酵素反応

コウソハンノウ

【英】enzyme reaction

【独】Enzymreaktion

【仏】re´action enzymatique

 

酵素によって触媒される反応で,生体内の化学反応はほとんどすべて酵素反応である.酵素は反応の平衡を変えることはなく,活性化エネルギーを低下させて反応を起こりやすくする.酵素反応では酵素と基質が可逆的に結合して酵素‐基質複合体を作り,これが解離して生成物と遊離の酵素が生ずると考えられている(ESESEP).酵素反応には次のような特徴がある. 1)基質に対する特異性が著しく高い(基質特異性).したがって酵素は各固有の反応のみを触媒する. 2)酵素が最も効率よく作用するには適当な温度(最適温度)やpH(最適pH)など,特定の反応条件が必要であり,特別の場合を除き温度が2040℃,pH59程度の温和な条件でのみ進行する(ペプシンがきわめて酸性条件でのみ反応を触媒するのは例外に属する). 3)基質による飽和がみられる.酵素反応の速度は酵素‐基質複合体の量に依存する(図).したがって酵素量が一定のときは,基質濃度が増加するにつれて基質と結合した酵素の量が増加し,反応速度は図のように変化する.酵素が基質によって飽和されると酵素‐基質複合体の生成と分解は等しくなり,反応は最大活性(Vmax)を示す. 4)種々の物質によって酵素作用の活性化や阻害が起こり,その結果反応速度が変化する.生成物阻害,フィードバック阻害,アロステリック効果*などは生体内の物質の代謝調節上重要な生理的意義がある.→酵素,ミカエリス・メンテンの式

→図