§ 便秘の種類 |
§ 便秘の鍼灸治療 |
便秘
便秘とは「自然な排泄が乱れ、スッキリなない状態」で、排便の回数や日にちの間隔に、はっきりと決まった基準はありません。「自然な排便」ということから、排便の習慣 には個人差もあり、また同じ方でも日によって状態が変化します。回数や日にちの間隔に関わらず「自然な排便」があって、すっきり感じていればそれは便秘で はなく、反対に毎日排便があってもすっきりと感じていないなら便秘といっても良いのではないかと考えま。
§ 排便の回数が少ない |
§ 便の量が少ない |
§ 水分が少なく硬い便 |
§ 排便困難(スムースに出ない) |
§ 便が残る感じがする |
§ お腹が張った感じ・苦しい |
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大腸の働き
排便でお世話になっている大腸。その働きをみてみましょう。
吸収と輸送運動
大腸は1.5m~1.7mの長さで、胃や小腸で消化・吸収されてきた内容物から、さらに水分やナトリウムを吸収し固形状にして、肛門に送る働きをします。
大腸の運動
大腸の輸送運動には、分節運動・蠕動運動・大蠕動という動きがあります。
分節運動 |
内容物を混和する運動 |
蠕動運動 |
肛門に向かって内容物を送る運動 |
大蠕動 |
内容物を一気に直腸へ運ぶ運動。食後数分以内に起こることが多く、これは胃の充満による反射によるもの |
大腸の運動を調整しているのは自律神経
大腸の運動は自律神経によって調整されています。自律神経は2種類あり、交感神経と副交感神経があります。交感神経は身体が活動時にその働きが高まり、副交感神経は身体がリラックスしている時に働きが活発となります。では、大腸ではどのように働いているのでしょう。
大腸の運動 |
活動時→交感神経が活発⇒抑制 |
リラックス時→副交感神経が活発⇒促進 |
大腸はリラックスしている時にその運動が促進され、忙しい時や緊張・興奮している時はその運動が低下します。自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが大腸運動の鍵を握っているといってよいでしょう。
便秘の種類
便秘の原因により「器質性」と「機能性」に大きく分けら れます。「器質性便秘」とは、腸に腫瘍・炎症・閉塞などがあり、腸の通りが悪くなるために起きるものです。「機能性便秘」とは腸の働きが低下することによって起きる便秘のことです。便秘の症状が続いたり、便秘と下痢を繰り返すなど、症状が出たり治ったりする場合も一度、医師にご相談された方がよいでしょう。
便秘→ |
「器質性便秘」 |
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「機能性便秘」→ |
急性 |
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慢性→ |
弛緩性便秘 痙攣性便秘 直腸性便秘 全身疾病 |
主な便秘の3つのタイプ
便秘は、3つのタイプがあります。
生活習慣などによって、いろいろなタイプが混合されている場合も多いようです。
§ 【弛緩性便秘】
弛緩性便秘とは、便を肛門へ押し出す力やいきむ力が弱いためにおきる。運動不足気味の人や、高齢者に多い。便意があってトイレに行っても、すっきりと出た感じがしないなど。
§ 【痙攣性便秘】
痙攣性便秘とは腸の運動が乱れ、ひきつったような動きになり便の通りが悪くなるためにおきる。ストレスなどで自律神経のバランスが乱れて起きることが多く、便秘と下痢を繰り返すこともある。
§ 【直腸性便秘】
直腸性便秘とは便意を我慢する習慣により、排便の反射が弱くなっているためにおきる。排便は、肛門の手前(直腸)に便が送られると、その情報が大脳に伝えられて、それにより便意を催すとともに排便反射が引き起こされ排便が起きていますが、便意を我慢することで、排便反射が弱まり、便を出す運動も弱くなってしまいます。
便秘が身体にとって良くない理由は?
便秘は、 大腸に便が長時間溜まった状態なのです。その間、私達の腸内環境は乱されていきます。便が餌となって、悪玉菌が増殖したり、発ガン物質やアンモニアなどの有害な物質が発生します。その有害な物質はどんどん腸の壁から吸収され、血液に取り込まれて全身を巡ります。肌の荒れ・ニキビ・吐き気、また大腸がん をはじめとする様々な病気にもつながると考えられています。
§ 1日1回の排便が理想的
食べたものの消化~排便までの時間はおよそ24時間です。良好な腸内環境を考えれば、排便は1日1回が理想的です。また、一般に便の水分量は80%ですが、大腸に長時間留まっている便からは、水分がさらに吸収されてしまい、硬くなってしまいます。硬い便は、腸内で動きにくくなり、排便困難や排便時の出血(切れ痔)などを引き起こします。便からの有害物質の吸収を防ぐこと、適度な硬さのスムーズな排便の為に1日1回が理想的です。
便秘の鍼灸治療
東洋医学(中国伝統医学)よると便秘は、大腸の伝導機能(便を運ぶ機能)の失調によって起こると考えます。便秘の改善には、伝導機能の改善の治療が中心になります。
具体的には、大腸と大腸の働きに関係の深い臓腑(脾・胃・肝・腎)とその経絡のツボに鍼とお灸をして、大腸の伝導機能を正常化します。
また、便秘には弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘と3つのタイプがあり、いくつかのタイプを併せ持っている方も多いようです。どのタイプの便秘かによって、お一人おひとりに合わせたツボを使って治療していきます。
自律神経の乱れを整える鍼灸治療
便秘の原因は、さまざまです。日頃の疲れやストレスなどによる心身の緊張が、大腸の働きに大きく影響しているケースもよくみられます。それは、自律神経が大腸の働きを自動的に調節しているからです。鍼灸治療では、肩こり・首こり・腰の疲れや、心や脳の興奮・ストレスなど、心身の緊張をゆるめ、自律神経の乱れも整えます。心身がリラックスすることが、治療の効果を高めます。
東洋医学に基づいて便秘の原因を読み取ります
当院では、治療に入る前に東洋医学に基づいて、問診(お話を聞く)・脈診(脈をみる)・舌診(舌をみる)さらに、腹診(ふくしん)といって、お腹全体の硬さや張りなどを診ます。それにより、便秘の症状がどのような原因から起こっているのかを読み取ります。便秘は、お腹が張ったり、吐き気がするなど大変苦しいものです。その辛い症状を改善することと・便秘になりにくくする為の治療を同時に行っていきます。
●便秘の鍼灸治療
便秘による不快な症状改善 【大腸の伝導機能の改善】 |
+ |
便秘の原因を改善 【体質改善、胃腸機能の向上】 |
⇒ |
便秘解消 【便秘になりにくい体質へ】 |
当院の鍼灸治療
便秘の症状には個人差が大きく、人によっては「2.3 日排便が出ないのは当り前」という方もいますが、理想的な腸内環境を考えれば、一日1回の排便が理想的です。
食べ物を消化、吸収、排泄する働きの中で、私 たちの身体におけるエネルギーが作られています。その大切な働きを調節しているのは自律神経です。自律神経は交感神経と副交感神経の2つの神経が常にバランス を保つように調節されています。
しかし、疲労や精神的なストレス・生活環境の変化に、自律神経はバランスを崩しやすいため、自律神経によって調節されている大腸は心身の状態が反映されやすい臓腑といえます。気になる便秘や腸の症状がありましたら、ぜひ一度鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか?鍼灸治療は、根本から身体を考えて治療する身体に優しい治療です