ナルコユリ             (ユリ科アマドコロ属:多年草:草丈 〜80センチ:花期 〜5月)

薬効
滋養強壮 リューマチ 痛風(つうふう)
分布生育場所

科名:ユリ科/属名:アマドコロ属
和名:鳴子百合/生薬名:黄精/学名:Polygonatum falcatum
ナルコユリは、丘陵地や疎林下などに自生して、群生している場合もあります。
新潟県に多く自生がある大型のオオナルコユリ

見分け方・特徴

ナルコユリは、多年草草本で、地下茎は肉質で太く、節になって横走りします。
茎は丸く新しい根茎(こんけい)の先から出て、高さは50〜80センチになります。
茎は少し傾き、葉は互生(ごせい)して2列になっていて、被針形(ひしん)から楕円形で、長さが10〜15センチ、葉の先端や葉基ともに尖り葉裏は白味を帯びて、脈上にはこまかい突起があってざらつきがあります。
葉の裏の中肋(ちゅうろく)に沿って、ほとんど白斑が入ります。
初夏に葉の脇から花軸(かじく)を出して、2〜3本に分かれて、淡緑色の小葉が垂れ下がります。
花被片(かひへん)は、6枚の筒状(とうじょう)で、先端部は分離して緑色です。
花のおしべは6本で花被の筒の中にあり、花糸は無毛で、初めは同じ太さですが開花3日目くらいで下の方が太く先端が細くなります。
果実は液果(えきか)で黒く熟します。
ナルコユリは、アマドコロとよく似ていますが、茎が六角形になるので区別ができます。
また、ミヤマナルコユリは花糸に毛があるところがナルコユリと違います。
採集と調整
ナルコユリの採取は、花の時期か、地上の茎葉(けいよう)が枯れる10月ころに、根を掘り取って、ひげ根を取り除き水洗いして天日で乾燥します。
肉質のために、スライスして乾燥されるようにすると早く乾燥します。
これを生薬(しょうやく)で、黄精(おうせい)といいます。
薬効・用い方
黄精(おうせい)は強壮薬として病後の衰弱者や慢性病、リューマチ、痛風などの体の弱っている場合に用いますが、ナルコユリの茎葉も同様に滋養強壮に用いることができます。
1日量に10〜20グラムを適量に煎じて飲用します。
ただし、一度に大量に用いたり、長期間連用すると副作用がある場合がありますので適宜の用い方が必要になります。

ナルコユリ酒:根茎(こんけい)200グラムに砂糖を同量と、ホワイトリカー1.8リットルに漬け込みますが、熟成には6ヶ月以上かかります。
これをこして、1回量を200ミリリットルとして1日3回食間に服用します。滋養強壮、体力増強に効果があるとされています。

栽培:繁殖は、晩秋か春の芽だし前に株分けを兼ねて植え替えを行います。実生(みしょう)による場合には、春に保温した箱などに播種(はしゅ)して発芽(はつが)後に畑などに植え替えます。
その他
黄精(おうせい)とは、中国産のカギクルマバナルコユリの根茎(こんけい)のことですが、日本では古くから民間薬として、ナルコユリの根茎を、黄精(おうせい)として強精、強壮などの目的で用いられてきました。