キンカン         (ミカン科キンカン属:常緑性低木:樹高 〜3メートル:花期 〜 月)

薬効
せき・たん かぜ 心臓病
分布生育場所

科名:ミカン科/属名:キンカン属
和名:金柑/別名:マルキンカン/生薬名:金橘(きんきつ)/学名:Fortunella japonica
和歌山、高知、宮崎、鹿児島などの暖地で栽培。

ミカン科キンカン属ナガキンカン
ミカン科キンカン属キンズ

見分け方・特徴

キンカンは、常緑性の低木で高さが約3メートルになり、刺(とげ)がなく、葉は広皮針形(ひしんけい)で先端は丸く、純鋸歯(きょし)があります。
果実は、倒卵状(とうらんじょう)長楕円形で、鮮やかな橙黄色で表面には光沢(こうたく)があります。
のう果は5〜6個で果皮は苦味(にがみ)と甘味があり、果肉は酸味が強く、葉が短くなっています。

また、果実が球形のマルキンカンは、果実に甘味があります。
採集と調整
生のままの果実を必要時に、水洗いして使用します。
キンカンを、刻んで乾燥したものを生薬(しょうやく)で、金橘(きんきつ)といいます。
薬効・用い方
せき止め、かぜに熟したキンカン約10個を、まるごと刻み、砂糖少しと水0.4リットルの中に入れて煮ます。
沸騰したら火を止めて、温かいうちに煮汁を服用します。1日に何回かに分けて飲みます。
なお、キンカンとオオバコ(車前草・しゃぜんそう)を乾燥したものを、5グラムくらい加えて、煎じる場合もあります。

キンカンの砂糖漬けは、小児のかぜによく効きます。
また、そのままジューサーなどでしぼった汁を朝夕1〜2個くらい服用すると、不整脈などに効き目があるとされていますが、キンカンは、ビタミンCが豊富であることから健康補助食品としては非常に有効です。

キンカン酒:疲労回復にはキンカン酒が効き目があります。
キンカン500グラムをよく水洗いして、水を切り、切らずに丸ごと、グラニュー糖200グラムとともにホワイトリカー1.8リットルに漬けて、2ヶ月以上、冷暗所に保存して熟成させます。
1日1回就寝前に、さかずき1杯を限度に飲みます。非常に口当たりがいいので、飲みすぎには注意が必要です。
また、漬けたキンカンは捨てずに、1日1個ずつそのまま食べます。
その他
名前の由来は、熟した果実が金色の柑橘だからそのまま「キンカン」になりました。

キンカンは、中国原産で日本に渡来したのは、鎌倉時代末か室町時代初期ころの古い時代になり、日本産のように思われていました。
チェンベリーは、来日したときに、キンカンを見て、キトルス・ヤポニカと命名したということです。

キンカンは、ミカンの種類と考えられていましたが、キンカン類は、ミカンと比べると実が小さく、子房(しぼう)の室数が少なく、葉の葉脈(ようみゃく)が不明瞭で、葉の成分には精油が含まれているなどの理由により、ミカン属から分離して、現在はキンカン属に分類されています。

日本で普通に栽培されているのは、ネイハキンカンとナガキンカンですが、一般的には、ナガキンカンをキンカンと呼んでいます。ナガキンカンに対して、果実が丸みを帯びているものを、マルキンカンといい、キンカンとは区別をしています。
キンカンは、和歌山県、高知県、宮崎県、鹿児島県などの暖地で栽培が盛んに行われています。

また、ミカンは皮を捨てて果汁を食べますが、キンカンは皮つきのまま、砂糖漬けや砂糖煮、薬用酒や、薬用に用いています。