ウワミズザクラ         (バラ科サクラ属:落葉高木:樹高 〜20メートル:花期 4〜5月)

薬効
薬用酒 山菜
分布生育場所

科名:バラ科/属名:サクラ属
和名:上溝桜/別名:アンニンゴ/学名:Prunus grayana
本州、四国、九州の山地に自生

見分け方・特徴

高さは3〜5メートル、樹皮は暗褐色、樹皮には横に溝が多く見える。
葉は楕円形で少し薄く、先端は尖る。
花のつぼみは青く、4〜5月に、青白の小さな5弁花が新枝の先に穂状に多数つき芳香がある。
果実球形、黒く熟すと芳香があり美味しい。

属に、ウワミズザクラの亜属とされる種には、イヌザクラは、本州、四国、九州に分布。
エゾノウワミズザクラは、北海道など北半球に広く分布。
シウリザクラは、本州中部以北〜北海道に分布。
採集と調整
4〜5月の開花前のまだ青いつぼみを花穂の根元から採取して、陰干しして乾燥する。
薬効・用い方
有効成分は、配糖体のプルナシンを含み、分解されて鎮咳(ちんがい)作用のある、ベンズアルデヒド、シアン水素、ブドウ糖になる

乾燥したウワミズザクラの花穂を、1日量5〜10グラムを水0.3リットル程度で、半量まで煎じて食間に3回に分けて服用する。

また、つぼみは塩漬けにして食べ、果実は、2〜300グラムを採取して、新聞紙に広げて数日陰干ししてから500ミリリットル程度のホワイトリカーで、冷暗所に3〜6ヶ月おく、材料は3ヶ月程度でとりあげ熟成させる。香りの良いウワミズザクラ酒ができます。

新潟県の「あんにんご漬」は、花の蕾(つぼみ)を花軸ごと塩漬けにしたもの
「あんにんご」の名の由来は、花の香りから付けられたもので、花には、アンズの種子(杏仁/キョウニン)が分解したときに出す、ベンズアルデヒドに似た芳香があることから、この芳香をアンズ(杏)の種子の漢方薬の杏仁(キョウニン)にたとえて、杏子(あんず)の子(こ/種子)から、「あんにんご(杏仁子)」の名に転訛(てんか)したという
その他
名前の由来は、木の表面に溝が多くあることから、うわみぞ(上溝)それから転訛(てんか)して、ウワミズとなり、ウワミズザクラと呼ばれたいう。

また、ウワミズザクラを使って、長崎県の対馬地方では戦国時代に「亀甲占い」をしてたという、戦国時代の逸話もあるという。

また、蕾(つぼみ)や種子は果実酒にすると不老長寿に効く薬酒になると伝えられていて、西遊記の三蔵法師は、ウワミズザクラの種子を捜し求めて旅に出たという。