生薬詳細

生薬名

サフラン

生薬英名

Saffron

生薬ラテン名

CROCUS

生薬和名

基原植物

Crocus sativus Linne(サフラン) 植物詳細

植物名

サフラン

ラテン名

Crocus sativus Linne

科名

Iridaceae

和科名

アヤメ科

一般名

サフラン

一般英名

品種等

分類

多年生草本

画像

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形態的特徴

高さ約15cm,球茎は径3.04.5cm,先端部には葉残基の繊維が冠状に付き,下部にひげ根がある.葉は多数叢 生し,狭線形,緑色.主脈は灰緑色を呈し,花後伸長して長さ3040cmとなる.基部の苞は長さ約5cmである.花は短い新葉の間に13個生じる.花被片は6枚で,長楕円形卵形,淡紫色,基部は筒状となり濃赤紫色で軟毛がある.おしべ3本,めしべの花柱は濃紅色,上部で3本に分かれ,垂下し,先端(柱頭部)はややラッパ状に広がり,乳頭状突起がある.

生態的特徴

地中海沿岸からインドに至る地域に原産する.球茎は秋に萌芽,発根し,1011月頃に淡紫紅色の花を咲かせる.冬期に葉を伸長して生育し,4月下旬5月中旬に葉が枯れる.地下では球茎を分球させる.

生育特性 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-021.gif

寒さの区分

IIIV

日照条件

IIIV

暖かさの区分

75170

土壌分類

II, III

土壌適正

排水の良い場所に適し,埴壌土埴土に適する. 肥沃地にも適する.

 

遮光

不要

 

画像

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写真ライブラリー

写真ライブラリー

写真ライブラリー(Crocus sativus Linne(サフラン))

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球茎

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萌芽期

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生育期

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収穫物

1992年雌しべ収穫物

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文献情報 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-021.gif


Carmona, M. et al., Influence of Different Drying and Aging Conditions on Saffron Constituents. Journal of Agricultural and Food Chemistry (2005), 53(10), 3974-3979.
Zhou, S. et al., Chemical constituent of Crocus sativus L. Zhongcaoyao (1997), 28(12), 715-716.
Straubinger, M. et al., Novel Glycosidic Constituents from Saffron. Journal of Agricultural and Food Chemistry (1997), 45(5), 1678-1681.
Rios, J. L. et al., An update review of saffron and its active constituents. Phytotherapy Research (1996), 10(3), 189-193.
Song, C. et al., Constituents of Crocus sativus. III. Structural elucidation of two new glycosides of pollen. Huaxue Xuebao (1991), 49(9), 917-20.
Song, C., Chemical constituents of saffron (Crocus sativus). II. The flavonol compounds of petals. Zhongcaoyao (1990), 21(10), 439-41.

生薬名

サフラン 植物体栽培及び植物の効率的生産法

植物名

サフラン

ラテン名

Crocus sativus Linne

種苗および品種

在来種が栽培されている.

繁殖

球茎を用いる.球茎の分球によって繁殖する.開花しても結実しないため,種子繁殖はできない.球茎重の違いにより開花率が異なる.1015gの球茎で50%以上,1520gの球茎で80%以上, 20g以上の球茎でほぼ100%開花する.したがって,採花栽培に用いる球茎はなるべく大球を用いる.小球は露地で肥培させ,翌年の植え付け球茎として用いる.

栽培適性

地中海沿岸原産の植物でやや温暖の地に適しているが,寒冷地にも生育する.土質は肥沃で排水の良い場所に適している.排水不良地は球茎の腐敗を起こさせるので避ける.

播種,定植および育苗

室内栽培の球茎は採花及びめしべの採取が終わる11月中旬~下旬に,腋芽を除去し,中心の芽を2~3本にした後,畑地に植え付ける.露地栽培での植え付けは9 月上旬~10月上旬を適期とする.植え付けの時期の早いほど,生育期間が長く,球 茎の肥大が良い.  いずれも,畝幅を110120 cm として,条間1525 cm, 株間1012 cmの間隔に植え付ける.大球になるほど,植え付け間隔を広くするようにする.覆土の厚さは球茎の大きさや土質により異なるが,球茎の高さの3~5倍の713 cm程度にする.覆土が浅いと収穫時の球茎数は多くなるが,球茎重は軽くなる.重い球茎を増殖させるためには深めに植え付ける. 球茎は中心部に中心芽があり,順次下に下がる節ごとに,腋芽を持っている.腋芽を除去しないで植え付けると,小球が多く分球するため,植え付け前の腋芽除去は不可欠である。

肥料

管理

植え付け後,サフラン腐敗病の株を見つけたら早急に抜き取る.除草は雑草の発生状態を見て適宜行う.

病害虫駆除

サフラン腐敗病(原因菌: Bacillus croci Mizusawa)が最も警戒すべき病気である.本病は,まず球茎の表面の一部が黄褐色に変わり,後に乾腐して繊維質のみを残すのが特徴で,伝染は早い.病害予防のため,植え付け前に殺菌剤に浸漬処理する.また,排水の良い場所で栽培して連作を避けるようにする.

収穫・調製

1)採花及びめしべの採取  採花は当日開花したものが最も良く,遅れても2日目には採花する.採花した花はその日のうちにめしべの採取を行うようにする.この時,めしべの基部の黄色ないし白色の部分を付けないように,紅色の部分(柱頭)のみを摘み取る.開花翌日のものは花粉が混入しやすくなり,品質の低下を起こすので注意する. 2)柱頭の乾燥   柱頭の乾燥は採取後すぐに,温度4060°Cで3~6時間行う.乾燥程度は熱をさました直後に柱頭が曲げて折れる程度とする. 3)球茎の収穫   4月下旬~5月中旬になり,葉が半分くらい黄色に変化したころに球茎の掘り取りを行う. 4)球茎の乾燥及び貯蔵   掘り取った球茎は3040個くらいまとめて,葉を束ねて日陰につるして干す.球茎の選別は球茎乾燥後,1箇月以降に行い,病気にかかっている球茎は取り除く.7月中旬~下旬頃に葉を切り捨てて球茎のみとし,箱などに詰める.

収量

10aに植え付ける球根当たり, 1.01.5kg (乾燥重)である.室内栽培の場合,1球茎当たりの柱頭乾燥重は露地栽培とほぼ同じで, 1kg生産するには3~7万個の球茎を必要とする.

参考情報(生物活性)

参考情報(生物活性)ファイル

特性分類表 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-021.gif

表題

画像、ファイル

サフラン(特性分類表).pdf

備考

栽培暦 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-021.gif

表題

生薬

画像、ファイル

サフラン(栽培暦).pdf

備考

栽培方法関連データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-021.gif

栽培方法関連写真データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

表題

サフランの球茎(室内栽培)

画像

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解説

 

表題

サフランの球茎配置(室内栽培)

画像

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解説

 

表題

サフランの花(室内栽培)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/72.jpg

解説

 

表題

サフランの生育初期(露地栽培)

画像

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解説

 

表題

サフランの開花期(露地栽培)

画像

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解説

 

表題

サフランの生育盛期(露地栽培)

画像

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解説

 

表題

サフランの球茎の収穫(露地栽培)

画像

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解説



表題

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/77.jpg

解説

種子発芽情報データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-021.gif

備考

備考ファイル

 

組織培養物及び効率的増殖法

植物体栽培及び植物の効率的生産法

栽培情報 各種試験法詳細

生薬名

サフラン

試験名称

確認試験法

分析条件

本品に硫酸1滴を加えるとき,暗青色を呈し,紫色を経て徐々に赤褐色に変わる.

備考

さく葉標本情報

トランスクリプトーム・ゲノミクス情報

稀少植物情報

保有資源情報

 

導入年

保有研究部

導入番号

1979

筑波研究部

0428-79TS

部位

柱頭

局方収載

食薬区分

非医

生薬成分

yellow carotenoid glycoside (crocin)bitter glycoside (picrocrocin) and its aglycon, safranal, etc   

成分(化合物)

性状

細いひも状で,暗黄赤色赤褐色を呈し,長さ23.5 cm,3分枝するかまたは分離し,分枝する一端は広がり他方は次第に細まる.  本品は強い特異なにおいがあり,味は苦く,だ液を黄色に染める.本品を水に浸して軟化し,鏡検するとき,柱頭の先端には長さ約150μmの多くの突起がある.

用途

鎮痛,通経

調製法

採花は当日開花したものが最も良く(遅れても2日目には採花する),採花した花はその日のうちにめしべの採取を行う.この時,めしべの基部の黄色ないし白色の部分を付けないように,紅色の部分(柱頭)のみを摘み取る.  柱頭は採取後すぐに,温度4060°Cで36時間行う.乾燥程度は熱をさました直後に柱頭が曲げて折れる程度とする.

エキス収率

文献情報

処方

配合剤原料及び単味で用いられる.

モデル試料  

遺伝子情報  

日本薬局方情報

定量法

確認試験法 各種試験法詳細

生薬名

サフラン

試験名称

乾燥減量

分析条件

乾燥減量〈5.01〉 12.0%以下(6時間)

備考

確認試験法(TLC)

乾燥減量 各種試験法詳細

生薬名

サフラン

試験名称

灰分

分析条件

灰分〈5.01〉 7.5%以下.

備考

灰分

酸不溶性灰分

エキス含量

精油含量

純度試験 各種試験法詳細

生薬名

サフラン

試験名称

純度試験

分析条件

() アニリン色素 本品0.05gにクロロホルム10mLを加えて振り混ぜるとき,液は無色であるか又は黄色を呈することがあっても極めてわずかである.
(
) グリセリン,砂糖又ははちみつ 本品は甘味がない.また,本品を紙間に圧しても斑点を残さない.
(
) 花柱の黄色部 本品は,異物〈5.01〉に従い試験を行うとき,花柱の黄色部10.0%以上を含まない.

備考

その他 各種試験法詳細

生薬名

サフラン

試験名称

その他

分析条件

成分含量 クロシン 本品をデシケーター(シリカゲル)24時間乾燥した後,粉末とし,その0.100gを正確に量り,温湯150mLを加え,しばしば振り混ぜながら6070℃で30分間加温し,冷後ろ過する.ろ液1mLを正確に量り,水を加えて正確に10mLとし,試料溶液とする.別にカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム三水和物98mgを正確に量り,水に溶かして正確に100mLとする.この液5mLを正確に量り,水を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液につき,水を対照とし,紫外可視吸光度測定法〈2.24〉により試験を行うとき,波長438nmにおける試料溶液の吸光度は標準溶液の吸光度より大きい.

備考

NMR情報  

漢方処方情報

生物活性情報