エンドセリン

エンドセリン

【英】endothelinET

 

エンドセリン(ET)は,血管内皮細胞に由来し,21残基アミノ酸からなる血管収縮物質として単離・同定された.その血管収縮作用は,ほかに類をみないほど強力かつ持続的である.遺伝子解析により3種のアイソペプチドisopeptideの存在が発見され,ET1ET2ET3と命名され,最初に発見されたものはET1であり,“エンドセリンファミリー”の一員であることがわかった.共通のカルボキシル末端直鎖部分と2つのジスルフィド結合により形成され,変位に富むアミノ末端ループ部分とからなり,サラフォトキシンと呼ばれる蛇毒ときわめて似ているほか,構造上類似した生理活性物質はない.いずれも,38ないし39個のアミノ酸残基からなる,ビッグエンドセリンbig endothelinと呼ばれる不活性中間体から,エンドセリン変換酵素により活性型エンドセリンに生合成される.これらアイソペプチドの生理活性および組織発現は,心血管系,神経内分泌系に限らず実に多様である.