ガンザー症候群
ガンザーショウコウグン
【英】Ganser syndrome
【独】Ganser‐Syndrom
【仏】syndrome de Ganser
同義語:ガンザーもうろう状態Ganser twilight state
S. J. M. Ganserにより1898年に記載された特異なヒステリー性もうろう状態の一つで,的はずれ応答approximate answers(自分の姓名,年齢,生年月日,指の本数,1+2の計算などといった誰にでもできるような簡単な質問に答えられなかったり,2+3=4, 1+2=5,指の本数は12本などと質問の正解と関連性があって少し異なる返答をする)を中心症状として,意識障害(夢幻様状態で周囲への認識,理解力,注意力が低下し,場所,時間などに対する見当識が障害される.普通この状態は徐々に回復し後に多少ともその期間内の記憶欠損を残す),幻覚(幻視,幻聴),感覚運動障害(頭痛,痛覚脱失,運動失調,平衡障害など)などのヒステリー症状を呈する症候群.この症候群はGanserが未決拘禁囚を中心として報告したことからもわかるように,拘禁下に多く,またC. WernickeのPseudodemenz(偽痴呆),K. Stra¨usslerのPuerilismus(小児症),E. BleulerのFaxensyndrom(道化症状群*)とも類縁関係にある(Sigbert Joseph Maria Ganserはドイツの精神科医,1853‐1931).