亜急性皮膚エリテマトーデス

アキュウセイヒフエリテマトーデス

【英】subacute cutaneous lupus erythematosusSCLE

同義語:自己免疫性環状紅斑autoimmune annular erythema

皮膚症状からみたエリテマトーデス*(LE

エリテマトーデス

エリテマトーデス

【英】lupus erythematosusLE

【独】Lupus erythematodes

同義語:紅斑性狼瘡

 

lupus erythematosus(紅斑性狼瘡)の慣用的名称である.lupusはラテン語でオオカミ(狼)を意味し,顔面に生じた侵食性紅斑性潰瘍をさす(→狼瘡).Cazenave1851)のlupus e´rythe´mateauxというラテン語由来のフランス語から出発し,英米系ではlupus erythematosus,ドイツ語系ではLupus erythematodesが使用されるようになり,わが国では慣用語のみは後者に由来する名称を用いるようになった.一般的には,全身諸臓器を侵す全身性エリテマトーデス*(SLE)と,皮膚に限局する〔慢性〕円板状エリテマトーデス(円板状エリテマトーデス*;DLE

円板状エリテマトーデス

エンバンジョウエリテマトーデス

【英】discoid lupus erythematosusDLE

【独】Lupus erythematodes chronicus discoides

【仏】lupus e´rythe´mateux chronique

【ラ】lupus erythematodes discoides

 

濾胞状角栓化を伴った鱗屑状紅斑と,中心部の萎縮をもつ皮膚病変を特徴とする疾患である.女性に多く男性の2倍である.発症年齢は3545歳にピークをもつ.全身性エリテマトーデス*(SLE)に比べると,男性や老齢者に多い.病変は顔面,前胸部に多い.患者の一部には,LE細胞現象*,

LE 細胞現象

エルイーサイボウゲンショウ

【英】lupus erythematosusLEcell phenomenon

【独】LEZellenpha¨nomen

同義語:LE現象LE phenomenon

 

LE細胞は全身性エリテマトーデス*患者の骨髄で見出された現象である.本症での陽性率は6080%であるが,その他の膠原病*

膠原病

コウゲンビョウ

【英】collagen diseaseCD

【独】Kollagenkrankheit, Kollagenose

【仏】maladie du collagene, collage´nose

 

膠原病の概念はKlemperer1942)らによって提唱されたもので,それまでの臓器中心の考え方では律することができない疾患に対し,系という考え方を導入した病理組織学的概念である.当初,全身性エリテマトーデス*(SLE)と強(鞏)皮症*について研究されたが,その後広範な結合組織の炎症を主病変とする疾患群として,慢性関節リウマチ*,リウマチ熱*,多発性筋炎*および結節性多発動脈炎*が追加された.当時この考え方は多数の臨床家に支持され,その神秘的なひびきと相まって,ややもすればそれがあたかも診断名のように使われた.しかしKlemperer自身がいうように膠原病は疾患群であり,病因とは全く関係のない概念であり,その後2回にわたり,膠原病という診断名はないということを臨床家に警告している.膠原病を臨床的にみると,前記6疾患が含まれており,互いに共通する臨床症状や臨床検査成績を示す疾患群であるが,典型例ではそれが非常に異なっていることがわかる.さらに重要なことは,膠原病の範畴に入る疾患は,治療反応性が全く異なり,したがって生命予後が全く異なっている.このことからも膠原病ということを診断名として使用してはならないことがわかる.日常の診療では,ときとして「膠原病」としかいえない症例に遭遇することがある.しかしそのような場合でも,SLEの疑いとか,強皮症の疑いといったように分類し,決して膠原病と診断してはならない.→結合〔組〕織病

でも出現することがある.LE細胞形成の機序は,ある程度傷害された白血球の核がLE因子(核タンパクであるDNA・ヒストン抗原の不溶性成分に対する抗核抗体‐抗DNP抗体,主に7 SIgG)と反応し,膨化変性して均質無構造化する(これをLE体と呼んでいる).ついで主に好中球,まれに単球が補体の存在下でLE体を貪食して完成する.したがって,貪食細胞では本来の核が細胞質の一方に圧排されている.LE体単独で(この場合ヘマトキシリン体hematoxylin bodyともいう),あるいはそれをとりまいて貪食細胞がロゼットを形成することがある.LE細胞,LE体,ロゼット3者の出現をLE細胞現象という.普通は採取した患者血液を試験管内で機械的に破砕し,孵置後この現象を起こさせて観察する.この際,偽LE細胞との鑑別が重要である.

抗核抗体*,抗DNA抗体*が出現し,低補体血症hypocomplementemiaを伴いSLEに移行するものがある.しかし大部分の症例では,皮膚病変以外の臨床症状は示さない.この点SLEとは明らかに異なっている.他方SLE患者に円板状皮膚病変がみられることがある.このようなSLEは腎障害がないか,あっても軽微で生命予後は良い.

に大別する.また,両者の中間型として亜急性皮膚エリテマトーデス*(SCLE),および特殊型として深在性エリテマトーデス*などが分類される.いずれも自己免疫機序が発症の基盤に考えられているが,不明の点も多い.現在,上記分類は種々の立場から名づけられた診断名が同列に扱われているという大きな矛盾があるため,統一的に診断名と皮疹名を考える提案がなされている.

の一型として,Sontheimerら(1979)によって提唱された概念である.慢性固定型の〔慢性〕円板状エリテマトーデス(円板状エリテマトーデス*discoid lupus erythematosusDLE)の皮疹と急性型の全身性エリテマトーデス*systemic lupus erythematosusSLE


狼瘡

ロウソウ

【英】lupus

【ラ】lupus

 

lupusはラテン語でオオカミ(狼)を意味し,狼に食いちぎられたあとに生じたような顔面の侵食性紅斑性潰瘍をさす.元来,狼瘡という病名は,皮膚の真正(性)結核である尋常性狼瘡瘍*lupus vulgarisに対して用いられていた.19世紀に瘢痕を残しやすいエリテマトーデス*の皮疹型である〔慢性〕円板状エリテマトーデス(DLE)に対して,当時病因として結核との関連が考えられたこともあり,いくつかの名称の変遷を経て,紅斑性狼瘡lupus erythematosusの病名が用いられるようになった.その後,紅斑性狼瘡の中に,全身性の病型(全身性エリテマトーデス*(SLE))

尋常性狼瘡

ジンジョウセイロウソウ

【英】lupus vulgaris

【独】Lupus vulgaris

【仏】lupus vulgairelupus tuberculeux

【ラ】lupus vulgaris

同義語:狼瘡様皮膚結核tuberculosis cutis luposa

 

皮膚結核*tuberculosis of the skinの一つの型である.

皮膚結核

ヒフケッカク

【英】tuberculosis of the skin, skin tuberculosis

【独】Tuberkulose der Haut, Hauttuberkulose

【仏】tuberculoses cutane´es

【ラ】tuberculosis cutis

 

ヒト型結核菌Mycobacterium tuberculosisまたはウシ型結核菌Mycobacterium bovisによる皮膚病変の総称である.まれにBCG*による.結核菌*に対する個体の免疫状態,過敏状態,結核菌の侵入経路・菌量・病原性により,さまざまの臨床像がみられることとなる.さらに,微細外傷,血行障害なども影響因子となる.皮膚結核は次の4型に分けられる. 1)外因性感染:皮膚初感染徴候primary tuberculous complex, primary inoculation tuberculosis,皮膚いぼ(疣)状結核*tuberculosis verrucosa cutis 2)内因性感染:尋常性狼瘡*lupus vulgaris,皮膚腺病*scrofuloderma,開口部皮膚結核tuberculosis cutis orificialis(潰瘍性粟粒結核tuberculosis miliaris ulcerosaともいう),皮膚粟粒結核tuberculosis cutis miliaris generalisata,転移性結核性膿瘍metastatic tuberculous abscess 3BCG接種による結核, 4)結核疹*tuberculids:結核菌の関与の比較的明瞭なもの(腺病性苔癬*lichen scrofulosorum,丘疹性壊疽性結核疹*papulonecrotic tuberculid,陰茎結核疹Penistuberkulide),時に結核菌の関与があるもの(バザン硬結性紅斑*erythema induratum Bazin,結節性紅斑*erythema nodosum),結核菌と関係のないもの(顔面播種状粟粒性狼瘡*lupus miliaris disseminatus faciei).別の分け方をすれば,真性(正)皮膚結核true cutaneous tuberculosisと結核疹に2大別される.真性皮膚結核は病変局所に結核菌が存在して起こる感染病変である.結核疹は反応性病変で局所の結核菌は陰性である.

皮膚以外の結核病巣(リンパ節,口腔粘膜,肺など)から血行性,リンパ行性あるいは連続性に,結核菌が皮膚に達し発症する.結核菌に対する過敏症を有するが,免疫の程度は低い個体にみられる.ツベルクリン反応は強陽性であることが多い.通常は単発性である.頭頚部に好発する.初発病変は褐紅色の軟らかい丘疹ないし小斑で,次第に遠心性に拡大,あるいは新生する丘疹が融合しつつ拡大し,治癒する部がある一方,新生する部があり,全体として表面乾燥性,中心部が萎縮性の辺縁不規則な紅斑局面となる.丘疹をガラス圧子で圧迫すると,黄色の結節(狼瘡小結節Lupuskno¨tchen,アップルゼリー結節applejelly nodule)が透見される.年余にわたりきわめて慢性に経過し,顔面軟骨の破壊,眼瞼外反,小口症などをきたす.関節部では拘縮も起こる.扁平斑状型のほか増殖型,潰瘍型などがある.組織学的には類上皮性結核結節であるが,乾酪壊死は軽度であり,抗酸菌染色で結核菌を見出すことはむずかしい.長期にわたる病変では癌化することがある.

と,皮膚限局性の病型があることが認識されるようになった.現在では,単に狼瘡lupusといった場合,紅斑性狼瘡を意味する場合が多くなっている.

の滲出性紅斑の中間に位置する皮疹型で,環状連圏状型と丘疹落屑型の2型がある.この皮疹型を有するLE患者は,関節痛,発熱などの軽度の全身症状を伴うが,重篤な腎症状,中枢神経症状はまれとされ,また抗SSARo)抗体,抗SSBLa)抗体の出現頻度が高く,HLAB8HLADR3との相関が報告されていることから,単に皮疹型としてではなく,LEの中の一疾患単位として理解されている場合が多い.しかし,SCLEの半数がARA(アメリカリウマチ学会)のSLE診断基準案を満たし重症例も決してまれではないこと,また他の皮疹型の併存がかなり認められることから,単にLEの一皮疹名として理解するほうがよいとの意見もある.人種差の問題もあり,わが国で多く報告されているシェーグレン症候群*に伴う環状紅斑*annular erythemaとの異同が問題になっている.