腸性肢端皮膚炎

チョウセイシタンヒフエン

【英】acrodermatitis enteropathica, enteropathic acrodermatitis syndrome of Dambolt ＆ Cless

【独】Acrodermatitis enteropathica, enteropathische Acrodermatitis

【仏】acrodermatitis enteropathica, acrodermatite enteropathique

【ラ】acrodermatitis enteropathica

亜鉛の吸収障害（亜鉛欠乏症zinc deficiency disorders）による乳幼児期にみられるまれな常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝性疾患．口囲，眼囲，鼻孔，肛囲などの開口部や機械的な刺激の加わりやすい手足，肘頭，膝蓋などに鱗屑，痂皮の付着した紅斑が出現，膿痂疹，湿疹，乾癬様の病変を呈する．皮疹は進行性で，水疱や膿疱を生じ，破れてびらんを形成する．頭部は脱毛を認め，眉毛，睫毛も脱落し，典型例では全脱毛となる．消化器症状として下痢をみる．腸管での亜鉛の吸収障害が原因で，亜鉛と結合するリガンドの異常が示唆されている．血清亜鉛の低値により診断される．亜鉛酵素のアルカリホスファターゼの低値も診断の参考になる．硫酸亜鉛の内服は著効を呈し，短期間のうちに皮疹，下痢，脱毛が改善される．