カラスウリ                (ウリ科カラスウリ属:蔓性多年草:花期 8〜9月)

薬効
便秘 黄疸 小便不利 しもやけ ひび・あかぎれ あせも
催乳(さいにゅう)          
分布生育場所

科名:ウリ科/属名:カラスウリ属
和名:黄烏瓜/生薬名:王瓜子(おうがし)/学名:Trichosanthes kirilowii var.japonica
本州、四国、九州の雑木林、竹やぶ、垣根などに絡み付く。

見分け方・特徴

つる性の多年草で、繁殖力が強く巻きひげが出て他の、ウリ科植物のように、周囲のものに絡みながら成長します
葉は心円形で、縁が浅く3〜5裂しており、全体に毛が生えてざらざらしています
花は夏に咲き、白色で花弁の先は糸のように、細長く無数に切れ込んでいます
夕闇が迫ると急速に開花し、翌朝にはほとんど、しぼんでしまいます
果実は長さ5〜7センチの細長い卵形で、秋には朱赤色となり、樹木に絡み付いて人目につきます。
種子はよく見ると、カマキリの頭に似て黒褐色をしています。根はサツマイモ状で、茎をたどっていくと2〜3個あります。

同属のキカラスウリは全体に毛が少なく、果実も大型で10センチにもなり熟すと黄色になります。根は生薬名を括楼根(かろうこん)、種子を括楼仁(かろうにん)といい、カラスウリと薬効は同様とされています。
採集と調整
薬用には、根、種子、果実を用います。
根は秋から冬にかけて、肥大したものを掘り採り、水洗いして輪切りにして、日干しにします、根のコルクを除きます
これを生薬(しょうやく)で、王瓜根(おうがこん)といいます。
縦切りにして天日で乾燥させまます。味は少し苦味があります。
種子は、熟した果実より取り出し、天日で乾燥させます。これを生薬で、王瓜子(おうがし)、王瓜仁(おうがにん)といいます。
果実からは、よく熟した果汁や果肉を用います
薬効・用い方
有効成分は、根に多量のデンプンを含む

発熱があってのどが乾いたり、熱性の便秘、黄疸、利尿の目的には、王瓜根を刻み、1日量5〜10グラムに、水0.5リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、1日3回食前に服用します

催乳には、王瓜子を根と同様に煎じますが、1日量を3〜5グラムとし、3回に分けて食後に服用します
王瓜根(おうがこん)と同様の効き目がありますが、妊婦の場合には用いないようにします。
果実の果肉は黄色で非常に粘滑性で、しもやけ、ひびなどには、果肉を直接皮膚にすり込んで、荒れ止めに用います

また、果肉を酒や酢に浸してつぶしてその汁液を擦り込む方法もあります。
また、乾燥した果実は煎じて服用すると根と同じ効き目があるとされます

根にはでんぷんが多く、小児があせもなどに使う、天爪粉(てんがふん/天花粉)として用いられていたが、最近のベビーパウダーなどには、天爪粉を主原料としたものが姿を消してしまった
天爪粉の作り方は、秋〜初冬に根をほりあげ、良く洗い細かく砕いて、水を加えてミキサーで攪拌して浮いた繊維質を取り除く、これを数回繰り返して、沈殿した白いデンプンを布で濾して、日干しにして乾燥したものが、天爪粉です
近くに野生のカラスウリを見つけたら、試してきてください、無添加の安全天爪粉ができます
その他
カラスウリの名前の由来は、カラスが好んで食べるからだとして「鳥瓜(からすうり)」と書きますが、カラスの好物ではないようです
秋に果実が朱色で木の上に長く残る様から、カラスが食べ残したのだろうと、カラスウリの名前がついたといわれています

夏の夜に、10センチもあるレース飾りのついた美しい花をひっそりと咲かせるのは夏の風物詩になります。
夕闇の中で咲いた、カラスウリの花は夜明けと共にしぼんでしまいます。

また、秋になると山野の雑木林、竹やぶ、垣根に朱赤色のやや細長い卵形の果実がぶらさがり、遠くからでも目に付きますが、これがカラスウリの果実です。

中国から伝わった朱墨の原料である辰砂(しんしゃ)は、鶏卵ぐらいの大きさのものもあり、その色は緋色(ひいろ)で鮮やかです。
これから唐朱瓜(からしゅうり)と呼ばれるようになったとされています

古くは、カラスウリの根のデンプン質を昔は、テンカフ(天花粉)の代用として汗知らずに用いました