生薬詳細

生薬名

カミツレ

生薬英名

German Chamomile

生薬ラテン名

CHAMOMILLAE FLOS

生薬和名

基原植物

Matricaria chamomilla L.(カミツレ)

部位

頭状花

局方収載

局外

食薬区分

非医

生薬成分

精油0.5%~0.9% (-)-α-bisabololもしくは(-)-α-bisabolol oxide A(),α-farnesenematricinmatricarinchamazulene(matricinの分解物)   クマリン類:herniarin, umbelliferone, seculetin フラボノイド:apigenin, quercetin glycoside, patulitrin, polycladin など その他:taraxasterol, chamomilla-ester, triacotan など

成分(化合物)

性状

円すい形の頂花で,径2~3 mm, 高さ5 mm,多数の黄褐色の管状花と少数の淡黄褐色の舌状花からなる.小花は冠毛を欠く.管状花は両性で,花冠は5裂する.舌状花は雌性で1020個からなり,その花冠の舌状花には4脈があり,上端は3裂する.総苞片は倒ひ針形でリン片状を呈し,2030個が重なりあっている.花床は中空である.質は軽く,砕きやすい.特異な芳香があり,味はわずかに苦い.

用途

発汗,駆風,消炎薬

調製法

収穫期は4月下旬~5月中旬.個々の頭花では,管状花が50%~80%開花した頃が収穫適期である.頂花の成熟が進むともろく壊れやすくなるため,できるだけ早めに収穫する.収穫適期に達した花から順次摘み取り収穫するのが理想であるが,株の部位によって開花時期が異なり多大な労力を要するため,株の70%程度開花した頃一斉に収穫する(採種用に一部株を残す).主茎の頂花に次いで各分枝の頂花が開花するが,分枝の頂花は下位分枝より上位分枝のもの,二次分枝より一次分枝のものが早く開花し,径が大きく品質も良いため,初期に開花した花を収穫するのが良い.収穫は晴天日に行う.株を根ごと抜き取るかまたは地際から株を刈り取り,採花し,風通しの良い所で速やかに陰乾する.

エキス収率

文献情報

処方

芳香性苦味健胃薬

モデル試料  

遺伝子情報  

日本薬局方情報

定量法

確認試験法

確認試験法(TLC)

乾燥減量

灰分

酸不溶性灰分

エキス含量

精油含量

純度試験

その他

NMR情報  

漢方処方情報

生物活性情報

 

植物詳細

植物名

カミツレ

ラテン名

Matricaria chamomilla L.

科名

Compositae

和科名

キク科

一般名

カミツレ

一般英名

German chamomile

品種等

在来種

分類

1年生または越年生草本

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/WHOLE_PHOTO_DATA/WHOLE_PHOTO_FILE/thumbnail/32.jpg

全株無毛で芳香があり,高さ30100cmでよく分枝する.葉は互生,2~3回羽裂し,裂片は狭線形となる.晩春から初夏にかけて,茎頂に頂花を単生する.頭花は直径約2.5cm,周辺に白色の舌状花を1020個つけ,中心部は多数の黄色の管状花からなる.管状花は5裂し,基部に精油を含有する小さな油腺が多数みられる.頂花は初め偏平であるが,開花が進むにつれて花床が盛り上がり,最頂部の管状花の開花時にはほぼ円すい形となって舌状花が垂れ下がる.種内の形態的変異はほとんどみられないが,高さ,分枝数,頂花数や頭花の大きさは,栽植密度,施肥量,播種期などに大きく影響される.

形態的特徴

生態的特徴

ヨーロッバ原産の1年生または越年生草本.耐寒性があり,気候及び土壌に対する適応性は高い.性質が強く,栽培地ではカミツレの落下種子が以後世代交代を繰り返し,数年にわたり発芽し,雑草化したり,野生化したものもみられる.国内の主な産地は,岐阜県,長野県,国外の主な産地はヨーロッパ各地.

生育特性 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

寒さの区分

I~V

日照条件

IIIV

暖かさの区分

55170

土壌分類

IIII

土壌適正

排水及び保水の良い場所に適する.砂壌土,埴壌土,腐植壌土に適する.肥沃地に適する.

遮光

不要

画像

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写真ライブラリー

写真ライブラリー写真ライブラリー(Matricaria chamomilla L.(カミツレ))

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Jカミツレ種子

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カミツレ発芽期

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カミツレ発芽期2

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カミツレ葉

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Jカミツレ生育初期.伊豆.96.3

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Jカミツレ生育期.96.5.1

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カミツレ生育期

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080-05 カミツレ花期78.5.15北里大

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Jカミツレ開花期.96.5.12

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Jカミツレ開花期.H8.5.28

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Jカミツレ花乾燥.97.4.30

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生薬

筑波研究部研究本館2階標本室

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生薬

筑波研究部研究本館2階標本室

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種子

筑波研究部栽培圃場

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果実

筑波研究部栽培圃場

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生薬

筑波研究部栽培圃場

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生薬

筑波研究部栽培圃場

文献情報 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif
Yamazaki, H. et al., Isolation of a linear sesquiterpene lactone from Matricaria chamomilla. Journal of Natural Products (1982), 45(4), 508.
Kunde, R. et al., Flavones of chamomile (Matricaria chamomilla L.) and a new acetylated apigenin-7-glucoside. Planta Medica (1979), 37(2), 124-30.
Schilcher, H. et al., Structure elucidation of a third bisabololoxide from Matricaria chamomilla L. and a mass spectrometric comparison of bisabololoxides A, B, and C. Archiv der Pharmazie (1976), 309(3), 189-96.
Sampath, V. et al., Structure of D- and L-isomers of
β -bisabolol oxide-B. Indian Journal of Chemistry (1969), 7(10), 1060-1.
Cekan, Z et al., On terpenes. CI. Isolation and constitution of matricarin, another guaianolide from camomile (Matricaria chamomilla). Collection of Czechoslovak Chemical Communications (1959), 24, 1554-7.
Cekan, Z. et al., Terpenes. LXII. Isolation and properties of prochamazulene from Matricaria chamomilla, a further compound of the guaianolide group. Collection of Czechoslovak Chemical Communications (1954), 19, 798-804.

生薬名

カミツレ

組織培養物及び効率的増殖法

植物体栽培及び植物の効率的生産法

栽培情報

植物体栽培及び植物の効率的生産法

植物名

カミツレ

ラテン名

Matricaria chamomilla L.

種苗および品種

在来種が栽培されている.

繁殖

種子を用いる.

栽培適性

耐寒性は強いが,越年栽培が可能な温暖地が好ましい.土壌に対する適応性は高いが,耕土が深く有機質に富み,排水及び保水が良好な日当たりの良い地に適する.

播種,定植および育苗

直播法と移植法があるが,いずれも通常秋播き栽培が行われている.移植栽培では揃った苗を選別し,植え付けられるため開花期が揃い,収量は高い. (1)移植栽培 苗の育成:9月に播種する.幅1mの短冊形の苗床を作り,1 ㎡当たり完熟堆肥1.0 kg, 窒素,燐酸,加里を各10g程度施す.播種後,覆土は行わず,床面をならす程度または藁などで覆う.5~6日で発芽する.圃場10a当たりの苗床面積は910 ㎡で,必要な種子量は510gである.植え付け:11月上~下旬が植え付け適期である.年内に活着するよう早植えする.畝幅6070 cm, 株間15 cm で,株張りの良い苗を1株1本植えする.植え付け後の活着は良い.株間が広いほど,地際部からの側枝の発生が多く,開花期間も長くなり,また,収穫時の株の抜取りに力が必要となるため,株間を広く取りすぎないようにする. (2)直播栽培  移植栽培と同様に,条間6070 cm で浅く溝を切り,種子を条播する.播種期は10月から11月と長い.播種後覆土は行わない.12月から翌年1月に株間を15cmに間引く.間引き後の管理は移植栽培と同様に行う.直播密植栽培では,一斉に開花し,開花期間も短くなるが,密植になるほど倒伏しやすく,管理,収穫作業及び品質に支障をきたすため,過度の密植にならないように留意する.

肥料

管理

追肥時に中耕をかねて土寄せを行う程度で良い.

病害虫駆除

花期にアブラムシの発生がみられることがあるほかは,被害甚大な病虫害の発生はない.暖地では生育後期にウドンコ病が発生することがある.

収穫・調製

収穫期は4月下旬~5月中旬.個々の頭花では,管状花が50%~80%開花した頃が収穫適期である.頂花の成熟が進むともろく壊れやすくなるため,できるだけ早めに収穫する.収穫適期に達した花から順次摘み取り収穫するのが理想であるが,株の部位によって開花時期が異なり多大な労力を要するため,株の70%程度開花した頃一斉に収穫する(採種用に一部株を残す).主茎の頂花に次いで各分枝の頂花が開花するが,分枝の頂花は下位分枝より上位分枝のもの,二次分枝より一次分枝のものが早く開花し,径が大きく品質も良いため,初期に開花した花を収穫するのが良い.収穫は晴天日に行う.株を根ごと抜き取るかまたは地際から株を刈り取り,採花し,風通しの良い所で速やかに陰乾する.株全体の頂花がほぼ開花完了した頃採種する.株を地際から刈り取って乾燥した後,シート上で軽くたたくと種子が容易に脱落する.採種時期が遅れるに従い,株の刈り取り時に種子が容易に落下するため,遅くならないように留意する。採種後、茎葉などを取り除き,保存する.(調製後の1株当たり採種量は約0.7gである.)

収量

乾燥収量は10a当たり, 100120 kg である.

参考情報(生物活性)

参考情報(生物活性)ファイル

特性分類表 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

表題

カミツレの特性分類表

画像、ファイル

カミツレ(特性分類表).pdf

備考

栽培暦 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

表題

カミツレの栽培暦

画像、ファイル

カミツレ(栽培暦).pdf

備考

栽培方法関連データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

栽培方法関連写真データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

表題

カミツレの種子

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/93.jpg

解説

 

表題

カミツレの発芽期

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/94.jpg

解説

 

表題

カミツレの生育期

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/95.jpg

解説

 

表題

カミツレの着蕾期

画像

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解説

 

表題

カミツレの開花期

画像

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解説

 

表題

カミツレの花

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/98.jpg

解説

 

表題

収穫物の乾燥

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/99.jpg

解説

 

表題

生薬

画像

http://mpdb.nibiohn.go.jp/CONTENTS_ROOT/CULTIVATION_PHOTO_DATA/PHOTO_FILE/thumbnail/100.jpg

解説

種子発芽情報データ http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb/img/plusminus01-001.gif

備考

備考ファイル

さく葉標本情報

トランスクリプトーム・ゲノミクス情報

稀少植物情報

保有資源情報

導入年

保有研究部

導入番号

1979

筑波研究部

0498-79TS

1985

北海道研究部

11538-85HK