酵素-5(な)

乳酸ラセマーゼ

乳酸ラセマーゼ

識別子

EC番号

5.1.2.1

CAS登録番号

9024-05-9

データベース

IntEnz

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KEGG

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MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

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PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

乳酸ラセマーゼ(lactate racemase)は、乳酸2つの立体異性体の間の相互変換を触媒する酵素である。

(S)-乳酸 {\displaystyle \rightleftharpoons } \rightleftharpoons (R)-乳酸

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a7/L-Milchs%C3%A4ure.svg/120px-L-Milchs%C3%A4ure.svg.png

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/26/D-Milchs%C3%A4ure.svg/120px-D-Milchs%C3%A4ure.svg.png

(S)-乳酸・L-乳酸

(R)-乳酸・D-乳酸

分布

乳酸菌のうちLactobacillus sakeiLactobacillus curvatusLactobacillus plantarumなど数種で知られている。また乳酸菌以外でもクロストリジウム嫌気性真正細菌)や特定の好塩古細菌などで活性が示されている[1]。なお乳酸ラセマーゼをコードするlarA遺伝子自体は広範な原核生物から見出されている[2]

構造と性質

酸化に強い感受性があるため生化学的研究はほとんど行われていない[1]1968年にL. sakeiの乳酸ラセマーゼを用いた研究があり、分子量およそ25kDaで鉄イオンの関与が示唆されていた[3]。一方2014年になってL. plantarumの乳酸ラセマーゼの遺伝子larAが同定されたが、それによれば分子量はおよそ46kDaで活性にニッケルを要求する[2]

反応機構

C. beijerinckiiでは、酵素のスルフヒドリル基にα-カルボニル中間体が共有結合する機構で酵素が働くという証拠が得られている[4]

L. sakeiから精製した乳酸ラセマーゼは乳酸脱水素酵素活性は示さない[3]。またこの酵素は、AMPオキサミン酸アタブリンアデノシン一硫酸塩シアニド、そしていくつかの鉄キレート剤で阻害されることが分かっている。この酵素で触媒される化学反応は、D型とL型の存在量が等モルになった点で平衡に達する[3]

L. plantarumでは、最初にL-乳酸が生成され、乳酸ラセマーゼの活性を誘導する。乳酸ラセマーゼはL-乳酸の不存在下では発現しない。酵素の活性が誘導されると、D-乳酸が生成されるようになり[1]、最終的にほぼ等量のD-乳酸とL-乳酸が生成し、平衡に達する。この種では、lar活性は、D-乳酸によって抑制され、larオペロン活性はL-乳酸によって正の制御を受ける。つまり、larオペロン活性は、L-乳酸/D-乳酸比によって制御されることになる。

重要性

L. plantarumにおけるピルビン酸の乳酸への代謝には、2つの経路が存在する。その1つはNAD依存性乳酸脱水素酵素によりD-乳酸を生成するもので、もう1つは乳酸ラセマーゼによるものである。乳酸脱水素酵素が不活化または阻害された場合、乳酸ラセマーゼは細菌のD-乳酸生成の救出経路として働く[1]L. plantarumにおけるD-乳酸生成は、細胞壁生合成と関係しているため、この働きは重要である。実際に、乳酸脱水素酵素を欠き、L-乳酸のみを生成するlarオペロンを持つ変異体では、ペプチドグリカン生合成が起こらなかった。

出典

  1. ^ a b c d Goffin Philippe, Deghorain Marie, Mainardi Jean-Luc et al. (2005). “Lactate racemization as a rescue pathway for supplying D-lactate to the cell wall biosynthesis machinery in Lactobacillus plantarum. J. Bacteriol. 187 (19): 6750-61. doi:10.1128/JB.187.19.6750-6761.2005. PMC 1251571. PMID 16166538. http://jb.asm.org/cgi/content/abstract/187/19/6750. 
  2. ^ a b Desguin et al. (2014). Lactate racemase is a nickel-dependent enzyme activated by a widespread maturation system. Nat. Comm. 5: 3615. doi:10.1038/ncomms4615. 
  3. ^ a b c Hiyama T, Fukui S, Kitahara K (1968). Purification and properties of lactate racemase from Lactobacillus sake. J. Biochem. 64 (1): 99-107. PMID 5707819. 
  4. ^ Cantwell A, Dennis D (1974). Lactate racemase. Direct evidence for an alpha-carbonyl intermediate. Biochemistry 13 (2): 287-91. doi:10.1021/bi00699a009. PMID 4810054.

ヌクレアーゼ

ヌクレアーゼ(Nuclease)は核酸分解酵素の総称。デオキシリボ核酸ないしリボ核酸の糖とリン酸の間のホスホジエステル結合を加水分解してヌクレオチドとする。

RNAを分解するリボヌクレアーゼとDNAを分解するデオキシリボヌクレアーゼに分類できる他、両方を分解することができるヌクレアーゼも知られており、その役割も様々である。ウイルスが有するヌクレアーゼには宿主の核酸を分解して自らの核酸の原料とする役割をもつものがある。また、制限酵素もヌクレアーゼの一種であり、これは外来の核酸を分解してウイルスの感染、増殖を防ぐ役割があると考えられている。核酸がメチル化されているとヌクレアーゼは働かなくなるため、自分の核酸を無闇に分解しないようにこの酵素を有する細菌も多い。多細胞生物においては死滅した細胞の核酸を分解するためにヌクレーゼが生産されることがあるほか、特殊な例としては紫外線などの影響で二量化したチミジンをとりはずすためのヌクレアーゼが存在する。

分解の型式により、エンドヌクレアーゼとエキソヌクレアーゼという分類もできる。

エンドヌクレアーゼ(英:endonuclease)

核酸配列の内部(endo-)で核酸を切断する酵素で、すなわち糸を途中で切るように核酸を切断する。制限酵素は代表的なエンドヌクレアーゼである。

エキソヌクレアーゼ(英:exonuclease)

核酸配列の外側(exo-)から、すなわち核酸の5'端または3'端から削るように分解する。DNAポリメラーゼにもエキソヌクレアーゼ活性があるが、それはDNA複製中のミスを校正するためであると考えられている。

ネオプルラナーゼ

識別子

EC番号

3.2.1.135

CAS登録番号

119632-58-5

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ネオプルラナーゼ(NeopullulanaseEC 3.2.1.135)は、プルランに作用しパノース(6-α-D-グルコシルマルトース)を遊離する化学反応を触媒する加水分解酵素である[1]。 系統名はプルラン 4-D-グルカノヒドロラーゼ(パノース形成)(pullulan 4-D-glucanohydrolase (panose-forming))

 

概要

2

関連項目

3

出典

4

外部リンク

 

概要

1988年に、Bacillus stearothermophilus TRS40の生産するプルラン分解酵素が、プルランのα-1,4グルコシド結合を加水分解し、α-パノースを生成することが見いだされた[1]。この酵素の基質特異性はTVAと同じであったが、TVAと比べて澱粉の加水分解力が小さかったことから、ネオプルラナーゼと命名された。この酵素もTVAと同様に、α-1,4結合の他にもα-1,6結合をも加水分解できること、糖転移できることが明らかとされた[2]

 

関連項目[編集]

プルラナーゼ(EC 3.2.1.41)

イソプルラナーゼ(EC 3.2.1.57)

加水分解酵素

出典

^ a b Imanaka, T. and Kuriki, T. (1989). “Pattern of action of Bacillus stearothermophilus neopullulanase on pullulan”. J. Bacteriol. 171: 369-374. PMID 2914851.

^ 『澱粉の科学と技術』 ISBN 978-4990528706

外部リンク

Neopullulanase - MeSH、米国国立医学図書館、生命科学用語シソーラス (英語サイト)

カテゴリ: EC 3.2.1酵素加水分解酵素

PI3キナーゼ

PI3キナーゼ: Phosphoinositide 3-kinase, PI3KEC 2.7.1.137)は、イノシトールリン脂質イノシトール環3位のヒドロキシル基-OH基)のリン酸化を行う酵素である[1]。イノシトールリン脂質は真核生物細胞膜を構成する成分の一つであり、PI3Kをはじめとしたキナーゼ(リン酸化酵素)の触媒作用を受けてホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸 PtdIns(3,4,5)P3となり、プロテインキナーゼBPKB/Aktを活性化を起こす。このシグナル伝達経路はPI3キナーゼ-Akt経路と呼ばれ、様々な生理作用の発現に関与する。特にインスリンの分泌促進に深く関与することから[2]、新たな糖尿病薬の開発が示唆されている[3]

分類

PI3キナーゼは構造によりクラスI・クラスIIおよびクラスIII3つのクラスに分類される。

クラスI

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/10/PI3kinase.png/160px-PI3kinase.png

PI3キナーゼ。

クラスI PI3Kはヘテロ二量体であり、シグナル伝達において重要な役割を果たす。これらはアミノ酸配列の相同性からクラスIAとクラスIBにさらに分けられる。クラスIA p110α、β およびδからなり、調節サブユニットであるp85α、p55α、p50α、p85βおよびp55γと結合している。これらの調節サブユニットのうちp85αの発現が最も高い。p85α、p55α、p50αは同一遺伝子(Pik3r1)のスプライシングバリアントであり、p85βとp55γはそれぞれPik3r2およびPik3r3遺伝子に由来する。クラスIAPKBの活性化に関与している。一方、クラスIB PI3Kであるp110γは哺乳類においてのみ発現が見られ、Gタンパク質のβγサブユニットやp101によってその機能を調節される。クラスIBPI3キナーゼは主にGタンパク質共役受容体GPCR)からの刺激により活性化され、PtdIns(3,4)P2のリン酸化により産生されたPtdIns(3,4,5)P3は細胞内情報伝達機構においてセカンドメッセンジャーとして機能する。

クラスII・クラスII

クラスIIにはα、βおよびγの4つが存在するが、いずれも調節サブユニットを有さず単量体で酵素活性を示す。クラスIと比較してPtdInsPtdIns(4)Pに対する基質特異性が高い。クラスIIの機能や活性化機構についてはまだ議論の余地がある。

また、クラスIII PI3KPtdInsからPtdIns(3)Pを産生し機能的にはクラスIIに近いが、構造的にはクラスIにより類似しておりヘテロ二量体を形成して機能する。クラスIII PI3Kはタンパク質輸送などに関与している。

活性化経路

細胞に何らかの刺激が入るとTyr-X-X-MetYXXMX=任意のアミノ酸モチーフを有する分子に対して調節サブユニットであるp85SH2ドメインを介して結合する。調節サブユニットは2つのプロリンに富んだ領域(PRMモチーフ)を有しており、p110との結合に関与している[4]。活性化したPI3Kは細胞膜においてPtdIns(3,4,5)P3を産生する反応に関与するが、PKBを活性化する経路にはPtdIns(3,4,5)P3PKBを活性化する直接的な経路と間接的経路が存在する。間接的経路においてはPtdIns(3,4,5)P3PDK13-phosphoinositide-dependent protein kinase-1)と呼ばれるプロテインキナーゼをリクルートし、PKBのリン酸化を行う。さらにPDK2によるPKBカルボキシル基側末端側ドメインのリン酸化も行われ、PKBは細胞膜から遊離する。

機能

PI3Kの機能はイノシトールリン脂質をリン酸化することにより、3位がリン酸化されたホスファチジルイノシトールを生成する反応を触媒することである。この反応による生成物としてPtdIns(3)PPtdIns(3,4)P2PtdIns(3,5)2PtdIns(3,4,5)P3が挙げられる。PI3Kの活性化はその下流にある分子を介して細胞分化・増殖や代謝細胞遊走細胞骨格の再構築など多様な生物活性を引き起こすことが知られている。インスリン受容体により活性化されたPI3Kは特に細胞へのグルコースの取り込みやタンパク質およびグリコーゲンの合成に関与している。PtdIns(3,4,5)P3をはじめとしたPI3K産物はPKBやプロテインキナーゼδ1などのプレクストリン相同ドメインPHドメイン)、PXドメインFYVEドメインなどの配列を持つタンパク質に対して結合し下流にシグナルを伝えることが知られる[5][6]p110αおよびβは全ての細胞において発現しており、遺伝子工学的な手法によりこれらの遺伝子を欠失させたマウス(ノックアウト(KO)マウス)は胎生致死となることが報告されている[7][8]p110γは好中球マクロファージの遊走[9][10]肥満細胞脱顆粒反応[11]に関与している。細胞においてはクラスIAp110αに変異が生じていることがあり、酵素活性の上昇が見られる。PTENPtdIns(3,4,5)P3を脱リン酸化する酵素であり、PI3Kの機能に対して拮抗的に働くことにより抗癌化作用を示す。また、p110δは主に白血球などの免疫系細胞において発現がみられる。

阻害薬

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/52/Wortmannin_chemical_structure.png/160px-Wortmannin_chemical_structure.png

ワートマニン。

PI3K阻害薬としてワートマニン(Wortmannin)やLY294002などの薬物が存在するが高濃度で生体に投与した際に種々の毒性を発現することが知られている。近年では新規PI3K阻害薬であるAS605240ZSTK474PI3Kδ特異的阻害薬であるIC486068IC87114は毒性が少ないことから治療薬としての応用が検討されている。

出典

  • 今堀 和友、山川 民夫 編集 『生化学辞典 第4版』東京化学同人 2007ISBN 978-4-8079-0670-3
  • Gomperts BD, Kramer IM and Tatham PE 原著『シグナル伝達』メディカル・サイエンス・インターナショナル 2004ISBN 4-89592-369-X

参考文献

1.     ^ Vanhaesebroeck B, Leevers SJ, Ahmadi K, Timms J, Katso R, Driscoll PC, Woscholski R, Parker PJ and Waterfield MD.(2001)"Synthesis and function of 3-phosphorylated inositol lipids."Annu.Rev.Biochem. 70,535-602. PMID 11395417

2.     ^ Kaneko, Kazuma; Ueki, Kohjiro; Takahashi, Noriko; Hashimoto, Shinji; Okamoto, Masayuki; Awazawa, Motoharu; Okazaki, Yukiko; Ohsugi, Mitsuru; Inabe, Kazunori; Umehara, Toshihiro; Yoshida, Masashi; Kakei, Masafumi; Kitamura, Tadahiro; Luo, Ji; Kulkarni, Rohit N.; Kahn, C. Ronald; Kasai, Haruo; Cantley, Lewis C.; Kadowaki, Takashi (2010-12-01) "Class IA Phosphatidylinositol 3-Kinase in Pancreatic β Cells Controls Insulin Secretion by Multiple Mechanisms" Cell Metabolism 12(6):619-632, doi:10.1016/j.cmet.2010.11.005

3.     ^ 日本放送協会、2010126日「尿病関わるたんぱく質特定 」『NHKニュース』2010126日参照

4.     ^ Otsu M, Hiles I, Gout I, Fry MJ, Ruiz-Larrea F, Panayotou G, Thompson A, Dhand R, Hsuan J, Totty N, et al.(1991)"Characterization of two 85 kd proteins that associate with receptor tyrosine kinases, middle-T/pp60c-src complexes, and PI3-kinase."Cell. 65, 91-104. PMID 1707345

5.     ^ Stephens L, Anderson K, Stokoe D, Erdjument-Bromage H, Painter GF, Holmes AB, Gaffney PR, Reese CB, McCormick F, Tempst P, Coadwell J and Hawkins PT.(1998)"Protein kinase B kinases that mediate phosphatidylinositol 3,4,5-trisphosphate-dependent activation of protein kinase B."Science., 279, 710-14. PMID 9445477

6.     ^ Anderson KE, Coadwell J, Stephens LR and Hawkins PT.(1998)"Translocation of PDK-1 to the plasma membrane is important in allowing PDK-1 to activate protein kinase B."Curr.Biol. 8,684-91. PMID 9637919

7.     ^ Bi L, Okabe I, Bernard DJ, Wynshaw-Boris A and Nussbaum RL.(1999)"Proliferative defect and embryonic lethality in mice homozygous for a deletion in the p110alpha subunit of phosphoinositide 3-kinase."J.Biol.Chem. 274,10963-8. PMID 10196176

8.     ^ Bi L, Okabe I, Bernard DJ and Nussbaum RL.(2002)"Early embryonic lethality in mice deficient in the p110beta catalytic subunit of PI 3-kinase."Mamm.Genome. 13,169-72. PMID 11919689

9.     ^ Sasaki T, Irie-Sasaki J, Jones RG, Oliveira-dos-Santos AJ, Stanford WL, Bolon B, Wakeham A, Itie A, Bouchard D, Kozieradzki I, Joza N, Mak TW, Ohashi PS, Suzuki A and Penninger JM.(2000)"Function of PI3Kgamma in thymocyte development, T cell activation, and neutrophil migration."Science. 287,1040-6. PMID 10669416

10.  ^ Del Prete A, Vermi W, Dander E, Otero K, Barberis L, Luini W, Bernasconi S, Sironi M, Santoro A, Garlanda C, Facchetti F, Wymann MP, Vecchi A, Hirsch E, Mantovani A and Sozzani S.(2004)"Defective dendritic cell migration and activation of adaptive immunity in PI3Kgamma-deficient mice."EMBO J. 23,3505-15. PMID 15318168

11.  ^ Laffargue M, Calvez R, Finan P, Trifilieff A, Barbier M, Altruda F, Hirsch E and Wymann MP.(2002)"Phosphoinositide 3-kinase gamma is an essential amplifier of mast cell function."Immunity. 16,441-51. PMID 11911828

ヒアルロニダーゼ

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ヒツジ由来のヒアルロニダーゼ

ヒアルロニダーゼ (Hyaluronidase) は、ヒアルロン酸を分解する酵素である。EC番号は3.2.1.35CAS登録番号は488712-31-8

ヒアルロン酸を加水分解することによって粘度が低下するが、ヒアルロン酸は間質組織の主成分であるため、組織の浸透性が増加する。そのため、体内での分散を容易にする目的で薬に混ぜて服用されることがある。特に、眼科の手術で局所麻酔とともによく用いられる。また、皮下注入による非経口的液体の吸収率や尿路造影のための放射線不透過性を増加させる目的でも用いられる。さらに、高張液を管外遊出させる目的で用いられることもある。

黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌、ウェルシュ菌などのある種の細菌も、組織内での運動性を増加させるためや抗原偽装のため、ヒアルロニダーゼを産生する。

多くの哺乳類の受精では、ヒアルロニダーゼは精子が卵細胞に到達した時に先体から放出され、透明帯を消化して中に侵入することを可能にする。

商業用の動物由来のヒアルロニダーゼとしては、Vitrase (ISTA Pharmaceuticals)Amphadase (Amphastar Pharmaceuticals)Wydaseなどが販売されている。2005122日に、アメリカ食品医薬品局はヒト由来の組み換えヒアルロニダーゼであるHylenexを認可した。

非競合阻害

非競合阻害(ひきょうごうそがい、: non-competitive inhibition)、非拮抗阻害非競争阻害は、阻害剤が酵素の活性を減少させ、酵素に基質が結合しているかいないかにかかわらず同じようによく結合する酵素阻害機構の一種である[1]

基質が結合しているかいないかにかかわらず阻害剤が酵素に結合できるが、一方の状態に対して他方より高い親和性を示す場合は、混合型阻害剤と呼ばれる[1]

用語

全ての非競合阻害剤は酵素のアロステリック部位(すなわち活性部位以外の場所)に結合するが、アロステリック部位へ結合する全ての阻害剤が非競合阻害剤ではないことを注記しておくことが大切である[1][2]。実際、アロステリック阻害剤は競合、非競合、不競合阻害剤として作用しうる[1]

多くの文献はこれら2つの用語を一緒にしたり[3][4]、アロステリック阻害の定義を非競合阻害の定義として記し続けている。

機構

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/55/Non-competitive_inhibition.svg/220px-Non-competitive_inhibition.svg.png

非競合阻害あるいは混合型阻害の可能性がある機構の図。

非競合阻害は、どんなときでも阻害剤ならびに基質が共に酵素に結合できる系のモデルを作る。基質と阻害剤の両方が結合する時、酵素-基質-阻害剤複合体は生成物を作ることができず、酵素-基質複合体あるいは酵素-阻害剤複合体に戻ることだけができる。非競合阻害は一般的な混合型阻害とは阻害剤が酵素と酵素-基質複合体に対して等しい親和性を有する点で区別される。

非競合阻害の最もよく見られる機構は、阻害剤のアロステリック部位への可逆的結合を含むが、活性部位への直接的結合を含むその他の方法によって阻害剤が作用することが可能である。競合阻害とは、阻害剤の結合が基質の結合を妨げず(逆もまた同様)、一定時間単純に生成物形成を妨げる点で異なっている。

この種の阻害は、基質に対する触媒の見かけの結合親和性Kmapp ミカエリス・メンテン式を参照)を変化させることなく、化学反応の最大速度を減少させる。

非競合阻害剤の存在下、酵素の見かけの親和性は実際の親和性と等しい。ミカエリス・メンテン反応速度論の観点からは、Kmapp = Kmである。これはルシャトリエの原理の結果と見ることができる。阻害剤は酵素と酵素-基質複合体のどちらにも等しく結合できるため、平衡が維持される。しかしながら、一部の酵素は基質の生成物への変換を常に阻害されているため、酵素の有効濃度は低下する。

数学的には以下の通りである。

: CYP2C9酵素の非競合阻害剤

CYP2C9酵素の非競合阻害剤にはニフェジピントラニルシプロミンフェネチルイソチオシアネート6-ヒドロキシフラボンがある。コンピュータによるドッキングシミュレーションやアミノ酸置換変異体を用いた実験から、6-ヒドロキシフラボンの非競合結合部位は、CYP2C9酵素の報告されているアロステリック結合部位であることが示されている[5]

脚注

1.     ^ a b c d Types of Inhibition. 201242日閲覧。

2.     ^ Non Competitive Inhibitors. 201499日閲覧。

3.     ^ Noncompetitive inhibition and allosteric inhibition. Biology Online (forum). 201242日閲覧。

4.     ^ Noncompetitive Inhibition. 201242日閲覧。

5.     ^ Si Dayong, Wang Y, Guo Y, Wang J, Zhou H, Zhou Y-H, Li Z-S, Fawcett JP (2009). “Mechanism of CYP2C9 inhibition by flavones and flavonols. Drug Metab. Dispos. 37 (3): 629-634. doi:10.1124/dmd.108.023416. PMID 19074529. http://p4502c.googlepages.com/dmd2.pdf. 

参考文献

  • Berg, Jeremy M.; Tymoczko, John L.; Stryer, Lubert (2000), Biochemistry (5th ed.), New York: WH Freeman & Co., ISBN 0-7167-6766-X

プロテインキナーゼ

プロテインキナーゼ (Protein kinase; プロテインカイネース) は、タンパク質分子リン酸基を付加する(リン酸化する)酵素である。タンパク質キナーゼあるいは英語風にプロテインカイネースとも呼ぶ。キナーゼ(リン酸基転移酵素)の中でタンパク質をリン酸化するキナーゼをプロテインキナーゼと呼ぶが、このプロテインキナーゼのことを特にキナーゼと呼ぶことが多い(本記事では以後単にキナーゼという)。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f9/Ch4_kinases.jpg

プロテインキナーゼがATPからリン酸基を得てタンパク質リン酸化する概念図。

概要

細胞は、その機能を維持するため、細胞内のタンパク質をリン酸化、脱リン酸化する反応を繰り返している。このリン酸化によってタンパク質は酵素活性、細胞内での局在や他のタンパク質との会合状態を変化させる。細胞内の30%ものタンパク質がキナーゼによる変化を受け、細胞内における様々なシグナル伝達代謝の調節因子として機能している。キナーゼ遺伝子ヒトゲノム中に約500種類があり、また真核生物の全遺伝子の約2%を占める。

キナーゼは、ATPのリン酸基をアミノ酸残基にあるヒドロキシ基に移動させ、共有結合させる活性を有する。キナーゼはアミノ酸のうち、主にセリンスレオニンチロシン残基をリン酸化させるが、キナーゼがリン酸化するアミノ酸の99%以上はセリンスレオニンである(セリン/スレオニンキナーゼ)。しかし、0.1%に満たないチロシンのリン酸化(チロシンキナーゼ)の方が生物学的に重要なケースが多い。これら3種類すべてに反応するものや、またこのほかに微生物植物ではヒスチジンイミダゾール窒素原子に反応するもの(ヒスチジンキナーゼ;EC 2.7.13に含まれる)もある。 キナーゼの活性は精密に調節されており、キナーゼ自身もリン酸化によってオン・オフ調節を受ける。これは他のキナーゼのみならず、自分自身によって行われることもあり、“自己リン酸化”という。これらの調節は他の活性化(または抑制)タンパク質や低分子化合物の結合、細胞内での局在変化などによって起きる。

キナーゼの機能異常は病気の原因になることも多い。特にがんに関して詳細な研究が行われており、キナーゼはがん細胞の増殖、移動、浸潤やアポトーシス(細胞死)の調節に関与する。特定のキナーゼを阻害することによって治療に役立てる薬物が開発されており、中にはゲフィチニブ(イレッサ®)やイマチニブ(グリベック®)のように、すでに臨床的に用いられているものもある。

セリン/スレオニンキナーゼ

セリン/スレオニンキナーゼ(Ser/Thr kinase; 読み:セリン/スレオニン カイネース、EC 2.7.11.*)はセリンまたはスレオニンのヒドロキシ基をリン酸化する。これらは

によって調節される。これらのキナーゼの特異性は特定のアミノ酸配列に基づくものではなく、リン酸化される基質はキーとなる数個のアミノ酸(疎水結合イオン結合による)でキナーゼと結合するから、普通、キナーゼはある性質を共有する「基質ファミリー」全体に対して特異的である。ほとんどのキナーゼは、本当の基質のようにキナーゼに結合するがリン酸化を受けるアミノ酸を欠くような「擬似基質」によって阻害される。擬似基質が取り除かれるとキナーゼは機能を取り戻す。これらのキナーゼの触媒部位は高度に保存されている。 セリン/スレオニンキナーゼには以前は一部を除いて独自のEC番号はなく、"EC 2.7.1.37"を用いていた。国際生化学分子生物学連合IUBMBの命名委員会(NC-IUBMB)によって見直しされ、2005年にそれぞれ独自のEC番号が割り当てられた。

ホスホリラーゼキナーゼ

ホスホリラーゼキナーゼ(EC 2.7.11.19)は初めて発見された(1959エドヴィン・クレープスら)セリン/スレオニンキナーゼである。グリコーゲンホスホリラーゼ(グリコーゲンを加リン酸分解する酵素)を活性化する。

プロテインキナーゼA

プロテインキナーゼAAキナーゼまたはPKAEC 2.7.11.11)は2つのドメインからなり、小ドメインはβシートを、大ドメインはαヘリックスを含む。基質とATPの結合部位は2つのドメインの間隙にある。ATPと基質が結合すると、2つのドメインは互いに回転するように動き、ATPの末端リン酸基と基質のターゲットアミノ酸が近寄って反応が起きやすい位置となる。

制御

Aキナーゼは細胞内でcAMPによる調節を受け、グリコーゲン脂質代謝の調節など、いくつかの機能を有する。cAMPがないときは4量体(調節サブユニット2個と触媒サブユニット2個:R2C2)からなり、調節サブユニットが触媒サブユニットの活性中心を封鎖している。cAMPが調節サブユニットに結合すると、2個のRCに解離し、これが活性を有する。また触媒サブユニット自体もリン酸化によって調節される。Aキナーゼは次のようなフィードバック機構によってダウンレギュレーションされる:Aキナーゼによって活性化される基質の1つにホスホジエステラーゼがあり、これはcAMPAMPに変換し、cAMP量を下げてAキナーゼの活性を低下させる。グリコーゲンの分解においては、Aキナーゼがホスホリラーゼキナーゼをリン酸化して活性化し、さらにこれがグリコーゲンホスホリラーゼをリン酸化して活性化するのである。

プロテインキナーゼC

概要

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/31/Activation_protein_kinase_C.svg/500px-Activation_protein_kinase_C.svg.png

PKC活性化機構の模式図

プロテインキナーゼC(プロテインキナーゼ・シー)あるいはPKCCキナーゼ (EC 2.7.11.13) は少なくとも10種類以上のアイソザイムから構成されるタンパク質ファミリーである。PKCは基質に存在するセリンおよびスレオニン残基のヒドロキシル基をリン酸化する。1977西塚泰美らによって発見された。PKCは、その構造、活性化機構、生理機能によって、在来型(conventionalあるいはclassical:α、βI、βII、γ)、新型(novel:δ、ε、η、θ)、非典型(atypical:ζ、λ/ι)の3つのサブファミリーに分類される。在来型PKCは主にカルシウムイオンCa2+)、ジアシルグリセロール (DAG, DG)、あるいはホスファチジルセリン (PS) などのリン脂質によって活性化される。新型PKCはカルシウムイオン結合活性を失っており、ジアシルグリセロールによる活性化を受ける。ジアシルグリセロールは細胞膜、核膜の構成成分であるホスファチジルイノシトール (PI) からホスホリパーゼCによって産生されるため、在来型・新型PKCはシグナル伝達経路においてホスホリパーゼCの下流に位置する。一方、非典型PKCはカルシムイオンおよびジアシルグリセロール結合活性を持たない。在来型PKC1種であるCαを日本では特にCキナーゼと呼ぶことがある。

アイソザイム

  • conventional - DAGCa2+、リン脂質が活性化に必要。
  • PKCβII
  • novel - 活性化にDAGを必要とするが、Ca2+は不要
  • atypical - 活性化にDAGおよびCa2+は共に不要

構造と制御

在来型PKCは、N末端側の調節領域とC末端側の触媒領域からなる。通常、PKCは調節領域に存在する偽基質領域による自己阻害作用のため不活性化状態で細胞質に存在し、セカンドメッセンジャー(カルシウムやジアシルグリセロール)によって活性化されると、細胞質に移行し基質をリン酸化する。 在来型PKCの調節領域には、連続した2つのC1ドメイン(ジアシルグリセロール結合ドメイン:C1AおよびC1B)とC2ドメイン(カルシウムイオン結合ドメイン)が存在する。新型PKCは、在来型と同様に連続した2つのC1ドメインを有しているが、在来型PKCC2ドメインとホモロジーを有するC2 likeドメインはカルシウムイオンを結合しない。非典型PKC1つのC1ドメインのみを有するが、ジアシアルグリセロール結合活性は失なわれている。すべてのPKCアイソザイムの触媒領域はATP結合ドメインとキナーゼドメインからなる。

例として、在来型PKCに共通する一次構造を示す:

H2N – 偽基質領域 – C1A - C1B - C2ドメイン – ATP結合ドメイン (C3) – キナーゼドメイン (C4) - COOH

機能

PKCのターゲット配列はAキナーゼのものに似ており、リン酸化を受けるセリン/スレオニン残基の近くに塩基性アミノ酸がある。基質にはMARCKSMyristoylated alanine-rich C kinase substrate)タンパク質、MAPキナーゼ転写因子阻害タンパク質であるIκBビタミンD3受容体(VDR)、Rafキナーゼ、カルパインや上皮成長因子受容体 (EGFR) があり、細胞内シグナル伝達において特に中心的な役割を担っていると考えられる。また、12-O-テトラデカノイルホルボール 13-アセタート (TPA) などの発がんプロモーター抗がん剤として臨床試験が行われているブリオスタチン類の主要なターゲットとしても知られている。 PKCがんアルツハイマー病など様々な疾患に関与していることも明らかになっている。

Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ

EC 2.7.11.17。カルモジュリン(CaM)キナーゼとも呼ばれ、主にCa2+カルモジュリン複合体により活性化される。活性化に関して「記憶作用」、つまり活性化反応が終わっても活性化状態が長続きする性質がある。次の2つのタイプがある:

  • 特異型CaMキナーゼ:例としてミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)がある。これはミオシンをリン酸化して筋肉を収縮させる。
  • 多機能型CaMキナーゼ:CaMキナーゼIIとも呼ばれ、神経伝達物質の分泌、転写因子の制御、グリコーゲン代謝など様々な場面で働く。脳のタンパク質の1ないし2%CaMキナーゼIIである。

構造と自己調節

CaMキナーゼはN末端側の触媒ドメイン、調節ドメイン、および付随ドメインからなる。Ca2+/カルモジュリンがない場合には触媒ドメインは調節ドメイン(基質に似た配列を含む)による自己抑制を受けている。CaMキナーゼはいくつかの分子が会合してホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーになっている。Ca2+/カルモジュリンによって活性化されると、CaMキナーゼ分子は互いにリン酸化しあう。これには2つの効果がある:

  1. カルモジュリン複合体への親和性が増し、キナーゼ活性の持続時間が延長する
  2. カルモジュリン複合体が解離した後も活性化が持続し、さらに持続時間が延長する

MAPキナーゼ

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5a/Kinase_cascade.jpg/380px-Kinase_cascade.jpg

キナーゼカスケード略図

詳細は「分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ」を参照

Mitogen-activated protein kinases(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ;EC 2.7.11.24)の略。細胞をマイトジェン(細胞増殖促進物質の総称)で処理した場合に活性化したことからこの名がついた。MAPKKKK => MAPKKK => MAPKK => MAPK (これは一般的な表記法でそれぞれKはキナーゼを意味するが、実際には色々な種類がある)というカスケードを形成して順次活性化され、最終的に転写因子をリン酸化して細胞周期や増殖を制御する。

Mos/Rafキナーゼ

RafGTP結合型(活性型)のRasがん遺伝子産物)をはじめとする低分子型GTP結合タンパク質Cキナーゼなどによって活性化され、下流のMEKキナーゼをリン酸化して活性化する。Mosは動物卵の減数分裂で特異的に発現し、その活性(下流のMEK-MAPK-p90Rskを含む)は減数分裂の進行及び減数第二分裂での分裂停止(ヒトデ等の無脊椎動物は減数分裂直後のG1期停止)に必須とされる。これらのキナーゼ自体も元来、原がん遺伝子(c-mosc-raf)産物として同定されたものである。

cdc2

細胞周期の分裂期の制御因子として、分裂酵母、カエル、ヒトデなどいくつかの真核生物から独立に発見された。(2001年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象となった研究である。)制御の仕方は生物により異なるが、いずれもサイクリンとよばれるタンパク質と結合することや、それ自身がリン酸化されることによって活性を持ち、特定の基質をリン酸化することで分裂期の特徴的な現象(核膜崩壊、染色体凝集、紡錘体の形成など)を制御する。

チロシンキナーゼ

チロシンキナーゼ(あるいは蛋白質チロシンキナーゼ、Protein Tyrosine Kinase; PTKEC 2.7.10.*)はタンパク質のチロシン残基を特異的にリン酸化する酵素である。多細胞生物のみに存在し、細胞の分化,増殖、接着、あるいは免疫反応などに関わるシグナル伝達に関与する。増殖因子が結合することによって活性化する受容体型と、増殖因子が結合しない非受容体型の2型に大別される。チロシンキナーゼが活性化されると、受容体自身、あるいは標的とするタンパクを特異的にリン酸化する。受容体自身の自己リン酸化により、このリン酸化部位を認識するさまざまなシグナル伝達因子が受容体に結合し、シグナル伝達が始まる。また標的タンパクのリン酸化により、細胞内のさまざまなタンパクが次々と活性化し、シグナル伝達が始まる。がんアテローマ動脈硬化症乾癬などでは、過剰に活性化していることがある。

ヒトのチロシンキナーゼは100種類以上あると予想されている[1]が、その大半は機能が分かっていない。

受容体型チロシンキナーゼ

細胞膜を膜貫する構造であり、細胞外に増殖因子の結合部位をもち、細胞質領域にチロシンキナーゼ活性部位をもつ。EC 2.7.10.1。増殖因子は哺乳動物では50種類以上が知られ、受容体型チロシンキナーゼは、この増殖因子の刺激を細胞内へのシグナルに変換し、細胞の分裂、分化、形態形成で重要な役割を演ずる。代表的なものを以下に挙げる。

構造

受容体型チロシンキナーゼは、3つの領域からなる。増殖因子が結合する細胞外領域、細胞膜を貫通する疎水性膜貫領域、チロシンキナーゼ活性をもつ細胞内領域である。さらに細胞内領域は膜近傍領域、キナーゼ活性領域、C末端領域の3つに分けられる。インスリン受容体やインスリン様増殖因子のように、細胞外領域が分離独立し、ジスルフィド結合で受容体本体に結合する構造をとるものもある。膜貫領域は単一のαヘリックスからなる。

増殖因子が細胞外領域にある受容体に結合すると、受容体は活性化して細胞膜上を移動し、他の受容体に結合して二量体を形成する。同じ受容体同士が結合する(ホモダイマー)ことも、異なる受容体同士が結合する(ヘテロダイマー)こともある。

制御

増殖因子の結合により2つの反応が起きる:

  1. 2個の受容体分子の二量体化、あるいはゆるい二量体の安定化。チロシンキナーゼを受容体とするリガンドは多くが“multivalent”(多価性)、つまり1分子が複数の受容体分子に結合しうる。血小板由来増殖因子受容体 (PDGFR) など一部のチロシンキナーゼは、別の類似したキナーゼとヘテロダイマーを作り、細胞外シグナルに対する様々な応答を導くことができる。
  2. トランス自己リン酸化(二量体の一方がもう一方をリン酸化すること):不活性型ではキナーゼの2つのサブドメインが、ATPが活性中心に入れないような配置を取っている。自己リン酸化によってサブドメインの位置が変わり、ATPが入って反応できるようになる。

リン酸化を受けるアミノ酸がキナーゼドメインにいくつかある場合、リン酸化されたアミノ酸が多いほどキナーゼ活性は上昇する。この場合、最初のリン酸化はシス自己リン酸化といい、これでキナーゼは「オフ」から「スタンバイ」状態に切り替わる。

非受容体型チロシンキナーゼ

代表的な構造は、細胞外領域をもたず、細胞内で細胞膜に結合し、細胞内の末端側にチロシンキナーゼ部位をもつ構造である。免疫グロブリンサイトカイン等の結合部位を持ち,これらの刺激により活性化する。

  • がん遺伝子産物c-Src
  • Jak:活性化された受容体と複合体を作るとまず受容体をリン酸化し、次に受容体に結合した下流分子もリン酸化することから、二面神ヤヌスにちなみ"Janus kinase"ヤーヌスキナーゼ)と呼ばれる。JakSTAT (signal transducers and activators of transcription) をリン酸化し、リン酸化したSTATは二量体を形成して核内へ移行、転写を活性化する。このシグナル伝達系をJak-STAT系という。
  • ブルトン型チロシンキナーゼ: リンパ球B細胞受容体のシグナル下流にあり、pre-B細胞の成熟に必須の酵素である。

ヒスチジンキナーゼ

ヒスチジン特異的キナーゼ(EC 2.7.13.x)は構造的に他のキナーゼと異なりGHKLkinase/ATPase スーパーファミリーに分類される。ヒスチジンキナーゼは原核生物のほか菌類植物に見られ、「2成分系シグナル伝達」で機能する。ATPのリン酸基はまずキナーゼ分子のヒスチジン残基(イミダゾール環窒素原子)に移され、その後他のタンパク質(同じキナーゼ分子内のばあいもある)の「レシーバードメイン」にあるアスパラギン酸残基に移される(この段階ではATPのエネルギーは必要ない)。このようなリン酸の受け渡しがさらに繰り返されるばあいもある。その結果として転写制御などが行われる。リン酸化アスパラギン酸が活性型としてシグナルを伝達する。微生物では細胞外の状態(浸透圧酸素や栄養分など)を感知するいろいろな受容体、植物では植物ホルモンサイトカイニンエチレン)受容体や受容体などが知られる。

動物にあるピルビン酸脱水素酵素キナーゼは構造的にヒスチジンキナーゼに類似しているGHKLkinaseであるが、ヒスチジンを介した2成分系シグナル伝達は行わず、ピルビン酸脱水素酵素のセリン残基を直接リン酸化する。

アスパラギン酸/グルタミン酸キナーゼ

EC 2.7.12.x

脚注

1.     ^ Plowman GD, Sudarsanam S, Bingham J, et al. "Review. The protein kinases of Caenorhabditis elegans: a model for signal transduction in multicellular organisms." Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 1999;96:13603-13610. PMID 10570119

関連項目

外部リンク

ホスホトランスフェラーゼ/キナーゼ (EC 2.7)

2.7.1 - OH アクセプター

ヘキソ- - グルコ- - フルクト- - ガラクト- - ホスホフルクト- - チミジン - NAD+- - グリセロール- - パントテン酸- - メバロン酸- - ピルビン酸- - デオキシシチジン- - PFP - ジアシルグリセロール- - ブルトンチロシン - ホスホイノシチド-3 - スフィンゴシン

2.7.2 - COOH アクセプター

ホスホグリセリン酸 - アスパラギン酸

2.7.3 - N アクセプター

クレアチン

2.7.4 - PO4 アクセプター

ホスホメバロン酸 - アデニル酸 - ヌクレオシド二リン酸

2.7.6 - P2O7トランスフェラーゼ

リボースリン酸ジホスホキナーゼ - チアミンピロホスホキナーゼ

2.7.7 - ヌクレオチジル-

インテグラーゼ - PNPアーゼ - ポリメラーゼ - RNアーゼ PH - UDP-グルコースピロホスホリラーゼ - ガラクトース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ -ターミナルトランスフェラーゼ - RNAレプリカーゼ - リバーストランスクリプターゼ (テロメラーゼ) - トランスポザーゼ

2.7.8 - 他のリン酸基

N-アセチルグルコサミン-1-リン酸トランスフェラーゼ

2.7.10-11 - プロテイン

チロシン - セリン/トレオニンプロテイン

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ヒストン脱アセチル化酵素

ヒストン脱アセチル化酵素-だつあせちるかこうそ;Histone DeacetylaseHDAC);EC 3.5.1)とはクロマチン構造において主要な構成因子であるヒストンの脱アセチル化を行う酵素である。遺伝子転写制御において重要な役割を果たしている。ヒトでは、現在HDAC1-11,SirT1-718種類が同定されている。

概要

遺伝子の発現は遺伝子の塩基配列によるもの以外にDNAあるいはヒストンに対する後付けの修飾により制御される場合がある(エピジェネティックな制御)。ヒストンはDNAが巻きついているコアヒストン(H2AH2BH3H4)とDNAのリンカー部分に結合しているリンカーヒストン(H1)に大別される。コアヒストンのアセチル化はエピジェネティックな遺伝子の制御において重要な役割を担っている[1]

ヒストンはそのアミノ酸配列中にリジンアルギニンなどの塩基性アミノ酸を多く含むため通常陽性に荷電しており、陰性に荷電しているDNAとの結合が容易である。細胞内のヒストンアセチル基転移酵素(英:Histone Acetyl TransferaseHAT)により行われるヒストンアセチル化はヒストン中の特定のリジン残基アミノ基-NH2)をアミド-NHCOCH3)に変換することにより電荷中和してしまうため、結果としてヒストン-DNA間の結合を部分的に弱める。このことはヒストンに対するDNAの巻きつきが弱くなることを意味し、隣り合ったヒストン-DNA複合体(ヌクレオソーム)同士をつないでいるDNA鎖(リンカーDNA)に対して転写因子RNAポリメラーゼがより結合しやすい状態になる。ヒストン脱アセチル化とはこのアセチル化された部位を加水分解により除去し、元のアミノ基に戻すことによりヒストンへのDNAの巻きつきを強めて転写を抑制する反応であり、ヒストンアセチル化とは逆の機構である。ヒストン脱アセチル化反応はHDACにより行われる。

ヒストンでは、N末端のリシン残基がアセチル化、脱アセチル化され、これが遺伝子発現の制御に関わっている。ヒストンが多数アセチル化されている染色体領域は、遺伝子の転写が活発に行われており、ヒストンのアセチル化は遺伝子発現を活性化させ、脱アセチル化は遺伝子の発現を抑制していると考えられている[2][3]

ヒストンは上記で述べたアセチル化の他にもリン酸化メチル化による制御を受ける。HDAC細胞内情報伝達Notchシグナリング等)や細胞周期の制御にも関与している。特に近年、HDAC治療の標的分子として注目されている[4]

分類

HDACは配列の相同性などにより4つのクラスに分類される。

分類 

出芽酵母 

分裂酵母

ヒト

クラス I

Rpd3

Clr6

HDAC1

HDAC2

HDAC3

HDAC8

クラス II

Hda1

Clr3

HDAC4

HDAC5

HDAC6

HDAC7

HDAC9

HDAC10

クラス III

Sir2

Sir2

SirT1

SirT2

SirT3

SirT4

SirT5

SirT6

SirT7

クラス IV

-

-

HDAC11

HDAC阻害薬

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b9/Trichostatin-A_structure.png/160px-Trichostatin-A_structure.png

トリコスタチンAの化学構造。

脚注

1.     ^ Miremadi A,Oestergaard MZ,Pharoah PD and Caldas C.2007"Cancer genetics of epigenetic genes."Hum.Mol.Genet.16 SpecNo1 R28-49. PMID 17613546

2.     ^ アーカイブされたコピー. 20121215日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011614日閲覧。

3.     ^ アーカイブされたコピー. 2012720日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011614日閲覧。

4.     ^ Suzuki T and Miyata N.2006"Epigenetic control using natural products and synthetic molecules."Curr.Med.Chem.13,935-58. PMID 16611076

参考図書

  • 牛島俊和、眞貝洋一編集 『エピジェネティックスキーワード事典』 羊土社、2013年。

関連項目

 

 

PTEN

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PTEN(ピーテン、Phosphatase and Tensin Homolog Deleted from Chromosome 10)とはイノシトールリン脂質であるホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PtdIns(3,4,5)P3)の脱リン酸化反応を触媒する酵素である。

PTEN遺伝子および分子の特徴

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d3/Pten.jpg/170px-Pten.jpg

PTENの構造。

PTEN遺伝子は1997年に腫瘍抑制因子として同定され[1][2]、染色体上の10q23.3に位置している。PTENタンパク質の構造中にはホスファターゼドメインC2ドメインが含まれることがX線構造解析により明らかにされており、ホスファターゼドメインはPTENの酵素活性中心部位であり、C2ドメインは生体膜リン脂質との結合に重要な部位である。PTENタンパク質は広く全身の細胞に発現しているが、特に上皮系の細胞に発現が高い。

機能

イノシトールリン脂質であるPtdIns(3,4,5)P3PI3キナーゼPI3K)により細胞内で合成され、プロテインキナーゼBPKB/Aktの活性化を引き起こすことにより多彩な生物活性の発現に寄与している。PTENはタンパク質に対するホスファターゼ活性は弱く、活性型のイノシトールリン脂質であるPtdIns(3,4,5)P3の脱リン酸化反応を担い、PtdIns(4,5)P2へと変換する。PTENが阻害されることにより細胞内にはPtdIns(3,4,5)P3が蓄積し、発がんに関与するシグナルが伝達される。実際、癌細胞においてはPTEN遺伝子に変異などの異常が見つかっている[3]

マイクロRNAによる制御

マイクロRNA1種であるmiR-22Aktを活性化することでPTEN/Akt経路を制御している[4]miR-22はがん化の抑制に働いている事が分かっているが[5]、その一つの経路としてPTEN/Akt経路が考えられる。

 

出典

·         今堀 和友、山川 民夫 編集 『生化学辞典 第4版』東京化学同人 2007ISBN 978-4-8079-0670-3

·         Gomperts BD, Kramer IM and Tatham PE 原著『シグナル伝達』メディカル・サイエンス・インターナショナル 2004ISBN 4-89592-369-X

参考文献

1.     ^ Steck PA, Pershouse MA, Jasser SA, Yung WK, Lin H, Ligon AH, Langford LA, Baumgard ML, Hattier T, Davis T, Frye C, Hu R, Swedlund B, Teng DH and Tavtigian SV.(1997)"Identification of a candidate tumour suppressor gene, MMAC1, at chromosome 10q23.3 that is mutated in multiple advanced cancers."Nat.Genet. 15, 356-362. PMID 9090379

2.     ^ Li J, Yen C, Liaw D, Podsypanina K, Bose S, Wang SI, Puc J, Miliaresis C, Rodgers L, McCombie R, Bigner SH, Giovanella BC, Ittmann M, Tycko B, Hibshoosh H, Wigler MH, Parsons R.(1997)"PTEN, a putative protein tyrosine phosphatase gene mutated in human brain, breast, and prostate cancer."Sciece. 275,1943-7. PMID 9072974

3.     ^ Li J, Yen C, Liaw D, Podsypanina K, Bose S, Wang SI, Puc J, Miliaresis C, Rodgers L, McCombie R, Bigner SH, Giovanella BC, Ittmann M, Tycko B, Hibshoosh H, Wigler MH, Parsons R.(1997)"PTEN, a putative protein tyrosine phosphatase gene mutated in human brain, breast, and prostate cancer."Science. 28,1943-7. PMID 9072974

4.     ^ Bar N, Dikstein R (2010) miR-22 Forms a Regulatory Loop in PTEN/AKT Pathway and Modulates Signaling Kinetics. PLoS ONE 5(5): e10859. doi:10.1371/journal.pone.0010859

5.     ^ Dan Xu, Hidetoshi Tahara et al, miR-22 represses cancer progression by inducing cellular senescence,the Journal of cell biology,April 18, 2011

加水分解酵素

加水分解酵素(かすいぶんかいこうそ、: hydrolase)とはEC3群に分類される酵素で、加水分解反応を触媒する酵素である。ヒドロラーゼと呼ばれる[1]。代表的な反応はタンパク質脂質多糖炭水化物〉をアミノ酸脂肪酸ブドウ糖などに消化分解する生化学反応に関与する。あるいはコリンエステラーゼ環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼプロテインホスファターゼのような生体内のシグナル伝達に関与するものも多い。

概略

加水分解酵素は、エステル結合〈エステラーゼ〉、グリコシド結合〈グリコシダーゼ〉、エーテル結合、チオエーテル結合、ペプチド結合〈ペプチダーゼ〉などの加水分解を触媒する物の他に、アミドC-N結合、C-C結合、C-ハロゲン結合、P-ハロゲン結合およびP-N結合の一方にHを、他方にOH基をつけて切断する反応を触媒するものが存在する[2]。またATPアーゼのようにシグナル伝達や筋収縮などに関与する酵素も加水分解酵素に分類される。

EC.3.-(加水分解酵素)

EC.3.1.-(エステル結合に作用)

EC.3.1.1.-(カルボン酸エステル加水分解酵素)

EC.3.1.2.-(チオエステル加水分解酵素)

EC 3.1.3.-(リン酸モノエステル加水分解酵素)

EC 3.1.4.-(リン酸ジエステル加水分解酵素)

EC 3.1.5.-(三リン酸モノエステル加水分解酵素)

EC 3.1.6.-(硫酸エステル加水分解酵素)

EC 3.1.7.-(二リン酸モノエステル加水分解酵素)

EC 3.1.8.-(リン酸トリエステル加水分解酵素)

EC 3.1.11.-(5'-ホスホモノエステル産生エキソデオキシリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.13.-(5'-ホスホモノエステル産生エキソリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.14.-(3'-ホスホモノエステル産生エキソリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.15.-(リボ核酸またはデオキシリボ核酸に作用する、5'-ホスホモノエステル産生エキソヌクレアーゼ)

EC 3.1.16.-(リボ核酸またはデオキシリボ核酸に作用する、3'-ホスホモノエステル産生エキソヌクレアーゼ)

EC 3.1.21.-(5'-ホスホモノエステル産生エンドデオキシリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.22.-(3'-ホスホモノエステル産生エンドデオキシリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.23.-(欠番)

- EC 3.1.21.3, EC 3.1.21.4 あるいは EC 3.1.21.5へ統合

EC 3.1.24.-(欠番)

- EC 3.1.21.3, EC 3.1.21.4 あるいは EC 3.1.21.5へ統合

EC 3.1.25.-(サイト特異性を有する代替塩基特異性エンドデオキシリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.26.-(5'-ホスホモノエステル産生エンドリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.27.-(3'-ホスホモノエステル産生エンドリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.30.-(リボ核酸またはデオキシリボ核酸に作用する、5'-リン酸モノエステル産生エンドリボヌクレアーゼ)

EC 3.1.31.-(リボ核酸またはデオキシリボ核酸に作用する、3'-リン酸モノエステル産生エンドリボヌクレアーゼ)

EC.3.2.-.(グリコシラーゼ)

EC.3.2.1.-.(O-およびS-グリコシル化合物加水分解酵素)

EC 3.2.2.-(N-グリコシル化合物加水分解酵素)

EC 3.2.3.-(S-グリコシル化合物加水分解酵素) (廃止)

  • EC.3.2.3.1 欠番 → EC.3.2.1.147

EC.3.3.-.(エーテル結合に作用)

EC 3.3.1.-(チオエーテルおよびトリアルキルスルホニウム加水分解酵素)

EC 3.3.2.-(エーテル加水分解酵素)

EC 3.4.-.(ペプチド結合に作用(ペプチダーゼ))

EC 3.4.1.-(α-アミノアシルペプチド加水分解酵素) (廃止)

  • EC.3.4.1.1 欠番 → EC.3.4.11.1
  • EC.3.4.1.2 欠番 → EC.3.4.11.2
  • EC.3.4.1.3 欠番 → EC.3.4.11.4
  • EC.3.4.1.4 欠番 → EC.3.4.11.5

EC 3.4.2.-(ペプチド性アミノ酸加水分解酵素) (廃止)

  • EC.3.4.2.1 欠番 → EC.3.4.17.1
  • EC.3.4.2.2 欠番 → EC.3.4.17.2
  • EC.3.4.2.3 欠番 → EC.3.4.17.4

EC 3.4.3.-(ジペプチド加水分解酵素) (廃止)

  • EC.3.4.3.1 欠番 → EC.3.4.13.18
  • EC.3.4.3.2 欠番 → EC.3.4.13.18
  • EC.3.4.3.3 欠番 → EC.3.4.13.3
  • EC.3.4.3.4 欠番 → EC.3.4.13.5
  • EC.3.4.3.5 欠番 → EC.3.4.13.6
  • EC.3.4.3.6 欠番 → EC.3.4.13.8
  • EC.3.4.3.7 欠番 → EC.3.4.13.9

EC 3.4.4.-(ペプチド性ペプチド加水分解酵素) (廃止)

  • EC.3.4.4.1 欠番 → EC.3.4.23.1
  • EC.3.4.4.2 欠番 → EC.3.4.23.2
  • EC.3.4.4.3 欠番 → EC.3.4.23.4
  • EC.3.4.4.4 欠番 → EC.3.4.21.4
  • EC.3.4.4.5 欠番 → EC.3.4.21.1
  • EC.3.4.4.6 欠番 → EC.3.4.21.1
  • EC.3.4.4.7 欠番 → EC.3.4.21.36EC.3.4.21.37に振り分け
  • EC.3.4.4.8 欠番 → EC.3.4.21.9
  • EC.3.4.4.9 欠番 → EC.3.4.14.1
  • EC.3.4.4.10 欠番 → EC.3.4.22.2
  • EC.3.4.4.11 欠番 → EC.3.4.22.6
  • EC.3.4.4.12 欠番 → EC.3.4.22.3
  • EC.3.4.4.13 欠番 → EC.3.4.21.5
  • EC.3.4.4.14 欠番 → EC.3.4.21.7
  • EC.3.4.4.15 欠番 → EC.3.4.23.15
  • EC.3.4.4.16 欠番 → EC.3.4.21.62 - EC.3.4.21.67に振り分け
  • EC.3.4.4.17 欠番 → EC.3.4.23.20 - EC.3.4.23.30に振り分け
  • EC.3.4.4.18 欠番 → EC.3.4.22.10
  • EC.3.4.4.19 欠番 → EC.3.4.24.3
  • EC.3.4.4.20 欠番 → EC.3.4.22.8
  • EC.3.4.4.21 欠番 → EC.3.4.21.34
  • EC.3.4.4.22 欠番 → EC.3.4.23.3
  • EC.3.4.4.23 欠番 → EC.3.4.23.5
  • EC.3.4.4.24 欠番 → EC.3.4.22.32EC.3.4.22.33に振り分け
  • EC.3.4.4.25 欠番 削除

EC 3.4.11.-(アミノペプチダーゼ)

EC 3.4.12.-(ペプチド性アミノ酸加水分解酵素ないしはアシルアミノ酸加水分解酵素) (廃止)

  • EC.3.4.12.1 欠番 → EC.3.4.16.1
  • EC.3.4.12.2 欠番 → EC.3.4.17.1
  • EC.3.4.12.3 欠番 → EC.3.4.17.2
  • EC.3.4.12.4 欠番 → EC.3.4.16.2
  • EC.3.4.12.5 欠番 → EC.3.4.19.10
  • EC.3.4.12.6 欠番 → EC.3.4.17.8
  • EC.3.4.12.7 欠番 → EC.3.4.17.3
  • EC.3.4.12.8 欠番 → EC.3.4.17.4
  • EC.3.4.12.9 欠番 削除
  • EC.3.4.12.10 欠番 → EC.3.4.19.9
  • EC.3.4.12.11 欠番 → EC.3.4.17.6
  • EC.3.4.12.12 欠番 → EC.3.4.16.1
  • EC.3.4.12.13 欠番 削除

EC 3.4.13.-(ジペプチダーゼ)

EC 3.4.14.-(ジペプチジルペプチダーゼおよびトリペプチジルペプチダーゼ)

EC 3.4.15.-(ペプチジルジペプチダーゼ)

EC 3.4.16.-(セリン性カルボキシペプチダーゼ)

  • EC.3.4.16.1 欠番 → EC.3.4.16.5ないしはEC.3.4.16.6へ統合 (Supplement 1)
  • EC 3.4.16.2 lysosomal Pro-Xaa carboxypeptidase
  • EC.3.4.16.3 欠番 → EC.3.4.16.5へ統合(Supplement 1)
  • EC 3.4.16.4 serine-type D-Ala-D-Ala carboxypeptidase
  • EC 3.4.16.5 carboxypeptidase C
  • EC 3.4.16.6 carboxypeptidase D

EC 3.4.17.-.(金属プロテアーゼ)

EC 3.4.18.-(システイン性カルボキシペプチダーゼ)

EC 3.4.19.-(オメガペプチダーゼ)

  • EC 3.4.19.1 acylaminoacyl-peptidase
  • EC 3.4.19.2 peptidyl-glycinamidase
  • EC 3.4.19.3 pyroglutamyl-peptidase I
  • EC.3.4.19.4 欠番 削除
  • EC 3.4.19.5 β-aspartyl-peptidase
  • EC 3.4.19.6 pyroglutamyl-peptidase II
  • EC 3.4.19.7 N-formylmethionyl-peptidase
  • EC.3.4.19.8 欠番 → EC.3.4.17.21 (Supplement 6)
  • EC 3.4.19.9 γ-glutamyl hydrolase
  • EC.3.4.19.10 欠番 → EC.3.5.1.28 (Supplement 4)
  • EC 3.4.19.11 γ-D-glutamyl-meso-diaminopimelate peptidase I
  • EC 3.4.19.12 ubiquitinyl hydrolase 1

EC 3.4.21.-(セリンエンドペプチダーゼ)

EC 3.4.22.-.(システインプロテアーゼ)

EC 3.4.23.-.(アスパラギン酸プロテアーゼ)

EC.3.4.24.-(金属エンドペプチダーゼ)

EC 3.4.25.-(トレオニンエンドペプチダーゼ)

EC 3.4.99.-(触媒機構不明のエンドペプチダーゼ)

  • EC.3.4.99.1 欠番 → EC.3.4.23.28
  • EC.3.4.99.2 欠番 削除
  • EC.3.4.99.3 欠番 削除
  • EC.3.4.99.4 欠番 → EC.3.4.23.12
  • EC.3.4.99.5 欠番 → EC.3.4.24.3
  • EC.3.4.99.6 欠番 → EC.3.4.24.21
  • EC.3.4.99.7 欠番 削除
  • EC.3.4.99.8 欠番 削除
  • EC.3.4.99.9 欠番 削除
  • EC.3.4.99.10 欠番 → EC.3.4.24.56 (Supplement 3)
  • EC.3.4.99.11 欠番 削除
  • EC.3.4.99.12 欠番 削除
  • EC.3.4.99.13 欠番 → EC.3.4.24.32
  • EC.3.4.99.14 欠番 削除
  • EC.3.4.99.15 欠番 削除
  • EC.3.4.99.16 欠番 削除
  • EC.3.4.99.17 欠番 削除
  • EC.3.4.99.18 欠番 削除
  • EC.3.4.99.19 欠番 → EC.3.4.23.15
  • EC.3.4.99.20 欠番 削除
  • EC.3.4.99.21 欠番 削除
  • EC.3.4.99.22 欠番 → EC.3.4.24.29
  • EC.3.4.99.23 欠番 削除
  • EC.3.4.99.24 欠番 削除
  • EC.3.4.99.25 欠番 → EC.3.4.23.21へ統合
  • EC.3.4.99.26 欠番 → EC.3.4.21.73ないしはEC.3.4.21.68へ振り分け
  • EC.3.4.99.27 欠番 削除
  • EC.3.4.99.28 欠番 → EC.3.4.21.60
  • EC.3.4.99.29 欠番 削除
  • EC.3.4.99.30 欠番 → EC.3.4.24.20へ統合
  • EC.3.4.99.31 欠番 → EC.3.4.24.15へ統合
  • EC.3.4.99.32 欠番 → EC.3.4.24.20
  • EC.3.4.99.33 欠番 削除
  • EC.3.4.99.34 欠番 削除
  • EC.3.4.99.35 欠番 → EC.3.4.23.36 (Supplement 2)
  • EC.3.4.99.36 欠番 → EC.3.4.21.89 (Supplement 2)
  • EC.3.4.99.37 欠番 削除
  • EC.3.4.99.38 欠番 → EC.3.4.23.17
  • EC.3.4.99.39 欠番 削除
  • EC.3.4.99.40 欠番 削除
  • EC.3.4.99.41 欠番 → EC.3.4.24.64 (Supplement 2)
  • EC.3.4.99.42 欠番 削除
  • EC.3.4.99.43 欠番 → EC.3.4.23.42 (Supplement 6)
  • EC.3.4.99.44 欠番 → EC.3.4.24.55 (Supplement 1)
  • EC.3.4.99.45 欠番 → EC.3.4.24.56 (Supplement 1)
  • EC.3.4.99.46 欠番 → EC.3.4.25.1 (Supplement 6)

EC 3.5.-.(ペプチド結合以外の炭素-窒素結合に作用する)

EC 3.5.1.-(鎖状アミドに作用)

EC 3.5.2.-(環状アミドに作用)

EC 3.5.3.-(鎖状アミジンに作用)

EC 3.5.4.-(環状アミジンに作用)

EC 3.5.5.-(ニトリルに作用)

EC 3.5.99.-(その他の化合物に作用)

EC 3.6.-(酸無水物に作用)

EC 3.6.1.-(リン含有酸無水物に作用)

EC 3.6.2.-(スルホニル含有酸無水物に作用)

EC 3.6.3.-(酸無水物に作用・物質の膜輸送を触媒する)

EC 3.6.4.-(酸無水物に作用・細胞または細胞小器官の運動に関与)

EC 3.6.5.-(GTPに作用・細胞または細胞小器官の運動に関与)

EC 3.7.-(炭素-炭素結合に作用)

EC 3.7.1.-(ケトン類に作用)

EC 3.8.-(ハロゲン化物に作用)

EC 3.8.1.-(C-ハロゲン化物に作用)

EC 3.8.2.-(P-ハロゲン化物に作用)

  • EC.3.8.2.1 欠番 → EC.3.1.8.2

EC 3.9.-(リン-窒素結合に作用)

EC 3.10.-(硫黄-窒素結合に作用)

EC 3.11.-(炭素-リン結合に作用)

EC 3.12.-(硫黄-硫黄結合に作用)

EC 3.13.-(炭素-硫黄結合に作用)

出典

1.     ^ 加水分解酵素、『世界大百科事典』、CD-ROM版、平凡社

2.     ^ 加水分解酵素、『理化学辞典』、第5版、岩波書店

関連項目

  •  
  •  

[隠す]

タンパク質酵素

トピックス

タイプ

 

 

 

ピルビン酸カルボキシラーゼ

ピルビン酸カルボキシラーゼ

4qsk.jpg

識別子

略号

PC

Entrez

5091

HUGO

8636

OMIM

608786

RefSeq

NM_000920

UniProt

P11498

他のデータ

EC番号
(KEGG)

6.4.1.1

遺伝子座

Chr. 11 q11-q13.1

ピルビン酸カルボキシラーゼPyruvate carboxylase)は、ピルビン酸不可逆的にカルボキシル化してオキサロ酢酸にするリガーゼ群の酵素である。

酵素反応

この反応はクエン酸回路を回転させるために必要なオキサロ酢酸を供給する最も重要な炭酸固定充反応である。この酵素はビオチンで構成されるミトコンドリアタンパク質で、マグネシウムもしくはマンガンアセチルCoAを必要とし、筋肉ではなく肝臓で起こる。高濃度のADPは酵素のリン酸化を抑制するため酵素の活動は維持され、その間はアセチルCoAアロステリック効果によって酵素の活性剤となる[1]

糖新生

糖新生では最初にピルビン酸からホスホエノールピルビン酸が合成される。ピルビン酸は始めミトコンドリアでピルビン酸カルボキシラーゼによってオキサロ酢酸に変換される。その間ATP1分子加水分解される。そのときオキサロ酢酸は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼによって脱炭酸リン酸化反応が同時に触媒され、細胞質ホスホエノールピルビン酸が生成する。ミトコンドリアから細胞質へのホスホエノールピルビン酸の輸送は、リンゴ酸/ホスホエノールピルビン酸シャトルによって調停される。

脚注

  1. ^ Scrutton MC, Utter MF (1967) Pyruvate carboxylase. IX. Some properties of the activation by certain acyl derivatives of coenzyme A. J. Biol Chem. 242:1723-1735.

関連項目

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(ピルビンさんデヒドロゲナーゼふくごうたい、Pyruvate dehydrogenase complexPDC)とは、ピルビン酸アセチルCoAに変換(ピルビン酸脱炭酸反応と呼ばれる)する3つの酵素の複合体である。アセチルCoAはクエン酸回路に送られて細胞呼吸に使われており、この複合体は解糖系クエン酸回路とを繋げている。また、ピルビン酸脱炭酸反応は、ピルビン酸の酸化を必要とするためピルビン酸デヒドロゲナーゼ反応としても知られる。

このマルチ酵素複合体は、オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ英語版(EC:1.2.4.22.3.1.611.8.1.4)と分岐鎖αケト酸デヒドロゲナーゼ複合体英語版EC:1.2.4.4)と構造的・機能的に関係がある。これらと合わせ3つを総称しKADH(α-ketoacid dehydrogenase) complexesと呼ぶことがある。

反応

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の酵素反応;

Pyruvate dehydrogenase complex reaction.PNG

構造と機能

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体は、真核生物ミトコンドリアのマトリックスに位置する。全部で60サブユニットを含み、3つの機能性タンパク質を組織する。

 

酵素

略称

補因子

# サブユニット

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ (アセチル基転移)
(EC 1.2.4.1)

E1

チアミン二リン酸

24

ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ
(EC 2.3.1.12)

E2

α-リポ酸
CoA

24

ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ
(EC 1.8.1.4)

E3

FAD
NAD+

12

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(E1

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fe/Thiazole_numbering.png/70px-Thiazole_numbering.png

チアゾール環

始め、ピルビン酸チアミン二リン酸TPP)がピルビン酸デヒドロゲナーゼサブユニットに結合する。TPPチアゾール環は双性イオンの型をとっており、C2炭素がピルビン酸のC2(ケトン)カルボニルに求核攻撃する。結果、脱炭酸しアシルアニオン相当の生成物を与える。このアニオンはリシン残基に結合しているα-リポ酸S1に攻撃し、SN2機構で環が開いてS2の方はスルフィドまたはチオール基に変わる。続いて、TPP補因子を放出してリポ酸のS1チオ酢酸が結合したS-アセチルジヒドロリポイルリシンが形成する。ピルビン酸デヒドロゲナーゼ触媒機構は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の律速過程である。

ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ(E2

リポ酸チオエステルの役割は、ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼの活性部位での置換反応である。そこでは、リポ酸の「スイングアーム」からアシル基がCoAのチオールに置換する。ここで生成したアセチルCoAは複合体から放出されてクエン酸回路に入る。

ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ(E3

ジヒドロリポ酸は複合体のリシン残基に結合したままジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼの活動部位に移動してFADによる酸化を受ける。この反応でFADは還元されてFADH2となり、その後NAD+によって酸化されてFADに戻される。結果、NADHが生成する。

関連項目

外部リンク

フィードバック阻害

 

フィードバック阻害(フィードバックそがい)とは、代謝系のある反応を触媒する酵素の活性が、その代謝系の生産物によって抑制される現象。生産物の生産量を調整する働きがある。アロステリック効果の一種で、生体内におけるフィードバック制御の一例でもある。生産物に類似の構造を持つ物質(アナログ)によっても起きることがあり、この場合はアナログ阻害と呼ばれる。微生物工学においては、最終生産物を大量に得るために、その生産物自身や、その生産物の前駆体、あるいはそれらのアナログによるフィードバック阻害を起こさない変異株(アナログ耐性株)を人為的に培養する手法が用いられている。

カテコールオキシダーゼ

カテコールオキシダーゼ

識別子

EC番号

1.10.3.1

CAS登録番号

9002-10-2

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA英語版

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

遺伝子オントロジー

AmiGO / EGO

[表示]検索

カテコールオキシダーゼ (catechol oxidase; EC 1.10.3.1) とは、酵素の一種で、チロシナーゼジフェノールオキシダーゼカテゴラーゼo-ジフェノラーゼフェノラーゼ等の別名を持つ。カテコールオキシダーゼは以下の反応を触媒する。

2 カテコール + O2 {\displaystyle \rightleftharpoons } \rightleftharpoons 2 1,2-benzoquinone + 2 H2O

CatecolOxidase react.png

また、チロシナーゼのようなを含むカテコールオキシダーゼは、EC 1.14.18.1に分類されるモノフェノールモノオキシゲナーゼとしての活性も持っている。その反応のようすを以下に示す。

L-チロシン + L-ドーパ + O2 {\displaystyle \rightleftharpoons } \rightleftharpoons L-ドーパ + ドーパキノン + H2O

Tyrosinase reaction.PNG

なお、動物由来のものはチロシンドーパに対する活性が高いといわれている。

参考文献

·         Solomon, E.I.; Chen, P.; Metz, M.; Lee, S.-K.; Palmer, A.E. (2001). Oxygen Binding, Activation, and Reduction to Water by Copper Proteins. Angew. Chem. Int. Ed. 40: 45704590. doi:10.1002/1521-3773(20011217)40:24<4570::AID-ANIE4570>3.0.CO;2-4. PMID 12404359.

ラッカーゼ

ラッカーゼ

識別子

EC番号

1.10.3.2

CAS登録番号

80498-15-3

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA英語版

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

遺伝子オントロジー

AmiGO / EGO

[表示]検索

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b3/Cu3Im8laccase.png/220px-Cu3Im8laccase.png

多くのラッカーゼで見られる三銅部位。銅中心にイミダゾールが結合している。

ラッカーゼ (laccase) フェノール類を酸化する能力を持つ酸化酵素、すなわちフェノールオキシダーゼ (phenoloxidase) の一種である。ウルシなどの植物や菌類、細菌類、および動物などにみられ、中心金属はである。

昆虫のラッカーゼには2種類あり、ラッカーゼ1とラッカーゼ2に分かれる。ラッカーゼ2は昆虫のクチクラタンニングと硬化において重要であり、脱皮時に働く。他のフェノールオキシダーゼとしてチロシナーゼが知られる。

チロシナーゼはモノフェノール類を酸化し、ラッカーゼはジフェノール類を酸化するとして分類されていたが、両酵素がモノフェノールもジフェノールも酸化する能力があるなど曖昧な点が多く、現在では総称としてフェノールオキシダーゼと呼ばれることが多い。

傷の修復などに関わっていると考えられているが、詳細は不明である。フェノールオキシダーゼはカテコールの酸化を促進する酵素である。

外部リンク

·         Laccase - MeSH米国国立医学図書館、生命科学用語シソーラス (英語サイト)

カテゴリ:

·         EC 1.10.3

セルロプラスミン

フェロキシダーゼ

識別子

EC番号

1.16.3.1

CAS登録番号

9031-37-2

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA英語版

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

遺伝子オントロジー

AmiGO / EGO

 

CP

Protein CP PDB 1kcw.png

 

 

PDBに登録されている構造

PDB

オルソログ検索: PDBe RCSB

[表示]PDBIDコード一覧

1KCW, 2J5W, 4EJX, 4ENZ

識別子

記号

CP, CP-2, ceruloplasmin (ferroxidase), Ceruloplasmin

外部ID

OMIM: 117700 MGI: 88476 HomoloGene: 75 GeneCards: CP

[隠す]遺伝子の位置 (ヒト)

3番染色体 (ヒト)

染色体

3番染色体 (ヒト)[1]

3番染色体 (ヒト)

CP遺伝子の位置

CP遺伝子の位置

バンド

データ無し

開始点

149,162,410 bp[1]

終点

149,222,055 bp[1]

オルソログ

ヒト

マウス

Entrez

1356

12870

Ensembl

ENSG00000047457

ENSMUSG00000003617

UniProt

P00450

Q61147

RefSeq
(mRNA)

NM_000096

NM_001042611
NM_001276248
NM_001276250
NM_007752

RefSeq
(
タンパク質)

NP_000087

NP_001263177
NP_001263179
NP_031778

場所
(UCSC)

Chr 3: 149.16 – 149.22 Mb

Chr 3: 19.96 – 20.01 Mb

PubMed検索

[3]

[4]

ウィキデータ

セルロプラスミン (ceruloplasminまたはcaeruloplasmin)は、公式にはフェロキシダーゼ (ferroxidaseまたは(II):酸素-オキシドリダクターゼとして知られている。

血液中に見られる銅輸送タンパクであり、酵素である。(EC 1.16.3.1)

4 Fe2+ + 4 H+ + O2 {\displaystyle \rightleftharpoons } \rightleftharpoons 4 Fe3+ + 2H2O

解説

欠損症

セルロプラスミンが欠損している場合、その原因として挙げられるものは:

過少症・欠乏症

セルロプラスミンレベルが通常より低値である場合、その原因として挙げられるものは:

過多症・過剰症

セルロプラスミンレベルが通常より高値である場合、その原因として挙げられるものは:

脚注

1.     ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000047457 - Ensembl, May 2017

2.     ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000003617 - Ensembl, May 2017

3.     ^ "Human PubMed Reference:". 

4.     ^ "Mouse PubMed Reference:". 

外部リンク

関連項目

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カテゴリ:

フォトリアーゼ

フォトリアーゼ

Photolyase 1qnf.png

ラン藻Anacystis nidulans)からのデアザフラビン(補酵素F420)フォトリアーゼで2つの集光補因子を示している。FADH- (黄色)8-HDF (シアン).

識別子

EC番号

4.1.99.3

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA英語版

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

フォトリアーゼPhotolyase)(EC 4.1.99.3)は、紫外線に曝露されたことによって起こるピリミジン二量体の生成によるDNA損傷を修復するDNA修復酵素である。この酵素のメカニズムとして、可視光、特に可視光スペクトルの端の紫色青色の光を優先的に必要としており、光回復酵素として知られている。

解説

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fd/DNA_UV_mutation.svg/300px-DNA_UV_mutation.svg.png

Photodimers

紫外線によるチミン二量体の生成によるDNA損傷

チミンの光二量体。左:胞子の光生成物。右:シクロブタンピリミジン二量体。

フォトリアーゼは、相補DNA鎖に結びつき同じDNA鎖上の隣り合ったチミンシトシンの対が共有結合することによって生成するピリミジン二量体を分解する。これらの二量体はDNA構造に損傷と呼ばれる膨らみをもたらす。最も一般的な共有結合は、シクロブタン架橋を形成する。フォトリアーゼは、これらのDNA損傷に高い親和性を持ち、可逆的に結び付き、これらの損傷を元の正常な塩基に修復する。

フォトリアーゼは、フラボタンパク質であり、2つの集光補因子を含んでいる。すべてのフォトリアーゼは、2電子還元されたFADH-を含んでおり、これらのフォトリアーゼは2番目の補因子に基づいて葉酸フォトリアーゼのプテリン 5,10-メテニルテトラヒドロ葉酸とデアザフラビン(補酵素F420))フォトリアーゼのデアザフラビン(補酵素F420))8-ヒドロキシ-7,8-ジデメチル-5-デアザリボフラビン(8-HDF)の2つの主要なグループに分けることができる。FADのみが触媒作用に求められるが、2番目の補因子は低照度の環境で反応率を有意に高めている。光のエネルギーによって活性化され、ピリミジン二量体を分解する電子供与体として働く還元されたフラビンFADH-が電子を移動させることによってフォトリアーゼが機能する[1]

フォトリアーゼは、バクテリア菌類から動物にわたる多数の種に存在し機能している[2]。しかし、ヒトを含む有胎盤哺乳類では、フォトリアーゼに相当する酵素は遺伝子修復機能は失活しており、フォトリアーゼの類縁遺伝子(ホモログ)であるクリプトクロムCRY1CRY2サーカディアンリズムの調整機能を担っている。これらの動物では、紫外線により生じた例えばチミン二量体による損傷のDNA修復は、ヌクレオチド除去修復により行われる。

系列の類似性に基づいてDNAフォトリアーゼは、2グループにまとめることができる。最初のグループは、グラム陰性菌グラム陽性菌好塩性古細菌、ハロバクテリウム(Halobacterium halobium)、菌類及び植物に由来するフォトリアーゼを含んでいる。このドメインのタンパク質は、青色光誘導遺伝子発現及びサーカディアンリズムの調整を仲介する青色光受容体であるシロイヌナズナクリプトクロム1及び2CRY1CRY2)も含んでいる。

ある日焼け止め剤は、その成分にフォトリアーゼを含んでおり、紫外線ダメージスキンに修復作用があるとうたっている[3]

このドメインを含むヒトのタンパク質

en:CRY1; en:CRY2;

脚注

  1. ^ Sancar A. (2003). Structure and function of DNA photolyase and cryptochrome blue-light photoreceptors. Chem Rev 103 (6): 220337. doi:10.1021/cr0204348. PMID 12797829. 
  2. ^ Selby, Christopher P.; Sancar, Aziz (21 November 2006). “A cryptochrome/photolyase class of enzymes with single-stranded DNA-specific photolyase activity”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103 (47): 17696700. doi:10.1073/pnas.0607993103. PMC 1621107. PMID 17062752. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=1621107. 
  3. ^ Kulms, Dagmar; Pöppelmann, Birgit; Yarosh, Daniel; Luger, Thomas A.; Krutmann, Jean; Schwarz, Thomas (1999). “Nuclear and cell membrane effects contribute independently to the induction of apoptosis in human cells exposed to UVB radiation”. PNAS 96 (14): 79747979. doi:10.1073/pnas.96.14.7974. PMC 22172. PMID 10393932. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=22172. 

関連項目

不競合阻害

不競合阻害(ふきょうごうそがい、: Uncompetitive inhibition)、不競争阻害不拮抗阻害は、酵素阻害剤酵素基質との間で形成される複合体(E-S複合体)にのみ結合する時に起こる。反競合阻害: anti-competitive inhibition)としても知られている。

不競合阻害には酵素-基質複合体が形成される必要があるが、非競合阻害は基質が存在しても存在しなくても起こりうる。

機構

このE-S複合体の有効濃度の減少は、ルシャトリエの原理によって酵素の基質に対する見かけの親和性を増加させ(Kmが低下する)、最大酵素活性 (Vmax) を低下させる。不競合阻害は基質濃度が高い時に最も良く機能する。不競合阻害剤は反応の基質と似ている必要はない。

数学的定義

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/db/Uncompetitive_inhibition.png/220px-Uncompetitive_inhibition.png

不競合阻害剤のラインウィーバー=バークプロット

ラインウィーバー=バーク式vを開始反応速度Kmミカエリス・メンテン定数Vmaxを最大反応速度、[S] を基質濃度とすると、  1 v = K m V m a x [ S ] + 1 V max {\displaystyle \ {\frac {1}{v}}={\frac {K_{m}}{V_{max}[S]}}+{1 \over V_{\max }}}である[1]

不競合阻害剤に対するラインウィーバー=バークプロットは元々の酵素-基質プロットと平行だが、阻害項  [ I ] K i {\displaystyle \ {\frac {[I]}{K_{i}}}} {\displaystyle \ {\frac {[I]}{K_{i}}}}の存在によってy切片が大きくなった直線となる。

  1 v = K m V m a x [ S ] + 1 + [ I ] K i V m a x {\displaystyle \ {\frac {1}{v}}={\frac {K_{m}}{V_{max}[S]}}+{\frac {1+{\frac {[I]}{K_{i}}}}{V_{max}}}}上式において、[I] は阻害剤の濃度、Kiは阻害剤を特徴付ける阻害定数である[2][3]

脚注

1.     ^ Cleland, W. W. (1963). The kinetics of enzyme-catalyzed reactions with two or more substrates or products. II. Inhibition: nomenclature and theory. Biochim. Biophys. Acta 67: 173-187. doi:10.1016/0926-6569(63)90226-8. PMID 14021668. 

2.     ^ Rhodes, David. Enzyme Kinetics - Single Substrate, Uncompetitive Inhibition, Lineweaver-Burk Plot. Purdue University. 2013831日閲覧。

3.     ^ Cornish-Bowden A. (1974). “A simple graphical method for determining the inhibition constants of mixed, uncompetitive and non-competitive inhibitors”. Biochem. J. 137 (1): 143-144. PMC 1166095. PMID 4206907. http://www.biochemj.org/bj/137/0143/1370143.pdf. 

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カテゴリ:

コリンエステラーゼ

アセチルコリンエステラーゼ

Acethylcholinesterase TC 1EA5.png

Diagram of Pacific electric ray acetylcholinesterase. From PDB 1EA5.

識別子

略号

ACHE

遺伝子コード

YT

Entrez

43

HUGO

108

OMIM

100740

RefSeq

NM_015831

UniProt

P22303

他のデータ

EC番号
(KEGG)

3.1.1.7

遺伝子座

Chr. 7 q22

 

ブチリルコリンエステラーゼ

Butyrylcholinesterase 1P0I.png

Cartoon diagram of human butyrylcholinesterase. From PDB 1P0I.

識別子

略号

BCHE

遺伝子コード

CHE1

Entrez

590

HUGO

983

OMIM

177400

RefSeq

NM_000055

UniProt

P06276

他のデータ

EC番号
(KEGG)

3.1.1.8

遺伝子座

Chr. 3 q26.1-26.2

コリンエステラーゼCholinesteraseChEと略す。)とは、コリンエステル類を加水分解する酵素である。

種類

アセチルコリンエステラーゼとブチリルコリンエステラーゼの2種類が存在する。このうちブチリルコリンエステラーゼをコードしている遺伝子には、ヒトにおいて遺伝子の多型が見られ、中には、この酵素の活性が低い個体も見られる [1] 。 このために、エステル結合を持った化学物質の代謝の速度に違いが見られる場合こともある。これに対して、アセチルコリンエステラーゼをコードしている遺伝子には、2005年現在において、ヒトでの遺伝子の多型は知られていない [1] 。 恐らく、ブチリルコリンエステラーゼとは違って、もしもアセチルコリンエステラーゼに変異が存在すると致命的であるがために、アセチルコリンエステラーゼをコードしている遺伝子には多型が見られないのだろうと考えられている [1]

アセチルコリンエステラーゼ

AChEと略すことがある。また、真正コリンエステラーゼとも呼ばれる。神経組織、赤血球などに存在する。コリン作動性神経(副交感神経運動神経交感神経の中枢~神経節)の神経伝達物質の1種であるアセチルコリンコリンに分解し、アセチルコリンエステラーゼ自身はアセチル化される。これに伴いアセチルコリンエステラーゼは失活するものの、数ミリ秒で脱アセチル化が起こり、再び活性を得る。なおアセチル基は酢酸となって遊離される。

ブチリルコリンエステラーゼ

BuChEと略すことがある。また、偽コリンエステラーゼとも呼ばれる。肝臓、血清などに存在する。AChを含む様々なコリンエステル類を分解する。健康診断などで検査されるChEは、こちらの方である。高値の場合はネフローゼ症候群脂肪肝など、低値の場合は肝硬変肝炎、有機リン系薬物中毒(有機リン系の農薬中毒サリンなどの神経ガス中毒)などが疑われる。なお、ブチリルコリンエステラーゼに変異があったり、または酵素そのものが欠損している場合、例えば、スキサメトニウムによる筋弛緩が長く続くなどの影響も出てくる [2]

コリンエステラーゼの阻害剤

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤」も参照

アセチルコリンによってコリンエステラーゼがアセチル化されて失活しても、数ミリ秒で脱アセチル化が起こるため、コリンエステラーゼの活性はすぐに戻る。このため、仮にアセチルコリンを投与したところで、簡単にコリンと酢酸に分解されてしまう。しかし、コリンエステラーゼがカルバモイル化されて失活した場合は、数時間程度で脱カルバモイル化が起こって、再び活性を得るという転帰をたどり、この場合はコリンエステラーゼの作用が大きく阻害される。これを利用しているのがネオスチグミンピリドスチグミンである。これらの薬剤は自身が分解される代償に、コリンエステラーゼをカルバモイル化する。また、毒として使われるカラバルマメ英語版に含まれるフィゾスチグミンも同様である。

したがって、もしこれらの薬剤や毒で中毒症状が出た場合は、例えばアトロピンを投与するなどしてアセチルコリンの分解が滞ったことでアセチルコリンの量が過剰になった影響を除いて時間を稼ぎ、コリンエステラーゼの脱カルバモイル化が起こるのを待てば良い。この他、エドロホニウムのような、上記とは違った作用機序をもったコリンエステラーゼの可逆的な阻害剤と言われている薬剤で中毒症状が起きた時も、やはり同様にコリンエステラーゼが元に戻るまでアトロピンを投与するなどして時間を稼ぐという手が使える。これらに対して、リン酸化されて失活した場合は、脱リン酸化は非常に起こりにくいため、事実上再活性されることはない。これを利用しているのがパラチオンのような有機リン系農薬やサリンのような化学兵器である。リン酸化されたコリンエステラーゼを脱リン酸化させるためにはPAMを用いる。

歴史

1968年にコロンビア大学のWalo Leuzingerらがデンキウナギから精製に成功した。

出典

  1. ^ a b c 遠藤 政夫、栗山 欣弥、大熊 誠太郎、田中 利男、樋口 宗史 『医科薬理学(第4版)』 p.313 南山堂 2005926日発行 ISBN 4-525-14044-5
  2. ^ 長尾 拓 編集 『医薬品の安全性』 p.89 南山堂 200445日発行 ISBN 4-525-72641-5

関連項目]

プルラナーゼ

プルラナーゼ

識別子

EC番号

3.2.1.41

CAS登録番号

9075-68-7

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA英語版

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

プルラナーゼPullulanaseEC 3.2.1.41)は、プルランを分解するグルカナーゼの一種であり、細胞外酵素である[1][2][3]。系統名は、pullulan 6-glucanohydrolaseGH13ファミリー。

概要

Bender & Wallenfels1959)によりAerobacter aerogenes(後にKlebsiella aerogenes)から見いだされた酵素で、プルランのα-1,6グルコシド結合を加水分解し、α-マルトトリオースを生成する。この酵素が、澱粉グリコーゲンのα-1,6グルコシド結合をも加水分解するので、澱粉糖化で注目され、種々の細菌から分類され、実用化されている[4]

プルラナーゼは細胞の表面に固定されるリポタンパク質としてクレブシエラ属グラム陰性菌によって生産される。またその他の細菌古細菌も生産することがある。I型プルラナーゼはα-1,6結合を特異的に切断するのに対し、II型プルラナーゼはα-1,4結合も加水分解することができる。プルラナーゼは、穀物からエタノール甘味料を製造する過程で用いられる。

応用

プルラナーゼの逆反応を利用して、サイクロデキストリンマルトースとの高濃度液から、効率良く分岐サイクロデキストリンを生成することができる[4]

出典

1.     ^ Lee, E.Y.C. and Whelan, W.J. (1972). Glycogen and starch debranching enzymes. In Boyer, P.D.. The Enzymes. 5 (3rd ed.). New York: Academic Press. pp. 191234. 

2.     ^ Bender, H. and Wallenfels, K. (1966). Pullulanase (an amylopectin and glycogen debranching enzyme) from Aerobacter aerogenes. Methods Enzymol.. Methods in Enzymology 8: 555559. doi:10.1016/0076-6879(66)08100-X. ISBN 9780121818081. 

3.     ^ Manners, D.J. (1997). Observations on the specificity and nomenclature of starch debranching enzymes. J. Appl. Glycosci. 44: 8385. 

4.     ^ a b 『澱粉の科学と技術 -澱粉研究懇談会50年の歩みと展望-ISBN 978-4990528706

関連項目

イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)

イソプルラナーゼ(EC 3.2.1.57)

ネオプルラナーゼ(EC 3.2.1.135)

加水分解酵素

枝切り酵素

 

外部リンク

プロテアーゼ

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/05/TEV_protease_summary.png/250px-TEV_protease_summary.png

TEVプロテアーゼの構造。基質とのペプチド結合を黒、触媒残基を赤で表す。(PDB 1LVB)

プロテアーゼProteaseEC 3.4群)とはペプチド結合加水分解酵素の総称で、プロテイナーゼ(proteinase)とも呼ばれる。広義のペプチダーゼ(Peptidase)のこと。タンパク質やポリペプチド加水分解酵素で、それらを加水分解して異化する。収斂進化により、全く異なる触媒機能を持つプロテアーゼが似たような働きを持つ。プロテアーゼは動物、植物、バクテリア古細菌ウイルスなどにある。ヒトでは小腸上皮細胞から分泌する。

機能

アミノ酸ペプチド結合によって鎖状に連結したペプチド(一般に100残基未満、比較的分子量が小さい)やタンパク質(一般に100残基以上、比較的分子量が大きい)のペプチド結合を加水分解する酵素で、様々な種類のものが、生理的役割として、栄養吸収、タンパク質の廃棄とリサイクル、生体防御、活性の調節、などの幅広い分野で働いている。

分類

プロテアーゼの分類は歴史的に様々な変遷を経ている。今日では切断位置によるエキソペプチダーゼないしはエンドペプチダーゼの分類が広く用いられる[1]

古くはタンパク質を基質にするものを「プロテイナーゼ」、合成ペプチドを基質にするものを「ペプチダーゼ」としていたが、分類の境界が不明瞭である。現在のエンドペプチダーゼには従来プロテイナーゼに分類されていた大半の酵素が含まれ、エキソペプチダーゼには従来ペプチダーゼに分類されていたものの多くが属する。

エキソペプチダーゼのうち、基質のN末端から1残基ずつ切断する酵素をアミノペプチダーゼC末端側から1残基ずつ切断する酵素をカルボキシペプチダーゼと呼ぶ。

ペプチダーゼのうち、アルカリ性領域に至適pHを持つものは、洗剤補助剤として日用品に利用されるため、アルカリ(性)プロテアーゼとよばれることがある。

基質特異性

プロテアーゼには切断する配列をあまり選ばない(基質特異性が低い)ものや、特定のタンパク質・ペプチドの特定の部位だけを特異的に切断するという切断する配列に対する高度な選択性を持つ(質特異性が高い)タイプのものがある。ペプシンpepsin)やキモトリプシンchymotrypsin)などが前者の、ケキシン(Kexin)やフューリン(Furin)のようなプロセッシングプロテアーゼ、Xa因子のような血液凝固因子などが後者の例として典型的なものである。前述のHIVプロテアーゼはその基質特異性故にHIV治療の重要な標的となり、阻害剤による治療が大きな成果を上げている。

植物

植物には、プロテアーゼを豊富に含むものがある。

菌類

細菌類

脚注

1.     ^ a b 「プロテアーゼ」、『岩波生物学辞典』第4版、岩波書店、1996年。

関連項目

外部リンク

ロテインチロシンキナーゼ

プロテインチロシンキナーゼ (Protein Tyrosine Kinase, PTK) は、タンパク質中のチロシン残基をリン酸化する酵素。プロテインキナーゼの一種。

プロテインチロシンキナーゼは細胞の分化、増殖、代謝、アポトーシスなどの多くのプロセスに関与している。これら経路の欠陥は、癌などの多くの疾患に関与している。

膜型プロテインチロシンキナーゼは、ErbBリセプターとしても知られ、多くのヒトの癌に関与している。

プロピオニルCoAカルボキシラーゼ

プロピオニルCoAカルボキシラーゼ

識別子

EC番号

6.4.1.3

CAS登録番号

9023-94-3

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA英語版

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

遺伝子オントロジー

AmiGO / EGO

 

プロピオニルCoAカルボキシラーゼ

識別子

EC番号

4.1.1.41

CAS登録番号

37289-44-4

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA英語版

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

遺伝子オントロジー

AmiGO / EGO

 

プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(英:Propionyl-CoA carboxylase)は、プロピオニルCoAカルボキシル化反応を触媒する。この酵素ビオチンに依存する。反応生成物は(S)-メチルマロニルCoAである。プロピオニルCoAは奇数鎖脂肪酸の最終生成物であり、大半のメチル基分岐脂肪酸代謝物でもある。プロピオニルCoAアセチルCoAとともにバリンの主な代謝物であり、メチオニンの代謝物であると同様にイソロイシンの代謝物でもある。プロピオニルCoAは、ブドウ糖前駆物質として大変重要である。(S)-メチルマロニルCoAは、動物には直接利用されなく、ラセマーゼの働きにより(R)-メチルマロニルCoAを生成する。(R)-メチルマロニルCoAは、数少ないビタミンB12依存酵素であるメチルマロニルCoAムターゼによりスクシニルCoAに変化する。スクシニルCoAは、クエン酸回路によりオキサロ酢酸からリンゴ酸に代謝される。細胞質にリンゴ酸が放出されてオキサロ酢酸、ホスホエノールピルビン酸やその他の糖新生中間体が生成される。

Propionic acid chemical structure.png
 + HCO
3
- ---> 
Methylmalonic acid.svg
プロピオン酸              メチルマロン酸

ATP + プロピオニルCoA + HCO3- <=> ADP + リン酸 + (S)-メチルマロニルCoA

この酵素は、リガーゼリアーゼに分類されている[1][2]

アイソザイム

ヒトにおいては、次の2つのプロピオニルCoAカルボキシラーゼアイソザイムが存在する。

propionyl Coenzyme A carboxylase, alpha polypeptide

識別子

略号

PCCA

Entrez

5095

HUGO

8653

OMIM

232000

RefSeq

NM_000282

UniProt

P05165

他のデータ

EC番号
(KEGG)

6.4.1.3

遺伝子座

Chr. 13 q32

propionyl Coenzyme A carboxylase, beta polypeptide

識別子

略号

PCCB

Entrez

5096

HUGO

8654

OMIM

232050

RefSeq

NM_000532

UniProt

P05166

他のデータ

EC番号
(KEGG)

6.4.1.3

遺伝子座

Chr. 3 q21-q22

病理学

プロピオニルCoAカルボキシラーゼの欠損は、プロピオン酸血症をもたらす[3][4][5]

プロピオン酸血症は、プロピオニルCoAカルボキシラーゼの欠損により、プロピオン酸の蓄積を引き起こす。発症は生後1日目から数週であり、代謝性アシドーシス等によって引き起こされる哺乳不良、嘔吐、呼吸窮迫、痙攣等を引き起こし、生存した場合も精神遅滞と神経障害を来す。プロピオン酸血症はマルチプルカルボキシラーゼ欠損症、ビオチン欠損症、またはビオチダーゼ欠損症の一部としても捉えることができる[6]

脚注

  1. ^ EC 6.4.1.3
  2. ^ EC 4.1.1.41
  3. ^ Ugarte M, Pérez-Cerdá C, Rodríguez-Pombo P, Desviat LR, Pérez B, Richard E, Muro S, Campeau E, Ohura T, Gravel RA (1999). Overview of mutations in the PCCA and PCCB genes causing propionic acidemia. Hum. Mutat. 14 (4): 27582. doi:10.1002/(SICI)1098-1004(199910)14:4<275::AID-HUMU1>3.0.CO;2-N. PMID 10502773. 
  4. ^ Desviat LR, Pérez B, Pérez-Cerdá C, Rodríguez-Pombo P, Clavero S, Ugarte M (2004). Propionic acidemia: mutation update and functional and structural effects of the variant alleles. Mol. Genet. Metab. 83 (1-2): 2837. doi:10.1016/j.ymgme.2004.08.001. PMID 15464417. 
  5. ^ Deodato F, Boenzi S, Santorelli FM, Dionisi-Vici C (May 2006). Methylmalonic and propionic aciduria. Am J Med Genet C Semin Med Genet 142C (2): 10412. doi:10.1002/ajmg.c.30090. PMID 16602092. 
  6. ^ http://merckmanual.jp/mmpej/sec19/ch296/ch296c.html#sec19-ch296-ch296c-2870

ブロメライン

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ブロメライン(英: bromelain)は、タンパク質分解酵素の中のシステインプロテアーゼに分類される酵素。

概要

生のパイナップルの果実に含まれており、肉を柔らかくすることから、酢豚などの料理に用いられるとされるが、加熱調理後や煮て作られる缶詰の果実ではこのような効果はない[1]。キウイフルーツのアクチニジンやイチジクのフィシン、パパイヤのパパインも同様なタンパク質分解酵素(システインプロテアーゼ)である。

触媒残基はシステインとヒスチジンで、システイン残基のチオール基の硫黄原子がペプチド結合のカルボニル炭素に求核攻撃を行うことによって、タンパク質やペプチドの加水分解が始まるであろう。

Leupeptin などのペプチド系阻害剤や、システイン残基(チオール基)修飾試薬(水銀化合物など)によって阻害される。

脚注

^ 一般に、ブロメライン酵素は60℃以上で変性し活性を失うので、加熱する料理での使用は、酸味や甘みが目的であると考えた方がよい。

関連項目

プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)

タンパク質

酵素

プロリルイソメラーゼ

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プロリルイソメラーゼ(Prolyl isomerase、またはペプチジルプロリルイソメラーゼ Peptidylprolylisomerase:略称PPIase)は異性化酵素(イソメラーゼ)の一種で、タンパク質分子中のプロリン残基のシス・トランス異性化を触媒する。EC 5.2.1.8。全ての生物に知られている。

アミノ酸間のペプチド結合は一般にトランス体がシス体に比べてはるかに安定(エネルギーの低い状態)で、この状態が自然に達成される。ところがプロリン残基ではその特異な構造(正確にはアミノ酸でなくイミノ酸)により、N側ペプチド結合がシス体としても比較的安定に存在する。タンパク質の正確なフォールディングの為にはこれらがいずれかに定まる必要がある。ただしこの結合のシス・トランス異性化に必要な活性化エネルギーは約20kcal/molと比較的高いので、この結合は自然には異性化しにくく、フォールディングにはプロリン残基の異性化が触媒される必要がある。プロリルイソメラーゼはここで働き、従ってシャペロンの一つということができる。

プロリルイソメラーゼの例としては、真核生物のシクロフィリン、FKBPPin1、原核生物のパルブリンなどがある。プロリルイソメラーゼは同じ種類のタンパク質に対しても活性を有し、自己フォールディングを促進する。シクロフィリンとFKBPはそれぞれある種の免疫抑制剤の標的タンパク質であり、イムノフィリンと総称される。これらは免疫系の調節で中心的な役割を果たすカルシニューリン等、シグナル伝達に関るいくつかのタンパク質複合体の活性発現に必要であるが、免疫抑制剤と複合体を形成すると逆にこれらタンパク質複合体を阻害する。ただしこの性質には、プロリルイソメラーゼ活性は直接関係しない可能性がある。

ヘインズ=ウルフプロット

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9e/Hanes-Woolf_plot.svg/400px-Hanes-Woolf_plot.svg.png

ヘインズ=ウルフプロット

生化学において、ヘインズ=ウルフプロット: HanesWoolf plot)は、初めの基質濃度 [S] 反応速度 v の比を [S] に対してプロットした酵素反応速度論のグラフ表現である。以下に示すミカエリス・メンテン式の変形に基づいている。

[ S ] v = [ S ] V max + K m V max {\displaystyle {[S] \over v}={[S] \over V_{\max }}+{K_{m} \over V_{\max }}}上式において、Kmはミカエリス・メンテン定数、Vmaxは最大反応速度である。

J・B・S・ホールデンは、この手法はバーネット・ウルフ(Barnet Woolf)によるものであると記した[1]。また、チャールズ・サミュエル・ヘインズ(Charles Samuel Hanes)もこの手法を用いたが、ヘインズはウルフについては言及も引用もしていない[2]。ヘインズはこの種の線型変換から反応速度論的パラメータを決定するために線型回帰を用いると、vではなく1/vの観測値および計算値との間で最も適合するような結果を生成するため、この手法には欠陥があると指摘した。

式はミカエリス・メンテン式から以下のように導くことができる。

v = V max [ S ] K m + [ S ] {\displaystyle v={{V_{\max[}S]} \over {K_{m}+[S]}}} 逆数を取り [S] をかけると、

[ S ] v = [ S ] ( K m + [ S ] ) V max [ S ] = K m + [ S ] V max {\displaystyle {[S] \over v}={{[S](K_{m}+[S])} \over {V_{\max[}S]}}={{K_{m}+[S]} \over {V_{\max }}}}変形すると、

[ S ] v = 1 V max [ S ] + K m V max {\displaystyle {[S] \over v}={1 \over V_{\max }}[S]+{K_{m} \over V_{\max }}}となる。

上式から明らかなように、完璧なデータからは傾き1/Vmaxy切片Km/Vmaxx切片−Kmの直線が得られる。

ミカエリス・メンテン式を線型化するその他の手法と同様に、ヘインズ=ウルフプロットはKmVmaxVmax/Kmといった重要な反応速度論的パラメータを迅速に決定するために歴史的に使用されていたが、はるかに正確である非線型回帰手法に取って代わられている。しかしながら、データをグラフを使って示す方法としては引き続き有用である。

ヘインズ=ウルフプロットの1つの欠点は、縦座標横座標のどちらも独立変数を表わさない点である(どちらも基質濃度に依存している)。その結果、適合度の典型的な指標である相関係数Rを適用できない。

脚注

1.     ^ Haldane, J. B. S. (20 April 1957). Graphical Methods in Enzyme Chemistry. Nature 179 (832). doi:10.1038/179832b0. 

2.     ^ Hanes, CS (1932). “Studies on plant amylases: The effect of starch concentration upon the velocity of hydrolysis by the amylase of germinated barley.. Biochemical Journal 26 (5): 14061421. PMC 1261052. PMID 16744959. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=1261052. 

関連項目

ペクチナーゼ

ペクチナーゼ (pectinase) はペクチンを分解する触媒能を持つ酵素の総称。ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼなどがある。ペクチンは果汁の濁りの原因物質であるため、食品工業的には果汁を清澄化するために用いられている。こうした用途に用いる場合、主にアスペルギルス・ニガーによって工業的に生産される。

植物細胞のプロトプラスト作成において、セルラーゼと共に用いられる酵素でもある。

関連項目

凍結含浸法

凍結含浸法

凍結含浸法(とうけつがんしんほう)は、有益な物質(酵素、栄養成分、調味料など)を食品素材内部に急速導入する技術である。高齢者・介護用食品、機能性食品、医療用食品などの製造に利用される。減圧または加圧による急速酵素含浸法として、広島県が単独または企業との共同特許として、多数の特許を保有しており、大手食品会社を含む全国の企業にライセンス供与されている。主に商品化されている分野は、「やわらか食」または「咀嚼・嚥下困難者用食品」である。形状保持型のバリアフリー介護食として、酵素を利用した唯一の製造方法である。凍結含浸法に関連する学術論文、総説等は、学術雑誌に多数掲載されており、学術的にも高く評価されている。 関連商品は、進化系介護食あるいは回復支援食など様々な名称で、テレビ、新聞など多数のメディアに度々取り上げられている。

メリット]

·         見た目が通常の食品と変わらない高齢者・介護用食品

·         硬さを調節できる

·         ビタミンミネラルカロリー等を強化した食品

·         機能性成分を付加・増強できる

·         食べている様子をそのまま造影検査可能な嚥下造影検査

·         省エネルギー型食品製造

·         新しい食感の食品製造

歴史

2002(平成14年)に広島県立総合技術研究所食品工業技術センターの坂本宏司(現広島国際大学医療栄養学部教授)らによって発明され特許化されている。1998年頃に始めた研究で、ペクチナーゼを用いて単細胞食品を作製する過程で、栄養成分が浸透圧の影響で失われるという問題が生じた。これを解決する手段としてペクチナーゼを食材内部に急速導入する方法が考案され、その後、農林水産省や文部科学省の競争的資金を獲得し、県立広島病院広島大学大学院医歯薬総合研究科、三島食品など多くの企業と共同研究を行い、実用化研究に進展した。最初の論文は2004年の日本食品科学工学会誌に掲載されている。このペクチナーゼの急速導入法は食材の硬さの調節もできたため、高齢者・介護用食品の製造に応用され、その後凍結酵素急速含浸法(凍結含浸法)と名づけられた。凍結含浸法で調理された食事は、見た目には普通の食事と変わらないため、介護食のバリアフリー化を実現する技術として注目されている。現在、野菜類、きのこ類、豆類、食肉、魚介類など多くの食材の軟化技術が開発されている。新しい高齢者食・介護食の他、食品分野における新しい加工技術として注目を集めている。今後、このような形状保持軟化介護食の新規市場の形成・拡大が急速に進むものと期待されている。

基本原理

凍結・解凍操作と減圧操作の2工程を基本工程として食材内部に酵素や調味料などを急速導入する手法である。凍結・解凍操作は、食材内部に氷結晶を生成させることで食材は膨張し緩みを生じさせる効果を生む。減圧操作工程は、食材内部の空気を膨張させ、常圧復帰の際に酵素液と空気が置換され、酵素は食材内部に導入される。凍結・解凍操作による組織の緩みが減圧工程での酵素導入速度を速めている。加圧よりも減圧操作の方が効果的で製造コストも低い。酵素を食材内部に急速導入することで,食材表面と中心部の酵素反応の時間差を無くすことができる。

操作

凍結含浸操作の基本手順は、生または加熱した食材を-7℃~-20℃程度の温度(家庭用冷凍庫レベル)で凍結した後、酵素製剤を溶解させた調味液に浸漬し、解凍する。調味液に浸漬した状態のまま真空ポンプで減圧にし、常圧復帰後調味液から取り出して、酵素反応を進行させる。目的の硬さに達したら蒸煮処理等で酵素を失活させる。酵素剤の配合や各手順、温度管理は、食材に応じて変える必要がある。減圧操作は、真空包装機でも代用可能なことから、真空調理システムでそのまま利用できる。ほぼすべての食材に適用可能である。現在、給食、弁当、在宅給食、冷凍食品に利用されている他、真空包装機を用いて、病院老人福祉施設で直接調理可能な凍結含浸専用調味料ベジとろんが販売されている。 凍結含浸法の原理は単純ではあるが、食材または調理ごとに微妙な調整が必須で、多くのノウハウの習得、独自調理技術の開発が必要である。そのため、「一般社団法人凍結含浸やわらか食を普及する会」を中心に、調理セミナーを開催している。

特徴

見た目は普通の食事と変わらないため、食欲増進効果が高い他、調理の目的の一つである調味と軟化の工程は、酵素と真空工程で代用されるため、ビタミンやミネラルなどの栄養成分が分解しにくく、煮炊きによる溶出も生じにくい。さらに、加熱による色や香りの変化も少ない。また、食材に含まれるタンパク質やデンプンなどの高分子化合物が分解酵素により低分子化されているため、消化吸収性が高まるという報告もある。 嚥下造影や消化器官の造影検査など医療分野にも利用できる他、簡易な食品含浸法として、新しい食品加工技術にも応用展開できる技術である。病院や介護施設での試験では、患者や入所者のQOL向上に高い効果が認められている。

特許の使用

·         凍結含浸法を使用するには、広島県と直接特許許諾契約をする必要がある。

·         病院、介護施設、レストランおよび給食事業者などは、凍結含浸専用調味料「ベジとろん」「ミーとろん」を使用することで特許許諾契約を免除される。(調味料の購入代金には特許料が含まれている。)

食品製造・調理

·         市販のやわらか介護食は手軽で、品質も優れている。凍結含浸専用調味料「ベジとろん」「ミーとろん」を使用して、地域特性を生かした料理や各レストラン、料亭の特徴を生かした独自調理することもできる。

·         食材:生の食材はカット後、加熱(煮沸、スチコンなど)して冷凍する。水煮カット野菜は冷凍する。冷凍野菜はそのまま使用可能であるが、軟化しにくい食材は再冷凍する。肉、魚介類は生でも加熱してもOK。ハンバーグ、肉団子、沢庵など調理済み食品はそのまま冷凍する。

·         酵素液:冷凍食材を解凍後、または解凍しながら酵素液に浸漬して減圧する。酵素液はベジとろん(野菜用)、ミーとろん(肉、魚介類、キノコ用)を1%~10%の範囲で使用する。

·         減圧処理:真空包装機が最も手軽な方法で、フィルム内で行えるため、衛生的で酵素液も節約できる。ホテルパンを使用することも可能で、大量生産には多段式真空処理機が使用される。真空状態を5分程度保持することで確実に酵素含浸できる。

·         酵素反応:衛生面から低温(5℃以下)で、3時間~24時間、食材の特性に合わせて行う。軟化度は、酵素濃度、反応温度、反応時間のいずれかで調節できる。適宜希望する軟化度に到達したら、加熱(85℃以上)して酵素を失活する。酵素失活後は、酵素の働きは失われるので軟化も止まる。

·         衛生・安全性:酵素はタンパク質であり安全である。ヒト体内では消化液でアミノ酸に消化される。酵素失活工程で殺菌も同時に行われるため衛生的である。

·         注意点1:食材の加熱工程はブランチングと呼ばれ重要である。軟化が進まない場合は、事前加熱をしっかり行うこと。

·         注意点2:過剰な酵素反応は品質低下につながる。野菜を酵素処理するとガラクツロン酸が生成するため酸味が強くなる。魚介、肉の過剰な酵素処理は苦みペプチド、苦みアミノ酸が生成する。

·         注意点3:調味は軟化後に調味付けトロミ剤をかけるのが一番簡単である。また「とろん」に味付けしても良い。例えば、エビちりは冷凍バナメイを解凍後、再加熱、再冷凍し、ミーとろんで軟化後、エビちりのタレをかけて製造する。

将来展開

凍結含浸法は、介護食で実用化されているだけで、その特徴である食材内物質急速導入や食材内での酵素による新規生成物の生産といった分野はまだ研究が進んでいないこともあり、商品化されていない。新しい機能性食品や栄養強化食品の開発など、応用分野は広く、今後の研究開発と商品化が待たれる。

受賞歴[

·         日本食品科学工学会、論文賞(平成17年)、技術賞(平成20年)

·         安藤百福賞 優秀賞(平成20年)

·         発明表彰 中国経済産業局長賞(平成25年)

·         文部科学大臣表彰 科学技術賞(平成26年)

参考文献

·         坂本宏司「凍結含浸法を用いた見た目においしい咀嚼・嚥下困難者用食品の開発」『フードケミカル』,食品化学新聞社、265号,2010年、5256頁。

·         坂本宏司「凍結含浸法による新しい介護食の可能性」『臨床と栄養』1153号、2009年,医歯薬出版,234-235頁。

外部リンク[

·         ベジとろん ミーとろん

·         広島県産業科学技術研究所

·         もうけの花道 中国経済産業局

·         もうけの花道 English

·         広島県立総合技術研究所食品工業技術センター

ペグロティカーゼ

ペグロティカーゼ(Pegloticase)とは、難治性の痛風の治療のために用いる酵素製剤で、尿酸オキシダーゼの1種である。尿酸は、分子状の酸素と水の存在する環境において、ペグロティカーゼによって5-ヒドロキシイソ尿酸と過酸化水素に変換される。その後、5-ヒドロキシイソ尿酸は自発的にアラントインと二酸化炭素とに分解する。こうして産生するアラントインは水溶性が高く、腎臓から容易に排泄される。

解説

ペグロティカーゼは20109月にアメリカ合衆国でアメリカ食品医薬局が、さらに20131月にはヨーロッパで欧州医薬品庁が、それぞれ痛風治療薬として市販することを許可した薬剤である。基本的には他の薬剤では治療が難しい、約3 %ほどの痛風患者のために使用される場合のある薬剤である [1] 。 ペグロティカーゼは2週間おきに静脈への点滴によって投与する [1] 。 こうすることで、血中の尿酸を減らす効果が出る [2] 。 ただし、これによって痛風は改善するかもしれないけれども、ペグロティカーゼは抗原になりにくいように加工してあるとは言え [3] 、それでも抗原と成り得ることもあって [4] 、ペグロティカーゼには副作用も多い [5]

構造

ペグロティカーゼは、約300個のアミノ酸から成るペプチドのサブユニット4つが合わさってできる、4量体のタンパク質である。各サブユニットを構成するアミノ酸のうち、リジンの残基9個ずつがエチレングリコールによって修飾されている。なお、この修飾の仕方をペグ化と言う。ペグ化したことによって、抗原になりにくいようにしている [3]

出典

^ a b FDA approves new drug for gout 2010914日)

^ Sundy, JS; Baraf, HS, Yood, RA, Edwards, NL, Gutierrez-Urena, SR, Treadwell, EL, Vázquez-Mellado, J, White, WB, Lipsky, PE, Horowitz, Z, Huang, W, Maroli, AN, Waltrip RW, 2nd, Hamburger, SA, Becker, MA (Aug 17, 2011). “Efficacy and tolerability of pegloticase for the treatment of chronic gout in patients refractory to conventional treatment: two randomized controlled trials”. JAMA: the Journal of the American Medical Association 306 (7): 711–20. doi:10.1001/jama.2011.1169. PMID 21846852.

^ a b Biggers, K; Scheinfeldt, N (2008). Current Opinion in Investigational Drugs 9 (4): 422–429.

^ Abraham J. Domb, Neeraj Kumar (2 August 2011). Biodegradable Polymers in Clinical Use and Clinical Development. John Wiley & Sons.

^ Sriranganathan, MK; Vinik, O; Bombardier, C; Edwards, CJ (Oct 20, 2014). “Interventions for tophi in gout.”. The Cochrane database of systematic reviews 10: CD010069. doi:10.1002/14651858.CD010069.pub2. PMID 25330136.

関連項目

ラスブリカーゼ

ペターゼ

PETase

識別子

EC番号

3.1.1.101

別名

PET hydrolase, poly(ethylene terephthalate) hydrolase

データベース

IntEnz

IntEnz view

BRENDA(英語版)

BRENDA entry

ExPASy

NiceZyme view

KEGG

KEGG entry

MetaCyc

metabolic pathway

PRIAM

profile

PDB構造

RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum

 

 

 

ペターゼ(PETase)は、日本のごみ集積場中の細菌Ideonella sakaiensis(英語版)から2016年に発見された酵素である。PETが持つエステル結合を、カルボキシ基と水酸基とに加水分解する酵素であるため、EC番号は3.1.1.101が与えられている。PETasePETプラスチックを単量体テレフタル酸モノ-2-ヒドロキシエチル(MHET)分子へと分解する。MHETはこれらの細菌においてMHETaseの作用によりさらにテレフタル酸ヒドロキシエチルへと分解される。MHETaseは水中でさらにテレフタル酸とエチレングリコールへと分解する[1][2]

PETaseによって触媒される本反応は以下の通りである(nPET鎖中のモノマーの数)[3]

(PET)n + H2O ⇌ (ethylene terephthalate)n-1 + MHET

PETaseの既知の三次元構造は5XH35XH25XG05XFZ5XFY5YNS5XJHである。

出典

^ Yoshida, Shosuke; Hiraga, Kazumi; Takehana, Toshihiko; Taniguchi, Ikuo; Yamaji, Hironao; Maeda, Yasuhito; Toyohara, Kiyotsuna; Miyamoto, Kenji et al. (2016-03-11). “A bacterium that degrades and assimilates poly(ethylene terephthalate)”. Science 351 (6278): 1196–1199. doi:10.1126/science.aad6359. PMID 26965627.

^ Tanasupawat, Somboon; Takehana, Toshihiko; Yoshida, Shosuke; Hiraga, Kazumi; Oda, Kohei (August 2016). “Ideonella sakaiensis sp. nov., isolated from a microbial consortium that degrades poly(ethylene terephthalate)”. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 66 (8): 2813–2818. doi:10.1099/ijsem.0.001058. PMID 27045688.

^ BRENDA - Information on EC 3.1.1.101 - poly(ethylene terephthalate) hydrolase. www.brenda-enzymes.org. 2018417日閲覧。

関連項目

ハチノスツヅリガ(英語版) Galleria mellonella、ポリエチレンを消化できる毛虫

アスペルギルス・ツビンゲンシス(英語版) Aspergillus tubingensis、ポリウレタンを消化できる真菌

ペスタロチオプシス・ミクロスポラ(英語版) Pestalotiopsis microspora、ポリウレタンを分解できる能力を持つ植物内生真菌

β-ラクタマーゼ

β-ラクタマーゼ(ベータラクタマーゼ、β-lactamase)とはβ‐ラクタム系抗生物質を加水分解する酵素である。ペニシリン/セファロスポリンアミド-β-ラクタムヒドロラーゼ (penicillincepharosporin amido-β-lactam hydrolase)とも呼ばれる。EC3.5.2.6に分類される酵素である。

幾つかの種類のグラム陰性菌がβ-ラクタマーゼを産生することでβ-ラクタムに対して耐性を示すことが知られている。なお、β-ラクタム耐性はβ-ラクタマーゼのみが原因ではなくMRSAのようにペニシリン結合タンパク質の基質特異性が変化しても現れる。

現在β-ラクタマーゼは基質特異性の違いにより

ペニシリナーゼ (クラスA β-ラクタマーゼ)

メタロ-β-ラクタマーゼ (クラスB β-ラクタマーゼ、亜鉛-β-ラクタマーゼ、カルバペネマーゼ)

セファロスポリナーゼ (クラスC β-ラクタマーゼ)

オキサシリナーゼ (クラスD β-ラクタマーゼ)

が存在する[1][2][3][4]

これら4種のβ-ラクタマーゼのうち、クラスB β-ラクタマーゼは活性中心に亜鉛を持つが、他はセリン残基を持つ。ペニシリナーゼはペニシリン系抗生物質と第二世代セファロスポリンを分解するのに対して、セファロスポリナーゼは主にセファロスポリンを分解する。オキサシリナーゼはオキサシリンをも分解するペニシリナーゼであり、メタロ-β-ラクタマーゼはカルバペネム系抗生物質を分解する点に特徴がある。

β-ラクタマーゼの遺伝子は、細菌の染色体上あるいはプラスミド上に存在する。特に伝達性薬剤耐性プラスミド (drug resistance plasmid)に存在するβ-ラクタマーゼ遺伝子は菌種特異性も少なく多剤耐性菌の発生にも関与していると考えられる。

脚注

^ β-ラクタム耐性菌とその検出方法、関東化学

^ Bush, K. et. al. A functional classification scheme for β-lactamases and its correlation with molecular structure, Antimicrob Agents Chemother., 39, 1211-1233, 1995.

^ Ambler, R. P., The structure of β-lactameses, Philos Trans R Society Lond (Biol), 289, 321-331, 1980.

^ 石井良和、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌、クレブシエラ、臨床と微生物、26121-125, 1999.

関連項目

クラブラン酸

薬剤耐性

ペニシリン

セファロスポリン

出典

β-ラクタマーゼ『生物学辞典』第4版、岩波書店。

β-ラクタマーゼについて 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

β-ラクタマーゼ

β-ラクタマーゼ(ベータラクタマーゼ、β-lactamase)とはβ‐ラクタム系抗生物質を加水分解する酵素である。ペニシリン/セファロスポリンアミド-β-ラクタムヒドロラーゼ (penicillincepharosporin amido-β-lactam hydrolase)とも呼ばれる。EC3.5.2.6に分類される酵素である。

幾つかの種類のグラム陰性菌がβ-ラクタマーゼを産生することでβ-ラクタムに対して耐性を示すことが知られている。なお、β-ラクタム耐性はβ-ラクタマーゼのみが原因ではなくMRSAのようにペニシリン結合タンパク質基質特異性が変化しても現れる。

現在β-ラクタマーゼは基質特異性の違いにより

·         ペニシリナーゼ (クラスA β-ラクタマーゼ)

·         メタロ-β-ラクタマーゼ (クラスB β-ラクタマーゼ、亜鉛-β-ラクタマーゼ、カルバペネマーゼ)

·         セファロスポリナーゼ (クラスC β-ラクタマーゼ)

·         オキサシリナーゼ (クラスD β-ラクタマーゼ)

が存在する[1][2][3][4]

これら4種のβ-ラクタマーゼのうち、クラスB β-ラクタマーゼは活性中心に亜鉛を持つが、他はセリン残基を持つ。ペニシリナーゼはペニシリン系抗生物質と第二世代セファロスポリンを分解するのに対して、セファロスポリナーゼは主にセファロスポリンを分解する。オキサシリナーゼはオキサシリンをも分解するペニシリナーゼであり、メタロ-β-ラクタマーゼはカルバペネム系抗生物質を分解する点に特徴がある。

β-ラクタマーゼの遺伝子は、細菌の染色体上あるいはプラスミド上に存在する。特に伝達性薬剤耐性プラスミド (drug resistance plasmid)に存在するβ-ラクタマーゼ遺伝子は菌種特異性も少なく多剤耐性菌の発生にも関与していると考えられる。

脚注

1.     ^ β-ラクタム耐性菌とその検出方法、関東化学

2.     ^ Bush, K. et. al. A functional classification scheme for β-lactamases and its correlation with molecular structure, Antimicrob Agents Chemother., 39, 1211-1233, 1995.

3.     ^ Ambler, R. P., The structure of β-lactameses, Philos Trans R Society Lond (Biol), 289, 321-331, 1980.

4.     ^ 石井良和、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌、クレブシエラ、臨床と微生物、26121-125, 1999.

関連項目

·         クラブラン酸

·         薬剤耐性

·         ペニシリン

·         セファロスポリン

出典

·         β-ラクタマーゼ『生物学辞典』第4版、岩波書店。

·         β-ラクタマーゼについて 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

ペニシリン結合タンパク質

ペニシリン結合タンパク質(ペニシリンけつごうたんぱくしつ、英: penicillin-binding protein; PBP)とは、細菌の産生する酵素群でβラクタム系抗生物質と結合すると酵素機能が阻害されるタンパク質である。

ペニシリン結合タンパク質(以下PBPと略す)は真正細菌の細胞質膜に存在する酵素群で細胞壁のペプチドグリカン合成の最終段階に作用する。大腸菌では7種類のPBPが存在する。4種類の高分子量(6万~9)PBPはトランスグリコシラーゼとトランスペプチダーゼの二つの酵素活性を持ち細胞の伸長や隔壁形成に作用する。3種類の低分子量(4万~5万)PBPD-アラニンカルボキシペプチダーゼ活性を持つ。

高分子量PBPのトランスペプチダーゼ活性中心ならびに低分子量PBPD-アラニンカルボキシペプチダーゼ活性中心はいずれもセリン残基を持ち、βラクタム系抗生物質はペニシリンもセファロスポリンもこのセリン残基に結合することで酵素阻害作用を発現する。

耐性菌の発生はいろいろな機序で発生するがPBPの基質特異性が変化してβラクタム系抗生物質との結合能が低下することで発生する場合もある。

関連項目

酵素

ペニシリン

セファロスポリン

耐性菌

出典

ペニシリン結合蛋白質『生化学辞典』第4版、岩波書店。

β-ラクタマーゼ

β-ラクタマーゼ(ベータラクタマーゼ、β-lactamase)とはβ‐ラクタム系抗生物質を加水分解する酵素である。ペニシリン/セファロスポリンアミド-β-ラクタムヒドロラーゼ (penicillincepharosporin amido-β-lactam hydrolase)とも呼ばれる。EC3.5.2.6に分類される酵素である。

幾つかの種類のグラム陰性菌がβ-ラクタマーゼを産生することでβ-ラクタムに対して耐性を示すことが知られている。なお、β-ラクタム耐性はβ-ラクタマーゼのみが原因ではなくMRSAのようにペニシリン結合タンパク質基質特異性が変化しても現れる。

現在β-ラクタマーゼは基質特異性の違いにより

·         ペニシリナーゼ (クラスA β-ラクタマーゼ)

·         メタロ-β-ラクタマーゼ (クラスB β-ラクタマーゼ、亜鉛-β-ラクタマーゼ、カルバペネマーゼ)

·         セファロスポリナーゼ (クラスC β-ラクタマーゼ)

·         オキサシリナーゼ (クラスD β-ラクタマーゼ)

が存在する[1][2][3][4]

これら4種のβ-ラクタマーゼのうち、クラスB β-ラクタマーゼは活性中心に亜鉛を持つが、他はセリン残基を持つ。ペニシリナーゼはペニシリン系抗生物質と第二世代セファロスポリンを分解するのに対して、セファロスポリナーゼは主にセファロスポリンを分解する。オキサシリナーゼはオキサシリンをも分解するペニシリナーゼであり、メタロ-β-ラクタマーゼはカルバペネム系抗生物質を分解する点に特徴がある。

β-ラクタマーゼの遺伝子は、細菌の染色体上あるいはプラスミド上に存在する。特に伝達性薬剤耐性プラスミド (drug resistance plasmid)に存在するβ-ラクタマーゼ遺伝子は菌種特異性も少なく多剤耐性菌の発生にも関与していると考えられる。

脚注

1.     ^ β-ラクタム耐性菌とその検出方法、関東化学

2.     ^ Bush, K. et. al. A functional classification scheme for β-lactamases and its correlation with molecular structure, Antimicrob Agents Chemother., 39, 1211-1233, 1995.

3.     ^ Ambler, R. P., The structure of β-lactameses, Philos Trans R Society Lond (Biol), 289, 321-331, 1980.

4.     ^ 石井良和、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌、クレブシエラ、臨床と微生物、26121-125, 1999.

関連項目

·         クラブラン酸

·         薬剤耐性

·         ペニシリン

·         セファロスポリン

セルラーゼ

セルラーゼ (Cellulase) とは、β-1,4-グルカン(例えば、セルロース)のグリコシド結合加水分解する酵素。主に細菌植物において作られ、生物界に広く存在する。

分子内部から切断するエンドグルカナーゼ EC 3.2.1.4 と、糖鎖の還元末端と非還元末端のいずれから分解し、セロビオースを遊離するエキソグルカナーゼ(セロビオヒドロラーゼ) EC 3.2.1.91 にわけられる。また酵素タンパク質の構造から、ファミリーに分けられている。

保有生物

菌類など生産能を有している生物のほか、哺乳類では体内に生産能を持つ別の生物を共生させているものがある。

動物類

貝類

動物では巻き貝二枚貝がセルラーゼ、ヘミセルラーゼを産生できる。

節足動物門

シロアリゴキブリはセルラーゼを産生する単細胞の原生生物を腸内に共生させている。動物自身はセルラーゼを産生できないためこのような共生をおこなっていると考えられてきたが、シロアリの研究では、シロアリ自身のゲノムにセルラーゼをコードする遺伝子が存在し、この遺伝子が共生するバクテリア原生生物から近年に水平転移したものでは無いことが示唆されている (Watanabe et al. 1998)マツノザイセンチュウもセルラーゼ遺伝子の発現が認められるという報告がある。

深海底に生息するカイコウオオソコエビでは、高いグルコース(ブドウ糖)生産性を有している。

哺乳類

ウシヒツジなどの反芻動物やなどの草食動物は消化管にセルラーゼを産生する微生物(細菌、糸状菌、原生生物)を生息させており、これらによるセルロース分解によって植物繊維の消化を可能にしている。

菌類[編集]

子嚢菌類担子菌類にはセルロース分解能を持つものが多い。木材の分解はこれらが主体となっており、木材腐朽菌と言われる。糸状菌トリコデルマ1Trichoderma reesei はセルラーゼ高生産菌として有名な菌である。5060 g/lのタンパク質を分泌し、その大部分がセルラーゼ、ヘミセルラーゼを占めている。少なくとも5種のエンドグルカナーゼと2種類のセロビオハイドロラーゼといった複数のセルラーゼを生産することが分かっており、セルロース分解において期待されている。

好熱嫌気性セルロース分解細菌 Clostridium thermocellum では複数のサブユニットからなるセルラーゼ複合体 — セルロソーム (Cellulosome) を形成していることが知られており、これが高いセルロース分解能につながっていると考えられている。

応用

植物細胞の細胞壁のみを分解し、植物細胞のプロトプラスト化する場合や、繊維の間の汚れを取るために市販の洗剤に配合されたり、ジーンズ繊維の材質の改善などに使われている。また、カイコウオオソコエビ由来のセルラーゼは廃材などのセルロースを常温でグルコース(ブドウ糖)に変換できることから、穀物を原料としないアルコール燃料の生産に寄与することが期待されている[1]

関連項目

加水分解酵素

参考文献

H Watanabe et al. Nature 394, 330-331, 1998

^ マリアナ海溝世界最深部に生息する超深海性ヨコエビの特異な生態の解明と新規セルラーゼの発見 海洋研究開発機構

補因子

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/bd/Succinate_Dehygrogenase_1YQ3_Haem_group.png/220px-Succinate_Dehygrogenase_1YQ3_Haem_group.png

ミトコンドリアの電子伝達系を構成する酵素の一つコハク酸脱水素酵素に結合したヘム補因子。大きな半透明の球は鉄イオンの位置を示す。

生化学の分野において、補因子(ほいんし cofactor)は、酵素触媒活性に必要なタンパク質以外の化学物質である。[1]

補因子は「補助分子、またはイオン」であると考えられ、生化学的な変化を助けている。ただし、水や豊富に存在するイオンなどは補因子とはみなされない。それは、普遍的に存在し制限されることが滅多にないためである。この語句を無機分子に限って用いている資料もある[2][3]

補因子は2つのグループに大別できる。1つは補酵素(ほこうそ、coenzyme)で、タンパク質以外の有機分子であり、官能基を酵素間で輸送する。これらの分子は酵素とゆるく結合し、酵素反応の通常の段階では解離される。一方、補欠分子族(ほけつぶんしぞく、prosthetic group)はタンパク質の一部を構成しており、常時結合しているものである。

アポ酵素とホロ酵素

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/thumb/8/83/%E8%AA%AC%E6%98%8E%E5%9B%B3_%E9%85%B5%E7%B4%A0%E3%81%A8%E8%A3%9C%E5%9B%A0%E5%AD%90.png/300px-%E8%AA%AC%E6%98%8E%E5%9B%B3_%E9%85%B5%E7%B4%A0%E3%81%A8%E8%A3%9C%E5%9B%A0%E5%AD%90.png

アポ酵素とホロ酵素と補因子の関係
クリックで拡大と説明

補因子を伴わない酵素はアポ酵素と呼ばれ、一方補因子を伴った完全な活性を持つ酵素をホロ酵素と呼ぶ。

アポ酵素 + 補因子 {\displaystyle \rightleftharpoons } ホロ酵素

金属イオン補因子

詳細は「金属タンパク質」を参照

金属イオンは一般に補因子である。これらの補因子の研究は生物無機化学の領域に入る。栄養学における、必須な微量元素の補因子としての機能を下の表に示す。ヒトでは一般にマンガンコバルト亜鉛セレン、そしてモリブデンがこの表に含まれる[4]クロムの欠乏はグルコースの耐糖能異常の原因となるが、クロムを補因子とする酵素はヒトでは特定されていない[5][6]。また、ヨウ素も必須な微量元素であるが、この元素は補因子よりは甲状腺ホルモンの一部として多く使われる[7]カルシウムはヒトにとって必須な要素であり、多くの酵素(例えば、一酸化窒素合成酵素ホスファターゼアデニル酸キナーゼ)の活性に必要であるが、カルシウムは他の金属イオンと違いアロステリック効果によって酵素を活性化し、そのときしばしばカルモジュリンと共にそれらの酵素と結合する[8]。したがって、カルシウムは細胞シグナリング分子であり、通常は補因子としては考えない[9]

加えて、他の有機体では、Azotobacterのような窒素固定を行うバクテリアニトロゲナーゼバナジウム[10]Pyrococcus furiosusのような好熱性古細菌アルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼタングステン[11]、そしてタラシオシラ・ワイスフロッギーのような海洋性珪藻類の炭酸脱水酵素カドミウム[12][13] などがある。

多くの場合、補因子は無機と有機の両方の要素を含む。その例に、鉄がポルフィリン環に包まれたヘムタンパク質がある。

イオン

そのイオンを含む酵素の例

シトクロムcオキシダーゼ

カタラーゼ
シトクロム
ニトロゲナーゼ
ヒドロゲナーゼ

マグネシウム

グルコース-6-ホスファターゼ
ヘキソキナーゼ

マンガン

アルギナーゼ

モリブデン

硝酸還元酵素

ニッケル

ウレアーゼ

セレン

グルタチオンペルオキシダーゼ

亜鉛

アルコールデヒドロゲナーゼ
炭酸脱水酵素
DNAポリメラーゼ

補因子と酵素

補因子はホスト酵素への結合の強さおよび位置が異なる。酵素に固く結合したとき、補因子は補欠分子族と呼ばれる。一方、緩く結合した補因子は基質と同じように結びつく。これらは補酵素と表現され、基質として酵素反応に直接参加する有機物質である。ビタミンは補酵素の前駆体(例:ビタミンB1, B2, B6, B12, ナイアシン, 葉酸)または補酵素自体(例:ビタミンC)を供給する。

非酵素補因子

この用語は、タンパク質を活性化または抑制する非タンパク質分子に言及するために生物学の他の領域で使われる。例えば、受容タンパク質と結合して活性化させるホルモンのようなリガンドは補因子または活性化補助因子(コアクチベーター)と呼び、受容タンパク質を抑制する分子は抑制補体(コリプレッサー)と呼ぶ。

脚注

  1. ^ de Bolster, M.W.G. (1997). 生物無機化学で使われる用語集(IUPAC推奨 1997: 補因子. International Union of Pure and Applied Chemistry. 2008311日閲覧。
  2. ^ coenzymes and cofactors. 20071117日閲覧。
  3. ^ Enzyme Cofactors. 20071117日閲覧。
  4. ^ Aggett PJ (1985). Physiology and metabolism of essential trace elements: an outline. Clin Endocrinol Metab 14 (3): 51343. doi:10.1016/S0300-595X(85)80005-0. PMID 3905079. 
  5. ^ Stearns DM (2000). Is chromium a trace essential metal?. Biofactors 11 (3): 14962. PMID 10875302. 
  6. ^ Vincent JB (2000). The biochemistry of chromium. J. Nutr. 130 (4): 7158. PMID 10736319. http://jn.nutrition.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=10736319. 
  7. ^ Cavalieri RR (1997). Iodine metabolism and thyroid physiology: current concepts. Thyroid 7 (2): 17781. PMID 9133680. 
  8. ^ Clapham DE (2007). Calcium signaling. Cell 131 (6): 104758. doi:10.1016/j.cell.2007.11.028. PMID 18083096. 
  9. ^ Niki I, Yokokura H, Sudo T, Kato M, Hidaka H (1996). Ca2+ signaling and intracellular Ca2+ binding proteins. J. Biochem. 120 (4): 68598. PMID 8947828. 
  10. ^ Eady RR (1988). The vanadium-containing nitrogenase of Azotobacter. Biofactors 1 (2): 1116. PMID 3076437. 
  11. ^ Chan MK, Mukund S, Kletzin A, Adams MW, Rees DC (1995). Structure of a hyperthermophilic tungstopterin enzyme, aldehyde ferredoxin oxidoreductase. Science 267 (5203): 14639. doi:10.1126/science.7878465. PMID 7878465. 
  12. ^ Lane TW, Morel FM (2000). A biological function for cadmium in marine diatoms. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 97 (9): 462731. doi:10.1073/pnas.090091397. PMID 10781068. http://www.pnas.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=10781068. 
  13. ^ Lane TW, Saito MA, George GN, Pickering IJ, Prince RC, Morel FM (2005). Biochemistry: a cadmium enzyme from a marine diatom. Nature 435 (7038): 42. doi:10.1038/435042a. PMID 15875011. 

関連項目

外部リンク

 

主要な生体物質

炭水化物

アルコール

糖タンパク質

配糖体

脂質

エイコサノイド

脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体

リン脂質

スフィンゴ脂質

ステロイド

核酸

核酸塩基

ヌクレオチド代謝中間体

タンパク質

タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体

テトラピロール

 

ヘムの代謝中間体

 

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カテゴリ:

補欠分子族

補欠分子族(ほけつぶんしぞく、Prosthetic group)は、タンパク質の生物活性において重要なタンパク質に結合する非タンパク質(非アミノ酸)要素である[1]。補欠分子族は有機物ビタミン脂質など)または無機物金属イオンなど)であることがあり得る。補欠分子族はタンパク質にかたく繋がれており、共有結合を通して結合される。補欠分子族は酵素反応において重要な役割を持つ。補欠分子族が無いタンパク質はアポタンパク質と呼ばれるのに対し、補欠分子族がついているそれはホロタンパク質と呼ぶ。

補欠分子族は補因子の1つで、一時的に酵素と結合するのではなく永久的に酵素と結合しているという点で補酵素とは異なる[2]。酵素では、補欠分子族はいくつかの経路においてその活性部位に関係している。

ヘモグロビンのヘムは補欠分子族の一つである。さらに、有機物の補欠分子族にはチアミンビタミンB1)、チアミンピロリン酸ピリドキサールリン酸そしてビオチンなどのビタミン誘導体がある。よって、補欠分子族はしばしばビタミンであるか、ビタミンから作られる。これが、ビタミンがヒトの食事に必要な理由の一つである。

無機物の補欠分子族は通常はチトクロムcオキシダーゼヘモグロビンなどのヘム)、亜鉛炭酸脱水酵素など)、マグネシウム(いくつかのキナーゼなど)、モリブデン硝酸還元酵素など)のような遷移金属イオンである。

補欠分子族の一覧

補欠分子族

機能

分布

フラビンモノヌクレオチド [3]

酸化還元反応

バクテリアアーキア真核生物

フラビンアデニンジヌクレオチド [3]

酸化還元反応

バクテリア、アーキア、真核生物

ピロロキノリンキノン [4]

酸化還元反応

バクテリア

ピリドキサールリン酸 [5]

アミノ基転移脱炭酸脱アミノ

バクテリア、アーキア、真核生物

ビオチン [6]

カルボキシル化

バクテリア、アーキア、真核生物

メチルコバラミン [7]

メチル化異性化

バクテリア、アーキア、真核生物

チアミンピロリン酸 [8]

脱炭酸

バクテリア、アーキア、真核生物

ヘム [9]

酸素の結合と酸化還元反応

バクテリア、アーキア、真核生物

モリブドプテリン [10][11]

酸化

バクテリア、アーキア、真核生物

リポ酸 [12]

酸化還元反応

バクテリア、アーキア、真核生物

脚注

  1. ^ de Bolster, M.W.G. (1997). Glossary of Terms Used in Bioinorganic Chemistry: Prosthetic groups. International Union of Pure and Applied Chemistry. 20071030日閲覧。
  2. ^ de Bolster, M.W.G. (1997). Glossary of Terms Used in Bioinorganic Chemistry: Cofactors. International Union of Pure and Applied Chemistry. 20071030日閲覧。
  3. ^ a b Joosten V, van Berkel WJ (2007). Flavoenzymes. Curr Opin Chem Biol 11 (2): 195202. doi:10.1016/j.cbpa.2007.01.010. PMID 17275397. 
  4. ^ Salisbury SA, Forrest HS, Cruse WB, Kennard O (1979). A novel coenzyme from bacterial primary alcohol dehydrogenases. Nature 280 (5725): 8434. doi:10.1038/280843a0.  PMID 471057
  5. ^ Eliot AC, Kirsch JF (2004). Pyridoxal phosphate enzymes: mechanistic, structural, and evolutionary considerations. Annu. Rev. Biochem. 73: 383415. doi:10.1146/annurev.biochem.73.011303.074021. PMID 15189147. 
  6. ^ Jitrapakdee S, Wallace JC (2003). The biotin enzyme family: conserved structural motifs and domain rearrangements. Curr. Protein Pept. Sci. 4 (3): 21729. doi:10.2174/1389203033487199. PMID 12769720. 
  7. ^ Banerjee R, Ragsdale SW (2003). The many faces of vitamin B12: catalysis by cobalamin-dependent enzymes. Annu. Rev. Biochem. 72: 20947. doi:10.1146/annurev.biochem.72.121801.161828. PMID 14527323. 
  8. ^ Frank RA, Leeper FJ, Luisi BF (2007). Structure, mechanism and catalytic duality of thiamine-dependent enzymes. Cell. Mol. Life Sci. 64 (7-8): 892905. doi:10.1007/s00018-007-6423-5. PMID 17429582. 
  9. ^ Wijayanti N, Katz N, Immenschuh S (2004). Biology of heme in health and disease. Curr. Med. Chem. 11 (8): 9816. doi:10.2174/0929867043455521. PMID 15078160. 
  10. ^ Mendel RR, Hänsch R (2002). Molybdoenzymes and molybdenum cofactor in plants. J. Exp. Bot. 53 (375): 168998. doi:10.1093/jxb/erf038. PMID 12147719. http://jxb.oxfordjournals.org/cgi/content/full/53/375/1689. 
  11. ^ Mendel RR, Bittner F (2006). Cell biology of molybdenum. Biochim. Biophys. Acta 1763 (7): 62135. doi:10.1016/j.bbamcr.2006.03.013. PMID 16784786. 
  12. ^ Bustamante J, Lodge JK, Marcocci L, Tritschler HJ, Packer L, Rihn BH (1998). Alpha-lipoic acid in liver metabolism and disease. Free Radic. Biol. Med. 24 (6): 102339. doi:10.1016/S0891-5849(97)00371-7. PMID 9607614. 

関連項目

外部リンク

補酵素

ビタミン: NAD+ (B3) - NADP+ (B3) - 補酵素A (B5) - THF / H4F (B9), DHF, MTHF - アスコルビン酸 (C) - メナキノン (K) - 補酵素F420
非ビタミン: ATP - CTP - SAM - PAPS - GSH - 補酵素B - 補酵素M - 補酵素Q - メタノフラン - BH4 - H4MPT

有機補欠分子族

ビタミン: TPP / ThDP (B1) - FMN, FAD (B2) - PLP / P5P (B6) - ビオチン (B7) - メチルコバラミン, コバラミン (B12)
非ビタミン: ヘム - α-リポ酸 - モリブドプテリン - PQQ

金属補欠分子族

Ca2+ - Cu2+ - Fe2+, Fe3+ - Mg2+ - Mn2+ - Mo - Ni2+ - Se - Zn2+

主要な生体物質

炭水化物

アルコール

糖タンパク質

配糖体

脂質

エイコサノイド

肪酸/脂肪酸の代謝中間体

リン脂質

スフィンゴ脂質

ステロイド

核酸

核酸塩基

ヌクレオチド代謝中間体

タンパク質

タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体

テトラピロール

ヘムの代謝中間体

ホスファターゼ

ホスファターゼ(PhosphataseEC 3.1.3)とは、リン酸モノエステル加水分解酵素(ホスホモノエステラーゼ)のこと。リン酸モノエステルまたはポリリン酸化合物を加水分解し、リン酸と、水酸基を持つ化合物とに変換する脱リン酸化酵素である。ホスホリラーゼあるいはキナーゼによって行われるリン酸化の逆の効果を果たす。なお広義に、リン酸ジエステル加水分解酵素(ホスホジエステラーゼ)を含めることもある。

ホスファターゼは基質特異性の低いタイプと高いタイプに分けられる。前者にはアルカリホスファターゼや酸性ホスファターゼがあり、p-ニトロフェニルリン酸などの発色基質により活性を測定することができる。後者にはグルコース-1-ホスファターゼやタンパク質ホスファターゼなどがある。

ホスホジエステラーゼ

ホスホジエステラーゼ (Phosphodiesterase, PDE) とは、広義にはリン酸ジエステル結合(1分子のリン酸が2個の水酸基と結合した構造)の一方の結合を加水分解する酵素である。 これにはホスホリパーゼCDのようなリン脂質を分解するものや、核酸を分解するヌクレアーゼなども含まれる。

しかし一般には、cAMPcGMPの環状リン酸ジエステルを加水分解する酵素(環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ)を特にホスホジエステラーゼと呼ぶ。 cAMPcGMPはセカンドメッセンジャーであり、PDEはその酵素活性のバランスによってその濃度を調節し、シグナル伝達に重要な役割を担っている。

哺乳類においてPDEのスーパーファミリーは11種類あり、基質特異性などが異なる。

関連項目

ALP

抗血小板剤

クエン酸シルデナフィル

プロテインキナーゼ

イカリソウ

メチルキサンチン誘導体(カフェイン、テオフィリンなど)

1-(5-ホスホリボシル)-5-((5-ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ)イミダゾール-4-カルボキサミドイソメラーゼ

1-(5-ホスホリボシル)-5-[(5-ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ]イミダゾール-4-カルボキサミドイソメラーゼ(1-(5-phosphoribosyl)-5-[(5-phosphoribosylamino)methylideneamino]imidazole-4-carboxamide isomeraseEC 5.3.1.16)は、次の反応を触媒する酵素である。

1-(5-ホスホリボシル)-5-[(5-ホスホリボシルアミノ)メチリデンアミノ]イミダゾール-4-カルボキサミド

⇌ {\displaystyle \rightleftharpoons }

5-[(5-ホスホ-1-デオキシリブロース-1-イルアミノ)メチリデンアミノ]-1-(5-ホスホリボシル)イミダゾール-4-カルボキサミド

 

関連項目

異性化酵素

参考文献

IUBMB entry for 5.3.1.16(英語)

BRENDA references for 5.3.1.16 (英語)

PubMed references for 5.3.1.16(英語)

PubMed Central references for 5.3.1.16(英語)

Google Scholar references for 5.3.1.16(英語)

外部リンク

IUBMB entry for 5.3.1.16(英語)

KEGG entry for 5.3.1.16(英語)

BRENDA entry for 5.3.1.16(英語)

NiceZyme view of 5.3.1.16(英語)

EC2PDB: PDB structures for 5.3.1.16(英語)

PRIAM entry for 5.3.1.16(英語)

PUMA2 entry for 5.3.1.16(英語)

IntEnz: Integrated Enzyme entry for 5.3.1.16(英語)

MetaCyc entry for 5.3.1.16(英語)

Atomic-resolution structures of enzymes belonging to this class(英語)

ポリメラーゼ

ポリメラーゼ(英語:Polymerase)とは、DNARNAのような核酸ポリマーや長鎖を合成する酵素の事である。

酵素を分類整理しているEC番号では、EC 2.7.7.6/7/19/48/49という番号が割り当てられている。

DNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼは、塩基対形成相互作用によって、DNAまたはRNAのテンプレート鎖を複製し、それぞれDNAおよびRNA分子を組み立てるために使用される。

関連項目

Taqポリメラーゼ

ポリメラーゼ連鎖反応

Terminal deoxynucleotidyl transferase

逆転写酵素

転写 (生物学)

DNA修復

ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ

HMBS

 

Protein HMBS PDB 3ECR.png

 

PDBに登録されている構造

PDB

オルソログ検索: PDBe RCSB

[表示]PDBIDコード一覧

3ECR, 3EQ1

 

識別子

 

記号

HMBS, PBG-D, PBGD, PORC, UPS, hydroxymethylbilane synthase

 

外部ID

OMIM: 609806 MGI: 96112 HomoloGene: 158 GeneCards: HMBS

 

[隠す]遺伝子の位置 (ヒト)

11番染色体 (ヒト)

染色体

11番染色体 (ヒト)[1]

11番染色体 (ヒト)

HMBS遺伝子の位置

HMBS遺伝子の位置

バンド

データ無し

開始点

119,084,866 bp[1]

終点

119,093,549 bp[1]

 

[表示]遺伝子の位置 (マウス)

9番染色体 (マウス)

染色体

9番染色体 (マウス)[2]

9番染色体 (マウス)

HMBS遺伝子の位置

HMBS遺伝子の位置

バンド

データ無し

開始点

44,336,339 bp[2]

終点

44,344,228 bp[2]

 

 

 

オルソログ

 

ヒト

マウス

Entrez

3145

15288

Ensembl

ENSG00000256269
ENSG00000281702

ENSMUSG00000032126

UniProt

P08397

P22907

RefSeq
(mRNA)

NM_000190
NM_001024382
NM_001258208
NM_001258209

NM_001110251
NM_013551

RefSeq
(
タンパク質)

NP_000181
NP_001019553
NP_001245137
NP_001245138

NP_001103721
NP_038579

場所
(UCSC)

Chr 11: 119.08 – 119.09 Mb

Chr 11: 44.34 – 44.34 Mb

PubMed検索

[3]

[4]

ウィキデータ

ポルフォビリノーゲンデアミナーゼPorphobilinogen deaminase)(ヒドロキシメチルビランシンターゼやウロポルフィリノーゲンIシンターゼとしても知られている。)は、ポルフォビリノーゲンからヒドロキシメチルビランを合成するポルフィリン合成の第3段階で働く酵素である。この酵素は、唯一の二ピロールメタン補助因子である。この酵素の活動欠損は、急性間欠性ポルフィリン症を引き起こす。

この遺伝子は、ヒドロキシメチルビランシンターゼの一群を記述している。記述されたタンパク質は、ヘム合成回路の3段階目の酵素であり、4つのポルフォビリノーゲン縮合してを直線状のヒドロキシメチルビランを生成する作用を行う。この遺伝子の変異は、常染色体優性疾患である急性間欠性ポルフィリン症を引き起こす[5]

 4 
Porphobilinogen
 + H
2
O 
Hydroxymethylbilan
 + 4 NH
3
  ポルフォビリノーゲン        ヒドロキシメチルビラン

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a9/Heme_synthesis.png

ヘム合成は、細胞質やミトコンドリア内(黄色部分)で反応が起こる。

脚注

1.     ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000256269ENSG00000281702 - Ensembl, May 2017

2.     ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000032126 - Ensembl, May 2017

3.     ^ "Human PubMed Reference:". 

4.     ^ "Mouse PubMed Reference:". 

5.     ^ Entrez Gene: HMBS hydroxymethylbilane synthase. 201077日閲覧。

出典

http://en.wikipedia.org/wiki/Porphobilinogen_deaminase

関連事項

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ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ

識別子

略号

FTCD

Entrez

10841

HUGO

3974

OMIM

606806

RefSeq

NM_006657

UniProt

O95954

他のデータ

EC番号

(KEGG)

4.3.1.4

遺伝子座

Chr. 21 q22.3

 

ホルムイミノトランスフェラーゼシクロデアミナーゼ(Formiminotransferase cyclodeaminase)は、5-ホルムイミノテトラヒドロ葉酸を5,10-メテニルテトラヒドロ葉酸とアンモニアに変換する酵素である。

関連項目

グルタミン酸-1-セミアルデヒド

外部リンク

formiminotetrahydrofolate cyclodeaminase - MeSH、米国国立医学図書館、生命科学用語シソーラス (英語サイト)

ホロ酵素

ホロ酵素(ホロこうそ、英: holoenzyme)とは、酵素本体となるタンパク質分子に、非タンパク質性の分子が結合して初めて酵素として機能するものを呼ぶ。この場合の非タンパク質性の分子の部分を補因子と呼ぶ。補酵素を要求する酵素はホロ酵素であり、補酵素部分が補因子となっている。

多くの場合、非タンパク質性の部分を失うと活性を失う。このタンパク質部分のみの状態のものをアポ酵素と呼ぶ。

また、複数のタンパク質分子が複合体を形成して初めて活性を示すような酵素についても、ホロ酵素と呼ぶ場合がある。この場合、一部のサブユニットを失って活性を失った状態のものがアポ酵素と呼ばれる。