◆交感神経の低位中枢は第1胸髄~第3腰髄の側角にあり,胸腰系と呼ばれる。
✤椎傍神経節:脊柱の両側にあり,節間枝を介して二本の交感神経幹を作る。
❀交感神経幹の上端は頭蓋底に達し,下端は尾骨にまで伸びている。
❀上端は更に頸動脈管を遡り頭蓋内に入り,内頸動脈上に神経叢(図)を形成する。
❀両側の交感神経幹は尾骨の前方で合流して,1つの不対神経節を形成する
❀椎傍神経節(幹神経節)は頸部(3),胸部(12),腰部(4),仙骨(4~5)に分類される。
✤椎前神経節:腹腔神経節,大動脈腎動脈神経節,上・下腸間膜神経節などがある。
◆副交感神経の低位中枢は中脳・延髄や(第2~第4)仙髄にあり,頭仙系と呼ばれる。
❀副交感神経の神経節は効果器の近傍にあり,終神経節ともいう。
❀頭部には毛様体神経節,顎下神経節,翼口蓋神経節,耳神経節などがある。
◆自律神経の高位中枢は大脳辺縁系と視床下部などにある。
交感神経の分布:
1 頸部:上頸神経節,中頸神経節,星状神経節からの交感神経節後繊維は
①灰白交通枝を介して8対の頸神経に入り,頸部と上肢血管,汗腺,立毛筋に分布する;
②内頸動脈神経叢(図)(図2),外頸動脈神経叢(図)を作り,動脈と共に枝分かれる。
③迷走神経の心臓枝と合して心臓神経叢を作り,心蔵と血管に分布する。
④上・中・下頸神経節はそれぞれ1本の上・中・下頸心臓神経を出す。
⑤喉頭咽頭枝:一部は上喉頭神経とともに喉頭に行き,一部は咽頭神経叢に入る。
2 胸部:10~12個の胸神経節からの交感神経節後繊維は
①灰白交通枝を介して12対の肋間神経に入り,体幹の血管,汗腺,立毛筋に分布する;
②第1~5胸神経節から出る胸心臓神経は心臓神経叢に入る。
②第2~5胸神経節から出る肺枝は迷走神経の気管支枝と合して肺神経叢を作り,
気管,気管支,肺などに分布する;
③第6~第9胸神経節から出る大内臓神経は横隔膜を貫いて腹腔神経節に入る;
④第10~11胸神経節から出る小内臓神経は横隔膜を貫いて大動脈腎動脈神経節に入る;
⑤第12神経節から出る最小内臓神経は横隔膜を貫いて大動脈腎臓脈神経節に入る。
⑥腹腔神経節と大動脈腎動脈神経節からの交感神経節後繊維の大部分は迷走神経の
分枝と合して横隔膜の大動脈裂孔のすぐ下で腹腔神経叢を作る。
⑦腹腔神経叢は肝神経叢,脾神経叢,胃神経叢,副腎神経叢など小さい神経叢が
集まって出来て,肝,脾,腎臓と左結腸曲までの消化管などに分布している;
⑧腹腔神経叢の分岐:腎神経叢,精巣(卵巣)動脈神経叢,上・下腸間膜動脈神経叢。
3 腰部:4個の腰神経節からの交感神経節後繊維は
①灰白交通枝を介して5対の腰神経に入り,下肢の血管,汗腺,立毛筋に分布する;
②L1~L2神経節の節後繊維は腹腔神経叢からの分枝と合して腹大動脈神経叢を作る;
③L3~L4神経節の節後繊維は腹大動脈神経叢からの分枝と上下腹神経叢を作る;
④上下腹神経叢は腹大動脈の前面を下降し,左右の下腹神経に分枝する。
⑤下腹神経は互いに交通枝を出しながら,尿管に平行して下降し,骨盤神経叢に入る。
4 仙骨部:4~5個の仙骨神経節と1個の不対神経節からの交感神経節後繊維は
①灰白交通枝を介して仙骨神経に入り,下肢・会陰部の血管,汗腺,立毛筋に分布する;
②下腹神経と骨盤内臓神経(副交感神経)と合して骨盤神経叢を作る。
③骨盤神経叢は直腸神経叢,膀胱神経叢,前立腺神経叢などの分岐を出し,下行結腸,
直腸,膀胱,生殖器などの骨盤腔内器官を支配する。
副交感神経(第2~第4仙髄)の分布:
①第2~第4仙髄の副交感神経核(中間外側核)から起こり,骨盤内臓神経を作る。
②骨盤神経叢に入り,下行結腸,直腸,膀胱,生殖器などの骨盤腔内器官を支配する。
胸腹部のツボ:
陰部神経(S2~S4):第2仙骨神経~第4仙骨神経の前枝から構成される。
✤分枝:下直腸神経,会陰神経,陰茎(陰核)背神経。
✤常用経穴(ツボ)一覧
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