世界大百科事典内の経脈/脛脈の言及

【経穴】より

中国医学の基本概念である経脈(奇経8脈を含む)上にある穴(鍼灸(しんきゆう)療法での刺激点)の意味に用いられているのが普通である。ただ注意しなければならないのは,とくにそのなかの経渠(手太陰),陽谿(手陽明),解谿(足陽明),商丘(足太陰),霊道(手少陰),陽谷(手太陽),崑崙(足太陽),復留(足少陰),間使(手厥陰),支溝(手少陽),陽輔(足少陽),中封(足厥陰)という,12経脈上の手と足の関節部部分またはその少し中枢寄りの部分にある1個ずつの特定の経穴を指すこともある。

【経絡】より

中国医学の基本を構成している重要な概念の一つで,鍼灸(しんきゆう)治療の基礎になっているもの。経絡とは経脈と絡脈の総称であり,想像上の脈管系で実在は証明されていない。経脈は手と足にそれぞれ太陽,少陽,陽明の3陽脈と太陰,少陰,厥陰の3陰脈の6本ずつ計12(左右で24)あり,手足の末端と6陰脈は肺,脾,心,腎,心包,肝の6蔵のうちの一つずつを,6陽脈は大腸,胃,小腸,膀胱,三焦,胆の6腑の一つずつを経て顔面の感覚器を結ぶとされている。

【鍼灸】より

種々の手法が存在したらしいが,もっとも普通に用いられてきたのは,経穴(俗につぼという)という体表の特定の部位を刺激して,多くの場合そこから離れた部位にある病変を治癒させるものである。鍼灸の治療理論になっている経脈(けいみやく)説は,人体には経脈という脈管があり,そのなかを気が循環して生理機能をつかさどっているというもので,その基礎は漢代に成立したと考えられる。経穴は経脈上に散在しているが,それが各人に固定した点であるか,狭い範囲ではあるが移動するものであるかについては定説はない。

【中国医学】より

このほかに扁鵲(へんじやく)などに代表されるような民間の医者も存在した。中国医学の思想体系がととのいはじめたのはこの時代で,遅くとも戦国時代の末には陰陽説が導入され,経脈の考えが発生していたと考えられる。五行説の導入も同じころに行われたと推定される。

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関連語をあわせて調べる

·         経脈・脛脈

〘名〙 =けいらく(経絡)

清原宣賢式目抄(1534)一条「在天地者、五行六気運転也。在人十二の経脈、十二支皆以運也」 〔史記倉公伝〕

 

·         三部九候診

三部九候診(読み)さんぶきゅうこうしん(英語表記)sān bù jiǔ hòu zhěn

さんぶきゅうこうしん【三部九候診 sān bù jiǔ hòu zhěn




中国で用いられた病気の診断法の一つ。三部とは人体の上(顔面),中(),下()3部分のことで,それぞれに天,地,人の3部位があり,合計9部位の脈動をしらべることによって病気の所在と状態を知ろうというものである。《素問》(黄帝内経)の三部九候論篇にみられる説であるが,実際にどの程度用いられたか明らかでなく,後世では用いられていない。脈動というが,純粋な脈搏とはいいにくく,経脈の考えもはいっている。

 

 

·         奇経八脈

きけいはちみゃく【奇経八脈】

東洋医学で、正経とされる十二経の間を縦横に走る経脈。陰維脈・陽維脈・陰蹻脈(いんきょうみゃく)・陽蹻脈(ようきょうみゃく)・衝脈・任脈督脈・帯脈の八つがあり、十二経の連携を密接にしたり気血の流れを調節する役割を果たすとされる。

 

·         饗庭東庵

饗庭東庵(読み)あえば とうあん

饗庭東庵 あえば-とうあん

1615

1673 江戸時代前期の医師。
元和(げんな)元年生まれ。京都の人。曲直瀬玄朔(まなせ-げんさく)にまなぶ。林市之進とともに金(きん)(中国)の劉(りゅう)完素のにより,陰陽五行・五運六気を臓腑経絡に配する理論をとなえ,後世派(ごせは)別派(劉医方)とよばれた。門人味岡三伯らがいる。延宝元年死去。59歳。通称は立伯。著作に「医授幼鈔」など。

 

·         臓腑説

臓腑説(読み)ぞうふせつ(英語表記)zàng fǔ shuō

ぞうふせつ【臓腑説 zàng fǔ shuō




中国医学の基本的な概念の一つで,《素問》《霊枢》など,漢代の《黄帝内経》に由来するという書に記載され,その後これを中心にして発展した。はもとは蔵とと書かれていた。臓と腑も胸部腹部内臓であるが,臓は内部の充実した臓器で気を蔵し,腑は中空のもので摂取した水と穀物を処理したり,他の部位に輸送したり,体外に出したりするという区別がされている。臓は元来,心,肝,5種で,腑は大腸小腸,三焦,膀胱6種であるが,経脈説との関連で第6の臓である心主(心包絡ともいう)も想定された。

 

·         十二経

脈診(読み)みゃくしん

脈診
みゃくしん

漢方の診断法の一種。おもに橈骨動脈で触知する脈拍によって判断する。拍は古くから人体のもつ律動現象の基本として重視されており,通常は遅速強弱,充実度をみる。発熱状態では正常状態のときより拍動が増すのが普通である。中国の伝統医学では,脈診を最高の指標とし,上記の常識的な変化のほか,両手の脈の差をはかり,およそ 27種の変化をみる。なお日本で独自の発達をとげた漢方医療では,脈診のほかに腹診を合せて実施している。

 

·         脈診

十二経(読み)ジュウニケイ

じゅうに‐けい〔ジフニ〕【十二経】

漢方で、六臓六腑を巡って気血の流れている12の経脈。肺経から始まり、大腸経・胃経・脾経(ひけい)・心経・小腸経・膀胱経(ぼうこうけい)・腎経・心包経・三焦経・胆経を経て肝経から再び肺経に戻り、全体が一つの流れになる。十二経絡十二経脈奇経八脈