ゲンチアナ          (リンドウ科リンドウ属:多年草:草丈 〜1メートル:花期 〜7月)

薬効
苦味健胃薬
分布生育場所

科名:リンドウ科/属名:リンドウ属
和名:ゲンチアナ/生薬名:ゲンチアナ/学名:Gentiana lutea L./英名:Great Yellow Gentian
スペイン、南フランス、スイス、オーストリア、南ドイツ、バルカン半島などヨーロッパ・アルプスの山麓の亜高山帯の海抜1000メートル以上の石灰岩質の半陰地〜湿地に自生
正式名はゲンチアナ・ルテア。日本では北海道の寒地で栽培
日本での自生があるリンドウ科リンドウ属のリンドウ


見分け方・特徴

ゲンチアナは、多年草草本(そうほん)で、草丈1〜2メートルにも達します。
根は太く、根茎(こんけい)の部分は短く、枝分かれしない茎が直立し、葉は対生(たいせい)で、下方の葉ほど大型で短い柄があり、長さ30センチ、幅10〜15センチの広卵形で、茎の上の葉は小型で柄もなくなります。
葉は全縁(ぜんえん)で先は尖っていて、全体に無毛でなめらかです。
花は、6〜7月ころに茎の上の方の葉の脇から3〜10個づつ花をつけます。
がくは、筒状(とうじょう)で、花冠(かかん)は黄色で3〜7深裂(しんれつ)します。
果実は、卵形の刮ハ(さくか)で8月ころに成熟して、中に翼を持った多数の種子があります。



採集と調整
ゲンチアナは、秋に地上部が枯れるころ、根茎(こんけい)と根を掘り取り、水洗いして天日で乾燥します。
ゲンチアナの根茎、根は暗褐色で形は円柱状で深い縦じわがあり、少しねじれています。
切った断面は黄褐色で、特異な臭いがあり、味は初めは甘く感じて、後で苦(にが)くなり、その苦味がかなり残ります。

栽培:現在日本では、北海道で栽培されていますが、大変むずかしいようです。
ゲンチアナの種子は、秋に採取してすぐ播種(はしゅ)します。翌年の4〜5月ころに発芽(はつが)するので、葉が3〜4枚に成長したら移植しまが、根茎・根が収穫できるようになるまでには5〜7年もかかります。



薬効・用い方
ゲンチアナの根茎・根の乾燥品の、苦味(にがみ)は唾液(だえき)の分泌を促進して、同時に胃液の分泌も促すことになり、胃の消化を助ける作用があります。
また、胆汁の排出と胆汁分泌促進作用もあり、重要な苦味健胃薬(くみけんい)です。

ゲンチアナの根茎・根の乾燥品は、粉末にして1日量0.3〜0.5グラムを内服します。



その他
ゲンチアナは、ヨーロッパ・アルプス山麓に自生するリンドウの仲間で、花は黄色で大型のゲンチアナ・ルテアの根茎(こんけい)と根を乾燥させたものです。

ゲンチアナは、ヨーロッパでも最も古くから知られている薬草で、古代ギリシャのディオスコソデス(40〜90)の薬物誌には「ゲンチアナは実際にイリュリア人の王であるゲンティウスが始めて発見したようであり、ゲンチアナという名は、その発見者の名に由来している。・・・その根には、温め、収斂(しゅうれん)する薬効があり・・・水とともに服用すれば肝臓病や胃病の患者を救う」という記述があります。