クスノキ (クスノキ科クスノキ属:常緑高木:樹高 〜 メートル:花期 〜 6月)
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薬効
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かいせん
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打撲傷(うちみ)
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捻挫(ねんざ)
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分布生育場所 |
科名:クスノキ科/属名:クスノキ属
和名:樟/別名:クス/樟脳(しょうのう)/学名:Cinnamomum camphora
関東南部以西、四国、九州などの暖地に自生する常緑の高木。
クスノキ科クスノキ属ニッケイ(ニッキ)(肉桂)
クスノキ科クスノキ属シロダモ
クスノキ科クロモジ属クロモジ(黒文字)
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見分け方・特徴
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クスノキは、常緑の大高木になり、幹の樹皮には縦に、こまかい割れ目があります。
葉は互生(ごせい)して、卵状の楕円形で先端と基部が尖っていて、葉質は薄い革質で少し波うっていて、全縁(ぜんえん)で上面には光沢があり、3本の脈があります。
花は5〜6月ころに、新枝の葉のわきに円錐状に、白黄色の小花がつきます。
花の、花被(かひ)は6枚で平開して、雄ずいは12本で内側の3本の雄しべは不完全な雄しべです。
果実は、球形をしていて秋に熟して黒紫色になります。
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採集と調整
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クスノキの材を刻んで乾留たものが、一般に知られる樟脳(しょうのう)です。
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薬効・用い方
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クスノキの材、枝、葉からとれる樟脳(しょうのう)は、防腐剤のほかには医薬品として強心剤に用いられています。
また、局所刺激作用、防腐作用があり、皮膚病の外用薬の軟膏(なんこう)、擦(さつ)剤、チンキとして用いられています。
昔は、木部を集めたものを樟木(しょうぼく)と呼び、刻んで水蒸気蒸留して樟脳(しょうのう)、樟脳油を採取して、カンフル注射、軟膏(消炎)、チンキ(局所刺激)、防虫剤などの製薬原料に用いられた。
打撲傷には、樟脳(しょうのう)を粉末にして、黄伯末(おうばくまつ)に2パーゼントの割合で混ぜて、卵白で練って痛む部分に厚く塗ります。
樟脳(しょうのう)は、内服すると胃を刺激して食欲減退、嘔吐(おうと)などの副作用がありますので、外用だけに用います。
跌打酒(しつだしゅ)とは、当帰(とうき)60グラム、紅花(こうか)30グラム、蜀椒(しょくしょう)30グラム、肉桂(にくけい)60グラム、樟脳(しょうのう)15グラム、細辛(さいしん)15グラム、乾姜(かんきょう)30グラムを混ぜて、95パーセントのアルコール2リットルに1週間浸漬(しんし)したものです。これは、打撲、捻挫(ねんざ)、などの内出血や疼痛(とうつう)や、かいせんによる掻痒(そうよう)に外用として用います。
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その他 |
名前の由来は、和訓栞(わくんのしおり・1887)には、「奇(くすしき)の義也といえり、よく石に化し、樟脳(しょうのう)を出すものなれば名づくる成るべし」という記述があることから、奇(くすしき)から転訛(てんか)して、クスノキという名がついたという説があります。
楠(くすのき)とは、中国の四川省(しせんしょう)にあるタブノキ属の植物で、もともと日本には自生(じせい)していません。
日本に自生するものは、樟(くすのき)といい、日本のクスノキは、関東南部以西から四国、九州に自生して、台湾、中国の南シナ海沿岸の暖地に分布する常緑の高木で、植物全体に特異な芳香(ほうこう)がある精油(せいゆ)分を含んでいて、この成分が害虫などに対して抵抗力があるために、多くが巨木に生長します。
日本最大のクスノキは、鹿児島県姶良(あいら)郡蒲生(かもう)町の八幡神社の境内のもので、幹の周りが25メートルもあるそうです。
クスノキは、神聖な木として神社の境内に植えられていて、樹齢1千年にもなるものもあって、天然記念物に指定されているものが多くあります。
また、クスノキは葉の縁(ふち)が堅く、擦れ合う音が雑音を打ち消し、音の干渉により、街の騒音を消す作用があります。
このため、学校や病院など静かな環境が必要な場所の周りには、クスノキを植え込むと効果が期待できます。
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