ギシギシ             (タデ科ギシギシ属:多年草:草丈 〜100センチ:花期 〜8月)

薬効
便秘 動脈硬化 いんきん・たむし 円形脱毛症
分布生育場所

科名:タデ科/属名:ギシギシ属
和名:羊蹄/生薬名:羊蹄根(ようていこん)/学名:Rumex japonicus
日本全土の空き地、道端、原野、川端などの比較的湿った場所に普通に自生

タデ科ギシギシ属スイバ(酸い葉)
タデ科ギシギシ属アレチギシギシ(荒地羊蹄)

見分け方・特徴

ギシギシは、草丈1メートルにもなる大型の多年草で、根は褐色で太く、深く地中に伸びます。
根から出る、根生葉(こんせいよう)は、大きく叢生(そうせい)して、冬は少し赤みを帯びますが、緑色で枯れず、長楕円形で大きく長い柄があり、長さが20センチくらいにもなり、葉基は丸く、葉の縁は波状になっています。
茎も緑色で縦に稜線(りょうせん)が走っていて、茎からでる茎生葉(けいせいよう)は、矢じり型をしていて茎は短い、5〜6月ころから分枝した茎に多数の淡緑色の花穂(かすい)をつけ始めます。
花後に花被(かひ)は残り、果実は小粒で3稜があり、広卵形翼状になった、がくに包まれています。
採集と調整
晩秋から冬にかけて、太い根を選んで掘り取り、水洗いして天日で乾燥させます。
これを生薬(しょうやく)で、羊蹄根(ようていこん)といいます。
生で使用する場合には、季節を問わず、必要な時に根を掘り取ります。
薬効・用い方
ギシギシの根には、大黄(だいおう)、センナと同様の成分のアントラキノン類が含まれていて緩下(かんげ)剤として用いられています。

民間では生(なま)の根を砕いて、しぼり汁を、水虫、いんきんたむし、ぜにたむし、だだれ、皮膚病全般に塗布します。または、羊蹄根(ようていこん)の粉末を、酢か焼酎で練って塗布します。

便秘、にきび、高血圧、動脈硬化などには、羊蹄根(ようていこん)5〜10グラムを1日量として、水0.4リットルを加えて煎じて、約2分の1量まで煮つめ、1日3回食間か食後に服用します。
また、果実20グラムを煎じて、湿疹、かぶれ、皮膚病に冷やしてから湿布します。

耳痛には、生の根の、しぼり汁とゴマ油と混ぜて耳中につける。

また、生の根のしぼり汁は、脱毛症にも効果があるとされています。

食用:ギシギシは、スイバイタドリのように、シュウ酸を含むので酸味があり、若葉などを生で食べることはいけません。熱を加えるか、茹でて水にさらして、アク抜きをしてから調理をします。
おひたし、酢味噌あえ、汁の実、煮物、油いためなどにして食べることができます。
ギシギシは、ジュンサイのような独特な、ぬめりがあって美味しく賞味できます。
その他
ギシギシという、面白い名前の由来は、伸びた花穂(かすい)を、しごいて取ろうとすると、ギシギシという音がするから、という説と、鈴のように並んでついた果実をふると、ギシギシという音がするからという、二つの説があるという

物類称呼(1775)には、「近江及西国にてギシギシと云」、本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう/1803)には、「ギシギシは京の呼び名」とあることから、江戸時代の京都の呼び名がつかわれた

ギシギシは、ウマスイバともいわれて、道端や荒地に普通に自生する多年草です
スイバに、よく似ていますが、スイバより大型で、茎はスイバのように赤くはならず、根もスイバには、ヒゲ根が多数あることで、スイバと区別ができます。
また、明治以後に日本に帰化した、アレチギシギシがありますが、花穂(かすい)に、つく花が、ギシギシより、まばらにつきます