オナモミ(オオオナモミ)(キク科オナモミ属:一年草:草丈 〜1メートル:花期 〜8月)

薬効
かぜ 動脈硬化 頭痛(ずつう) リューマチ 湿疹(くさ) かいせん
虫さされ 歯痛(しつう)        
分布生育場所

科名:キク科/属名:オナモミ属
和名:雄菜揉み/生薬名:蒼耳(そうじ)/蒼耳子(そうじし)/学名:Xanthium occldentale
日本全土の原野、山地、道端、荒地などに自生する雑草のひとつ。

見分け方・特徴

一年草で高さは約1メートル、全体に短い剛毛があります。葉は茎に互生し、形はほぼ心臓形をしています。
先は尖り、葉縁は不揃えに切れ込み、質は厚めでやや堅く短毛があります。夏には分かれた枝先に、黄緑色の頭状花を円錐状につけます。雄性花は上方について緑色の堅い刺毛があり、雌性花は下方につきます。
果実は総苞につつまれたままで周囲に刺があり、衣服や動物の毛に附着して散布するのに好都合です。
果実中には、2個の種子が入っています。
果実は、衣服に付きやすいので子供達がセーター等に、投げ合い附着させて遊んでいるのはこの果実です。
採集と調整
夏の開花期に全草を採り、土を落として天日で乾燥させたものを、蒼耳(そうじ)といいます。
又、成熟した果実を9〜10月頃に摘み取って、天日で乾燥させます。
これを生薬(しょうやく)で、蒼耳子(そうじし)といいます。
種子の油には、リノール酸が60%〜65%含まれていて、蒼耳(そうじ)には、タンニンなどを含みます。
薬効・用い方
有効成分:種子に配糖体キサントストルマリン。脂肪油のリノール酸

風邪の解熱、頭痛、リューマチ等には、蒼耳1日量6〜13グラムを煎じて、3回に分けて服用します。
又、蒼耳子5〜10グラムを1日量として、水0.4リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして1日3回に分けて服用します。
歯やリューマチ、関節リューマチの痛み止めにも有効です。
蒼耳子(そうじし)には、わずかな毒性があるために、人によっては頭痛、めまいを起こすことがありますので、多用してはいけません。また、妊婦のかたは服用を避けるべきです。
かいせん、湿疹、虫刺されには、新鮮な葉をよくもんで、その汁を直接患部に塗布します。
生食:動脈硬化予防に果実を炒って食べます。
浴湯料:あせも、皮膚炎に乾燥した葉を浴槽に入れます。
内服:慢性胃炎には粉末にした果実1〜3グラムをお湯を注いで服用。

蒼耳油(そうじゆ):オナモミの果実から絞った蒼耳油(そうじゆ)は、リノール酸が60〜65%含まれています。これは、ベニバナ油の70%につぐ高い値で、動脈硬化の予防にも役にたちます。
その他
オナモミの名の由来は、雄生揉(おなもみ)で毒蛇に噛まれたときなどに、生の葉をもんで傷口につけると痛みが和らぐことから由来します。
本草和名(ほんぞうわみょう・918)には、漢名蒼耳(そうじ)、和名奈毛美(なもみ)という記述があります。
果実が衣服に付くことを、ナズム(滞り、引っかかるという意味)といい、ナズムから転訛(てんか)して、ナモミになり、雌ナモミに対して、雄ナモミ(オナモミ)に由来するともいわれます。

オナモミ(雄菜もみ)、メナモミ(雌菜もみ)、コメナモミ(小雌菜もみ)の順に、弥生時代後期のころから中国から渡来した。
最初に、オナモミ(雄菜もみ)が渡来して、少し遅れて小形の、メナモミ(雌菜もみ)が渡来、最後にさらに小型の、コメナモミ(小雌菜もみ)が渡来して名前がついたという

オナモミは山野の道端、荒地などに自生する雑草の一種で世界中に分布しています。日本には稲作が入ってきた頃に、大陸から渡来した帰化植物といえます。
最近は、アメリカ原産のオナモミが帰化して急激に全国に広がり始めました。

種子の油には、リノール酸が含まれており、中国では食用油をしぼるために栽培されています。