クサスギカズラ  (ユリ科クサスギカズラ属:半つる性多年草:草丈 〜2メートル:花期 〜6月)

薬効
滋養強壮 便秘 せき・たん 小便不利
分布生育場所

科名:ユリ科/属名:クサスギカズラ属
和名:-/生薬名:天門冬(てんもんどう)/学名:Asparagus cochinchinensis
日本全土に自生(じせい)する半つる性の多年草。

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見分け方・特徴

クサスギカズラは、半つる性の多年草で、長さが2メートルくらいになります。
葉は、退化して鱗片(りんペん)状になっていて、茎の節につきます。
葉状に見える針状体は細い枝が変化したもので、雌雄異株(しゆういしゅ)になっています。
花は、6月上旬ころに、淡黄白色の花を1〜3個つけます。
果実は、白色の液果(えきか)で直径7ミリくらいの大きさです。
地下には、短い根茎(こんけい)があり、そこから多数の根が叢生(そうせい)します。
根は、それぞれ肥大して直径2〜3センチで、長さが10〜20センチの紡錘状(ぼうすい)の貯蔵根になっていて、古株になると1株で100本以上の根が叢生(そうせい)します。

日本に自生(じせい)する、クサスギカズラの仲間には、キジカクシ、タマボウキなどがあり、どちらも秋には球形の赤い果実をつけます。
採集と調整
クサスギカズラは、5月ころに紡錘(ぼうすい)状の貯蔵根を堀りとって、水洗いして外皮を除去して、蒸し器で30分くらい蒸してから、天日で乾燥します。
これを生薬(しょうやく)で、天門冬(てんもんどう)といいます。
薬効・用い方
有効成分:アスパラギン、ベータ・シトステロール、デンプン、ブドウ糖、果糖などを含有

天門冬(てんもんどう)は、麦門冬(ばくもんどう)と同様の目的で、鎮咳(ちんがい)、利尿(りにょう)、通便、強壮薬とします。
強壮には、天門冬(てんもんどう)を広口の瓶にいれて、ハチミツを瓶の縁まで入れて、最低1〜2ヶ月間そのままにしておいてから、天門冬(てんもんどう)を1日に2〜3個食べます。
むくみのときの利尿(りにょう)には、天門冬(てんもんどう)10〜15グラムを、1日量として刻んだものを、水0.2リットルで煎じて、1日3回に分けて服用します。
せきには、天門冬(てんもんどう)のハチミツ漬け2〜3個を小さく刻み、水0.2リットルで沸騰したら、火を止めて、少し冷まして2回に分けて服用します。

中国では、抗がんの薬草のひとつとして用いられています。
薬理実験では急性リンパ細胞性の白血病、慢性顆粒細胞性白血病に対する、抗がん作用が知られています。
実際には、乳腺ガンの治療に、新鮮な天門冬(てんもんどう)を用いていて、天門冬(てんもんどう)30グラムの皮を取り除き、適当量の老酒を入れて約30分間蒸して酒と一緒に服用します。
また、生(なま)の、クサスギカズラの貯蔵根を食べる場合もあり、1日3回服用すると効き目があるとされています。

また、抗菌性も非常に強く、インビトロの実験では黄色ブドウ状球菌、瀉血性連鎖球菌、肺炎双球菌、ジフテリア菌などに対しての抗菌作用があるといわれます。
その他
クサスギカズラは、食用にするアスパラガスの仲間でクサスギカズラ属になります。
クサスギカズラ属の多くは、東半球の乾燥地に集中して分布していて、約300種もの種があります。

クサスギカズラは、葉が退化していて、乾燥地に非常に適した形態をしていて、茎から水分の蒸散(じょうさん)を防ぐように、茎に退化した葉が鱗片状につくのが特徴になります。