サンザシ         (バラ科サンザシ属:落葉性低木:樹高 〜3メートル:花期 〜5月)

薬効
下痢 食欲不振 消化不良
分布生育場所

科名:バラ科/属名:サンザシ属
和名:山樝子/生薬名:山査子(さんざし)/学名:Crataegus cuneata
全国で庭木・鉢植えとして植栽
ヨーロッパ、北アフリカ原産のサイヨウサンザシ(アカバナサンザシ)

見分け方・特徴

サンザシは、落葉性の低木で高さが1.5メートル位になります。
枝は、分枝が非常に多く、小枝が変化した刺も多くあります。
葉は、互生(ごせい)して長さ3〜7センチ、幅2〜4センチくらいのくさび型で、一部の上半分は3〜5裂し、葉縁には粗い鋸歯(きょし)があります。
花は、4〜5月に小枝の先端に数個の大きな白い、散房花序(かじょ)をつけ、がく片、花弁(かべん)ともに5枚、雄しべ20本があります。
果実は、偽果(ぎか)で黄色で上部に、がく片が残っていて、秋には赤色に熟します。


採集と調整
サンザシは、10月ころの完熟少し前に偽果(ぎか)を採取して天日で乾燥します。
これを生薬(しょうやく)で、山査子(さんざし)といいます。

栽培:サンザシは、庭木や鉢植えとして広く親しまれています。
鉢植えの用土には、赤玉土、腐葉土(ふようど)、黒土、川砂の混ぜたものを用います。
植え替えの時期は春の彼岸前後が適していて、春から秋には、月に2回程度水肥料を与え、梅雨どきや土用のころには施肥を控えるようにします。
注意することは、夏の直射日光と冬の根の凍結を避けます。



薬効・用い方
山査子(さんざし)は、漢方で健胃、消化、整腸薬として消化不良、食欲不振、下痢などに用います。
1日量5〜8グラムを水0.3リットルで、約2分の1まで煎じて、1日3回食後30分に服用します。
二日酔い、食中毒には1回量8グラムを煎じて服用、または、果汁を飲みます。
胃出血や出血性下痢には、山査子(さんざし)を黒焼きにして用います。

サンザシの同属西洋サンザシはヨーロッパでは、強心薬として冠(かん)不全に用いられています。

山査子(さんざし)には、クラテガル酸を含み、薬理実験では、胃液の分泌を促進して消化を助ける作用が確認されていますが、胃酸過多や胃潰瘍の人の場合には用いてはいけません。
果実には、プロテナーゼ、アミラーゼなどの酵素を含有していて、食物の消化を促進して、魚類を煮る場合に果実を入れて煮ると、骨まで柔らかくなるとされています。

サンザシの主成分:バイオフラボノイド(ルチン、ケルシトリン)、ポリフェノール、トリテルペン、クマリン、青酸配糖体、タンニン
サンザシの花:アミン(花:トリメチルアミン)



その他
サンザシの名前の由来は、山査子(さんざし)で山査(さんざ)の実(クサボケの偽果(ぎか))に味が似ていることから山地にある山査(さんざ)という意味から山査子(さんざし)になりました。
和名はそのままで、サンザシとなっています。

サンザシは、中国原産で日本には享保(きょうほ)年間に朝鮮半島を経て渡来したものです。
渡来した当時には薬用として各地の薬草園で栽培されたといわれていて、江戸幕府の小石川薬草園、現在の東京大学付属植物園に植えられているサンザシは、渡来した当時から栽培されているものとされています。
その後は、広く一般の庭園にも花木樹として栽培されています。