スイバ                     (タデ科ギシギシ属:多年草:草丈 〜80センチ:花期 〜6月)

薬効
便秘 小便不利 いんきん・たむし かいせん
分布生育場所

科名:タデ科/属名:ギシギシ属
和名:酸い葉/別名:スカンポ/学名:Rumex acetosa
日本全土の日当たりの良い道端、荒地、土手、原野、田畦(あぜ)に普通に自生

タデ科ギシギシ属ギシギシ(羊蹄)

見分け方・特徴

スイバは、アジア、ヨーロッパに広く分布し、日当たりの良い田の畦(あぜ)や荒地・原野に一般に自生(じせい)する、ギシギシより少し小型の多年草草本(そうほん)です。
高さ50〜80センチになり、茎が直立して縦筋があり、無毛で紅色を帯びています。
根茎(こんけい)は、黒褐色で肥大して木質化して硬く大きく、根は黄色で枝分かれしています。
春の根生葉(こんせいよう)には、長い柄があり長楕円形で先は尖り基はやじり型をしています。
冬には赤みを帯びて、根生葉(こんせいよう)だけがロゼット状に残ります。
直立した茎の葉は互生(ごせい)して、上部の葉は茎を抱き、下部の葉は短柄があります。
花は、5〜6月茎頂(けいちょう)に円錐状(えんすいじょう)の花穂(かすい)をつけて、淡緑色の小花を多数つけます。
雌雄異株で、雄花と雌花は別の株につきます。
果実は、紅色を帯びた小型の痩果(そうか)で3片の翼状のがくがあります。
採集と調整
春の開花期に地下の根茎(こんけい)を掘り取り、水洗いして日干しにして乾燥します。
これを生薬(しょうやく)で、酸模(さんも)といいます。

春に花穂(かすい)、全草を天日で乾燥。
薬効・用い方
有効成分は、クリソファン酸で弱い下剤作用がある

酸模(さんも)は、収斂(しゅうれん)、利尿(りにょう)、緩下(かんげ)の効き目があり、便秘、胃内出血、小便の出にくい場合や尿砂などをとる場合に用いられます
1日量10〜12グラムを0.5リットルの水で半量に煎じて、1日3回に分けて服用します。

外用には、生の根茎をおろし器ですりおろして患部に塗布します。これは抗菌作用があり、たむしなどの寄生性皮膚病やかいせんなどに良く効きますが、皮膚の弱い人やアレルギー症の人の場合には、かぶれる場合がありますので注意が必要です。
また、煎じた液を外傷の患部に塗布します。

茶材:天日乾燥した、花穂(かすい)、全草を細かく刻んで、熱湯を入れてお茶のように飲用します。これは、健胃、整腸、抗がん作用があるとされています。

スイバは、柔らかい芽を採取して、熱湯に塩を少し入れてゆでで、水にさらしてアク抜きをしてから、味噌・酢・みりんであえて、おひたし、あえもの、煮びたしや塩をふって即席漬けにもよくあいます。

スイバには、多量のシュウ酸を含むので、多食すると肝臓に障害を起こす場合があるので注意が必要です。

なお、スイバは、近年の薬理実験による研究により制がん効果が知られるようになりました。
その他
新刊多識編(林道春(はやしどうしゅん)1631)にスイバに漢名酸模(さんも)と読ませ和名スイトウグサ、スシと呼んだ
日本の古書「大和本草(やまとほんぞう・1708)」では、酸模(さんも)をスイバと読ませ、「和漢三才図会(わかんさんさいずえ・1713)」では、俗にスカンボと呼ぶという記述がある
飯沼慾斎(いいぬまよくさい・1783〜1865)は、スイバ、スカンボ、酸模(さんも)として学名も現在用いられているルメクス・アセトサとしています。
また、スイバの葉形が自生する産地により異なることを論じ、飯沼慾斎(いいぬまよくさい)の地である大垣のスイバの葉は狭長で、白山の地のものは広く短いとしています。
また「絞汁ヲ以テ晶状塩ヲ製シ熱病ニ用テ大利アリ」という記述があります。

スイバは、若い葉や茎は紫紅色で美しく、生長すると色はだんだんと緑色に変わります
スイバの名前の由来は、春先の若い茎葉(けいよう)は柔らかく、かむと酸味があり、酸っぱい葉という意味からスイバといわれるようになりました。
この酸味の成分は、シュウ酸やシュウ酸カルシウムによるものですが、春先の若芽の多食は肝臓障害を起こし有害ですので避けるべきです。