尋常性乾癬

ジンジョウセイカンセン

【英】psoriasis vulgaris

【独】Psoriasis vulgaris

【仏】psoriasis vulgaire

境界鮮明な隆起した紅斑に厚い銀白色の鱗屑が付着した皮疹が頭部,四肢伸側,体幹のとくに機械的圧迫を受けやすい部位に生じる.初発疹は一般に紅色丘疹で,それが拡大するとともに融合して大型の紅斑落屑性局面を形成する.そう痒は約半数にみられる.爪甲には点状陥凹,肥厚白濁化を認める.鱗屑を剥離すると点状の出血をみ(アウスピッツ現象Auspitz phenomenon),乾癬*の皮疹増悪時には無疹部への外的刺激により皮疹の新生をみる(ケブナー現象*Koebner phenomenon)のが本症の特徴とされている.組織学的には表皮の過増殖と炎症細胞浸潤を特徴とする.表皮の過増殖は表皮細胞のturnover timeの短縮あるいは細胞分裂を繰り返すcycling cellの増加によるものと考えられ,これには表皮細胞ならびに炎症細胞から放出されるサイトカインが深く関与している.治療は対症療法が主体でステロイド外用薬,ビタミンD3外用薬,ソラレン(P)の外用後,長波長紫外線(UVA)を照射する外用PUVA療法(プーバ(PUVA)療法*)などがある.重症の患者にはP内服による内服PUVA療法,エトレチナート,メトトレキサート,シ(サイ)クロスポリンを用いることがある.ただし,エトレチナートには催奇形性,骨障害,メトトレキサートには肝障害,シクロスポリンには腎障害,血圧上昇などの副作用があるので慎重に用いることが必要である.