アカヤジオウ

アカヤジオウ          (ゴマノハグサ科ジオウ属:多年草:草丈 〜30センチ:花期 〜7月)

薬効
閉経(へいけい) 血行障害 増血作用
分布生育場所

科名:ゴマノハグサ科/属名:ジオウ属
和名:アカヤジオウ/学名:Rehmannia glutinosa Liboschitz Var.purpurea Makino
江戸時代に薬草として栽培、現在は奈良地方の一部で栽培
中国の中北部から北部、東北部、内モンゴルに分布。

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見分け方・特徴

6〜7月ごろになると20センチほどの花茎をのばし、その先に数個の淡紅紫色の花をつけます。花は横向きで長さ約3センチの筒状で、先端は、くちびる状になっています。葉は根元に数枚あって長楕円形になっています。葉の表面には、ちりめん状のしわがあり、全草に腺毛が密生しており、根は赤みがあって太く地中を横に走っています。
アカヤジオウとよく似て全体がやや大型で花穂も長く、総状花序となるカイケイジオウがあります。花が淡黄色のものはシロヤジオウといいます。

栽培
栽培には、温暖な気候が適します。多湿には弱いのでとくに排水によい土質、砂質地を選び栽培します。根を薬用のために切り取った残りの根茎を防寒の意味で縦穴を利用して保存します。4月に種茎として取り出し浅く植えつけて上に敷き藁かぶせます。薬用として採取する場合は花がつく前に取り去り、肥料を与える必要があります。
採集と調整
11〜12月ごろに根を掘り取った、そのままのものを「鮮地黄(せんじおう)・鮮生地(せんしょうじ)」といい、日陰の砂地に貯蔵します。
掘り取ってすぐ風通しのよい場所で日干しにしたものを「乾地黄(かんじおう)」といいます。一般には「地黄(じおう)」と呼ばれる生薬は、この「乾地黄(かんじおう)」をいいます。
「鮮地黄(せんじおう)」を酒とともに蒸し器に入れて黒色になるまで蒸して乾燥させたものを「熟地黄(じゅくじおう)」といいまが、現在調製される多くのものは水蒸気で蒸したものです。調製されたものは薬効に多少の違いがあります。
薬効・用い方
虚弱体質で貧血気味の人の補血および強壮の目的で10〜15グラムを1日量として煎じて服用します。

漢方処方
「地黄(じおう)」は、血行障害、出血、閉経などの血の症に用い、ホルモンの分泌を促進させ、増血効果があり、漢方の処方に用いられます。
「鮮地黄(せんじおう)」と「乾地黄(かんじおう)」は、ほぼ同様な効能がありますが「鮮地黄(せんじおう)」は血行障害で、うっ血による症状や内出血、鼻血、吐血などの激しい症状に止血、通経効果があり、体力のある人に使用します。
「乾地黄(かんじおう)」は血行不良が原因となるしびれを取り去り、筋肉の発育不良の治療に用います。なお、「乾地黄(かんじおう)」には血糖降下作用があります。
「熟地黄(じゅくじおう)」には、ホルモンを分泌させて増血を助ける作用があり、強壮的な効果があります。八味丸(はちみがん)「八味地黄丸(はちみじおうがん)」は、乾地黄8グラム、サンシュウ、サンヤク各4グラム、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ各3グラム、ケイシ1グラム、ブシ0.5グラムを粉末にしてハチミツで練り丸薬にしたものです。糖尿病、前立腺肥大症、老人性腰痛、白内障、インポテンツなどの治療に用いられます。
その他
漢方薬として地黄(じおう)は、奈良平安時代から中国から輸入されていて、日本では古くは「延喜式(えんぎしき)・927」に掲載されている。
栽培されるようになったのは江戸時代からとされ、現在は、奈良地方でわずかに栽培されている