ヤマアイ            (トウダイグサ科ヤマアイ属:多年草:草丈 〜40センチ:花期 〜7月)

薬効
有毒  染色植物
 
分布生育場所

科名:トウダイグサ科/属名:ヤマアイ属
和名:山藍/学名:Mercurialis leiocarpa
本州関東(新潟市角田山など)以西、四国、九州、沖縄の山地の林の下
朝鮮半島、中国、タイ、インドネシアのアジア各地に分布

見分け方・特徴

雌雄異株の1年草〜多年草の草本、地下茎は白く長く横に這い林内に群生する、地下茎は乾くと青紫色に変わる
茎は高さ30〜40センチ、四角く横に切ると十字の断面をしている
葉は対生、長楕円状披針形、長さ7〜12センチ、幅2〜5センチ、葉質は薄く濃緑色、光沢がある
花は、4〜7月、茎の上部の葉の脇から花柄を出して黄緑色の小花を穂状につける
果実は球形、二分果(にぶんか)
採集と調整
葉は、青摺(あおずり)と呼ばれ染物に利用されたが、有毒で採取しない
薬効・用い方
有毒で、口にすると、吐き気、腹痛、痙攣、昏睡などの中毒症状を起こす危険がある

ヤマアイの青摺(あおずり)の染め方は、葉をすり潰して液状にして、布を浸して染める
この青摺(あおずり)の欠点は、水に濡れると色が落ちたり、赤く変色したりしたため、より、きれいに染まり色の変色が少なく、濃い藍色に染まるタデ科のアイが中国から渡来すると、青摺(あおずり)は使われなくなった
その他
名の由来は、山藍(やまあい)で、山に自生する藍染めから、ヤマアイの名になった

青摺(あおずり)は、古代から伝わる日本最古の染物であり、平安時代の「延喜式(えんぎしき/927)」、「枕草子」、「源氏物語」、「栄華物語」にも記述があり、藍染(あいぞめ)として日本最古の染料として利用されたが、当時の青摺(あおずり)で染めた布は、緑色〜苔色で、藍色とは異なった色に染まる

また、皇室(こうしつ)の新嘗祭(にいなめさい)の神事に用いて着られる小忌衣(おみごろも)の染め物は、今でも、青摺(あおずり)で染めるという伝統は守られているという