クワ
(クワ科クワ属:落葉高木:樹高 〜15メートル:花期 〜5月)
|
薬効
|
便秘
|
滋養強壮
|
糖尿病
|
糖尿病合併症
|
関節炎
|
せき・たん
|
小便不利
|
頭痛(ずつう)
|
神経痛(しんけいつう)
|
リューマチ
|
|
|
分布生育場所 |
科名:クワ科/属名:クワ属
和名:山桑/別名:桑/生薬名:桑白皮(そうはくひ)/学名:Morus bombycis
日本全国の山野に自生及び栽培。果実は7月ころ。
サハリン、朝鮮、中国、ベトナム、ビルマ、ヒマラヤなど広く分布
クワ科イチジク属イチジク(無花果)
ヤマグワの未熟果、黒く熟した果実
(←拡大画像はクリックします)
|
見分け方・特徴
|
クワは日本に野生するヤマグワと区別するためにカラグワ(唐桑)と呼んでいます。
カラグワ(唐桑)は、一般には蚕(かいこ)の飼料として栽培していて、主幹は切り低木状に育てるので2〜3メートルの高さになっています。
葉は、柄があり互生して質は薄く、卵円形か卵状の長楕円形で、浅く3〜5裂して先端は尖っています。基部は心形で、縁にあらい鋸歯があります。日本に野生するヤマグワは、葉のギザギザが尖っているのでカラグワ(唐桑)と区別ができます。
花は、5月ころに雄はなと雌花をつけます。雄花序は円柱形で垂れ下がり、花被片4個、オシベ4個で中央に退化した雌しべがあります。
雌花序は長楕円形で、花被片4個、花柱のない雌しべ1個があります。
また、ヤマグワには短い花柱があり、この点でも区別ができます。
花後には、雌花序が集合果になります。
|
採集と調整
|
ヤマグワ、ロソウ、カラヤマグワなどを改良した栽培品種を用いることもあります。
冬に根を掘り、細い根は取り除き、水洗いしてから皮部をはぎ天日で乾燥します。
これが生薬の桑白皮(そうはくひ)です。
11月ころの葉を採取して天日で乾燥したものを桑葉(そうよう)といい、4〜6月に若い枝を刈り取り天日で乾燥したものを桑枝(そうし・くわ茶)、4〜6月ころに果実を集めて乾燥したものを桑椹(そうたい)といいます。
|
薬効・用い方
|
桑白皮(そうはくひ)には、利尿、血圧降下、血糖降下作用があり、漢方薬の清肺湯(せいはいとう)、華蓋散(かがいさん)などに処方されます。
桑白皮(そうはくひ)だけを用いる場合は、1日量10〜15グラムを煎じて服用します。
桑葉(そうよう)は、細かく刻み茶材として、お茶のように急須にいれてのむと便秘、高血圧、動脈硬化、補血、強壮、咳止めの予防になります。糖尿病、口渇き、頭痛、たん、せき、目の充血には、1日量5〜10グラムを煎用とします。
桑枝(そうし)は、リューマチ、神経痛、関節炎に1日量30〜60グラムを煎用します。
桑椹(そうたい)は、肝臓、腎臓の機能を高める作用があり1日量10〜15グラムを煎用します。
クワ酒/クワ薬用酒
桑白皮(そうはくひ)200グラム刻み、砂糖を同量加えてホワイトリカー1.8リットルに6ヶ月程度おいて、完熟させます。布でこして就寝前に約15ミリリットルを飲用すると高血圧の予防になるとされます。
熟した果実500グラムか桑椹(そうたい)200グラムに、砂糖150グラムを加えて、約1ヶ月漬けたものをクワの実酒といって疲労回復、強壮、浄血、動脈硬化の予防になるとされます。
塗布:乾燥した葉を粉末にして、ゴマ油で練って患部に塗ると熱湯やけどに効果があるとされます。
生の果実はそのまま食べても薬効があるとされています。また、若葉は、ゆでてから調理して食べます。
|
その他 |
名前の由来は、中国の古書には、蚕(かいこ)が葉を食べる神木として、桑の漢名があてられています。
日本では、蚕(かいこ)の、食う葉(くうは)から転訛(てんか)して、クワの名が生まれたといいます。
クワは、蚕(かいこ)の唯一の飼料で、まゆを作り、絹糸をとり、布を織ります。
絹は中国文化の代表で、古代文化の盛んであった地中海沿岸でも、絹が無かったのでシルクロードと呼ばれる砂漠を絹を運んだことはよく知られています。
日本にも中国からクワと蚕が朝鮮半島を経て、奈良・平安時代(8世紀)頃に古くに渡来しました。
クワは中国と朝鮮半島の原産ですが、日本に野生するヤマグワも飼料として用いられます。
現在までに、ヤマグワ、ロソウ、カラヤマグワなどを基本にして、多くの品種改良がされています。
|