マメザクラ            (バラ科サクラ属:落葉小高木:樹高 〜8メートル:花期 〜5月)

薬効
鎮咳 解熱 打撲傷 二日酔い
 
分布生育場所

科名:バラ科/属名:サクラ属
和名:豆桜/別名:フジザクラ(富士桜)/学名:Prunus incisa
本州の千葉県南部、関東地方西南部、山梨県、長野県八ガ岳周辺、静岡県南部の山地

バラ科サクラ属ヤマザクラ(山桜/Prunus jamasakura)
バラ科サクラ属オオヤマザクラ(大山桜/Prunus sargentii)
バラ科サクラ属ソメイヨシノ(染井吉野/Prunus×yedoensis cv.Yedoensis)
バラ科サクラ属ギョイコウ(御衣黄/Prunus Lannesiana cv.Gioiko)
バラ科サクラ属越後七不思議数珠掛桜
バラ科サクラ属カンヒザクラ(寒緋桜/Prunus campanulata)

見分け方・特徴

本州の関東地方、中部地方の太平洋側の山地に多く自生する葉や花が小型のサクラ
高さ3〜8メートルの落葉小高木、下部から分枝する特徴がある
樹皮は、暗褐色でざらつき、横に並ぶ皮目がある
葉は互生、倒卵形〜卵形、長さ2〜5センチ、幅1.5〜3センチ、先端は尾状に長く尖り、葉縁には欠刻状の重鋸歯がある、サクラの中で葉は一番小型
花は3月下旬〜5月上旬頃、葉の展開前〜同時に、前年枝の葉腋に直径約2センチの白色〜淡紅色の花が1〜3個散形状に下向きにつく
花は花弁5個、長さ約1センチの広卵形、花柄の長さ約1センチ、雄しべ多数、がく筒は紅褐色を帯びる
果実は、核果、扁球形約0.8センチ、6月頃に、黒く熟し甘く苦味が無く美味い
採集と調整
夏季に樹皮を剥ぎ取り、天日で乾燥したものを生薬名で桜皮(おうひ)と呼ぶ

葉は葉桜になった頃に採取して天日で乾燥させる
薬効・用い方
有効成分は、フラボノイド・サクラネチンと配糖体サクラニン、ゲンカニンと配糖体グルコゲンカニンなど

鎮咳には、桜皮(おうひ)1日量15〜20グラム、水0.4〜0.6リットルを半量まで煎じて3回に分けて服用する
解熱には、桜皮(おうひ)1日量15〜20グラム、水0.6リットルを半量まで煎じて3回に分けて服用する
二日酔いには、桜皮(おうひ)1日量5グラム、水0.4〜0.6リットルを煎じて服用する。これを飲酒の前に飲むと二日酔いの防止になるという
魚肉の食中毒には、桜皮(おうひ)1日量5〜7グラム、水0.4リットルを煎じて服用する

打撲傷には、桜皮(おうひ)1日量15〜20グラム、水0.4〜0.6リットルを煎じて、煎じ液を患部に塗布する

桜の葉を乾燥したものは、枕(まくら)のしんとして使用すると安眠効果があるという
その他
名の由来は、サクラの中でも、葉や花が一番小型のことから、マメザクラ(豆桜)の名になった
また、別名の、フジザクラ(富士桜)は、富士山周辺の山麓に多いことから、フジザクラ(富士桜)の名になった

栽培は比較的容易で、湿り気のある場所から乾燥した土地でも育ち、庭木や公園樹、若木のうちから良く花をつけるので盆栽にも向く
また、生長はやや遅いが、樹形が良く整い、繁殖も実生や挿し木で良くつき殖やしやすい

マメザクラの変種
ヤブザクラ(藪桜/Var.tomentosa):関東地方西南部に分布する柄やがくに毛があり、マメザクラよりやや花や葉が大きい
キンキマメザクラ(近畿豆桜/Prunus incisa Var.kinkiensis):本州の長野県、富山県、石川県、福井県、愛知県などの近畿地方・中国地方に自生する、葉の表面に伏毛があり裏面に幼期時主脈と側脈に毛があり、マメザクラよりやや花や葉が大きい