イボタノキ (モクセイ科イボタノキ属:落葉低木:樹高 〜4メートル:花期 〜6月)
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薬効 |
いぼとり |
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分布生育場所 |
科名:モクセイ科/属名:イボタノキ属
和名:水蝋の木/生薬名:虫白蝋(ちゅうはくろう)/いぼた蝋/学名:Ligustrum obtusifolium
北海道、本州、四国、九州の山野の林縁、庭木などに植栽、深山に自生するミヤマイボタ
朝鮮半島、中国に分布
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見分け方・特徴
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日本全土の山野に普通に見られる落葉低木で高さ2〜4メートル。暖地では冬でも落葉しない場合もある
樹皮は灰白色〜灰褐色で丸い皮目がある
葉は対生、長楕円形、葉縁は全縁、先端は丸く、葉質は薄く、葉の表面は無毛、裏面は主脈に毛がある場合もある、長さ2〜7センチ、幅7〜20ミリ
花は5〜6月、新枝の先に2〜4センチの総状花序を出して、白い小花を多数つける
花冠は長さ7〜9ミリ、筒状漏斗形、先端は4裂、雄しべ2個
果実は、広楕円形長さ約6ミリ、直径5〜6ミリ、10〜12月に紫黒色に熟す |
採集と調整 |
秋〜初秋に蝋を採取して、加熱して溶かして布でこし精製してから常温で固めたものを、生薬名で虫白蝋(ちゅうはくろう)/いぼた蝋と呼ぶ
イボタカイガラムシの巣が虫白蝋(ちゅうはくろう)/いぼた蝋
枝にイボタカイガラムシ(イボタロウムシ)が寄生して、雌の成虫が暗褐色の約1センチの球形の貝殻をつける。
5月ころに貝殻に数千個の卵を産み、6月ころ孵化、雄の成虫が7月ころ葉から枝に移り、白蝋を分泌して群生して、白蝋の中で蛹(さなぎ)になり、9月ころに羽化して白蝋に小穴をあけて外に飛び出す |
薬効・用い方 |
有効成分:脂肪酸のセロチン酸、イボタセロチン酸、セリルアルコールほか
いぼとりには、いぼの根元を絹糸で巻き、溶かしたイボタ蝋をつける、1回で効果がない場合には繰り返す
イボタ蝋を、敷居に塗ると、戸や障子のすべりが良くなる。また、家具の艶出しに使う |
その他 |
名の由来は、いぼをとることから、イボトリノキと呼ばれ、それが転訛(てんか)して、イボタノキの名になった
別名には、川の岸辺に多いことから、カワネズモチ。
方言には、トバシリ、トスベリなどがある
本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう・1803)には、「樹皮に白粉厚く纏ひ、綿の如く色白し、遠く望めば雪の如し、これ虫の巣なり」という記述がある
イボタカイガラムシ(イボタロウムシ)は、ネズミモチやトネリコなどにも寄生して、福島県や富山県に多い |