生薬名
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モッコウ
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生薬英名
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Saussurea Root
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生薬ラテン名
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SAUSSUREAE RADIX
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生薬和名
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木香
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基原植物
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植物名
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モッコウ
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ラテン名
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Saussurea lappa Clarke
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科名
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Compositae
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和科名
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キク科
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一般名
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モッコウ
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一般英名
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品種等
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分類
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多年生草本
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画像
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形態的特徴
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インド北部の高地に自生し,中国では雲南,広西,四川の各省で栽培される多年生の壮大な草本で,主根は大きく円柱形で支根は少なく外表面は褐色.根出葉は三角状卵形~長三角形で長さ30~100cm,葉脚は下に伸びて不規則に分裂し翼状となり,葉縁は不規則に浅裂または波状で短刺を疎生,両面に短毛がある.葉柄の長さは葉身の1.5~2倍.花茎につく葉は互生,長さ10~30cm,無柄または短柄があり茎を包む.花茎は高さ150~200cm,短柔毛で覆われる.頭状花序は単一または数個が頂生,腋生,総苞片は三角ひ針形で約10層.花はすべて管状花で暗紫色,管長約1.5cm.そう果は線形で長さ約6mm,稜があり上端は平らで,長さ約1.5cmの羽状の冠毛を一輪つけ,冠毛は熟すると脱落する。
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生態的特徴
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元来,高冷地(インド・カシミール地方の標高2,400~3,600mの山岳地帯)に自生する植物なので越冬性に問題はないが,萌芽後の晩霜に被害を受けることがある.耐旱性は比較的小さく,排・保水の良い土壌に適している.1年生は根出葉のみであり,2年性以降は初夏に苔が始まる.出葉速度は10~11日であり,出葉転換点は見出されなかった.頭花は1~数個束生し,夏に開花する.果実は種子が熟すと盛り上がるようにして割れるので,晴天をみはからい採取するが,良種子を得るには,多少花を間引くと良い.
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生育特性
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写真ライブラリー
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写真ライブラリー写真ライブラリー(Saussurea lappa Clarke(モッコウ))
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種子
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北海道研究部採取種子
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発芽期
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発芽約1ケ月
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葉
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実生1年目8月
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生育期
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実生1年目9月
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生育期
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実生3年目6月下旬
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花
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実生3年目8月開花期の風景
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果実
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実生3年目9月結実期の風景
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収穫物
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実生2年目5月
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生薬
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カシミール産
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生薬
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中国雲南省産
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生薬
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種子
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北海道研究部
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文献情報
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生薬名
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モッコウ
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組織培養物及び効率的増殖法
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植物名
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モッコウ
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ラテン名
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Saussurea lappa Clarke
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種苗および品種
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野生種が試作,研究されており,特に栽培品種,系統はない.
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繁殖
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種子を用いる.
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栽培適性
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冷涼な気候を好み,土質は耕土が厚く,膨軟な壌土,砂壌土が適している.直根性なので排水の良いところが望ましいが,耐旱性が比較的小さいため保水性も要求する.
1年育苗・1年本圃の移植栽培あるいは2年直播栽培もあるが,調製に手間がかかるので,日本では深耕1年の直播栽培が適している.
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播種,定植および育苗
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発芽適温は25℃と比較的高く,晩霜の被害を受けやすいので,晩霜以降が播種適期であり,北海道では5月中~下旬に当たる.種子を40℃の温水に一昼夜浸漬してから播くと発芽率が高く,発芽もそろう. 畑を整地後,条間60~70 cm に畦を準備し,トレンチャーを用いて50~60cmの深さに耕うんする.その後,作条の上に施肥し,管理機または人力で土と混和後,浅く畦を切り,播種,覆土する.
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肥料
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管理
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本葉3枚頃に間引きを行い,株間を5~10 cm とする.
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病害虫駆除
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アブラムシの発生が非常に多く,生育初期の乾燥期にはノミハムシ類の害を受けやすいので,適宜,防除を行う.
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収穫・調製
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2年目の春に掘り上げ,粉砕のしやすい生薬を望む場合は短期間に乾燥を行い,エキス量が多く油気に富む木香を調製する場合には20日以上の自然乾燥を施す. 第1畦目の外側をトレンチャーで空掘りし,掘った方向に根を引き抜く.スコップなどでも可能であり,根が小さい場合は手で抜くこともできる.収穫後は,水洗し,風乾場(吹抜,たたき,砂利上など)またはビニールハウスで乾燥し,温風乾燥機50℃で仕上げ乾燥を行う.最初から温風乾燥も可能であるがエキス含量が低下する.
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収量
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平均は乾燥根300~400 kg/10 a であるが,500 kg 以上も期待できる.
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参考情報(生物活性)
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参考情報(生物活性)ファイル
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特性分類表
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栽培暦
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栽培方法関連データ
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栽培方法関連写真データ
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種子発芽情報データ
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備考
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備考ファイル
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植物体栽培及び植物の効率的生産法
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栽培情報
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さく葉標本情報
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トランスクリプトーム・ゲノミクス情報
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稀少植物情報
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保有資源情報
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導入年
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保有研究部
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導入番号
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1981
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北海道研究部
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9678-81HK
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部位
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根
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局方収載
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局
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食薬区分
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専ら医薬品
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生薬成分
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精油1~2.5%:aplotaxene(heptadeca-1,8,11,14-tetraene) (主), costic acid(副), α-costol, costunolide, costus lactone, dehydrocostus lactone,
dihydrocostus lactone, phellandrene, camphene β-elemen など アルカロイド:saussurine など その他:タンニン, 苦味成分 など
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成分(化合物)
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Dehydrocostuslactone(デヒドロコスツスラクトン)
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性状
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本品はほぽ円柱形を呈し,長さ5~20 cm, 径1~6cmである.わずかに湾曲するものがあり,ときに縦割されている.根頭のあるものでは上端部は茎の跡がくぽんいる.外面は黄褐色~灰褐色で,あらい縦じわと細かい網目のしわ及び側根の残基がある.ときに周皮を除いたものもある.質は堅くて充実し,折れにくい.横切面は黄褐色~暗褐色で,形成層付近は暗色を呈する.ルーペ視するとき,放射組織は明らかで,ところどころに大きな裂け目があり,褐色の油室が散在している.老根では中央に髄があり,しばしばうつろになっている.本品は持異なにおいがあり,味は苦い.
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用途
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芳香性健胃薬であり,食欲不振,消化不良に配合剤として用いる. 嘔吐,下痢,腹痛などにも用いられる
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調製法
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2年目の春に掘り上げ,粉砕のしやすい生薬を望む場合は短期間に乾燥を行い,エキス量が多く油気に富む木香を調製する場合には20日以上の自然乾燥を施す.収穫後は,水洗し,風乾場(吹抜,たたき,砂利上など)またはビニールハウスで乾燥し,温風乾燥機50℃で仕上げ乾燥を行う.最初から温風乾燥も可能であるがエキス含量が低下する.
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エキス収率
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文献情報
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処方
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加味帰脾湯,帰脾湯,芎帰調血飲第一加減,香砂養胃湯,牛膝散,椒梅湯,参蘇飲,実脾飲,銭氏白朮散,丁香柿蒂湯,女神散,分消湯
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モデル試料 11件
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遺伝子情報
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日本薬局方情報
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定量法
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確認試験法
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確認試験法(TLC)
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乾燥減量
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灰分 組織培養物及び効率的増殖法_文献
植物名
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モッコウ
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ラテン名
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Saussurea lappa Clarke
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文献コード
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Saussurea_lappa-Ref-1
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出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)
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Aro R et al., Plant Cell Reports 8: 44-47
(1989)
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要約(和訳)
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BAとGAを含むMS培地で培養すると3週間で3.5倍の増殖率、NAA添加培地で90%の発根率となった。5℃の暗黒条件では植え替えなしで12か月間の保存が可能であった。6か月間低温保存後に室温で培養するとシュート増殖率が高くなった。
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目的
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絶滅危惧の薬用植物の培養増殖と低温保存
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材料(品種,系統,産地,由来)
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種子は、Lahul Kuth Growers Coop
Marketing Society Ltd., Manali, Distt. Kuluで購入し、外植体を得るため無菌苗を作った。
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外植片
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15日目の実生から得た子葉、胚軸、根切片を外植体とした
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初期培養
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5 uM BAP、 3
mM GA3を含むMS培地
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シュート増殖
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同左
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発根
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5 uM BAP、3
uM GA 3 を含むMS培地
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馴化条件
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記載なし
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鉢上げ・定植
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記載なし
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栽培条件
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記載なし
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再生植物体の形質
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記載なし
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分析した成分
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成分の抽出法
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分析法
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備考
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酸不溶性灰分
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生薬名
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モッコウ
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試験名称
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エキス含量
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分析条件
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エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 17.0%以上.
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備考
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精油含量
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生薬名
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モッコウ
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試験名称
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純度試験
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分析条件
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(1) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下).
(2) 異物 本品の横断面にヨウ素試液を滴加するとき,青紫色を呈しない.
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備考
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その他 各種試験法詳細
生薬名
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モッコウ
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試験名称
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その他
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分析条件
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<参考情報>
調製方法:粉末1.0 g→メタノール10 mL,10分間振り混ぜ抽出
展開溶媒:ヘキサン/アセトン混液(7:3)
塗 布 量 :5 μL
標準品A:コスツノリド
標準品B:デヒドロコスツスラクトン
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備考
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TLC条件、検出試薬の検討 及び Merck社製とWako社製TLC plateの比較
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画像データ
画像
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備考
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Merck 社製
TLC plate(7cm展開) Rf値: 0.50 0.47 展開時間:8分 検出試薬.希硫酸噴霧 標準品A:コスツノリド 標準品B:デヒドロコスツスラクトン ① 中国・四川(2013年) ② 中国・四川(2012年) ③ 中国・雲南(2011年)
④ 中国・雲南(2010年)
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画像
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備考
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Merck 社製
TLC plate(7cm展開) Rf値:0.47 0.44 展開時間:8分
検出試薬.2,4-ジニトロフェニルヒドラジン試液噴霧 標準品A:コスツノリド
標準品B:デヒドロコスツスラクトン ① 中国・四川(2013年) ② 中国・四川(2012年) ③ 中国・雲南(2011年)
④ 中国・雲南(2010年)
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画像
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備考
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Wako 社製
TLC plate(7cm展開) Rf値: 0.50 0.47 展開時間:6分 検出試薬.希硫酸噴霧 標準品A:コスツノリド 標準品B:デヒドロコスツスラクトン ① 中国・四川(2013年)
② 中国・四川(2012年) ③ 中国・雲南(2011年) ④ 中国・雲南(2010年)
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画像
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備考
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Wako 社製 TLC
plate(7cm展開) Rf値: 0.49 0.46 展開時間:6分 検出試薬.2,4-ジニトロフェニルヒドラジン試液噴霧 標準品A:コスツノリド
標準品B:デヒドロコスツスラクトン ① 中国・四川(2013年) ② 中国・四川(2012年) ③ 中国・雲南(2011年)
④ 中国・雲南(2010年)
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NMR情報 1件
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漢方処方情報
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処方番号
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処方名(漢字)
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加味帰脾湯
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処方よみがな
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かみきひとう
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処方局法収載
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医療用処方
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処方成分分量
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ニンジン 3 ビャクジュツ 3(ソウジュツも可) ブクリョウ 3 サンソウニン 3 リュウガンニク 3 オウギ 2-3 トウキ 2 オンジ 1-2 サイコ 2.5-3 サンシシ 2-2.5 カンゾウ 1 モッコウ 1 タイソウ 1-2 ショウキョウ 1-1.5 ボタンピ 2 (ボタンピはなくても可)
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処方用法・用量
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処方効能・効果
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処方原典
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処方出典
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処方エキス収率ファイル名
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文献情報
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生薬名
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ニンジン , ビャクジュツ , ブクリョウ ,
サンソウニン , リュウガンニク , オウギ , トウキ , オンジ , サイコ , サンシシ , カンゾウ , モッコウ , タイソウ , ショウキョウ , ボタンピ
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副作用情報
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特発性腸間膜静脈硬化症
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Kampo
CONSORT Statement
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生物活性情報
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試験名
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Amyloid beta cell death
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研究領域
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脳・神経系
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試験レベル
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Cell-based
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プロトコール
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ddYマウス胎生14日齢胎児脳より大脳皮質を摘出し分散培養した。培養1日後、10uM Amyloid-beta(25-35)と試験エキスを同時投与し、48時間後の生細胞数をCellTiter-Glo 試薬 (Promega #G7571)にて測定した。
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結果タイプ
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コントロール細胞の生存を100%,Amyloid beta(25-35)処置による細胞生存を0%とし,試験薬物による変化を%で示し細胞死阻害活性とした。(正数値が大きいほど細胞死阻害活性が高い)
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PubMed ID
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備考
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活性試験結果情報
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% inhibition
測定データ種別
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%
inhibition
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動物種
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マウス
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濃度単位
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mg/ml
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備考
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活性試験結果
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