アルドステロン

【英】aldosterone

【独】Aldosteron

【仏】aldoste´rone

 

特有な化学構造としてステロイド核C18位にアルデヒド基の側鎖を有し,アルドステロンの名が由来するが,体液中では11 β‐OH基とヘミケタールhemiketalの形をとる.副腎皮質球状層で産生され,最も強力なミネラルコルチコイド作用を有する.すなわち主として腎皮質集合管に作用してNaを再吸収し,交換にKを排泄させる.作用が持続するとNaが逆に排泄されるエスケープ現象を起こすが,最終的には高血圧,低カリウム血症*,アルカローシス*を引き起こす.作用機序として,腎,結腸,唾液腺などにある,特異性は低いが高親和性の受容体と結合し,Na,K+‐ATPaseを上昇させる.生合成は,球状層に局在する,P 450C11のアイソザイムによりDOC(デオキシコルチコステロン*)に11 βと18水酸化反応,18酸化反応の3つの反応を加えられて生成される.分泌は, 1)レニン・アンギオテンシン, 2)K, 3)ACTH*により促進され,逆に1)心房性ナトリウム利尿ペプチド*, 2)ドパミンにより抑制される.とくに促進性の1)による調節が優位で,レニン‐アンギオテンシン‐アルドステロン系*を形成し,この系に基づく食塩制限,立位負荷が刺激試験に利用されている.血中濃度は早朝,安静臥位時に324 ng/dLと微量で,食塩摂取量の影響を受ける.血中では遊離型の割合が多く,このため肝を1回通過すると大半が代謝され,血中濃度の半減期は15分と短い.代謝は4050%が肝でA環還元,C3位のグルクロン酸抱合*型,10%が腎でC18位のグルクロン酸抱合型となり,0.5%が遊離型で尿中に排泄される.C18位のグルクロン酸抱合型は酸水解により遊離型になる.