コムラサキ   (クマツヅラ科ムラサキシキブ属:落葉低木:樹高 〜2メートル:花期 〜7月)

薬効
寄生性皮膚病
分布生育場所

科名:クマツヅラ科/属名:ムラサキシキブ属
和名:小紫/別名:コシキブ/学名:Callicarpa dichotoma
本州の岩手県以西、四国、九州、沖縄の山地、日当たりの良い湿地、庭木に植栽
台湾、朝鮮半島、中国南部に分布

見分け方・特徴

本州の岩手県以西の山麓や湿地などにまれに見られる落葉低木
高さ1〜2メートル、若い枝には毛がある
葉は、柄があり対生、薄く、長楕円形、 長さ3〜7センチ、葉脈に短毛があり、裏面に腺点があり、両端は尖り、葉縁 の上半分には鋸歯がある
花は、葉腋の少し上に、淡紫色の小花を集散花序に多数つけ、少し芳香がある
果実は、核果で球形、直径3ミリ、紫色に熟す、秋に葉が落ちても少しの間残り、美しい
秋〜冬の果実が美しいことから庭木に植栽される

ムラサキシキブとの違いは、コムラサキは、果実の径が少し小さく、葉の上半分に鋸歯があり葉柄の半分は無縁


採集と調整
夏に小枝、葉を採取して洗い、天日で乾燥させる

緑葉は、染料に用い、材は、ノミの柄にする


薬効・用い方
有効成分は、ジテルペノイド・カリカルポン、フラボノイド・ハイドロオキシテラオキシフラボンなどを含有するという

寄生性皮膚病には、生の葉を潰して、葉の汁を患部に塗布する
乾燥した枝・葉を、適量の水で煎じた液を患部に塗布する


その他
名の由来は、優雅な紫色の果実を、平安時代の才女、紫式部の名を借りたという説がある

方言辞書「物類称呼(1775)」越谷吾山(こしがやござん)著には、ムラサキシキブを「玉紫。京にてムラサキシキミと呼ぶ」という記述があり、シキミとは、重実(しげみ)の意味で、重いように実が枝に多く付く様子から、シゲミが転訛(てんか)して、ムラサキシキブの名になったという説もある
ムラサキシキブの小型から、コムラサキの名になった


コムラサキの熟した果実を採取して、リキュールを作る。3倍量の35度ホウイトリカーと氷砂糖少し入れて、3〜4ヶ月程度で、ハーブの香りのするリキュールができるという

南太平洋のヤップ島、パラオ島では、野生する、ムラサキシキブやコムラサキ属の枝葉を、石で叩き潰した汁を流して魚を採る
ムラサキシキブの同属の植物は、魚には有毒で人には無毒であり、水に浮いた魚を集めて食べる