片頭痛

§  頭痛の症状は?

§  片頭痛の前兆とは?

§  片頭痛の痛みの原因は?

§  鎮痛剤で痛みを抑えても、またおきる痛み

§  片頭痛の鍼灸治療

脳の激しい興奮が「痛み」となって現れるのが、片頭痛(偏頭痛)です。片頭痛は女性に多い症状で、その比率は男性の4倍に達するほどです。「頭痛持ち」という言葉がありますが、「頭痛」はあまりにも身近な症状としてとらえられられていることが多く、「病院に行くほどでもない・・・」と我慢してしまう方も多いようです。しかし、頭痛にもさまざまな原因があります。中には、脳腫瘍・脳出血など緊急を要し命にかかわるものが原因の場合もあります。また、頭痛という痛みが現れているその水面下では「脳の興奮した状態」があり脳が敏感になっている、という診方もあるようです。自己判断せずに、頭痛専門病院を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。

 

片頭痛の症状は?

§  頭の片側、もしくは両側がズキンズキンと痛む

§  身体を動かしたり、頭の位置を変えると痛みが悪化する

§  光をまぶしく感じたり、音にも敏感になる

§  他に、吐き気や嘔吐の症状が痛みと同時に現れる方も多いようです

片頭痛は、主にこめかみから目の辺り~耳の周りにかけて、ズキンズキンと脈を打つように痛む、発作性の頭痛です。
この痛みが起こると、数時間~
23日間持続することがあります。

片頭痛の前兆とは?

偏頭痛の中には、痛みが起きる前に様々な前兆が起こることがあります。これらは、脳の血管が収縮され、脳の血流量が低下するために起こる症状です。

§  閃輝暗点(せんきあんてん):ギザギザした光のようなものが見える

§  首や肩のこり

§  生あくび

§  空腹感

アロディニアという前兆

アロディニアという前兆が近年、注目を集めています。アロディニアは、脳神経のうちの三叉神経(さんさしんけい)が興奮することで、頭部や顔面の皮膚の感覚が敏感になり、顔に風が当たるだけで痛みを感じたり、髪を軽く触られるだけで頭皮に違和感を感じたりします。このような感覚の異常も片頭痛の前兆と言われています。

 

片頭痛の痛みの原因は?

片頭痛の痛みの原因は、三叉神経という顔面の知覚を脳に伝える神経がかかわっていると言われています。脳の血管は血液から放出される「セロトニン」という神経伝達物質の働きで収縮と拡張を繰り返しています。それにより脳内の血液量は一定に保たれています。なんらかの理由で「セロトニン」が大量に放出されると、脳の血管が一旦収縮します。その後「セロトニン」が出尽くしてしまうと、今度はその反動で脳の血管が急激に拡張します。血管が拡張すると、血管を取り巻いている三叉神経の興奮が高まり、炎症物質を出します。この情報が三叉神経を通じて大脳へと伝わって「痛み」となって現れると考えられています。

女性の生理周期にご用心!

片頭痛は、女性に多い症状です。それは、片頭痛の発症が女性ホルモンの「エストロゲン」の変化によって 影響されるためです。エストロゲンは、生理周期によって分泌量が増えたり減ったりします。そのため、女性の生理周期に関連して片頭痛が起きるのです。特に、「エストロゲン」の量が下がる生理の23日前や排卵期は頭痛が起きやすい時期です。頭痛が起きるのは生理周期のいつ頃かをチェックしてご自分の体調のリズムを知ることも、頭痛予防の為に役に立ちます。

 

鎮痛剤で痛みを抑えても、またおきる痛み

片頭痛の痛みがおきている時は痛みを我慢せずに症状に合った薬を内服し、静かな照明の暗い場所で横になって休みましょう。市販の鎮痛薬で痛みを一時的に紛らわすことや薬を使うことが嫌だからと、ひたすら我慢するのも身体に大きな負担をかけます。

脳の興奮を鎮める

片頭痛や緊張型頭痛などの慢性的な頭痛が気になっている方は、頭痛専門の医療機関の受診をおすすめします。脳波検査を受け脳が興奮しやすいかどうかを調べることが重要です。もし、脳が興奮しやすい状態である場合は、鎮痛剤やトリプタン製剤を服用しても、効果がない又は一時的には効いているような感じがしても、また片頭痛の痛みがおきたりします。そればかりか、市販の鎮痛剤を多用することで、薬物乱用頭痛におちいる可能性も高くなりますので、注意が必要です。

 

片頭痛の鍼灸治療

片頭痛の痛みがおきている時は、頭や顔をおさえたくなったり、歩くだけでも頭がガンガンするので、できるだけ早く暗い静かな場所で横になり、気持も落ち着ける状態で横になって休むのが良いでしょう。足や耳にある偏頭痛のツボを押したり、アイスパックなどでコメカミや側頭部・頭頂部などを気持良いと感じる程度に冷やすのも効果的な偏頭痛の対処法です。身体を動かしたり、温めたりするのは逆効果になりますのでご注意ください。

予防が大事です!

鍼灸治療では、主に予防的な治療をしています。「頭痛」とひと口に言っても、様々な症状があります。

§  偏頭痛

§  緊張型頭痛(肩・首のこりが原因)

§  群発頭痛

§  薬物乱用頭痛 

上記のうち、いくつかの要素を併せ持っている場合もあります。特に肩・首の緊張やコリは「頭痛」と切ってもきれないほど関係が深く、頭痛を感じる方のほとんどが首・肩こりの辛い症状をおもちです。後頭部や首・首の横・肩の筋肉をほぐすのに、鍼灸は大変効果があります。「以前は頭痛持ちだった」という当院の患者さんでは、定期的に治療を受けることで、「頭痛は気にならなくなった」という方もいらっしゃいます。肩や首のこりが原因となる緊張型頭痛でも、偏頭痛でも、日ごろから肩や首のコリを解消しておくことで、頭痛がおきにくい状態になるとみています。具体的には、天柱(てんちゅう)・風池(ふうち)・完骨(かんこつ)などの、首の後ろ側の髪の生え際にあるツボを使って、後頭部の深い筋肉のコリをやさしくゆるめます。

脳が「忙しいよ」と痛みを起こしている!

片頭痛では「脳の興奮」を定期的に鎮めることが大切です。仕事や日常生活での様々な感情が積み重なったり、ストレスを感じる時は脳も忙しく働いています。また、パソコンを長時間使用したり、考え事で頭を使う事が続くと、脳はその忙しい状態を覚えてしまい、脳の血管が常に収縮した状態になります。ところが、仕事が休みの日には脳の興奮も落ち着いて、収縮していた血管も拡張するため三叉神経を刺激して、頭痛が起きます。「休みの日になると頭痛が起きる」という方も多いようです。「何も考えなくていいよ」という時間を脳に与えることが脳の興奮を静めます。

心と身体は一体!

東洋医学では「心身一如」(しんしんいちにょ)と言う言葉があります。「心と身体は一体だよ。」という考えです。その東洋医学の1つである鍼灸治療は、心の治療も重要視しているのです。いろいろな感情によっても、身体には変化があらわれています。当院では、心の緊張状態も診ながら、症状やその原因、お身体に合った鍼灸治療を致しております。鍼灸治療を受けてみて、「ほわ~とします。」「リラックスできる」という声をよくいただいております。一旦一休みして、緊張した心や筋肉をゆるめる時間をとられてみてはいかがでしょうか?偏頭痛や後頭部のコリ・痛みでお困りでしたら、ぜひご相談下さい。

 

緊張型頭痛

「成人の5人に1人がその症状に悩んでいる。」それが、緊張型頭痛です。

緊張型頭痛の痛みは、毎日のように起こりますが、日常生活に影響を与えるような激しい痛みに悩まされることは少なく、いつの間にか始まった痛みがだらだらと続き、特に午後~夕方の疲れがたまってくる時間に、痛みが増す傾向があります。

 

後頭部や首・肩のコリを感じていませんか?

緊張型頭痛は、頭周りの筋肉の過度の緊張によって血管が収縮し、血液の流れが悪くなることで起こります。後頭部・首・肩のコリ、目の奥の痛み・眼精疲労、全身の倦怠感を訴える方が多いようです。

心の疲れ・ストレスも原因に

また、精神的に悩み事があったり、不安を抱えているなどでストレスを感じていると、自律神経のバランスが崩れ、筋肉に栄養を送る血管が収縮し痛みが生じることもあります。なかには、筋肉の緊張とは関係なく、頭の中の痛みを感じる機能に異常がある場合があります。適応障害やうつ病など、心の病気が原因となることもあるので、注意が必要です。また、頭痛という痛みの水面下では、「脳の興奮した状態」があり、脳が敏感になっているという診方もあるようです。自己判断せずに、頭痛専門病院を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。

 

当院の治療

緊張型頭痛の原因である、首・肩・頭周りの筋肉の緊張をほぐして、血流を改善する治療が中心となります。肩こりがひどくなると頭痛が起きる方が非常に多いようです。

肩こりのページも是非あわせてご覧ください。具体的には、首から背中にかけての大きな筋肉である僧帽筋・肩甲骨を持ち上げている肩甲挙筋・後頭部の下から首にかけての小さな筋肉・首の横にある胸鎖乳突筋・斜角筋などのコリや過度の緊張を鍼灸治療でゆるめていきます。また、頭痛の状態にもよりますが、耳の上にある側頭筋やこめかみにある太陽(たいよう)という特効のツボを使うこともよくあります。眼精疲労の症状がある場合には、目の周りにある目の疲れに効くツボに鍼をすることもあります。緊張型頭痛は肩や首のコリが主な原因ですが、他に、冷え・風邪・精神的な緊張・ストレスなどでもおこります。

東洋医学で診ると

§  風寒(ふうかん)タイプ:風邪などを引いたときに起きる

§  寒飲(かんいん)タイプ:クーラーなどの冷え・冷たいものの食べ過ぎ

§  気滞血瘀(きたいけつお)タイプ:精神的な緊張や血流の低下による

§  肝陽(かんよう)タイプ:緊張・怒り・イライラなどのストレスによる

§  気虚血瘀(ききょけつお)タイプ:疲労によって悪化する

§  肝血虚(かんけっきょ)タイプ:眼精疲労や睡眠不足で症状が強くなる

緊張型頭痛は、筋肉や心の緊張によっておきていると考えます。筋肉のコリや痛みは比較的気が付きやすいのですが、心の緊張は気づかずに過ごしてしまい、無理を重ねてしまうガンバリ屋さんが多いようです。

「疲れた~」の一歩手前に休憩を!

緊張型頭痛は、その名前の通り、頭周りや首・肩・背中の筋肉が過度に緊張することで起こります。パソコンなどで長時間同じ姿勢を取り続けているだけでも、筋肉は緊張します。そこに、モニターを見る、目で文字を追う、書類を見ながら文字を打つなど目を酷使するため、眼精疲労や後頭部~首にかけて痛みがおきることが多いです。できるだけ、定期的に時間を取ってほんの数分でも良いので、首・肩のストレッチや目の疲れをとる目の周りのツボ押しをするなど、気分転換を上手く取り入れることが大切です。緊張が続くと、呼吸が浅くなることも多いので、ゆっくりと深呼吸を繰り返すのも良い方法です。

 

鍼やお灸の治療は、「思っていたよりも痛くなかった」「とてもリラックスできる」という声をよくいただいています。薬で対処することが気になっている方にもおすすめの治療法です。気になる症状がありましたら、どうぞご相談下さい。