カンゾウ             (マメ科カンゾウ属:多年草:草丈 〜100センチ:花期 〜6月)

薬効
胃・十二指腸かいよう 下痢 食欲不振 腹痛 せき・たん 神経痛(しんけいつう)
のどの炎症  
分布生育場所

科名:マメ科/属名:カンゾウ属
和名:甘草/学名:Glycyrrhiza uralensis
中国からヨーロッパ南部に分布する多年草の草本。日本ではわずかに栽培。
中国東北部、内蒙古に自生する多年草ウラルカンゾウシナカンゾウ(Glycyrrhiza echinata L.)

見分け方・特徴

カンゾウは、多年草草本(そうほん)で全株に細毛を密生して、茎は高さが0.5〜1メートルくらいになります。
葉は、羽状複葉(うじょうふくよう)で互生(ごせい)して、小葉は4〜8対で長卵形で先が尖り葉の縁(ふち)はなめらかになっています。
カンゾウの花は、夏から秋にかけて葉のわきから総状花序(そうじょうかじょ)を出して淡紫色の蝶形花が咲きます。
果実は、さや果で円柱状の果実になります。
採集と調整
カンゾウの、主根および横走茎を採取して乾燥したものが、生薬の甘草(かんぞう)といいます。
甘草(かんぞう)を、ハチミツとともに焦がしたものを炙甘草(しゃかんぞう)といいます。
薬効・用い方
甘草(かんぞう)は、息苦しさの防止、解毒、のどの痛み止め、去淡(きょたん)、消炎、神経痛の鎮痛(ちんつう)などに効き目があります。
漢方でも緩和、消炎、解毒薬として、のどの痛みや消化器のかいよう、食中毒などに用います。
炙甘草(しゃかんぞう)は、虚弱体質の場合に用います。食欲不振、腹痛、せき、発熱、下痢などに用いられます。
甘草(かんぞう)、炙甘草(しゃかんぞう)は、ほとんどが漢方処方に配合されますが、甘草(かんぞう)を単味で去痰薬として煎じて用いる場合もあります。

カンゾウの甘味の成分は、トリテルペンの配糖体が含まれていて、そのなかで、グリチルリチンが甘味の主成分で、砂糖の200倍以上もあります。
カンゾウから作られるカンゾウエキスには胃液分泌抑制、消化器かいようの治癒(ちゆ)促進、鎮痙(ちんけい)、鎮咳(ちんがい)などの薬理作用が認められています。
グリチルリチンには、副腎皮質ホルモン作用とくにアルドステロン様の作用や抗炎症、抗アレルギー作用がありますが、カンゾウを長期間大量に連用すると脱力感、四肢(しし)のけいれん、麻痺などの副作用が生じる場合がありますので、長期間大量に用いることは避ける必要があります。
一般には、のどの痛みには煎じ液でうがいをすると効き目があるとされます。

カンゾウの主成分:トリテルペン・サポニン(グリチルリチン酸60%に達する)、フラボノイド(イソフラボン、リキルチン、イソリキルチン、フォルモネチン)、ポリサッカロイド、ステロール、クマリン、アスパラギン
その他
カンゾウは、アマキ、アマクサともいい、漢方処方に配合される重要な生薬です。
甘味は特異であって、しょ糖の約50倍の甘さがあり、薬用にはもちろんのこと、甘味料として醤油(しょうゆ)、煙草、菓子などに広く利用されています。輸入されている甘草(かんぞう)の多くは醤油の甘味剤として利用されています。

カンゾウは、日本でも古くから多少栽培されていたようです、享保(きょうほ)8年(1723年)に植村左平次が甲州で栽培していた、甘草(かんぞう)を幕府の薬園に植えたとされています。現在では、日本のカンゾウの栽培は、北海道で試みられている程度のようです。