脈、顔面静脈.

【神経】眼裔下神経、顔面神経の頬骨枝

【主拍症】眼疾や顔面神経麻痺に承泣と同様に用いられる。また、次の巨膠と同様、蓄膿症にも効き、鍼を下方に斜めに頬骨の下方に刺入すると、やや痛いがよく効く穴である。三叉神経痛にも用いることがある。 


3、巨 髎(ST-3

部 位 鼻孔の外側8分、瞳孔の直下にある。

取り方 鼻孔の外側約8分のところで、眼窟下縁の下に触れる肉の下線に当り、瞳孔の直下に取る。

【筋肉】上唇方形筋、口角挙筋

【血管】限窺下動脈、顔面静脈

【神経】眼落下神経、顔面神経の頬骨枝

【主汚症】眼疾、上歯痛、歯肉炎、蓄膿症、顔面神経麻痺、三叉神経痛等に効く。


4.地   倉 (別名、胃椎、会経)(ST4

部 位 口角の外側4分にある。

取り方 口を開いて口角の外方4分のところに取る。

【筋肉】口輪筋

【血管】上唇動脈と下唇動脈の分枝、顔面静脈

【神経】三叉神経第2枝(眼萬下神経)、顔面神経の分枝

【主拍症】高血圧や中風による言語渋滞に非常によく効く。任脈の承凍穴と併用すると一層効果的である。顔面神経麻痺で口がゆがんでいるのにもよく効くが、特に灸がよい。灸痕を残さぬ糸状灸か、熱感を感じたら取り去る知熱灸が適している。 


 5,大  迎 (別名、髄孔)(ST5

部 位 下顎角の前方約13分のところで骨の陥凹部にある。

取り方 下顎骨の下縁を正面中央から外方にさすって行くと下額角の前方約1横指半くらいのところに、骨にくぼみがあり、指が止まる。ここが大迎穴であり、唆筋の前縁である。

【筋肉】咳筋、広頸筋

【血管】顎動脈、顔面静脈

【神経】三叉神経第3枝(オトガイ神経)、顔面神経の下顎枝、頸皮下神経

【主治症】下歯痛を止める穴として有名である。下顎骨の前面のこりこりした線状のものに施灸、施鍼しても効くし、また後側に深く刺入し、置鍼しても速効のあるところである。三叉神経痛、頸部リンパ節炎にも効果がある。また唆筋痘攣で喫むことも語ることもできない場合にも、頬車と同様に取犬されるこ ̄ともある。 


6、頼 車 (別名、機関、曲牙、鬼林)(ST6

部 位 下顎角と耳垂との間、口を開けば肉がくぼむところにある。

取り方 下顎角、骨の上で唆筋の停止部に当るところを指で軽く押さえ、ロを開けぼくぼむところができる。ここに穴を取る。(巻末の大腸経,胃経の頭顔面部の図参照)

【筋肉】喫筋、広頸筋

【血管】顎動脈、顔面静脈

【神経】三叉神経第3枝の皮枝(耳介側頭神経)および運動枝、顔面神経頬枝

【主治症】大迎と同様に歯痛、歯肉痛によく効く穴で、下顎角の前面に深く刺入しても効くし、後側から深く刺入して置鍼しても顕著な効果がある。また嘆筋が痙攣した場合に用いて効果がある。 


7.下   関(ST7

 

部 位 頬骨弓の下縁、下顎骨関節突起の前方の陥凹部にある。

取り方 耳の前約2横指のところ、頬骨弓の下で下顎骨関節突起の前のくぽんだところ。口を開くと関節突起が前方に移動して塞がる。

【筋肉】喫筋の起始部、内部は外側翼突筋

【血管】顔面動脈、洩側頭動・静脈

【神経】三叉神経第3彼の皮枝(耳介側頭神経)および運動枝

【主治症】歯痛、耳痛に効くが、習慣的に下顎脱臼をおこし易い人に効く。顔面神経麻痺や三叉神経痛にも効く。 


8、頭 維(別名、歎)(ST8

部 位 側頭部の前部、額角髪際より約1横指後方、神庭の外側45分のところにある。

取り方 捏疹神庭(督脈、鼻上髪際に入る5分)の外方45分のところ、側頭筋の上を押さえると縦に筋の割れ目が感じられ、下方に胆凝の頴厭、懸腰、懸糞の3穴が斜めにならび、強く圧するとみな痛む。物を喝(か)むと動くところに取る。

【筋肉】側頭筋

【血管】浅側頭動脈の前頭枝、中側頭静脈

【神経】三叉神経第2枝の耳介側頭神経、同第3枝運動枝

【主治症】片頭痛に最もよく効く。視力減退、結膜炎、脳充血等にも効果がある。


 9、人 迎 (別名、天五会、五会)(ST9

部 位 頭よの外方15分、総顎動脈の拍動部にある。

取り方 指と示指で喉頭隆起の両側をはさみ、脈動を感ずる部に取る。

【筋肉】胸鎖乳突筋の前縁、広頸筋

【血管】総頸動・静脈

【神経】頸横神経、舌下神経、迷走神経、顔面神経頸枝

【主拍症】喘息、気管支炎、甲状腺腫、バセドー病などに局所的に取穴されるが、最近になって血圧降下法として人迎穴部より頸動脈洞を手術する方法に示唆を得て、鍼術を応用した洞刺法が用いられるようになった。

 


 10.水  実 (別名、水門、水天)(ST10

部 位 前頸部、喉頭隆起の下外方で胸鎖乳突筋の前線、人迎穴と気舎穴との中間にある。

取り方 人迎(喉頭隆起の外方15分拍動部)と気舎(鎖骨内端の上,天突の外方15年)とのほぼ中間で胸鎖乳突筋の前縁に取る。

【筋肉】胸鎖乳突筋の前縁、広頸筋、胸骨舌骨筋

【血管】総頚動脈、前頸静脈

【神経】頸横神経、迷走神経、顔面神経頸枝

【主治症】喘息、気管支炎、咽頭炎、喉頭炎等に効く。

 


11、気 舎(ST-11

部 位 前頸部で天突(任脈、胸骨頸切痕の直上陥中)の両側15分、鎖骨上縁にある。

取り方 胸骨上部の陥中にある天突穴の両側で、鎖骨内端の上線、胸鎗乳突筋の胸骨部と鎖骨部との両起始部の腱の間の陥凹部(小鎖骨上寓)

【筋肉】胸鎖乳突起始腱の間、広頚筋

【血管】鎖骨下動・静脈

【神経】鎖骨上神経、迷走神経、副神経

【主拍症】扁桃炎、咽喉炎や気管支炎等に効く。また痔痛性斜熟こもよく 


12、膺 窓(別名、天蓋)(ST12

整隈ノ鎖骨上喬の中央、乳頭線上で天実の外方約4寸にある。

取り方 乳頭線上で、鎖骨上喬を指でさぐると線状の痛むものを触れる。これが穴である。

【筋肉】広頚筋、前および中斜角筋

【血管】鎖骨下動・静脈

【神経】鎖骨上神経、深部に腕神経叢がある。

【主治症】呼吸器疾患の胸膜炎、気管支炎、感冒等に著効がある。しかし深刺は避ける。また灸もきわめて小粒で効くところである。手の神経痛や麻痺にも効くところでもある。 


 13、気  戸(ST13

部 位 前胸部、鎖骨の下で乳頭線上にある。

取り方 鎖骨のすぐ下の第1肋間で乳頭線上に取る。この肋間にも庫房もあるが、気戸は鎖骨の直下に取る。

【筋肉】大胸筋、内肋間筋、外肋間筋、鎖骨下筋

【血管】内胸動脈及び腋常勤脈の分横、鎖骨下動・静脈

【神経】鎖骨上神経、第1肋間神経前皮枝、鎖骨下筋神経・前胸神経

【主治症】感冒、気管支炎、胸膜炎、肺結核等に効く。

 


 14.庫  房(ST14

部 位 前胸部、第1肋間で、第2肋骨の上際の乳頭線上にある。

取り方 乳頭線上、鎖骨と第2肋骨の間で第2肋骨の上際に取る。同一肋間に気戸、庫房の二穴があって上下にならべて取る。

【筋肉】大胸筋、内肋間筋、外肋間筋

【血管】内胸動脈及び腋寓動脈の分枝、鎖骨下動・静脈

【神経】第1肋間神経前皮枝および筋枝、前胸神経

【主治症】呼吸器病に効く。また心臓病にも使われる。 


 15.屋  窮(ST15

部 位 前胸部、第2肋間、乳頭線上にある。

取り方 乳頭線上で第2肋骨と第3肋骨との間、第2肋間に取る。

【筋肉】大胸筋、′J、胸筋、内肋間筋、外肋間筋

【血管】内胸動脈、肋間動・動脈

【神経】第2肋間神経前皮枝および筋枝、前胸神経

【主治症】呼吸器、心臓疾患に効く。また、肋間神経痛にもよく用いられ、効果がある。

 

 16.膚  窓(ST16

部 位 前胸部第3肋間、乳頭線上にある。

取り方 乳頭線上で第3肋骨と第4肋骨の間に取る。すなわち乳頭の直上約二横指ぐらいのところ、第3肋間に当る。

【筋肉】大胸筋、/ト胸筋、内肋間筋、外肋間筋

【血管】内胸動脈、肋間動静脈

【神経】第3肋間神経前皮蔵および筋枝、前胸神経

【主拍症】前穴同様、呼吸器疾患のほかに乳腺炎にも効く。

 


 

17.乳  中(ST17

部 位 乳頭の正中にあるJ

取り方 乳頭の中央に取る。仰臥位にすれば男子は第4肋間に当る。

【筋肉】大胸筋、内肋間筋、外肋間筋

【血管】内胸動脈、肋間動・静脈

【神経】第4肋間神経前皮妓および筋枝、前胸神経

 


18、乳   根 (別名、辟息)(ST18

部 位 前胸部、乳頭線上、第5肋間にある。

取り方 乳頭線上で第5肋骨と第6肋骨の間に取る。乳中の下二横指ぐらいのところ。

【筋肉】大胸筋、内肋間筋、外肋間筋

【血管】内胸動脈、肋間動・静脈

【神経】第5肋間神経前皮枝および筋枝、前胸神経

【童治症】乳房疾患のほかに肋間神経痛の場合、圧痛の出るところであるから任脈の腹中、腋喬の淵腋穴等と共に著効のあるところである。また乳腺炎にも効果がある。

 

 


19.不 容(ST19

部 位 上腹部、腹部正中線、巨闘の両側2寸のところにある。

取り方 陽明胃経の腹部の諸穴は腹部の正中線、すなわち任脈の両側約2横指の線にあって腹直筋上に取る。指先でさぐると筋溝があって中に線状のものが感じられる。これが経絡である。胸の乳頭線と正中線とのほぼ中間に当る。不容穴はその最上部にあって第8肋軟骨付着部の下際に当る。巨開(胸骨剣状突起下端の下15分)の外方約2寸に当る。

【筋肉】腹直筋

【血管】上腹壁動・静脈

【神経】肋間神経前皮枝、筋枝

【主治症】腹部で季肋部にあたり、胃痛、神経性胃痛(胃痙攣)、胃アトニー、胃拡蘇症等に効き、また肋間神経痛で季肋部が痛む場合に政夫され、横隔膜痙攣しすなわちしやつくりに深刺してよく効く0咳、喘息の持病の人には、中脱、梁門にかけて鍼刺して心竃部の緊張を常に柔らげて置く必要がある。

 

20.承  満(ST20

部  位 上腹部ヽ不容(季肋部、腹部正中、巨閑の両側2寸)の下1寸にある。

取り方 腹部正中線の両側2寸のところで、季肋部の不容大の下1寸に取る。任脈の上院穴(臍上5寸)の外側に当る。したがって天枢(臍の外側2寸)の上5寸にも当る。

【筋肉】腹直筋、腹横筋

【血管】上腹壁動・静脈

【神経】肋間神経前皮枝および筋枝

【主治症】不容と同様、胃炎、胃潰瘍、その他胃、腸の痛み、黄症、肋間神経痛等に効く。

 


 21.貰 肖(ST21

部 位 上腹部、承満(腹部正中線の外側2寸、季肋部の下2寸)の下1寸にある。取り方 箪墜腹部正中線の両側2寸、不容大の下2寸に取る。任脈の中朕穴(臍上4寸、胸骨下端の下4寸)の外側2寸に当る。

【筋肉】腹直筋、腹横筋

【血管】上腹壁動・静脈

【神経】肋間神経前皮夜および筋枝

【主治症】神経性胃痛、急性胃炎等の陽証から、胃アトニー、胃拡張症、食欲不振等の陰証の場合のいずれにもよく効く穴である50才になる婦人で永年、胃下垂、胃弱で悩み、やせ細っていたが梁門、中胱に約3cm毎日刺鍼してから急に胃の働きがよくなり、1週間位で別人のようになり、2カ月くらいでまるまるふとってじょうぶになった例がある。神経性胃痛(胃痙攣)には寸6の鍼を置鍼するのもよく効く。施灸の場合は壮数を多くすることによって鎮痛効果がある。中脱穴とともに上腹部の代表穴である。腸や肛門のやまいでも上腹部ではこの梁門を取ることがよい配穴である。さらに、肝臓や胆嚢等のやまいにも非常に効果がある。

 


22、韻 肖(ST22

部 位 上腹部で梁門(中脱穴、腹部正中線の外側2寸、季肋部の下3寸)の下1寸にある。

取り方 腹部正中線の両側2寸で、季肋部の不容穴の下3寸に取るが、任脈の建里(臍上3寸)の外側2寸に当る。

【筋肉】腹直筋、腹横筋

【血管】上腹壁動・静脈

【神超】肋間神経前皮枝および筋枝

【主泊症】梁門とほぼ同様な主給症である。胃腸病、その他脚気、遺尿症等にも取穴される。

 


23、太   乙(ST23

部 位 上腹部、関門(腹部正中線の両側2寸、季肋部の不容の下4寸)の下1寸にある。

取り方 不容穴の下4寸に当り、任脈の下脱(臍上2寸)の外側2寸に取る。また天枢(臍の側2寸)の上2寸に当る。

【筋肉】腹直筋

【血管】上腹壁動・静脈

【神経】第9肋間神経の前皮枝および筋枝

【主泊症】胃の病気、腸の病気にも使われ、また脚気、遺尿、療病や精神錯乱等にも用いられる。

 


24、、滑肉門(別名、滑肉)ST24

部 位 腹部の太乙(臍の外側2寸の天枢穴の上2寸)の下1寸にある。

取り有任脈の水分穴(臍上1寸)の両側2寸に取る。

【筋肉】腹直筋

【血管】上腹壁動・静脈

【神経】第9肋間神橿の前便枝、筋枝

【主治症】胃出血、嘔吐、神経性胃痛(胃痙攣)等の胃病や腸の病気による下腹部の痛みに効果がある。また脱肛や神経衰弱等の治療に効果がある。古典には舌炎や舌下腺炎等にも効果があるように記戟されているが試みる必要があると思う。

 沢田流では滑肉門の主拍症が次の天枢穴の主治症と一致するといっている。試みてみたが実によく効く穴である。

 


25.完 走(別名 谷門、穀門)(ST25

部 位 腹部、臍の外側2寸にある。

取り方 臍の外側2寸(約二横指半)のところを指先でさぐると、中に筋溝があって何か線状のものを感じる。これが経絡である。天枢は臍の外側に取る。滑肉門(水分穴の外側2寸)の下1寸に当る。また乳線と臍部(正中線)とのほぼ中間にも当る。

【筋肉】腹直筋

【血管】上腹壁動・静脈

【神経】第10肋間神経の前皮枝および筋枝

【主治症】天枢は臍の両側の最も重要な位置にあって、腹部のやまい一般に効果がある。胃、小腸、大腸、肝臓、月旦嚢、膵臓の消化器、腎臓、膀胱の泌尿器、子宮、卵巣、精巣(睾丸)の生殖器疾患等いずれにも効果があるほか、消化器の機能を整える必要のある呼吸器疾患や心臓病、脳神経系疾患にもそれぞれ配穴されるまことに重要な経穴である。

 頭の百会、天柱、腰の腎愈、足の三陰交に類する広範囲な主治症を有する穴である。したがってその主治症の病症を列挙すればきりがないほどで ある。

 また臍の両側5分に盲愈(腎経)がある。胃腸疾患のほかに精力減退、仕事に根気なく、疲れ易いなどの場合に使う。天枢の外側2寸の大横穴(牌経)は主として腸の病気に効く。如ち

 


 

26.外  陵(ST26

部 位 腹部、天枢(臍の外側2寸)の下1寸にある。

取り方 任脈では臍より耳亡骨の上際までの長さを5等分して、これを1寸として測っている。胃経の寸法はこれとやや異るという説もあるが、いまここでは任脈を基準とする。したがって外陵は天枢の下1寸に取る。

【筋肉】腹直筋

【血管】下腹壁動・静脈

【神超】肋間神経前皮枝・筋枝

【主治症】腸痙攣、胃下垂症、また月経痛や精巣上体(副皐丸)炎に効く。

 


27.大 巨(ST-27

部 位 下腹部、天枢(臍の外側2寸)の下2寸にある。

取り一をノ外陵(天枢の下1寸)の下1寸に当る天枢の下2寸、または任脈の石門穴(臍下2寸)の両側2寸に取る。

【筋肉】腹直筋

【血管】下腹壁勤・静脈

【神経】肋間神経前皮枝および筋枝

【主治症】腸仙痛、半身不随、便秘、排尿困難(小便出渋る)、不眠症等に郡:;.れ、

 


28、水 道(ST-28

部 位 下腹部、天枢(臍の外側2寸)の下4寸にある。

取り方 任脈の外側2寸の線で、天枢から4寸下に取る。大巨(天枢下2寸)の下2寸に当り、また任脈の中極(恥骨の上1寸)外側2寸にも当る。

【筋肉】腹直筋

【血管】下腹壁動・静脈

【神経】肋間神経前皮枝・筋枝

【主治症】腸疾患、子宮下垂、子宮位置異常による下腹部の痛み、また男子精索神経痛、勝胱麻痺、尿閉、膀胱炎、腎孟腎炎、子宮内膜炎等の炎症に用いられる。また便秘の鍼として、水道またはその1寸くらい下のところから内下方に向けて深刺すると著効を現わすことが多)丁。

 


 29.帰 来(別名 新谷)(ST29

部 位 下腹部、天枢(臍の外側2寸)の下5寸にある。水道(天枢の下4寸)の下1寸にある。

取り方 任脈の外方2寸の線で、恥骨上際の上方約1横指のところに当る。曲骨の外側2寸に取る。

【筋肉】腹直筋、腹横筋

【血管】下腹壁動・静脈

【神経】肋間神経前皮枝および筋枝、腸骨下腹神経

【主治症】精巣(皐丸)炎、尿道炎、勝胱炎、卵巣炎、膵炎等の男女生殖

器疾患、泌尿器疾患に効くところで、次の気衝穴に次ぐたいせつな穴であ 


 30、気  衝 (別表ご気街、羊尿)(ST30

部 位 下腹部、帰来(天枢の下5寸)の外下方約15分にある。

取り方 胃経は下腹部に於いて帰来穴より外下方に曲がり大腿の前外側に向う。気衝は帰来の外下方で、恥骨結節上線の角に取る。

【筋肉】腹横筋、外腹斜筋、内腹斜筋

【血管】外腸骨動・静脈、浅腹壁動・静脈

【神経】腸骨鼠径神経、腸骨下腹神経、第12肋間神経

【主治症】気衝穴は卵管炎、卵巣炎、子宮内膜炎、精巣上体(副睾丸)炎、 第2章 十四経絡と経穴各論前立腺炎等の男女生殖器疾患、膀胱炎、腎孟腎炎、尿道炎等の泌尿器疾患、あるいは大腸炎などの主として下腹部に起る炎症性疾患に効果があり、古典では三稜鍼をもって鴻血するように記載してある。この大の溶血はしばしば行って効果がある。脾経の衝門穴もその近くにあってほぼ同様な主拍症を有する㌧現 


 31、脾  関(ST-31

部 位 大腿部の前外面、上前腸骨鰊の下部、膝上12寸にある。

取り方 直立して、恥骨上際の端の角である気衝天よりやや外下方に向って、大腿前面を少し下ったところに、大腿直筋上部の陥凹部を触知することができる。ここを強く押せば胃経の下部に痛みが響く。これが解関穴である。その後上方約三横指ぐらいのところの大転子の前部に胆経の環跳穴がある。

【筋肉】大腿直筋、大腿筋膜張筋、大殿筋前縁

【血管】外側大願回旋動・静脈

【神経】外側大腿皮神経、上殿神経

【主治症】主として大腿部の痛み、攣急(ひきつり)、屈伸不随等に取られる。場合によって  


32、状  兎 (別名、外丘、外勾)(ST32

部 位 大腿前面の外側、膝上6寸にある。

取り方 大腿直筋の外縁に当るところを探り、膝蓋骨の外上線から6寸のところに取る。

【筋肉】大腿直筋の外縁、外側広筋

【血管】外側大願回旋動・静脈の下行枝

【神経】J外側大腿皮神経、大腿神経前皮枝

【主拍症】主として脚気、半身不随による麻痺、足の神経痛等、足のや患いに効き、胃腸病に用いられ ̄ることもある。

 

 

33、陰 市(ST-33

取り方 足を伸張して膝に力を入れると、膝蓋骨の上部に筋肉や腱がはっきり現われる。膝蓋骨外上線より2寸上の陥凹部は梁丘穴でその上1寸、腸脛靭帯の内縁、外側広筋の上を押えて痛むところ。これが陰市穴である。

【筋肉】外側広筋、腸脛靭帯

【血管】外側大腿回旋動・静脈

【神経】外側大腿皮神経、大腿神経前皮枝

【主治症】この穴は足、腰、膝の冷えるのに効くところである。冷えが腹までのぼり、痛むのにも効果がある。また大腿部外側が冷えて感覚が麻痺し、または膝の屈伸が不自由になる場合がある。そのいずれにもよく効く穴である 


34、梁  丘(ST-34

畑の前面、月詣首鼠遠よらく主妄妄寸にある。

取り方 足を伸張して膝に力を入れれば、膝蓋骨の上部に筋肉や睦がはっきり現われる。その中央部は大腿直筋腱で、その外方は外側広筋である。膝蓋骨の外上線より約2寸上のところ、外側広筋の外方ですこしくぽんだところを押えると痛む。これが梁丘穴である。

【筋肉】大腿直筋、外側広筋

【血管】外側大腿回旋動・静脈

【神経】大腿外側皮神経、大腿神経前皮枝

【主拍症】足、腰、膝の病気に効く。半身不随、膝関節炎、リウマチ、坐骨神経痛等に取穴される。沢田流では胃経の郡穴という意味で、神経性胃痛やその他の腹痛を頓挫させるのに灸をするが、追試してみるとなかなか 


35、犢 鼻(ST-35

部 位 膝蓋骨と脛骨粗面との間の中央、腰を屈すればくぼみができるところにある。

取り方 膝関節をなかば曲げて力をぬき、膝蓋靭帯をゆるめ強く押さえると膝関節前面中央に陥凹部がわかる。穴は脛骨の上線に定める。

【筋肉】膝蓋靭帯、膝関節包

【血管】膝関節動脈網、大伏在静脈

【神経】伏在神経の膝蓋下枝、深聯骨神経

【主治症】膝関節炎、リウマチ、水腫等に鍼灸して効果がある。また脚気八処(風市、伏兎、憤鼻、外膝限、三里、巨虚上廉(上巨虚)、巨虚下廉(下巨虚)、経骨)の一穴であって脚気にも効果のあ儒さん


 36,三 里、(別名、鬼邪、下陵、下三里)(合土穴) (ST36

部 位 下腿前外側、膝眼(外膜眼)の下方3寸、脛骨の外側にある。

膝を60度に屈し、大腿と下腿および足底面とで正三角形を作り、脛骨の前面(脛骨稜)を指先で押し上げて止まるところ(脛骨粗面)と排骨頭の直下部(排骨頸)との中間が三里犬である。ここを強く押さえると足関節前面の脈出が23動止まる。前脛骨筋の中    にある。(腫脹、膝蓋靭帯の両側のくぼみ)

【筋肉】前脛骨筋

【血管】前脛骨動脈、大伏在静脈

【神経】浅排骨神経(外側排膿皮神経)、深俳骨神経通路

【主治症】足の三里の主泊症は非常に多く、俗に万病に効くといわれるのも一理あるところである。

1.まず第一に消化器病一般に効く。胃腸、肝、胆、膵の諸病。

2.足のやまい、脚気、神経痛、半身不随。

3.呼吸器病、心臓病等には消化機能を調え、栄養をよくするためには必 ずといってもよいくらい配穴される穴である。またこれらの病気のとき には、まず三里にきわめて小粒の文で一壮の灸、あるいは三里に弾入程度の鍼刺入から治療を開始することが最も適切である。それは弱い刺激から治療を始めないと突然高熱を発したり、症状が悪化ナることがしばしばあるからである。古典でいう血虚、気虚の症は、きわめて用心深く行い、効をあせってはならない。このことは初心者にとって臨床上特にたいせつなことである。

4.神経衰弱、ヒステリー、さらにこれが元じて精神錯乱を呈している場合に効く。大体、神経衰弱程度の者は牌胃の虚で食欲が減退し、食物の摂取量も少量であるが、狂になってくると非常に食欲が旺盛になり動物的になる。多少腐敗したものを食しても胃腸をこわさないのが普通である。このような者に胃腸を調えてやる治療方針で施術すれば、多くの場 合効果がある。何か月かのちに下痢その他の胃腸障害を起すようであれば、治癒の前兆であると思って間違いがない。三里、牌愈、胃愈、肝愈等も、その証に応じて必ず配穴しなければならない。

5.蓄膿症、鼻炎、喚覚異常等の鼻のやまいに効く。陽明胃経は鼻に起る関係からである。また大腸経も鼻に終っており、鼻は呼吸器の最初の入口である。「肺ノ侯ハ鼻デアル」となっているから肺、大腸経の穴に加えて三里穴も配穴してよい治療効果を期待できる。

6.中風、半身不随等は手足の陽側に麻痺がくるものであるから、風市、伏兎とか、三里または陽陵泉等とともに非常によく使われる穴である。

 また脚気にもよく効く。排骨神経痛や坐骨神経痛、膝関節、足関節の痛み、リウマチ等にも効く。返し鍼に三男はよく用いられ効果がある。すなわち下半身に誤って鍼したり、刺激量を過ごして脳貧血を起し、苦悶したりする場合に、三塁くに置鍼または久撚を施す。上半身の場合は典池でよい。また全教でもよい。

上衝性(のぼせ)の人にのぼせ引き下げとして用いても効果がある。

8.三里は無病長寿の灸として古くから賞用されている穴で、常に足の三里の灸を行っていたという三河の国の百姓万平は、天保15年に242歳、その子と孫夫婦がいずれも100歳以上で三夫婦そろって江戸永代橋の渡りぞめをしたという記録があるほど有名である。また芭蕉翁も旅をするには必ず三里に灸をして出たという記録も『奥の細道』にある。

  これはまた三里について悲しくもみじめな実話である。大平洋戦争でひとたび敗戦となり、これまで勝ち進んだ長い大陸の道を、夜を日に継ぎ敗残の後退を続けなければならなかったひとびとが、いったん隊より落伍すれば命はないというとき、自分の着衣の線経をちぎって三里穴に火を点じ、たがいに励まし合ってようやく帰還したという話は何人からも聞いている。

9.三里は胃土経の土穴であって、胃経自体にやまいのあるとき補うほか、肺金程を補う場合にも母の経として、土経の土穴すなわち主治穴として取穴される。Fしかし三塁は、構法の目的で多く用いられ、肝木の虚や腎水の虚のときに演穴としては用いない傾向がある。やはり三里は補法の目的にかなった穴である少ぽミ∴弥富畠夢(月一散 


37、上巨虚(ST-37

部 位 下腿前面の外側、三里の下3寸にある。

三里(膝眼の下3寸)の下3寸で前脛骨筋中にある。前脛骨筋

【血管】前脛骨動脈、大伏在静脈

【神経】浅聯骨神経(外側俳腹皮神経)・深腕骨神経

【主拍症】胃腸の虚弱、痛み、脚気、麻痺等に効く。 


 38.条 口(ST38

部 位 下腿前面の外側、三里の下5寸にある。

取り方 三里(膝眼の下3寸)の下5寸、上巨虚(三塁の下3寸)の下2寸、前脛骨筋中に取る。

【筋肉】前脛骨筋

【血管】前脛骨動脈、大伏在静脈

【神経】浅・深俳骨神経

【主拾症】胃腸 


 39,下巨虚(ST-39

部 位 三里の下6寸にある。

取り方 三里(膝眼の下3寸)の下6寸、上巨虚(三里の下3寸)の下3寸に取る。前脛骨筋中にあり。

【筋肉】前脛骨筋

【血管】前脛骨動脈、大伏在静脈

【神経】浅俳骨神経(外側俳腹皮神経)・深排骨神経

【主汚症】腸仙痛、食欲不振、脚気、足の麻痺、′ト児麻痺、リウマチ様関節炎等、ま野環、節義t・磯や新木ヤ 


 40,豊   隆(絡穴)(ST40

部 位 下腿前面の外側、外果の上8L寸、条口の外方1寸にある。

取り方 三里(腫脹の下3寸)から前脛骨筋の中を下った上巨虚、条ロ、下巨虚の線の外方1寸の線が豊隆を通る経路で、外果のとがったところから8寸上方の点、条口の外方約1寸のところに当る筋溝に近いところに取る。

【筋肉】長指伸筋、長・短俳骨筋

【血管】前脛骨動脈、大伏在静脈

【神経】浅排骨神経(外側排膿皮神経)

【主拍症】腸の痛み、便秘のほか、ヒステリー、神経衰弱、療病等にも効果がある。また頭痛にも使われる。 


41、解 谿)ST-41

部 位 足関節前面の中央、足関節を少し背屈してくぼむところにある。

取り方 足関節前面の中央に指を当てて、関節を屈伸させると3本の腱に触れる、すなわち外側より長指伸筋、長母指伸筋、前脛骨筋の腱である。このうち、中央の腱は少し背屈すると陥下し、強く圧すると痛みがとおる。穴をここに取る。足関節を底屈するとなかから長母指伸筋腱がでてくる。胃経の経絡はこの腱の下を通っている。

【筋肉】前脛距靭帯、長母指伸筋腱

【血管】前脛骨動脈、大伏在静脈

【神経】浅・探俳骨神経

【主治症】局所的には足関節の捻挫、関節炎、リウマチの場合に非常によく使われ効果のあるところである。胃経であるから腹張り、便秘とか、顔面や目の発赤、充血、頭痛、眩畳、あるいは療病、ヒステリーのような脳神経症にも効果がある。胃経実証の症として診断された場合、鴻法をもっ謂誓詳だ諾解警占う排膿筋痘攣にも効く穴である0


 42、衝 陽(別名、,会原、鉄臥会骨)(原穴)(ST-42

取り方 解鈴(足関節前面の中央陥中)より手旨先で押し下げてくると第2中足骨と第3中足骨の接合部の高いところに止る。ここに前脛骨動脈の脈動部があってむかしは「射上の動脈」といった。衝腸をここに取る。

【筋肉】短母指伸筋、長指伸筋腱

【血管】前脛骨動脈、大伏在静脈

【神経】内側足背度神経、深誹骨神経筋枝

【主治症】食欲不振、顔面神経麻痺、神経衰弱、狂等に効く。中足足根関節のリウマチ、捻挫にも効く。胃経の原穴であり、代表穴であるから補鴻を行う場合は、自経の虚実、他経の虚実、いずれの場合に限らず使って便利であり効果のある穴である。

 また衝陽は「肘上の動脈」と称してここに脈動を感じ、三里穴を急に強圧すると 23動脈動が止まるところである。この脈動の状態によって胃超の虚実を欝琴聯車・争っ 


43、陥   谷 (食木穴)(ST43) 

部 位 足背、第23中足骨間の中央陥中にある。

取り方 第2指と第3指の間を下から押し上げ中足骨問で指の止るところに取る。

【筋肉】長指伸筋腱、短指伸筋腱

【血管】前脛骨動脈の分彼の弓状動脈、足背静脈弓

【神経】内側足背皮神経、深排骨神経

【主治症】腹痛、顔面浮腰に効き、また高熱で発汗がなく熱が下降しない管内 


44、内 庭 (栄水天)(ST44

部 位 足背、第2指と第3指の分れ目にある。

取り方 足指を開いて見ると背面(陽)の皮膚と内面(陰)の皮膚の肌目きめ)が異っているが、穴はこの境に取る。

【筋肉】背側骨間筋

【血管】背側中足動・静脈

【神経】第23足背指神経、探俳骨神経

【主治症】胃腸が弱り、腹が張り、下痢をしているときに効く。顔面神経麻痺、歯痛にも効果がある。神経衰弱に効果があり、手足の冷えるのにも行間(肝経)同様効果がある。沢田流では裏内庭と称して第2指の裏側の高いところに墨ぉつけ、これを折り曲げて墨が足の裏に付いたところに灸をすえるのであるが、熱さを感じないときは食傷であるから、このときに熱竃ミ箭プ0実によく効く評げむ


45、少 繁(井金穴)(ST-45

2指外側爪甲根部を去る1分にある。

取り方 第2指の爪の外側約1分・のところを指先で先から元の方に押し上げて止ったところに取る。(肺経の少商の部参照)

【筋肉】長・短母指伸筋腱、輪状靭帯

【血管】背側指動・静脈

【神経】第2足背指神経、探俳骨神経

【主治症】腹が張る。黄症等の胃腸症状、腹膜炎で腹水の溜った場合、糖尿病等にも効く。また顔面の腫れ、顔面神経麻痺、扁桃肥大、上歯痛に効く。胃経の証として精神錯乱、ヒステリー、気絶等にも効く。属免は指端の井穴であるから発熱を伴った急性症の場合、演血してすぐれた効果を現わすことがある。


          胃 経 絡 論

 

 陽明胃庄は月旦経、膀胱経と同様、頭より足の端に至るまで連なる長い篠路であり、したがってこの程路にある穴も多く45穴である。これらの経穴は所在部位によりその部の痛みに多く使われる。

 目   痛 (承泣、四白、巨膠、頭維)

 頭   痛 (承泣、四白、頭維)

 歯   痛 (巨膠、大迎、頬車、下関)

 肋間神経痛 (気戸以下乳根の諸穴および不容、承満)

 腹  痛 (腹痛といっても主として胃腸痛である。これは胃腸炎、神匪性胃痛、虫垂炎、腸捻転あるいは腸閉塞、腹膜、腸間膜からくる痛み等で、これらの症に対し、腹部、足部の諸穴が使われている。)足痛ならびに足の麻痺(足部の諸穴)この超は胃経の名の通り、勝連とともに主として消化器系に関係があって、全身の栄養が不足した場合には、この経に穴が求められている。特に呼吸器系の病気ほそうである。足の三里は健康灸と健脚のための灸としてあまりにも有名であることは前述の通りである。

 また胃の劇痛には部穴の梁丘と三里がよく効くし、不容、承満の置鍼もよく効く。滑肉門は胃出血や嘔吐にも効くが、また慢性症の胃病には欠くことのできない穴である。

 天枢は大腸産の募穴で胃腸病一さいに効くが、特に腸のやまいには欠くことのできない穴であろう。また経絡治療上、対経的に補溝が行われ、病体の陰陽虚実の調整にたいせつな穴でもある。

 天枢以下、外陵、大巨、水道、帰来、気衝の下腹部の穴は消化器系の疾患のほかに生殖器病に効果を現わすところとなり、気衝は涛血をするのによいところから婦人骨盤腔内の炎症、たとえば予官周囲炎や結合織炎に応して効果が認められる。

 三里は前記のほかにのぼせ引き上げ、返し鍼としても広く応用されている。また脚気のときは、憤鼻、膝眼、伏兎が使われる。また中風の足部の麻痺は多く外側にくるから胆経の諸穴と共に前記3穴も取穴される。

 下腿以下の穴は要穴になっているものが多く、したがって胃踵に関連する諸疾患に使われることはいうまでもない。精神病は古くから胃と関係が洗いことが認められていたもので、狂は陽明の熱とされている。精神病になると食欲及び消化力は普通以上になって動物的になる。この場合、胃経の実証を調えてやると狂性が軽くなることは事実である。反対に神経衰弱症の場合で胃経が虚している場合、これを補ってやると全身の栄養と精神機能とともに高まり治癒する場合が多い。

 また、最近頸動脈洞刺で人迎穴は一躍花形役者になった観があった。この部の刺鍼によって本態性の血圧克進症や気管支喘息、胆石仙痛、神経性胃痛(胃痙攣)、その他、頭痛、眩畳等に著効があるというのである。しかし、今後多くの実験的研究を重ねる必要があるものと思われる。

 陽明胃経中の奇穴として一般化されるものに膝眼穴と案内庭がある。

應眼は内外2穴になっているが膝関節炎、あるいはリウマチ、腰、脚の冷えに効果があり、裏内庭は沢田流の広めたもので急性胃腸炎(食傷)に知熱灸としてすぐれた効果があることが実証されている。

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3.足の陽明胃腔・主拾症一覧表 45

鼻; 和 巫 ・」 牽/ /′レ オー’■     大   名         部 位 第1症 (共通症)第 2 症 (特に効ある症)

1.承  泣             目(三豊笠警友誓多痛)慧        

2.園  白             日(+痛、-翳)頭痛    

3.巨  膠             目(工豊漂讐哀誓)歯痛  歯痛

4.地  倉                         舌筋痙攣(言語不能)

5.大  過                         舌筋痙攣

●   封■■■■舅          止 匪l            (鮎謂真二雷鞄腫)

7.下, 関                   耳痛■        巴

8.頭  維       側 頭 日(工芸覧歪)頭痛       片頭痛

腰人 迎                咽(炎痛)         甲状腺腫、零乱、喘息

10.水  突            咽(炎痛)         噂息

11.気  舎            咽(喉痺)         咳、吃逆

転ノ欠 盈              呼(胸膜炎) 咽(喉痺) 咳、吃逆、手の麻痺、痘 攣、痛 乳病、腸雷鳴 乳病(乳腹炎、乳房腫) 審乱、転筋、食道狭窄

13 気  戸            呼(雷雲会意冨裏芸姦)

14.庫  房            呼( 〝  )

15.屋  翳            呼( 〝  )

16.腐 、琴            呼( 〝  )

17.乳中 18.乳根        ′ ′   (禁穴) 胃(工鮎痘攣)

19.不  容      上 腹             咳、胸痛

20.承  満            胃腸(炎、痛、仙痛)      咳.胸痛

2■.梁  門          嘉(二鮎莞、餓不扇       脱肛

22.関  門                  下痢、遺尿

      部 位 第1症 (共通症)         第 2 症 (特に効ある症)

            胃腸(癌)         脚気、遺尿、癖狂

            胃腸(詣チ巌蓬)           脱月工、舌(炎、舌下腺炎) 痴狂

      下 腹 胃腸(雫勘生蟻烹娠)    腎炎 膀十- 腰痛

            腸(褒憲)生(労蓋藷炎)

            腸   生(子宮下垂)

            腸(痛)生(籍会歪攣)

            生(塁姦器病)

            生(讐簸㌍ア姦芸)

関=    大 腿 腸(仙痛)

                  脚気、中風

市■1               脚気、水腫、腰足頗冷痛

            胃(痛) 胃腸病一般、健康灸     膝関節炎、乳痛

      ■ 膝             鯛節病(忍法憲)

      下 腿             ・逆上、癒狂、脚気

            胃腸(虚弱、痛)            脚気、四肢麻療

口・            胃腸    脚気

虚■          胃腸    乳病、四肢麻痺、肉脱

隆_          腸(痛、便秘)    精神(晶蒜芸品 ̄)頭痛

ー鱒    足関節            胃腸、 面、目 脳(雪祭讐)転筋

      足 背 胃腸、 面(半側麻痩)   歯(虫)狂、熱病汗不出

谷′          胃腸、 面腫     熱病汗不出(胸脇支満)

庭■          胃腸債白)面儲)           歯、四肢靡冷

黍タ     指 端 消(差違)面(斜腫)       歯、鼻、熱病汗不出 脳(狂気絶)

23.太

24.滑肉和′.聖オー

水 掃 気 解 伏 陰

払 漁 3〇.31∵㍉3233

梁 領二二解

42.衝

43.陥

44.内

45.属-冤

1.目、歯、咽喉、面疾患 2.呼吸器疾患 3.消化器疾患

4.生殖器疾患     5.その他 脳、精神病、脚気、足痛、乳病