ナツミカン             (ミカン科ミカン属:常緑小高木:樹高 〜6メートル:花期 〜5月)

薬効
健胃(けんい)薬 浴湯料
分布生育場所

科名:ミカン科/属名:ミカン属
和名:夏蜜柑/別名:ナツダイダイ/生薬名:枳実(きじつ)/枳穀(きこく)/夏皮(なつかわ)/学名:Citrus natsudaidai
日本の近畿地方を中心に栽培。

突然変異により生じたアマナツ/カワノナツダイダイ

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見分け方・特徴

ナツミカンは、常緑の小高木で、高さが約3メートルにも達します。
葉は、鈍頭で質は厚く、葉脈(ようみゃく)は突出しています。
葉柄(ようへい)には、狭い翼があり、5月ころに白い花をつけます。
果実は、扁円大型で、果皮は厚く小さい、でこぼこが多数あります。秋には熟し始めますが、そのまま年をこして、翌年の4〜6月にオレンジ色に色づいて完熟します。
完熟すると酸味も減って生食できるようになり一般の、やおやなどで果物として並びます。
採集と調整
未熟果を輪切りにして乾燥させます。
これを生薬で枳実(きじつ)または枳穀(きこく)といいます。
果皮を乾燥させたものを夏皮(なつかわ)といって、芳香(ほうこう)と強い苦味(にがみ)があります。
薬効・用い方
健胃(けんい)薬として胸腹部のつかえている場合や、やや膨満感のあるときに用います。
1日量2〜4グラムを煎じて食前・食間に服用します。

浴湯料としては、ナツミカンぶろがあります。ナツミカンの皮を乾燥して使用します。
湯冷めしない、血行を良くする、疲労回復などの効果があるとされています。

ナツミカン酒:果実、花および蕾(つぼみ)を利用します。花蕾(からい)は4〜5月ころ、果実は11月ころから採取することができます。
果実を3〜5個採取して、4つ程度に切り、砂糖300〜400グラムを入れます。砂糖は少なめに入れて後から好みに応じて甘みをつける方が良いようです。
それらを容器に入れてホワイトリカー1.8リットルを加えて漬け込みますが、2ヶ月程度の熟成が必要です。
また、花蕾(からい)も同様にして用いますが、花蕾(からい)に3分の1程度量の砂糖を加えて、ホワイトリカーを約2〜3倍量を入れて漬け込みます。
ナツミカン酒は、淡黄金色に仕上がり、よい香りがします。果皮中のビタミン類、フラボン類、クエン酸、精油類(せいゆ)を含んでいるので疲労回復に効き目があるとされます。
その他
ナツミカンは、夏橙(なつとう)または夏代(なつだい)ともいって、ザボンとコトウカンの雑種で、山口県青海(あおみ)島が原産地といわれています。
現在は、山口県より愛媛県、和歌山県、静岡県などで多く栽培されています。
果肉は、酸味が強く、夏の果物として広く生食されています。
ナツミカンの酸味は主に、クエン酸、酒石酸、ビタミンCなどによるものです。
果皮の水蒸気蒸留によって得られるミカン油や、果皮の圧搾(あっさく)によって得られる、オレンジ油は、リモネン、デシルアルデヒド、カプリル酸ノニールエステルなどの精油(せいゆ)成分からなり、香料として利用されていて、自然落果の未熟果かはクエン酸が製造されています。