生薬詳細

生薬名

カノコソウ

生薬英名

Japanese Valerian

生薬ラテン名

VALERIANAE RADIX

生薬和名

吉草根

基原植物

Valeriana fauriei Briquet(カノコソウ)

部位

根及び根茎

局方収載

食薬区分

非医

生薬成分

精油成分:sesquiterpeneであるkessyl glycol diacetateを主に含む系統とα-kessyl acetateを主に含む系統の2タイプに分かれるが,ホッカイキッソウはkessyl glycol diacetateを多く含有する.monoterpeneとしてbornyl acetate等を含む.       Iridoid glycoside: patrinoside, valerosidate.

成分(化合物)

性状

 倒卵円形の短い根茎の周囲に多くの細長い根を付けたもので,外面は暗褐色〜灰褐色を呈する.根は長さ1015 cm, 0.10.3 cm, 外面に細かい縦しわがあり,折りやすい.根茎は長さ1〜2 cm, 径1〜2 cm, 上端には芽及び茎の残基があり,質は堅く折りにくい.その側面にストロンが付いていることがあり,ストロンは太くて短いか,または細長くて極めて小さいりん片葉を持つ.根の横切面をルーペ視するとき,皮層は淡灰褐色で厚く,中心柱は灰褐色を呈する.本品は強い特異なにおいがあり,味はわずかに苦い.

用途

鎮静薬

調製法

9月下旬〜11月中旬までに収穫する.ただし,夏枯れの激しい地方(暖地)にあっては地下部も枯死するので,地上部の枯死が始まる7月中旬に収穫する.寒冷地では10月中旬までに終了する. 大株は適宜分割しながら十分に土砂を流水で洗浄し,根をきれいに伸ばした形にして陽乾する.土が落ちにくい時は,晴天が続く日に掘り上げた後,土付きのまま畑に2〜3日広げて乾燥させるか,または葉付きのままハサ掛けして乾燥させ,株の中の土を落としてから洗浄する.

エキス収率

文献情報

処方

浸剤又はチンキ剤として用いる他,粉末を配合剤(婦人用薬)の原料とする.

モデル試料  

遺伝子情報  

日本薬局方情報

定量法

確認試験法

確認試験法(TLC)

乾燥減量

灰分 各種試験法詳細

生薬名

カノコソウ

試験名称

灰分

分析条件

灰分〈5.01〉 10.0%以下.

備考

酸不溶性灰分 各種試験法詳細

生薬名

カノコソウ

試験名称

酸不溶性灰分

分析条件

酸不溶性灰分〈5.01〉 5.0%以下.

備考

エキス含量

精油含量 各種試験法詳細

生薬名

カノコソウ

試験名称

精油含量

分析条件

精油含量〈5.01〉 本品の粉末50.0gをとり,試験を行うとき,その量は0.3mL以上である.ただし,あらかじめフラスコ内の試料上にシリコーン樹脂1mLを加え,試験を行う.

備考

純度試験 各種試験法詳細

生薬名

カノコソウ

試験名称

純度試験

分析条件

() 重金属〈1.07〉 本品の粉末3.0gをとり,第3法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液3.0mLを加える(10ppm以下)
(
) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下)

備考

その他

NMR情報  

漢方処方情報
生物活性情報  

 

植物詳細

植物名

カノコソウ

ラテン名

Valeriana fauriei Briquet

科名

Valerianaceae

和科名

オミナエシ科

一般名

カノコソウ

一般英名

Japanese valerian

品種等

カノコソウに由来するカメバキッソウ,及び,エゾカノコソウ V. fauriei forma ezoensis Hara の栽培品種と考えられるホッカイキッソウ。

分類

多年生草本

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/WHOLE_PHOTO_DATA/WHOLE_PHOTO_FILE/thumbnail/31.jpg

茎(花茎)は中空で直立し,高さ40100cm.茎葉は対生し,5〜7個の羽状に深裂する.根出葉は長さ3040cm,根出葉の葉柄は葉身に比しやや長く,複葉の頂生小葉は先端鈍頭で鋸歯が少なく,切れ込みも浅い.春から初夏にかけて集散花序を頂生,淡紅色の小型の花を多数付ける. 株は短い根茎があり,ストロンを伸ばし,分散形をなして広がる.根は長さは約20cm,太さは33.5mmで直下に伸びる.

形態的特徴

生態的特徴

中国東北部,朝鮮半島,樺太,南千島,日本(北海道〜九州)及び台湾に分布し,やや湿った草地に自生する.系統により萌芽時期に差があり,秋に植え付け後,年内に萌芽するものもあるが,現在栽培されているホッカイキッソウは冬がら早春に萌芽する.

生育特性 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

寒さの区分

IIV

日照条件

IIV

暖かさの区分

45120

土壌分類

III

土壌適正

排水の良い場所に適し,停滞水を嫌う.壌土〜埴土にに適し,肥沃地に適する.

遮光

不要

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/saibai_kubun.jpg

写真ライブラリー

写真ライブラリー

写真ライブラリー(Valeriana fauriei Briquet(カノコソウ))

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/152.jpg

014-1-1S.jpg

定植

北海道研究部

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/153.jpg

014-1-2S.jpg

定植用苗

北海道研究部

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/154.jpg

014-3-1S.jpg

カメバキッソウ,5月下旬

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/155.jpg

014-3-2S.jpg

北海吉草

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/156.jpg

014-3-3S.jpg

エゾカノコソウ

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/157.jpg

014-4-1S.jpg

生育期

9月上旬

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/158.jpg

014-5-1S.jpg

カノコソウ熊本県球磨村産

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/160.jpg

014-5-3S.jpg

カメバキッソウ,5月下旬

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/161.jpg

014-5-4S.jpg

北海吉草

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/162.jpg

014-5-5S.jpg

エゾカノコソウ

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/163.jpg

014-8-1S.jpg

生薬

北大薬学部栽培品

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/164.jpg

014-8-2F.jpg

生薬

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/165.jpg

014-9-1S.jpg

類似植物

セイヨウカノコソウ

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/166.jpg

014-2-1S.jpg

発芽期

北海道研究部

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/PLANT_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/167.jpg

014-6-1S.jpg

文献情報 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

生薬名

カノコソウ

組織培養物及び効率的増殖法

 

植物体栽培及び植物の効率的生産法

栽培情報 植物体栽培及び植物の効率的生産法

植物名

カノコソウ

ラテン名

Valeriana fauriei Briquet

種苗および品種

北海吉草が栽培されている.

繁殖

 健全な株を用いる.苗の大きさは5 g以上あれば良く,530 gくらいで大きな芽を数個付けたものが良い.

栽培適性

 国内には北海道から九州まで広く自生が見られるが,北海吉草はやや冷涼な地域に適する.土質は耕土が深くて膨軟な壌土~埴土に適する.連作障害が著しい(根腐れ病等)ので,45年の輪作が必要である.

播種,定植および育苗

 9月下旬~11月までの間に行う.春植えは活着が悪く減収するので通常行わない.ただし,冬期に地面が凍結する寒冷地域では春できるだけ早く(4月下旬~5月上旬)行う.苗は葉の一部を切り,根を横斜めに広げて植える.覆土は56 cmくらい行う.

肥料

管理

 2月下旬~3月上旬に萌芽が完了し,4月下旬頃より花茎が伸び出す.5月中旬~6月上旬(春植えする寒冷地域では6月中旬~7月上旬)にかけて開花が見られるので,蕾の時に花序の下から切除する.

病害虫駆除

 梅雨期以降に菌核病や根腐れ病が発生することがあり,放置すると枯死する.害虫は定植後にネキリムシあるいはコガネムシ類の幼虫による食害やアブラムシの発生が見られる.

収穫・調製

 9月下旬~11月中旬までに行う.ただし,夏枯れの激しい地方(暖地)にあっては地下部も枯死するので,地上部の枯死が始まる7月中旬に収穫する.寒冷地では10月中旬までに終了する.  大株は適宜分割しながら十分に土砂を流水で洗浄し,根をきれいに伸ばした形にして陽乾する.土が落ちにくい時は,晴天が続く日に掘り上げた後,土付きのまま畑に23日広げて乾燥させるか,または葉付きのままハサ掛けして乾燥させ,株の中の土を落としてから洗浄する.

収量

 約300 kg (乾燥根重)である.

参考情報(生物活性)

参考情報(生物活性)ファイル

特性分類表 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

表題

画像、ファイル

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_CHARACTERISTIC_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/50.jpg

備考

栽培暦 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

表題

画像、ファイル

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_CROP_CALENDAR_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/51.jpg

備考

栽培方法関連データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

栽培方法関連写真データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

表題

種苗(北海吉草)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/132.jpg

解説

 

表題

発芽期(北海吉草)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/133.jpg

解説

 

表題

生育初期(北海吉草).jpg

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/134.jpg

解説

 

表題

生育初期(野生種Ⅱ)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/135.jpg

解説

 

表題

生育盛期(北海吉草)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/136.jpg

解説

 

表題

生育盛期(野生種Ⅱ)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/137.jpg

解説

 

表題

花(野生種Ⅱ)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/138.jpg

解説

 

表題

収穫物(北海吉草)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/139.jpg

解説

 

表題

収穫物の乾燥(北海吉草)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/140.jpg

解説

 

表題

生薬(北海吉草)

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/141.jpg

解説

種子発芽情報データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

備考

備考ファイル

さく葉標本情報
トランスクリプトーム・ゲノミクス情報
稀少植物情報

保有資源情報

導入年

保有研究部

導入番号

1997

筑波研究部

0495-97TS

2000

北海道研究部

14195-00HK